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第二部(全4記事)

C2Cサービスは、いかにして「信用」を担保するのか メルカリファンド出資先の起業家たちの見解

C2Cの事業を運営する企業をゲストに招き、テーマにそってパネルディスカッション形式でトークする「C2Cスタートアップナイト」。2017年11月30日に行われた同イベントの2部に登場したのは、メルカリファンドの出資先であるポケットマルシェ・本間勇輝氏、キッチハイク・山本雅也氏と藤崎祥見氏、BrainCat・中村貴一氏。C2Cサービスならではの苦労やサービスローンチまでの舞台裏などを語りました。

BrainCatの中村氏が登場

原田大作氏(以下、原田):じゃあもう1社ですね。BrainCatさん、お願いします。

中村貴一氏(以下、中村):こんばんは。株式会社BrainCatの中村といいます。僕の会社は猫好きで、スライド右上にあるようなキャラクターが僕の会社のロゴマークで。僕も今日のパーカーは、自社のやつを着てるということで、けっこう猫好きなんですけれども、エンジニアです。

もう10年間ぐらいエンジニアやってきています。去年ぐらいまでコンサルティング会社にいたんですけれども、そのあと独立しまして会社立ち上げて、この1年間フリーランスのエンジニアというところで活動してきたと。大企業からスタートアップまでいろいろ仕事してます。

ちょっとこぼれ話としては、2014年に1回起業したタイミングがあって、本当にこれ偶然だったんですけれども、孫泰蔵さんがやってるMOVIDA JAPAN様のところでですね。当時は僕、趣味で音楽の機材の比較サイトみたいなやつを作っていました。それを友達経由でMOVIDAさんに紹介してもらって、運良くパイプができました。

「どうしましょうか?」というところで相談したら、休職をもらえるということだったので。1年間だけ休職をもらって、1回目の起業を経験したと。今もそのサイトはまだ運営していて、PVとかはけっこうあったりするんですけれども、それはもう完全に放置状態で今2社目を立ち上げたというところでおります。

互助組織を簡単に作れる「Gojo」

中村:僕の会社は、これまで登壇してきてる方々とはちょっと違って、まだすごくシードラウンドなんですね。要はまだプロダクトない状態で今ガンガン作っているところで。2年目の会社ではあるんですけれども、実質、開発を始めたのは今月からなんですよね。だからめちゃめちゃ「なんでいるんだよ? お前」みたいな感じかも知れないですけれども。

なにを作っているかというと、「Gojo」というサービスを今作っているんですね。これはなにかというと、互助組織を簡単に作っていくことができるプラットフォームになっています。

互助組織というとよくわからないかもしれないですけれども、例えば大学のサークルとか、あとは社会人部活動とか、そういったところでグループでお金を集めてなにかするというのはたびたびあると。そういったところで、僕が作っている仕組みとしては、みんなで共通の目的のためにお金を集めて必要なときに 支出できる共通のサークルを作ろうというところなんですね。

原田:めっちゃ家入さんが好きそうな。

中村:ああ、そうですか(笑)。

原田:はい。感じです(笑)。

中村:でも、僕の会社は今、家入さんが社外取締役にも入っていて、家入さんの思想に近いところを作っているところはありますね。

互助組織は日本でも古来からあった

中村:もうちょっと歴史的なことを言いますと、みんなでなにかお金を集めてやるというのは昔からあったらしいんですね。日本語だと頼母子講(たのもしこう)とか無尽(むじん)とか呼ばれていて。国際的に見ると、国連が「ROSCA」と名付けているぐらい、けっこう世界中で行われていた組織体がありました。

どういうことかというと、基本的に街や村単位でチームを作って毎月同じ額を出資し合うと。一定期間過ぎ去ったあとに、そのチームメンバーの人にガッとあげるんですね。給付金を。もう1回貯め合ってまだもらっていない人に、ガッとあげるというのを繰り返していって、みんながもらったら終わりという組織があったらしいんですね。

これは日本だけじゃなくて、韓国とかカンボジアとかいろんなところであったと。いまだにまだ沖縄のほうだと40パーセントの県民がやってると言われていますね。

今、見たような例が、抽象的に見ると僕は基金サービスなんじゃないかと思ってるわけですね。なにかのためにお金を積み上げているところで。そこのレイヤーから世の中を見てみるとけっこう積立をやってるところってあるのかなと思っていて。

例えば保険。今セーフティネットって書いていますけれども、保険というのも積立になるんですね。なにかのリスク、なにかの事故のために備えていますよと。2つ目のファンクラブ。これもファンの方々がお金を積み上げて、ファンの運営会社とかファン自身を助けている。

開発陣は充実している

中村:あと3つ目、クラウドファンディグですね。クラウドファンディングもなにかをやりたいという欲に対しての積立をやってると見ています。ちょっとエンゲージはよくわからないので説明していないですね。すいません(笑)。

(一同笑)

さっき言ったように、11月から作り始めたばっかりですけれども、僕自身はかなりエンジニアやってきて、僕のチームにはけっこう優秀なデザイナーとエンジニアがいるというところで、開発陣はもうかなり大丈夫なんですね。ただ、ビジネスサイドがめちゃめちゃ弱いというところで。

原田:珍しいですね。

中村:そうですね。なので、一応いるんですけれども、もうちょっと増やしたいねというところで、今マーケターとか、あとはCOOというところのポジションを募集していると。

僕が探したかぎり、このサービスってまったく同じやつが世の中にないんですね。だからけっこうプッシュしていくとなると、うまーく世の中に入っていってうまーく浸透させていく必要があるというところで。

けっこうビジネスサイドの力を入れないといけないなと思っているので、そこでなにか興味がある方が来たら非常にうれしいなと思っている次第であります。ありがとうございます。

原田:ありがとうございます。

C2Cサービスは「信用」をいかに担保するか

原田:じゃあ、さっそくパネルに移っていきます。

なんか今聞いてて「信用」という言葉が一番大事な3社かなと僕は思いました。C2Cってやっぱりその信用をいかに担保するかとか、信用をもとになにかするというのが大事だと思うんですよね。

食とかまさにそうだし。キッチハイクさんにしろ、ポケマルさんにしろ、変なもの届けたら怖いじゃないですか。そこの担保とかってどうされているんですか? じゃあ、ええと、どうしようかな……。

本間:はい。

原田:じゃあ、お願いします。

本間:農家さんや漁師さんは、地域を離れられないんですよね。

原田:地域を離れられない?

本間:はい。必ず現場があるんです。なので、ずっと先祖代々土地を継いでいるだとか港で漁をしているので、彼らほど嘘をついたらやばい人たちっていないんですよね。

当然、事故が起こるリスクはゼロじゃないというのはあるんですけれども、むしろ一番安全な人たちが、わざわざC2Cで自分をさらけ出して売る人たちなんだろうなというところが、根底の考え方としてはあります。あとはもちろんレビュー的なコミュニティのところでの抑止とかっていうところは当然あるんですけれども、基本はその考えが大きくて。

原田:半分もうスモールBみたいな人が多いんですか? 個人事業主?

本間:はい。そういうイメージに近いですよね。

原田:農家さんとかは?

本間:はい。

原田:そうかそうか、農家さんって基本的に個人事業主なんですかね?

本間:いろんな形態があります。ただ、販売をしている責任を負って、かつ、土地から絶対逃げられない人というところがポイントですね。

KitchHikeの信用はどこで担保している?

原田:なるほど。キッチハイクさんとかは食べ物は?

山本:そうですね、よく言われるのが「レストランとかお店とどう違うんですか?」とか「お店だと飲食店営業許可証があるから安全ですよね」みたいなこと言われるんですけれど、僕はそれがもう不思議でたまらないというか。

KitchHikeは、「交流」や「つながること」を目的としたサービスなので、そもそもの事業レイヤーが違うのではありますが、飲食店営業許可証とか食品衛生法の素案というのは昭和20年代にできたものと聞いています。戦後の不衛生な状態で作られた法律なんですけど、今って世の中すごくきれいじゃないですか。

だから、KitchHikeのようにクックさんの顔と名前やレビューとか写真が見えていることのほうがよっぽど信頼があって安全だと思うんですね、事実、4年以上運営してきて、そういった事件って1件もないんですよ。

原田:ほう、それは最近にぎやかになったからじゃなくてですか?(笑)。

(一同笑)

山本:鋭いですね(笑)。それもあるかもですが、やっぱり目の前に作ってくださる方がいて一緒に食卓を囲むというのは垣根がないことなので。なにかあったときに食べる側もその当事者なので、食べる側もその場を作るというか、受け取るだけじゃないんですよね。

現場で「KitchHikeにジョインしませんか?」

原田:昔、僕がやってたC2Cでよく「パーティやります」みたいな感じでわーって人が集まってて、実際行ったら詐欺だったとか、マルチとか、「秒速で億儲かります」みたいな話が多かったんですけど、そういうのってまだ発生してないですか?

藤崎:まだ……ないですね。

山本:なんかアーティストみたいな答え方だね(笑)。

(一同笑)

まだないですね。ただ、マルチ的なことはないですけど、現場によってはキッチハイクのスタッフが参加しているので、「KitchHikeにジョインしませんか?」という声はかけられます(笑)。

原田:ああ、マルチですね(笑)。

山本:マルチですかね(笑)。

藤崎:勧誘される。KitchHikeチームに勧誘されるんだ(笑)。

原田:悪質な行為ですね(笑)。

なるほど。でも、そういう意味でも本当に信用は大事ですね。Gojoとか僕興味あるんですけど、ちょうど先週、僕ちょっと海外に出張に行ってて、ニューヨークの「Lemonade」ってサービス、めっちゃおもしろいなと思って。

どんなサービスかというと、保険みたいなものですね。かんたん保険で、今、家財、家の荷持とかにフォーカスして、Airbnbとかとうまくやってるんですけど。

保険って高いじゃないですか。月何千円とか、しかもめちゃくちゃ複雑でよくわからない。あれもをもう最初の登録フォームとかで簡単にやると、リスク判定を自動的にしてくれて、月5ドルとか超気軽なもので登録しておくと、なにかあったときにみんなで助け合ってお金を出すみたいな。

Gojoの信用の作り方

原田:そこの助け合うところの「この人が本当にいい人か、悪い人か?」というのはもうディープラーニングとかでグリグリやるものなんですけど、話せる範囲でさっきのGojoの信用の作り方ってどう考えてるんですか? 

中村:そうですね、基本的に実名制なので、本人確認をしっかりやろうかなというところでいるんですね。その上で、僕のやつは既存の保険とは考え方がぜんぜん違くて。

既存の保険というのは、不特定多数の方々が入って来るのを前提に作っているというのがあるんですね。それに非常に審査コストがかかってきているというのがあったりとか。例えばLGBTの方だったら保険の引受人になれないとか、よくわからない都合があったりするわけですね。

僕はその不特定多数の方々をターゲットにしてる互助組織を作るわけではなくて、さっき説明したROSCAみたいな感じで、地縁とか地域とつながりがあるとか、そういった強いつながりがある方が作っていく。その時にお金を出し合っていく、お金をカバーしていくみたいに考えているんですね。

僕はフリーランスの活動が長かったので、フリーランス互助会とか作るといいのかなとか思ったりするんですね。

なので、そういったつながりの強い方々によるある程度の信用情報の確保というのは、専門用語だとピアプレッシャーと呼んでるんですけれども、そのピアプレッシャーが働くような組織において僕たちは互助組織を作っていくのを前提においているんですね。

原田:なるほど。

メルカリともID連携できるかもしれない

原田:あと、もしかすると、せっかくメルカリの出資先なので、今後、例えばメルカリのID。今メルカリとソウゾウで、ソウゾウのほうで「メルカリ アッテ」というクラシファイドサービスだったりとか「メゾンズ」というブランド特化型のものをやっているんですけれども、ログインが全部メルカリIDなんですよね。

そのメルカリは、みなさんご存じのとおり、かなりのユーザーさんが売り買いをしてて。ものを売るってけっこう大変じゃないですか。それでいい体験をしたかというデータが集まってて、評価がついている。それ自身もけっこう価値かなと思うので。

たぶん今後ID連携とかすると、そのメルカリのユーザーのIDを使って、そこにたまっている評価をもとに今お話しされていたようなことがブーストできる、みたいなこともあるかなと思ってました。

中村:あ、お願いします(笑)。

原田:(笑)。やりましょう。すごいニーズありますよね。

中村:そうですね。実際メルカリさんとかソウゾウさんとどのへん協業していくかというお話ししてたりするので、それも一応1つの有効なところとして考えたいと思いますね。

原田:そうですね。C2Cはやっぱりそこの信用の担保って非常に大事かなと思いますね。さっきのジラフさんとかだと、仕組みを作って真ん中に入ってというのも、あれも1個のやり方としてはあるんですけど。

中村:そうですよね。

原田:とくに立ち上げ期とかっていきなり評価がついてたほうがユーザーも安心したりするのかなっていうのはありますね。

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