都会暮らしのまま土に触れて生きるには

青田典子氏(以下、青田):私などはどうしても都会というか、マンション暮らしですから高さもありますし、土というものに身近に触れませんが、なにか手段はないのでしょうか? 今の段階で、あこがれを持ってしまうんですが、こういう暮らしをしながら、土に触るということはできるものなのでしょうか?

例えばベランダに土というのも、砂などが舞ってしまって、枯らしてしまうのもかわいそうですし。生きているところの、この環境を保ちつつ、とりいれていくという……。

杉田かおる氏(以下、杉田):生活なんかに取り入れなくても、ツアーで集中して何日間か行かれるから、毎日働く分集約しているから、その分長い期間の休養をとって、海外などでもリトリート的なところに行って、体と心をリフレッシュされるとか、そうしたことでバランスをとるのもいいですよね。

いま、私はサラリーマンの主人なので、土日しか畑に行けなかったり、畑も神奈川の田舎ですから借りられていますが、そうではないお仕事の場合は、そうした時間を使って体験をされるのもいいですね。

小原壮太郎氏(以下、小原):そうですね、最近は屋上緑化の一環で屋上農園も増えていますし、僕らも環境省でアンバサダーをやっているんですが、アンバサダーチームでお台場のダイバーシティというガンダムが立っているビルの屋上に「都会の農園」というオーガニックの農園をやっていて、月1000円などで農業体験ができたりします。

夫・玉置浩二のためになる環境とは…

杉田:TBSでもミツバチを飼っていると……。

小原:そうですね。ミツバチプロジェクトといって、銀座から始まって全国に広まっています。

杉田:意外と都会の女でも土に触れることはできます(笑)。

青田:そうですね(笑)。でも、うちの主人も将来のことを考えたときに、彼のオン・オフを私の立場としても、どうしてあげればいいだろうと思案しています。やっぱりいいコンサートをして、いい歌を歌ってほしいので、その分オフるということも、とっても大事な要素だと思っているんです。

そのなかでの暮らし方を見つめながら、「都会から離れて暮らしたほうが彼にとってはいいのか?」。でも「そうなるとちゃんと仕事ができなくなるのでは?」と不安になったり、いろんなことがよぎるんですが。

杉田さんがおっしゃるように、仕事をするときは仕事をする、オフるときはちょっと離れて畑を持ったり自然の中に触れて生きるということは、本当に将来いい姿かもしれませんね、なにか物を作るというか……。

人間はもっとも環境に悪い生き物

杉田:私も環境学を20年くらいやっていて、今回自然論を勉強したら、まず人間が生まれてきたこと自体が環境に悪いという(笑)。究極そこにいくという、人間が生活のために農地を開拓するということから、土をほじくり返すわけじゃないですか? その、自然の姿を壊していくこと自体が、もう環境に悪いわけです(笑)。

青田:なるほど~!(笑)

杉田:結局そこで生活をしていくことで、人間が悪いわけではないんですが、共存していくためになるべく環境を壊さないで生きていけるような、省エネ的な生き方というかエコロジー的な生き方ができないか? という考え方をする人もいるし、私の先生は自然論なので、耕さないんです。土もほじくりかえさないし、草もむしらない。

青田:えー! でもそれだと、虫だらけのナスになってしまったり、食べるところがなくなってしまうじゃないですか!?

杉田:ところが、虫や鳥でも、虫を食べる鳥もいたり、虫同士が食べあったりする。虫は人間と違ってサラダを食べません。わかります? つまり人間だから人参だったり大根だったりピンポイントで、売れるから食べるんです。売っているものを食べていますね?

でも、虫たちは見ていると、草や雑草と呼ばれるものに栄養があって食べたりしているんです。だからアブラムシなどは、油の実についたりするからアブラムシなんですが、アブラムシを食べるテントウムシがいて、テントウムシを食べる何かがいて。

ミミズも、イノシシがくる畑だったんですが、イノシシはジャガイモを食べに来ているのではなくて、ジャガイモの下にいるミミズを食べに来ているんです。だから、ジャガイモの周りの草を刈らないことで、草の匂いでミミズの匂いがわからなくなり、イノシシが避けて通ったり。

青田:へー!

世界中が狙っている日本の資産

杉田:ちゃんと草の中で栄養素を共存させながら一緒に植物を育てていくという。だから草を刈って、草の根元のところの生態系の中には微生物がすごくいるので、肥料をいれなくても、それがすごく栄養素になったりするんです。

だから昔ながらの、お庭で育てていて自分の家の分くらいのお野菜が作れるような、そうしたことを日本でずっとやってきて、そしてまた花が咲いて種になって、それを翌年に植えるというように自分たちで自給できていたんです。

その自給していた人がみんな資本主義になって働きに出るんですが、田舎からお野菜が送られてくるからそこで節約になったり、それで田舎の郵便局で貯金ができたりするんです。それが今、世界中が狙っている日本の資産であって、郵便貯金になっているんです。

つまりそこには消費税もかからないし、結局流通もしていないので、人件費もかかっていないし、自分たちのところで自給していた分が、貯金になっているんですね。

青田:なるほど~! わかりやすいシステムでした(笑)。

(会場笑)

杉田:計算できない私でも、「そうか」と。だから豊かだったんですね!

日本は農家を守ろうとしていない

小原:本来、昔ながらの大戦よりも前の自然の循環と、そこと共存していた人の生き方というのは、よく江戸は循環型社会だなんて出ますが、そのように自然とともに共存する生き方というバランスができれば人も相当健康なんです。

杉田:そうです。例えば芸能界なんてピンハネ産業じゃないですか(笑)。

(会場笑)

杉田:ずっと誰かにピンハネされてきているんですよね。でも芸能界だから、エンターテイメントだから許されるのであって、そこが食であったり、生活、日常の命にかかわること、例えば医療となどにピンハネ産業が入ってくると、本当に人間にとっては危機的な状況なんです。

だけど、じゃあ農薬を使って大量生産をしましょう、これだけの人類を救うためにはこれだけの農薬を使わなきゃいけない。儲かるのは農薬産業の人だったりするだけで、実際に日本はそれだけ農薬をたくさん使っている国で、6パーセントの子どもたちが貧困です。

どうしてたくさんコンビニのお弁当が毎日毎日捨てられて、どうしてご飯を食べられない子どもがたくさんいるのだろうという矛盾がでてくるわけです。環境省としてはどのように考えているんですか?(笑)

(会場笑)

小原:今、環境省のプロジェクトで取り組んでいることも、まさに「つなげよう、支えよう、森里川海」というプロジェクトのアンバサダーをやっているんですが、今、自然の循環が壊れていて、それは直さなきゃいけないんです。

ただ問題は、地域の過疎化や、地域の経済のシュリンクしてしまっているとか、高齢化の問題などいろいろあるじゃないですか? それを複合的に直していくためには、事前の循環だけじゃなくて、人の循環……都市に集まりすぎた人が地域に戻ることもそうですが。

地域でそれぞれ自然を守っている農家さん、漁師さん、林業の方と、それを支えるNPOの人たちと、都市生活者というのが、自然の恵みで本当は生きているはずなのにそれを忘れて、100円と130円の野菜があったら前の100円をとってしまう。

でも実はその30円の差で、自然の循環を守っている農家さんと、そうではない大量生産の農家さんのどっちを選ぶかという選択になることがわかっていないから、安いほうをとってしまう流れというのが……。