「自分らしく」という言葉が胡散臭い

夏生さえり氏(以下、さえり):(Twitterからの質問を読み上げる)「今、世間には結婚、出産、仕事を含めて自分らしく生きることを強制する風潮があるように思えます。2人は誰しもが自分らしく生きるべきだと思いますか?」。難しい質問。

犬山紙子氏(以下、犬山):「自分らしく」っていう言葉が胡散臭いですよ。なんか。

さえり:そうなんです。自分らしく。

犬山:私、「自分らしく」じゃなくて、「欲」って書いてくれたらすごい腑に落ちるんです。

さえり:あー、たしかに。私も欲求に忠実に生きてれば、自分だけの道ができるって思う。

欲求に忠実にってそんな激しいことじゃなくて、本当にこの彼と一緒にいたいとか、この彼といるのは疲れたとか。そういうのでいいと思うんです。

犬山:私、ドラマとか観てても「こんなの私らしくない」とか、友達が「あなたらしくないよ」とかいうシーンがまじで意味わからなくて。

さえり:(笑)。

(会場笑)

犬山:「えっ! なに?」みたいな。みんな「らしさ」とかを意識しながら生きてるの?  と思って。

さえり:たしかに。しかも誰かに言われてるときっていうのがありますよ。

犬山:そう、「キッショ!」って思って。

(会場笑)

さえり:「あなたらしくないわよぉ~」。

犬山:ねー(笑)。「私らしくない」とか、はぁ? って感じ。

(会場笑)

「自分らしくない」の原因は欲求との乖離

犬山:自分なんて、そのときそのときで変わりますから。

さえり:でも、居心地が悪い選択を続けてると、なんか自分らしくないって感じるなって思うんです。

犬山:うん。なるほど。

さえり:言いやすくいうと、「なんか最近我慢しすぎてたなぁ」とか。言いたい事も言えてなかったなぁとかっていう、あれもできなかった、これもできなかった。本当はこうしたいのにみたいな。

欲求との乖離が起こってくると、いわゆる「自分らしくない」「私らしくないわ」みたいな日が。

犬山:来るの?

さえり:来ますね。私の場合。

犬山:私らしくない。

さえり:なんか私らしくないというか、自分の良さを潰して生きてる気がするみたいな感覚はあったかもしれないです。

犬山:でもそれが本当にあって、私も仕事でそんな予感があるんですよ。「この仕事あまりやりたくない」というか、「うわ、これ嫌な予感するやつ」ってやつは、絶対嫌に終わるんです。よくないんです。

さえり:ある。そうなんです。

犬山:結果、最悪に終わるんですよ。

さえり:うんうん。あります。そういうのを続けちゃうと……。

犬山:でもフリーって、最初は「仕事を断るのはダメ」って思っちゃいません?

さえり:あー。なんか断ってこなくなったらどうしようとか。

犬山:うん。そう思ってやりたくないけど、断って「あいつなんか生意気」とか思われたら嫌だなぁって、受けて結局後悔するみたいな。

さえり:うーん。最近は、逆にそれを受けたところで誰もハッピーにならないと思うようになりましたね。自分も楽しくない仕事って、読んでくれた人にもちょっとどこか伝わったりとかすることもあると思うので、私は本当に欲求に忠実に生きることは誰かのためのであるって、すごい思う。

犬山:おっ! すばらしい一言をいただきました。

さえり:はい。

地方出身者、異なる土地での不安

犬山:(Twitterからの質問を読み上げながら)これは「地方出身なので、自分が育った環境と違う環境の子育てや結婚が不安です」っていう。

さえり:なるほど。私は山口出身で。

犬山:結婚、出産とかは、なんとなく東京でってイメージが。

さえり:東京だけど、なんか神奈川とか。

犬山:おー。なんか妄想するんだ。

(会場笑)

さえり:あっ、決めてます。決めてます。

犬山:おもしろい。神奈川?

さえり:一番の超絶理想は、逗子とか。

犬山:逗子。

(会場笑)

犬山:海が見えるとこ?

さえり:そうです。

楽園・鵠沼海岸に住みたい

さえり:鵠沼海岸(注:神奈川県藤沢市の町名)とかに住んで、海までちょっと歩いていけば行けるみたいなところで暮らしつつ、小田急線に乗ればけっこうすぐ新宿出れるみたいなところに暮らすのが夢なんです。

犬山:利便性まで考えてる。

さえり:そうそう。

(会場笑)

犬山:(笑)。

さえり:考えてます。あんまり子育てが不安って思ったことはなくて、母親とか父親とかが住んでるところが遠いとそういうのは不安はあります。いざというときに頼れる人がいるのかなとか。

犬山:私はちょっと逆に羨ましいというか、たぶん(質問者は)自分の地元のこととか好きでいらっしゃる。

さえり:それはたしかに。私も山口であまり子育てはしたくないと思っちゃたので。

犬山:私も仙台でってなるとちょっと、ゾッて。ゾッていうのは、仙台が悪いとかそういうことじゃなくて。

さえり:私がそこにいる図が想像できない。

犬山:私がハマらなかったんです。

さえり:うんうん。私もそう思います。だけど、今住んでる都心で子どもを育てようと思うと、無理だなって思うんです。「えー、どんな感じで?」と思うので。まずは鵠沼海岸を検索していただいて。

犬山:(笑)。

さえり:鵠沼海岸がすごくいいんです。

「この人いいかも」は恋なのか

さえり:Twitterから質問が来ていますね。「この人いいかも」って思うことがあると思いますが、それが恋なのかがわかりません。

恋は盲目だと聞いたことがありますが、初めから相手の変えて欲しいことを見つけてしまったら恋ではないと思いますか?」。

どうだろう? 私、相手に盲目になることなんて、そんなにないですけど。

犬山:ないんだ!

さえり:ないです。

犬山:私、めっちゃ盲目になってた。

さえり:本当ですか?

犬山:(笑)。

さえり:私なんか付き合うときに、「この人とは半年ぐらいしか一緒にいれないかもしれない」とか思いながら付き合っちゃうぐらいなので、ちょっとよくわからないですけどね。

冷静なところがどうしても抜けなくて。冷静っていうんですかね。なんか「今、私はこの人のことがすっごい好きだけど、この人と私の性格の不一致の感じからいくと半年ぐらいでダメになりそうな気がするから」とか、わかります?

(客席を見ながら)

すごいわかってくれる人がいる!

犬山:わかってくれてる!

さえり:私はけっこうそういうタイプなので。

犬山:えー。

さえり:最初から、この人の人間性がやばいなって思ってるときもあるんです。

犬山:それで突っ走るのもいいです。

さえり:そうです。

犬山:そのなんかその瞬間瞬間を楽しんでるというか。

さえり:そうそうそう。その人間性はやばいけど、惹かれる気持ちは本当だから、いったん好きになってみて、それでもしうまくいけばいいことだし。

実際、思ってたとおりダメになっちゃうかもしれないけど、そのときはそのときなので、ぜんぜんいいと思います。

犬山:じゃあ、これは恋として突っ走って。

さえり:恋として突っ走る。相手を変えて欲しいというか、そこはもう変わらないと思ったほうがいいと思うんです。

変えていこうっていうよりは、変わらないなら突っ走っていればいいと思います。