不登校児童・生徒より辛いのは「実質は不登校な子ども」

中川和彦氏(以下、中川):他になにか。

質問者4:お話、ありがとうございます。私は元教員なのですが。例えば小中高で、学校には来ているのだけれども、実質は不登校という子をカウントすると、すごく多いという話を本で読んだことがあります。

「実質は不登校」というのは、学校には来ているけれども、授業中も無視している子や3年間ずっと寝ていて参加しないような子です。あとは、学校に来て普通に生活しているのだけど「学校はつまんないなぁ」「なんで行ってるのかなぁ、わけわからないなぁ」と心が死んでいる子です。

そういう子も入れると、実質は不登校はもっといっぱいいるという話を読みました。みなさんはどう思われますか? 「実質は不登校」をどう捉えますか?

小幡和輝氏(以下、小幡):今回のプロジェクトはまさに最初の原体験はそこです。今、年間30日以上学校を欠席している人を不登校と定義した場合は12万人います。

でも、先ほどおっしゃったケースや保健室登校など、来たくないけど嫌々来てるなどあります。あとは、30日までは休んでいなくても早退がめちゃくちゃ多いなど。不登校という定義には当てはまらないけれども、実質は不登校でしょうと人はここには入っていないんですよね。ということは、実質的にはすごく多いだろうと思っています。

そもそも、その話はあまりされていないなということが最初のきっかけです。12万人の不登校児がいると言っても、僕が一番辛かったのは結局そこではなくて、1つ手前の段階で「居場所がなかったから」でした。

じゃあ12万人の不登校がいるということは、「実質は不登校」を含めるともっと多いじゃんとなりました。

やはり、ここが一番辛い。その子たちが一番辛いと思っています。「学校に行かない」という選択をさせてもらっていないわけじゃないですか。行きたくないけど、行かなきゃいけないということで来ている。

これが一番辛いから、そこに対してなにかしたいなというのが、今回のプロジェクトの原体験ですよね。

僕の実体験を1つの本にして、その子たちに読んでもらう。そして、学校が嫌だったら本当に親と相談をして「行かない」という選択をするのもいいのではないか。行かないのだったら、その時間をこのように使ったらいいのではないかなと、1つの選択肢を伝えることを今回はやろうとしてますね。

不登校本は「親にも読んでほしい」

中川:親にも読んでもらったほうがいいよな。

小幡:親にも読んでもらいたいですね。結局、学校の図書館で借りて親に渡してほしいんですよ。僕もそうでしたけど、当時はうまく説明できなかった。僕の本を1つの教科書じゃないですけど、親に説明する材料にして、学校で借りて親に持って帰ってほしい。

中川:それは、本は完成しているの?

小幡:11月上旬くらいに完成します。

中川:原稿はほとんどできてるの?

小幡:ほぼほぼ、はい。

中川:例えば、あと書きなど……まえ書きでもいいけど、「この本を借りて親に見せてくれ」みたいなことは書いているわけ?

小幡:書きます!

中川:ああ、そうすればいいよね。

小幡:書きます。親向けの部分に書く内容メッセージと、当事者へのメッセージを分けながら書いています。

今井紀明氏(以下、今井):ここで売れば良かったのに。

小幡:すみません(笑)。また第2回をやれたらいいなと思っています。今回はクラウドファンディングのスクショなど、経緯を全部書こうと思っています。僕からだけのメッセージではなくて、こんなにたくさんの人がみんなの味方で、こういうことを肯定してくれる人がたくさんいるんだよ、ということを一緒に見せながら、その子たちへのメッセージを出せればいいのかなと思っています。

今井:素晴らしい。

質問者4:ありがとうございます。

中川:納得できているというか、大丈夫ですか?

小幡:大丈夫ですか? ありがとうございます。

家にいながら学校へ通えるロボットを開発する人

小幡:本を書くというのは大変ですね。

中川:本を書くのは大変だと思うよ。俺は書いたことないからあれやけど。売るだけやからね。

今井:あははは。

小幡:とりあえず今、2万文字ちょっとくらい。

中川:何ページ?

小幡:150〜160くらいですかね。レイアウトにもよるのですが。

中川:あー、そうだねぇ。活字の大きさなどね。

小幡:ブログのように、間の文字や行間などはすごく空けて、本当に現代風に見やすくしようと思っているんですが。

中川:読む人が若い人であれば、そっちの方がいいかもしれない。あの……今日Facebookなどで挙げていた吉藤オリィさんという人の本も、かなり読みやすい感じです。まさに彼も親が教師だと書いていたから。

小幡:そうです、そうです。この方なのですが(スクリーンを映す)。(スクリーンに映っている)このロボットは、遠隔操作できるんです。これで、家にいながらでも学校に通う、仕事ができるといったロボットを開発している方で、実はこの人も不登校の経験があります。そこでこの本の中で対談を収録しています。

中川:そう、たまたま僕が聴覚障害のある耳が聞こえない写真家と、トークと言うのも変やけど、筆談をやりながら対談したんですね。その打ち上げとしてバーで飲んでいるときに、画用紙にバーッといろいろなやりとりを書いていたときに「『孤独は消せる』というタイトルの本なのですが、その本を、中川さんは知っていますか?」と言われたんです。

でも俺は知らなくて。取り寄せてみてみたら「ああ、これはおもしろい!」と思った。そうしたら小幡くんが、この本の中で対談している人だった。

小幡:というか、オリィさんも次回この場所にぜひ。

中川:来てくれるの?

小幡:奈良の人なんです。

中川:そうだね。

小幡:ちょこちょこ帰っているらしいので、お願いしたら来てくれると信じています(笑)。

中川:じゃあ、そんなのもやってみたいね。

ハローワークと連携している学校もある

中川:他にもみなさんなにか、せっかくの機会なので。

質問者5:3月まで教師をやっていた者です。なにかいろいろ聞いていて……教育側を辞めてきた人間がいうのもあれなのですが、教師側がやっている取り組みや、他にもいろんな団体やNPOがやっているなどの話に戻します。

大学中退に近いものとして、20歳を超えると大人の話なので福祉が入り、18歳未満であれば教育が入る。では「19、20歳で誰が面倒を見るの?」というものを問題にしている人がいます。たぶん今、あまり調査をされていないからそんなに気にしている人は少ないのですが、そうした問題がありますということ。

あと、通信制高校などでハローワークと学校がちゃんと手を組んで……ということに関してです。さくら国際高校という長野県の学校があるのですが、そこには特殊学級などがあり、その生徒がちゃんと働けるように理解のある地元の会社を募ったり、ちゃんとハローワークと連携している学校もあります。

また3点目なのですが、学校の裏側にソーシャルワーカーがいて、学校の先生も「無理矢理、連れてこよう」ばかりではなくて、「この生徒は来れないからソーシャルワーカーにつなげて、適応指導教室につなごう」「この子はNPOにつなげよう」など。そうしたことも一応公立の取り組みとしてやっています。ということを、ご存知だと思いますが追加したくなったので、ごめんなさい、それだけです。

小幡:あ、情報として?  ありがとうございます。

中川:それは、公立高校どこでもやっていることなのですね?

質問者5:とりあえず、僕が働いていた学校ではきちんとできています。

今井:だいぶ自治体によって差があります。予算の差や時間数の差もすごくあります。とくにスクールソーシャルワーカーの場合は、あるにはあるのですが、だいたい週1ですよね? 大阪府内だと。

質問者5:そうですね実際には……。

今井:週1で、4時間から6時間。

質問者5:学校に来ている時間だけではなくて、来ていない時間も家庭訪問で家庭事情が厳しい生徒のもとに回ったりなど、そうした取り組みも自治体の方でやっています。

小幡:それはアレですかね。キャリア相談などができる先生?

今井:スクールソーシャルワーカーですか? いや、福祉寄りなので、例えば学校に行ってない子や、あとは家庭的に辛い子などのサポートをしているんです。

小幡:あー、なるほど。……先ほど19、20歳のいわゆる高卒で、大学にも行っていない、なんていうのかなあ。ニートや浪人生というか、その期間ということですか?

質問者5:はい、そのあたりの期間です、はい。

今井:一応、機関としてサポートステーションがあります。