IT企業で働くワーキングマザー

ナレーション:東京・渋谷。そこに現れたこちらの女性は山本真由美さん、33歳。

山本さんは現在、大手IT企業で人事の仕事をしています。入社11年目、人事部のマネージャーとして、優秀な人材の採用・育成・管理業務を中心に、仕事をしています。

人事が担う役割は、人材によって組織を発展させること。そこには人材の確保だけでなく、社内組織の最適化、働き方改革など、幅広い業務を行っている。この仕事は、現場と経営をつなぐ重要なポジション。そんな企業の中枢とも言える人事の仕事に、大学生の頃からすでに興味を持っていたという山本さん。 

山本真由美氏(以下、山本):けっこうチームや人というところに、おもしろさと難しさ、両方を感じまして。やっぱりそのへんで人事、人まわりの仕事がしたいなと。

ナレーション:新卒でIT企業サイバーエージェントに入社し、そこで希望の人事部に配属。その後、グループ会社である今の職場、CyberZに異動しました。願いがかなった人事の仕事。想像以上の楽しさがあった。

山本:私の採用で決まった方が、すごく活躍している様子を見ると、涙が出るほどうれしい時があります。

ナレーション:仕事も軌道に乗り、ますますやりがいを感じていた山本さん。入社9年目の年に結婚。その後、妊娠を機に産休を取ることに。そして、復職に向け動き出すと、そこには厳しい現実が待っていた。

山本:都内って、すごく保育園事情が厳しくて、電話しても「すでに満員です」と。「仕事復帰できるのかな?」というのは、すごく不安でした。

ナレーション:やっとの思いで保育園が見つかり、仕事復帰できたものの、母親としての悩みがそこにはあった。

山本:今週も「風邪ひいた」「また熱出た」「迎えに来てください」っていう電話が(保育園から)かかってくるんじゃないか、というのが気になっちゃいますね。

ナレーション:さらに時短勤務という、限られた時間での業務。

山本:やっぱり毎日「この時間以内にこの仕事をやらなければいけない」っていう気持ちになるので。

ナレーション:ワーキングマザーになったことで、一転した日常。そんな環境の変化と戦いながらも、そこから見えてくる人事の仕事の楽しさがあった。

この番組は、「働くって“だから”おもしろい!」をテーマに、全世代に向け、転職や就活など、働き方と仕事のおもしろさと魅力を伝える番組です。

人事は会社の要

友近氏(以下、友近):こんばんは。友近です。

原田修佑氏(以下、原田):テレビ東京アナウンサー、原田です。

そして、企業や求職者のサポートを続けながら、就活や転職などをテーマに、これまで国内外で年間200回以上の講演を行ってきた仕事のエキスパート、佐藤裕さんです。

原田:さあ、今日はIT企業の人事部の方なんですけれども、産休明けで働く方、最近増えているように感じますけれども。

友近:うん。芸能界の人も、復帰が本当に早いんですよね。

原田:多いですよね。

友近:ちょっと特殊な職業なんで、「自分の席がなくなるかもしれない」って焦って復帰する人がやっぱり多いと思いますけどね。

原田:山本さんは人事部として働いているんですけど、人事もやっぱり会社の中で大切ですよね?

佐藤裕氏(以下、佐藤):人事はもう。

友近:すべてですよ、人事は。

原田:人事がしっかりしていなければ会社は成り立たないと。

友近:本当に。「なんでこんな人材を採ったんや?」と言いたいんですよ。

(一同笑)

本当に。それはもう20年ぐらい言い続けてますけどね。だから、やっぱり人事担当の人に直接話を聞くって、すごく大事で。この番組はまさにそういう番組なので、やりながらもものすごく興味があるんですけど。

佐藤:まず人事というのは、人を採用する前に自分の会社を売ること、広報の仕事も入ってくるんですね。例えば、就活生から見ると人事がその会社のすべてに見えてしまうので、まずその会社をちゃんと説明して売ること。

友近:そういうことです。

佐藤:それで、いい方を採用して、採用した方がハッピーに働く環境をつくる。そして、会社が成長するための仕組みをつくるという。もう本当に要ですね。

組織における「人」はすごく重要

ナレーション:朝7時、山本さんの1日が始まる。

山本:おはようございます。よろしくお願いします。

スタッフ:よろしくお願いします。

山本:どうぞ。

ナレーション:こちらが山本さんのご自宅。現在、ご主人の敦さんと、1歳7ヶ月になる来実ちゃんとの3人で暮らしています。育児休暇から仕事復帰して7ヶ月、毎朝の生活もガラリと変わりました。

山本:朝は時間との戦いです。

ナレーション:子どもを保育園に送り出す準備。ゆっくりしている暇はありません。

保育園へ送るのはご主人が担当。

敦氏(以下、敦):行ってきます。

山本:行ってらっしゃい。(子どもの手にタッチして)バイバーイ!

:(子どもに)「行ってきます」って。

ナレーション:子どもを送り出した後、わずかな時間で家事をこなします。

8時30分、出勤の時間です。

山本:やっぱり育休中って、起きる時間、寝る時間、まあ自由と言えば自由だったんですけど、(仕事復帰して)規則正しい生活になりましたね。

ナレーション:会社に出勤するのは9時30分。産休明け、復帰してからは時短勤務のため、通常よりも30分早い出社です。

ナレーション:山本さんが働くCyberZは、アメブロやAbemaTVなどを運営するサイバーエージェントの関連会社。2009年、スマートフォンに特化した広告代理店として設立し、ゲーム動画配信サービスやeSportsイベントなどの運営を行っています。CyberZでは、常に事業拡大に伴う際に必要な人材を求めています。

この日は、人材紹介会社との採用条件に関する打ち合わせがあります。

ナレーション:スマートフォン広告代理事業では、海外に向けて展開するサービスのために、海外向けのメンバーを集めているのです。

こうして、会社にとってさまざまな部署に必要な人材をつないでいくのが、人事の仕事。

山本:組織における「人」ってすごく大事だと思っているので、そこに関わっているのは、ありがたいことでもあれば、責任も重いということもすごく感じているので、私ができる最大限のことを、常にやりたいなと思っています。

ナレーション:そんな熱い思いを持つ山本さんは、なぜこの仕事を選んだのでしょうか?

人事の仕事のおもしろさを実感

――仕事を選んだキッカケ

山本:もともと大学時代、1つの目標に向かってやっていくチームや人というところに、おもしろさと難しさの両方を感じまして、人まわりの仕事がしたいなと。それこそ人材会社ばかり受けていたんですけれども、サイバーエージェントがたまたまちょっと気になったので、雑誌で見て行ったのがキッカケだったんですね。

そのなかで、すごく優秀な方が多くて、「この市場をつくっていくんだ」という気合いや気概もすごくて、「この会社の人事をやりたい」と思ったのがキッカケでした。

ナレーション:その思いが叶い、大学を卒業後、サイバーエージェントに入社。希望の人事部に配属されたのです。やりたかった人事の仕事、いざやってみると、改めてそのおもしろさを実感していきました。

山本:組織ってすごく生き物で、どんどん状況が変わるので。その状況に応じて施策を考え実行していくというのが人事のおもしろさだなと思っています。

ナレーション:もっともっと人事の仕事を極めたい。そこで、入社3年目に彼女が起こした行動とは……異動願い。他の現場での経験がないことから、自身の成長に歯止めをかけていると感じていた。

山本:やっぱり経営のことがわかっていないと、プロジェクトってけっこう携わるのが難しいですし、やっぱり同時に勉強になりますね。

ナレーション:さまざまな部署で知識と経験を身につけ、幅を広げた山本さんは、2013年、事業拡大のため、現在のCyberZで人事として働くことになったのです。改めて人事が企業の要だということを実感し、ますます仕事にやりがいを持ち始めた入社9年目、山本さんは今のご主人と結婚、そして子供を授かった。

出産に備えるために、産休を取ることになったのです。その後の仕事復帰には、厳しい現実が待ち受けていました。

育休中に待ち受けていた厳しい現実

昨年出産し、今年の6月に仕事復帰した山本真由美さん。出産をキッカケに仕事を辞める選択をする人もいるなか……。

山本:仕事自体はすごくやりがいを持ってやっていたので、その頃から復帰はしたいと思っていました。

ナレーション:しかし、育休中に待ち受けていたのは、厳しい現実でした。

山本:都内ってすごく保育園事情が厳しくて、「見学の予約が取れません」と言われたり、「もうすでに200人、300人の応募が来てます。うちは先着順なんで、それでも応募しますか?」ってけっこう上から言われたりとか(笑)。「仕事復帰できるのかな?」っていうのは、すごく不安でした。

ナレーション:そんな不安を常に抱えながら、情報収集した結果、ママ友の紹介で、預けられる保育園がやっと見つかりました。そんな経験をした山本さんだからこそ、活かせる取り組みがあるのです。

営業の担当者と、広報の担当者と一緒に、去年の1月に立ち上げたエフカイというプロジェクト。エフカイのFは、女性(Female)、未来(Future)、羽ばたく(Flutter)、3つの意味が込められていて、女性社員がイキイキと働けるキッカケをつくることを、目的とした活動です。

山本:「結婚したけど、どうしよう」とか、「子供ができたけど……」みたいなところをざっくばらんに話せる機会って、あんまりないなっていうのがありまして。

ナレーション:そこで山本さんは、自分の経験を伝えながら、気軽に話せるようランチをしながら、意見交換をしています。こうしたミーティングを、月に3、4回行っています。

ワーママとして時短勤務で働く山本さん。以前と比べて、働き方はどう変わったのでしょうか?

山本:今まで復帰してからは、1分1秒大切にしたいというか、その時間がすごく貴重なので、逆に「この時間に何をしよう?」みたいな思考に変わりました。