「社会を変える」と「社員を幸せ」のバランスをいかにとるか

小林雅氏(以下、小林):では、次に質問のある方いますか?

質問者先ほど長谷川さんのおっしゃっていた社会を変えるということと、あと社員を幸せにするということで、両方とも達成したいというお話だったと思うのですけれども、色々な会社があってステークホルダーから見て、いい会社というのもすごく変わってくると思うんです。

もし会社がもっと大きくなっていって、もっともっと社会を変化させていこうというフェーズになったときに、社員の幸せと社会の変化というものが天秤にかけられたとき、どういう行動をとるのか、すごく気になったので教えていただきたいです。

長谷川敦弥氏(以下、長谷川):すごく葛藤があるというか、バランスが難しい部分ですよね。例えば、僕なんか本当に個人の話だけでいったら、いつも最短で行きたいんです。

最短で世界を変えにいきたいというのが強いので、店舗の展開とか「毎年200店舗出したい」ぐらいが多分個人の気性としては強いのですけれども、それだと現場で働く社員がなかなか幸せになっていけないので。

短期的なスパンというよりは長期的に考えて、世界を変えるというインパクトを最大化していくために、社会を変えるというところと、社員を幸せにするというところの1番いいバランスは都度取っていく必要があると思います。

ただ、痛みが伴う変化というのは必ずあるんです。例えばこの事業で社会を変えられないからやめちゃおうとか、ポリシーを変えていこうとか、スピードを今上げないと、お客さんにとってハッピーではないときは必ずあるんですね。

そのときはきちんと社員のキャパの範囲でそういう方針の変更であるとか、スピードを高めていきたいとかというのは、きちんとみんなに納得してもらった上で、一時的に痛いけれども頑張ろうぜ、みたいなところはマネジメントにおいてバランスを取っている感じです。

多様な社員が幸せに働けるプラットフォームをつくる

質問者:長谷川さんの中で、社員にとっての幸せってどういうふうに捉えられているのか、お教えいただきたいです。

長谷川:基本的には1人1人違うかなと思っています。本当に多様な人がいるので、多様な社員が幸せに働けるようなプラットフォームにしていけるか、ということがテーマなのです。

家族を大事にしたいという方もいれば、残業代もらわなくてもいいから24時間仕事をしたいという人もいる。人生のフェーズによっても幸せのあり方というのは変わってくるので、多様な社員が幸せになれるプラットフォームをつくっていくということが大事だと思っています。

特にベンチャーの創業期というのは、結構近い価値観が集まるんです。もうみんなとにかく死ぬほど働く、みたいな人が多いのですけれども、大きくなってきて社会のインフラそのものにだんだんなってくると本当に多様な社員がふえていくので、最終的にはそうしていくことが大事かなと思います。

小林:大丈夫ですか。

質問者:はい。ありがとうございました。

社員の様々な価値観を許容する環境づくり

小林:ちなみに、(長谷川さんの会社の)社員の方っていらっしゃいます? 社員としての感想いこうよ。

長谷川:いるって知らなかった(笑)。

小林:僕はちゃんと把握していましたから。彼は、一応このワークショップの参加者の卒業生で、今、長谷川さんのところで働いていて新規事業を担当されていると、昨日言っていたので。どうですか? 社員として。

参加者:僕は、先ほど長谷川社長が紹介してくださった「ITものづくり教室」の立ち上げを去年の7月からやらせてもらっていて、結論、僕は幸せな生活を過ごしていますね。

小林:おお! いい宣伝ですね。

長谷川:よかった、よかった。

参加者:僕は働きながら、色々なものを探していこうと本当に思っていたので、当時は自分の中でやりたいものとかを明確に言えるポジションではなくて。僕は大学院まで理工学部だったのと、あと震災支援をやっていたので、社会貢献も両立したいというところで、ITと社会貢献を両立できる部署をこれからつくっていきたいのだけれどもとお話をいただいて、そこにバーっと進むことができました。

あとは本当に社員の中でもゆっくりと目の前のお子さんに対して、しっかりと向き合えた人もいれば、ばりばり働きたい人もいて、そこは子どもたちに対して、やはり多様な価値観を認めていきたいという会社だからこそ、社員たちに対してもすごく色々な働き方とか、色々な価値観を許容できる環境をつくっているというような感じはしています。

だから、僕たち自身がつくっているサービスを、僕たちの会社にも適用していくということはすごくあるかなと思っています。

小林:なるほど。さすが、新卒の応募に2万人来るという会社ですね。

ひとつの空間で健常者と障がい者がものづくりをする意義

小林:ちなみに、長谷川社長に対して質問はありますか? ひとつこうしろ的な何かありますか。

参加者:では、Qremoに関して、どうしていこうとかありますか(笑)。

長谷川:Qremoに関して、この前ちょっとディスカッションしたばかりなのですけれども(笑)。Qremoはもう君次第だという感じはあるけれども。やはり子どもの、小学生とか、本当に幼児からの創造性を解放していくって、本当にビジネスの仕組みとして社会的にすごく意義があることだなと思っています。

日本全国、人口1万人ぐらいの町にまで子どもにとって身近な存在にしていけるのかというのを考えて、これから一緒に挑戦できればなと思っています。

参加者:ありがとうございます。

小林:(柴田氏に)ちなみに、スポットライトとかでインターンの人とか社員の人はいらっしゃいますか?

柴田陽氏(以下、柴田):いないと思います。薄情なんですよ、絶対こういうのに来ないので。

小林:山田さんの関係者いないですか?

山田淳氏(以下、山田):いないです。今、靴洗っていますから(笑)。

小林:靴を洗っている。

山田:富士山が来週からスタートで、今みんな浦和で靴を洗っています。

小林:浦和ですか(笑)、わかりました。続いての質問。

質問者:長谷川さんに質問ですけれども、先ほど聞いた教育関係の仕事が、障害を持った子どもたち向けだったという話ですけれども、それを一般に言われる健常者のほうに拡大するとか、そういうことは考えているのかどうかということをお聞きしたいです。

長谷川:いい質問ですね。うれしい質問ですね。そこはすごくこだわってやっているポイントで、「ITものづくり教室」とかも、最初はうちのLeafに来ている発達障害のお子さんの個性を伸ばしたい、特技を伸ばしたいというのがもちろんあったのですけれども、今はQremoでいくと、15%ぐらいが何かしら発達障害とか診断を受けているお子さんで、85%が一般のお子さんです。

むしろ、みんなが混ざった環境の中で、いわゆる今であれば発達障害と言われているお子さんのほうが、面白いゲームをつくれちゃったりしてるのですね。そういう世界観をもっともっと日本に広げていきたいなと思っているので。

質問者:ありがとうございます。

「世界を変えるか、死ぬか」という思いでの上京

小林:続いての質問がある方いらっしゃいますか?

質問者:こういうところに来ている人は「なんか自分は人とは違うよな」、というところを持っていると思うんです。それは自己満足というか、自分の中の「ちょっと自分違うよね」と思っていると思っていて。

長谷川さんの話を聞いていると、それこそ焼肉屋の店長さんに「君、世界変えるんだよ」と言われたりとか、それこそ会社を1年目で社長という形で任されたりとか、何かすごく持っているものがあると思うのですが、今振り返ってみてそれがなんなのかとか、それって自分の強みとしてどういうことなのかを具体的にお聞きできれば。

小林:なるほど。いい質問ですね。

長谷川:難しいとこですね。「元気」というのは大きいと思います。昔からすごく元気なので。あとタフなんです。精神的に折れたりすることもないし、どんなときでも大体明るいので、そういうのはベーシックなところとして大きかったかなという気はします。

質問者:ありがとうございます。

長谷川:あと何かあるのかな?(笑)

小林:対して柴田さん、何かありますか。

柴田:リスクに対する鈍感力みたいなのが、結構大事なパラメータかなと思っていて。皆さん、何か新しいこと、例えば「明日から会社やれよ」と言われて、みんなこれ大丈夫かな、何すればいいんだろう、みたいに不安になるじゃないですか。

普通の人はそうなのですけれども、たまに「全然いいっすよ」と言ってやっちゃうみたいな人がいると思うんです。これは実はすごく強いことだし、起業に向いている適性のひとつなのではないのかなと思っていて。何とかなるさと思っている感覚みたいなのはすごく大事かなと思います。ここら2人も多分すごくそういう感じだと思っています。

長谷川:自分の中で大きかったのは、覚悟を決めていたんです。東京に自分が飛び出していくときに世界を変えるか、もう死ぬか、というふうに最初から決めて出てきていたので、そのときは結構人生俯瞰して考えていたんです。

俯瞰して考えて、自分が生まれた意味が何かとか、ということをかなりずーっと家にこもって考え抜いていった結果、自分の命自体が世界を変えたり、世界のたくさんの人を幸せにするためにあってほしいというのを強烈に思ったんです。

それ以外は、もう逆にいらないというぐらい自分の中でかなり覚悟が決まっていったので、目先のことに迷いなくやってこれたというか、自分の長期的な目標だけに向けてぐっと真っすぐ進んでこれたというのは良かったと思っています。

質問者:ありがとうございます。