2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
『サブカル戦国時代突入!?〜けもフレからうつヌケまで!2017アニメ・漫画事件簿総点検!!』山田玲司のニコ論壇時評 1/2(全7記事)
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乙君氏(以下、乙君):ここで、次後半いきますか?
山田玲司氏(以下、山田):6月? もう次いこう。
乙君:次いっちゃいましょう。ヤンサン的、ニコ論壇的には4、5月がとくになにもなかったということですっ飛ばしまして(笑)。
6月、ジブリパークが愛知万博跡地に2020年代の開園を目指して建設が始まったと。成人漫画作者に「配慮を」、わいせつ事件受け。これ何だ?
スタッフ:これは同人作家が描いた同人の内容で同じ犯罪を犯しちゃった人がいたんです。
乙君:あ~。模倣犯が現れたということですね。エロ漫画とかで。
山田:なるほどね。はいはいはい。
乙君:同人作家の作品に影響されたと炎上したと。はいはい。
さらに人気アニメ『カウボーイビバップ』、実写ドラマ化企画が進行中。これもありましたね。実写ドラマがもうほとんど全部漫画とかアニメの原作からって、去年もやりましたもんね。『タラレバ』もそうだし。その流れかもしれない。
そして『NHKクローズアップ現代+』、ブラックアニメ業界特集が話題。『SHIROBAKO』とかもありましたけど、アニメ業界のブラック化というのがかなり特集されたということで。
そして『HUNTER×HUNTER』、6月ですね。連載再開! とくに言うことは……。
山田:ない。
乙君:(笑)。
山田:いや、つーかね。
乙君:次いきましょう。7月、『銀魂』実写化発表しました。これはもう公開されたの?
スタッフ:そうですね。
乙君:発表というか、『ONE PIECE』ハリウッド版実写ドラマ化の発表。もう『カウボーイビバップ』もそうだし、バンバン漫画。その中で! 山田玲司『CICADA』第2巻!
山田:ハリウッドなにしてんだよ。
(一同笑)
山田:誰が来るんだよ。待ってんのに。
乙君:そういうことがありました。少年ジャンプのお色気騒動。『ゆらぎ荘の幽奈さん』のお色気描写を巡ってネット上で論争。これもここでやりましたね。
山田:ジャンプ多いよね~。めっちゃおもしろいですから見てください。(ニコ生のコメントで)「『CICADA』だけ浮いてる」とか言うな!(笑)。知ってるよ、そんなこと! 気遣ってもらってるんだよ(笑)。
乙君:『レディ・プレイヤー1』が微妙にネットと被っとるっていうような話が。
山田:スピルバーグに頼むか。そうだな。3巻ね、1月すぐに出ます。
乙君:そうなんですよ。もうここで言っちゃいますか? 『CICADA』3巻が1月12日に発売なので、来月ですね。ぜひぜひみなさんよろしくお願いします。
山田:発売です~。お願いします~。お願いします!
乙君:8月いっちゃいますか。ババっと。
山田:とりあえずブラックアニメ業界ってみんな知ってるけど、NHKが取り上げたなというのはあるけど、想像を絶するブラックだよね。ずっとなんだけどね。
それが改善されることなく、今度は中国のほうに押されてさらに競争は激化しみたいな。良い方向になるというのは、どうにもならないなっていうさ。そもそも人々のモルヒネを作る人たちにモルヒネが必要っていう状態ってどうなのっていう。
乙君:確かにね。年間何本やってんだって思いますしね。
山田:アニメ探偵がチェックしてるだけで40何本でしょ?
乙君:1クールでね。
山田:異常だよね。
乙君:異常ですね。そんなに需要あるんだっていうのがすごいなと思って。
山田:単行本のほうも、本屋さんとか出版社とかも、点数主義というのがあって。とにかく数打たなきゃいけないみたいな現状があって、その中でどれかが当たったらそれで回すみたいなのがあって。アニメのほうもそれがあるんだろうなというのはありますね。
乙君:「好きなことやってるんでしょ、ああなってしまった業界」。つまりここでも話したかもしれないですけど、夢を食い物にするビジネスというか。好きなことやってるんだから薄給でいいだろっていう。憧れの業界に入ったんだから、というようなことがまかり通っているのはありますよね。
山田:根本的に変えないといけないよね。
山田:これね。(『まどか☆マギカ』の鹿目)まどかの願いでしょ。
乙君:まどかの願い?
山田:魔法少女になろうとした人が、魔女にならないためのシステムでしょ。アニメーターになろうとした人が魔女にならないためのシステムが必要でしょ? これ。
乙君:どうすればいいんでしょうね?
山田:完全に変えないといけないよね。ストライキとかもできないじゃん。この業界って。そもそもないじゃん。ストライキ自体が。だいたいアニメ見てる人がデモとか起こさないしね(笑)。暴動とか起こさないもんね。
起こすかなぁ!? 全アニメーターが「もう作らねぇ!」って言って、そしたら見てる人たちはどうするかと言ったら、ただガッカリするだけじゃない(笑)。
しみちゃん氏(以下、しみちゃん):(笑)。
乙君:契約として個人契約なのか、それとも会社の社員としてなのか。結局労働組合的なものがあるのかどうかとかも含めて。ないよね、たぶんね。
山田:「いっそ起こしてほしい」「自分で作りますか」。
乙君:そしたら中国とか韓国とかに発注しちゃうという話に実際なってると思うので。
山田:「ジブリがブラック」ってね~。そうね~。
乙君:個人事業主だったらねぇ。
山田:おれは個人的に思うのが、アニメ業界って手塚(治虫)先生から始まってるじゃん。それって戦後の復興期だろ? 「寝ないでとにかくやらないとダメだよ」みたいな時代からずっと成長を続けて来ていて、あとからくる連中がうちも成功したいって言って乱立したわけじゃない。
そこを根性で乗り切ろうというノリでずっと業界が変わらなかったのがキツかったね。漫画業界もそうだけどね。おかしいよね。3日寝ないとかいう世界はそもそもおかしいっていうところにきてるんじゃないのかなっていう気はするね。日本もね。
乙君:「手塚を乗り越えなければ」って。
山田:手塚先生がいなかったら日本のアニメーションって週刊でできなかったんだよ。ただやってしまったから、「できるじゃん」ってなってそこからの地獄よ(笑)。
週刊連載もそうだよね。トキワ荘世代って月刊から週刊になるときに「無理でしょう」って言ってたって言うもんね。
乙君:イチローが毎年200本打ってから、「お前らもできるだろ」っていう話ですよね。
山田:「え~イチローだからですよ!」「できるでしょ?」みたいな。それでできあがった文化の中にいるんだけど、そろそろそれが限界にきているというのは今年よく見えてるよね。
乙君:あんまりわからないんですけど、昔はセル画だったじゃないですか。あれと今のデジタルでやるのと作業効率的にはやっぱり今のほうが効率はいいんですかね?
山田:これはもう監督に来てもらうしかないと思うけど。
乙君:そっか。
山田:でもこの間に錦織監督に聞いたら、やっぱりかえって大変な部分もあると。技術が変わって。
乙君:なるほど、どんどん要求がグレードアップしていく。
山田:確かに手描きは手描きでめちゃめちゃ大変だったんだけど。クオリティが上がってしまうのでね、そのクオリティを保つためにやらなきゃいけないとかいうね。
山田:あとでちゃんと言おうかなと思ってるけど、そこは漫画が大きく変わる。漫画はデジタル化になって、ハイクオリティになって、あるところのピークまで来たけど。今年の『左ききのエレン』で変わるね。
乙君:『左ききのエレン』?
山田:『左ききのエレン』とONEくんの登場によって、漫画業界は2つに分かれますね。
乙君:2つに分かれる。
山田:pixiv派とONE派に分かれますよ。
乙君:pixiv派とONE派!?(笑)。1個はツールで(笑)。
山田:ONEの『モブサイコ』がいかにすごい革命だったかというのが、今になってハッキリしてきたのが『左ききのエレン』のヒットだね。
しみちゃん・乙君:へ~。
山田:そういう意味で今年は1本ライン引かれてるような感じがするね。要するに絵師中心のカルチャーと物語中心のカルチャーで。
結局絵がどうであれ、おもしろかったらいいんだってことが次から次へと証明されてしまっている時代なので、ヤンジャンとかがものすごくクオリティが高くなるというか、緻密に描かないといけないという空気で一気にガーっといくじゃん。だからといってヤンジャンの売上は伸びなかったんだよ。
乙君:あ、そうなんだ。
山田:どこに努力をしたらいいかわからなかったんだよ。だから絵にいっちゃったんだよ。絵が良くなっても売れないってなったときに、ONE登場なわけ。『モブサイコ』登場なわけ。
ここは業界ひっくり返るね。ONEが描いた絵をうまい人が『ワンパンマン』で描いてるけど。あれはおそらく変わらないはずなんだよ。
乙君:おもしろさが?
山田:おもしろさ。それをいくつか証明している事例が現れちゃってて。もちろん演出の効果として絵師がうまいとある程度の伸びは期待できるけど、それよりもネームのおもしろさのほうが圧倒的に重要だということがわかってしまったというね。日本は絵がうまい人多いからね。
乙君:絵がうまいことをきっちり評価できないと、たぶん漫画業界が廃れると思うんですけど。ネームのパワーだけでってなったときに、そんなに新しい革命的なおもしろさは……。
山田:そこで分かれるのが、『バクマン。』。絵師とストーリーで別れるパターンと、絵もうまい話もうまいという人を望むというパターン。だけど漫画って何かと言ったときに、これ先に言っちゃおうかな。
絵と物語を両方描かなきゃいけないという一部の能力はものすごく突出していいのに、ほかはぜんぜんダメだったりするような、いびつなパラメーターのままバーンって出せるメディアだったの。だからこそ変なものがいっぱいいたんだよね。
言ってみれば永井豪先生とか、決して絵がうまいというわけじゃないんだけど絵に力があるっていうね。
乙君:はいはいはい。
山田:そっち側もオッケーだったし。例えば青木雄二さんみたいなのも出てくるわけ。水木先生もそうだよね。一方で見やすい絵とかうまい絵とかいうのだけではない、いびつな才能、表現みたいなものが出るっていう多彩なメディアだったというのがあったんだけど。
ここで別れてしまって、ヒット狙いになっていくとどんどんいびつなものは消えていく。それの1番残念なのは、『シン・ゴジラ』がまさにいびつさの象徴みたいな映画だったわけよ(笑)。ああいうものがなくなっていく。
乙君:なくなっていく?
山田:庵野秀明が作った『シン・ゴジラ』というのは、漫画家が描いた漫画みたいなものなんだよ。
乙君:ほ~。
山田:普通は通らない、あんな演出。
乙君:へ~。
山田:あの脚本の演出は、個人的にやりたいようにやったから、あんな変なものになった。あれはカルト映画だし実験映画だよね。それが可能である媒体が漫画の良さだったんだよね。これが今後ちょっと出にくくなっていくだろうなという予感がすごくするなぁというのがありますね。
乙君:なるほどね~。
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