SakeOneの福田氏にインタビュー

上村潤氏(以下、上村):そしてこのタイミングに合わせて、ゲストにも来ていただいたということで。

西澤ロイ氏(以下、ロイ):そうなんです。ふだんはなかなか聞けないなと思って。どうやって英語やったんですかみたいな(笑)

上村:確かに、なかなかプライベートな場だとそういう話ってしなそうな気がしますよね。

ロイ:そうそう、そういうインタビュー的な。なので今日ちょっとそこを突っ込んでインタビューしたいんですけど。

上村:あえてこの場に呼び込んで(笑)。

福田真宏氏(以下、福田):やっぱり、難しいですよね、英語って。僕ら日本語が完全にできる大人が英語を学んでいくのって。僕も、未だにそうですけどいろんな部分で苦労はぜったいしますよね。ただ、ちょっとずつでも良いから、毎日少しずつでも良いから、覚えていくっていうか学んでいくっていうか身につけていくことの繰り返しだと思うんですよ。

ロイ:その、やっぱり流暢さ。どうしても日本人って正確に英語を話そう、文法を気にしようってなりがちなんですけど、そこじゃなくて流暢に、例えばネイティブとすごくスムーズな会話をするとか、その力はどうやって身につけられたと思いますか?

福田:いや、ごめんなさい。そこを僕は自分では意識してないんですけど、あんまり深く考えてないんじゃないですかね(笑)。はっきり言ってしまうと。

英語力よりも営業の進め方のほうが重要

ロイ:でも、例えば営業するとかってかなり大変なイメージがあるんですけど、どうやって?

福田:営業は、あれなんですよ。いろいろなテクニックもあるんですけど。そうですね、前職は、日本でワインを売ってたんですけど。そのワインを売ってた時に、外資系でアメリカの会社だったので、アメリカ人が考える営業の仕方っていうのを身につけたんです。だから英語が上手い下手じゃなくって、どういうふうに営業を進めていくのがお客さんにとって良いかっていうのを学んだんですよ。

ロイ:そのネイティブが営業するところを直に見られたっていうことですか?

福田:そうそう、そうです。それを身につけましたし、これを日本語に変えて僕が教える立場でもあったんですよ。だからそういう意味で、今でもそうですけど、例えば英語が上手だったらば営業ができるのかっていうと、そんなことないですね。

ロイ:そこでやっぱり、教えるっていうのが大事な視点ですよね。結局自分でわかっていると思っていても、人に教えようとすると、ぜんぜんわかってなかったということもありますもんね。

上村:なかなか人に教えるっていうのは自分がまず理解していないとできないっていうことですよね。

アメリカの日本酒事情

上村:現在、東海岸のアメリカの方で日本酒の販売を営業されていらっしゃるということで、その辺りの事情についてもいろいろお話を聞いていきたいと思います。

ロイ:僕が最初アメリカに留学したのって1998年だったんですけど、その時に日本酒っていうと月桂冠のイメージがアメリカですごくあって、最近はたぶん獺祭とかも有名になってきてると思うんですけど、ちょっとその辺をおうかがいしたいです。

福田:ちなみに留学されたのはどちらでしたっけ。

ロイ:ジョージア州。

福田:南の方ですよね?

ロイ:南の方ですね。

福田:かなりマイナーなところですね(一同笑)。日本酒的に言うとですよ。日本酒ってやっぱり西側が強いんですよ。僕がもってる東側っていうのはまだまだなんですよ、実は。

ロイ:カリフォルニアとか?

福田:そうです、そうです。やっぱりね、西側の州、ワシントン、オレゴン、カリフォルニア、ここがやっぱり強いんですよ。で、そのあとにやっと初めてニューヨークくらいが出てくるんですけど。東側、ジョージアとかだとたぶん、50州のうちのトップ20に入るかな? 入らないかもしれないです。そのぐらい日本酒的には弱いエリアですね。まだまだ。

それはちょっと置いといて、多様化はしてますね。日本酒が、ものすごく。みんな同じ物を飲むわけではなくて、いろんなものを試してる段階だと思いますね。弊社、うちはオレゴンでお酒を造っているんですけど、吟醸酒しか造らないんですよ。そんな大きい蔵じゃないんで、純米吟醸しか造らない。もう純米酒も造らない。純米吟醸しか造らない蔵で、徹底してるんですけど。

それをおもしろがって飲む人もいますし、いろんなかたちの、アメリカ人もだんだん今すごい勉強してますから、けっこうね、発音とかも良いですよ。本醸造とかね。

ロイ:通じるんですか?

福田:日本人でもホンジョウゾウ、ホンゾウジョウとか言っちゃって間違ってる人もいますけど。

(一同笑)

英語、っていうかアメリカ人が発音しますよ、ちゃんと。

サケ、ジュンマイはアメリカでも通じる?

ロイ:日本酒。サケは通じるじゃないですか。

福田:もちろん。

ロイ:どこまで通じるんですか?

福田:けっこう通じますね。純米吟醸、これはけっこう通じますよ。飲んでる人はですね。もちろん、お酒って何? とか、1回も飲んだことないっていう人はこれはもちろんダメ。あとさっきも言いましたけど州によって進んでる遅れてるがものすごく差があるんですよ。

ロイ:例えば、福田さんがお住まいのニューヨークだとどのくらい通じますか? 一般的に。ジュンマイとか言って。

福田:一般的に。そうですね、リカーストアでジュンマイって言ったら、リカーストアの人間はわかりますよね。

ロイ:ジュンマイとしかなかなか言えないですもんね。

福田:そうですね。でも意外にテクニカルなことですとか、僕でも「えーそこまで知ってんの?」っていうマニアックなこととか、そういうのを知ってるアメリカ人の方とかいますね。びっくりします。逆に勉強になってますね。

アメリカで人気の「gsake」

ロイ:あの、ちょっと、SakeOneで取り扱ってる、日本では飲めない日本酒を持ってきていただいたんですけど。

福田:ちょっとこれ、手荷物で持ってきたんですけど。持ち込みで。

ロイ:香水の瓶みたい。

上村:めちゃめちゃシックなボトルじゃないですか!

福田:ぜんぜん日本酒っぽくないところがうけてるんですけど。まあこれ「gsake(ジーサケ)」って言って、「g」はこれ原酒なんで「g」なんですよ。

上村:原酒の「g」なんですね。

福田:あとね、これ造っているのがアメリカ人、実を言うとSakeOneって会社、日本人は私だけなんですよ。

上村:そうなんですね。

福田:造っている人間とか営業でいる人間はみんなアメリカ人なんですけど。この「g」は原酒っていうのと、造っている蔵人、杜氏(とうじ)ですね。これをグレッグって言うんですけど、それで「gsake」。

ロイ:これをあとでいただきたいと思います(笑)。

上村:今日も忘年会じゃないですか!

ロイ:もちろんですよ(笑)。