本ができるまでにどのくらいの人間が関わっているか?

上村潤氏(以下、上村):そのときに、はじめてお会いしたっていうことなんですけど。ロイさんから見た吉田さんの第一印象って、どうだったんですか?

西澤ロイ氏(以下、ロイ):ちょっと、何歳なんだろうな? っていう。

吉田伸氏(以下、吉田):(笑)。

上村:おお……(笑)。年齢不詳な感じ、ということですか?

(一同笑)

ロイ:実は若くて。思った以上に若かったっていうか。あとは、笑い声がけっこう特徴的な感じな方で。

上村:今、ちょっと押し殺してらっしゃる感じですよね(笑)。

吉田:そうね、言われちゃうと(笑)。

ロイ:遠慮なくどうぞ(笑)。

上村:そんな第一印象を経て出版する話になっていったわけなんですが。そもそも、この『頑張らない英語シリーズ』ができるまでの工程を、僕はちょっとよく知らないので。

どれだけの人間が関わっていて、どれぐらいの期間をかけて本っていうのはできあがるのか。ちょっと教えていただいてもよろしいですか?

吉田:まず、だいたい最初にこういう本の企画を考えて、実際書いていただいて。それが書きあがったあとに、編集者がチェックしてっていう工程を経るんですが。だいたい半年くらいはかかりますね、なんだかんだいって。

それができるまでは、まず編集者のチェックもありますし、デザイナーさんに本のカバーのデザインをお願いしたりですとか。あと本の中のデザインとかもお願いするんですけども。そういうのをやっていただいたりとか、そういうのもありますし。

あとはイラストも描いていただく必要があるので、そういうのをやっていただいたりすると、けっこうたくさんの人が関わりますね。そして、本ができたあとは営業。会社の営業の者が営業したり、もちろん本屋さんでも売ってくださったりとかするので。

けっこう、なんだかんだいって5人から10人ぐらいは、本ができるまでには関わる感じでしょうか。

編集者とはどんな仕事か

上村:その工程のなかで、吉田さんはどれぐらいの部分を担当してらっしゃるんですか? すべてに関わっていたりとか。

吉田:全体的に関わりますね。関わりますけど、デザインとかイラストは、私は専門ではないので。あくまでも、この本はこういう内容なのでこれに沿うように、こういったかたちのイラストをお願いします、ですとか。

こういったデザインをお願いします、といったことを、指示をするということですね。そして、いただいたものをチェックして、というところです。それは原稿も同じです。書いていただいたものをチェックして、もっとこういうふうに書けますか、とか。そういったものをお話して、書いていただいて、またそれをチェックする、というかたちですね。

上村:じゃあ、かなりロイさんと密接に、やり取りされている。

吉田:そうですね。

上村:かなり密接に。

ロイ:そうですね。最初の本、『頑張らない英語学習法』のときには、僕が原稿をお出ししたら、かなり大手術をして返してくださったんですよ。

上村:おお……。

吉田:まあそれは、最初からいきなり本の原稿を書ける人っていうのはまずいないので。どんな作家さんもそうだと思うんですが。当然、ご本人はわかってるんだけど、まったく知らない人にはわからない内容だったりとかするので。そういうことをチェックするために、編集者っているんです。

上村:はい。

吉田:ですので、チェックして、もっとここはこうしましょう、といったことを直していただくこともありますけど、実際にこういうふうに直して、それをお見せしたほうが早かったりもします。そういったものは、最初の本に関してはかなりやりました。

なぜ「鬼の編集者」なのか?

上村:なるほど……。最初は、編集者ということでご紹介させていただいたんですが、なんでも、「鬼の編集者」という話を若干お聞きしたんですけど。最初の1冊目のときに、かなり直しが入ったってあたりも、鬼の編集者と言われる所以に関わってきたりするんですか?

ロイ:どうなんですかね? 僕はあんまり鬼とかは思っていないので。一般的に言われている。

上村:なるほど、ロイさんが言ってるわけじゃないんですね!(笑)。

ロイ:いや、そんな失礼なことしないですよ(笑)。だって本当、大恩人ですからね、僕からしたら。そんな人を鬼なんて、僕が名付けるなんてあり得ないですよ!

(一同笑)

上村:いい本を作りたいからこそ、それだけ情熱を注いで赤を入れてくれる、というか。っていうことですもんね。

ロイ:もちろんですよ。やっぱり魂こめて作るものですからね、本って。

上村:ですよね。

本の帯は誰が考えているのか?

上村:そんな、さまざまな方が関わって1冊の本ができあがってくるわけなんですが。頑張らないシリーズで、僕けっこう注目してるのが、帯ですね。本の帯のコメントなんですけど。今回の『頑張らない基礎英語』帯。

「学校で習う英語の疑問がなくなりました」というこのひと言。『頑張らない英文法』も『頑張らない英語学習法』にも入ってるんですが。この文章って、誰が考えていらっしゃるんですか?

吉田:この文章は編集者が考えます。これもどうすれば……タイトルもですけど、帯のコピーを見て買うかどうか決めるのを、みなさん一瞬で判断しますから。キャッチコピーですね。いかに一瞬で興味を持ってもらうか、ものすごく考えてですね。

このひと言のために、ものすごい数の没案を考えます。いろいろ考えに考えて、考えてるうちにだんだんわかんなくなってきちゃったりするんですね(笑)。何がいいのかな、みたいな。この本も2月に出た本ですけども、これも去年からずっと考えてましてですね。

どうしたもんかな、とずっと考えて、知り合いのコピーライターに相談したりとか。いろいろしたあとに、ご相談をしまして。そうしましたら、読んだ方の声やご感想をくださいまして。

読んだ人の声がやっぱり、1番使えるので。そのなかで1番引きになりそうなものを採用した感じですね。結局、いろいろ考えるよりも使ってる方々の、パッとひらめいたもののほうがよかったりもするので(笑)。

上村:まさにその、案ずるより産むが易しと言いますからね(笑)。そういうもののほうが、ストンと心に落ちていく。

吉田:そうですね。

ロイ:もともと実感がこもった言葉だったりしますからね。