みんな「世界」をデカく考えすぎてる

尾原和啓氏(以下、尾原):もう1つ大事なことは、みんな世界から求められることの、「世界」をデカく考えすぎてるんです。

井上皓史氏(以下、井上):はい(笑)。なるほど。

尾原:例えば僕は、中学生、高校生のときって、ひたすらいろんな国の神話とか訳してたりしたんですね。

井上:ご自身がですね。

尾原:はい。僕が高校生のころだから30年前とか、アフリカ神話なんて好きなヤツが世の中にあんまりいないわけですよ。でも、そのアフリカ神話を好きな人たちというのが、インターネットがなかった時代でも、コミケという場所に行くと何人かはいて。

コミケという場所に行くと、僕の訳した神話が20部ぐらい売れるわけですよ。その人にとってはむっちゃありがたいわけですよ。

井上:そうですね。そんなことやってもらえる方、世の中にいないですもんね。

尾原:それはもう、世界から認められている、求められているっていうことになるんですよね。だから、自分が求められる半径5メートルの世界っていうのがあるわけですよ。

僕のときはコミケだったから20人しか見つからなかったけど。それがありがたいことに、インターネットで繋がっていれば、アフリカ神話を日本語で読みたい方って、日本中にたぶん2000人ぐらいはいらっしゃったと思うんですよね。その2000人からは「ものすごく求めてたものだ」と言われるわけですよ。

だから、あなたにとっての世界はなんですか? っていうこと。

井上:まずは、身のまわり。大きく考えすぎずに、家族や友人を幸せにする、自分の得意なことや好きなものを見つけていくというのが、1ついいのかもしれないですね。

尾原:そうですね。大事なのは結局、友人というリアルの距離だけじゃなく、自分の「偏愛」の世界だとか。あとは、たとえベルパーソンからはじめたとしても、世の中でとくに大事になっていくだろうコミュニティのイベントだったり、ちっちゃいボランティアだったりで活躍できる。探そうと思えばいくらでもあるわけですよね。

井上:なるほど、そうですね。今でいうと、好きを仕事にできていない方。それこそ平日始発で出て終電で帰るような仕事をして、土日は寝溜めする、みたいなサイクルがなかなかうまくいかないような人もいらっしゃるなかで、稼げるというところにフォーカスせずに。なにか1つ、自分の趣味や好きを見つけていけるような環境に飛び込んでいただけたら、と。

打算はめっちゃ大事

尾原:ただ大事なのは、これはGiverはTakeすることを考えないものだというアダム・グラントとか、ほかの人と僕の考えが違うところなんですけど。打算はめっちゃ大事ですよ。

井上:打算ですか?

尾原:打算。

井上:はい。

尾原:だって、言い方悪いですけど、この朝渋だって、ね? 井上さん含めてスタッフの方って手弁当でやってくださっているから、僕らも手弁当でご協力してこうやってお話してますけど。

正直、これを使っていろんな世の中で新しい発信をしている人と繋がっていくことのうまみだったりとか。朝早くわざわざここに集まってくる、『モチベーション革命』なんて読まなくても、モチベーションの高い人たちと繋がることとか。ぜったい打算考えてるでしょ?

モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書 (NewsPicks Book)

井上:まあ……僕ですか?(笑)。

(会場笑)

尾原:あ、ここログミーに残さないから、大丈夫だから。

井上:はい。打算、そうですね。僕、社会人3年目で、普通の仕事をしてたら尾原さんとお話できていないから……。僕も、早寝早起きが好きで得意だというところからスタートして、みんなを巻き込んでやっているので。美味しいポジションって言ったらあれですけれども(笑)。

尾原:そうでしょ、美味しいポジションって思ってるわけでしょ?

井上:はい(笑)。

(会場笑)

井上:はい、そうですね。

尾原:いいんですよ、それで。

井上:はい。

尾原:だって、ほかの人がやろうと思っても、いろんな面倒くさいことがある。だけど、それをやってくださってるわけじゃないですか。最初、僕、めっちゃ冷たかったのに、ちゃんと丁寧に答えてくれて。

井上:(笑)。

尾原:「お前これで金儲けしてんじゃないの?」とか「適当なこと言ってんじゃねえの?」とか冷たい質問しても、きっちり井上さんが丁寧に答えてくれるから。これは打算があるかもしれないけれども誠実にやってる人だ、と思うから、僕はこうやって協力しているわけですよ。

井上:ありがとうございます。(会場に向かって)最初はすごく冷たかったです(笑)。

(会場笑)

申し訳ないです(笑)。本当にうれしい対談をありがとうございます。

世の中の勝ちパターンは2種類に分かれる

井上:ちょっと、時間がもうあれなので。リゾートワーカーの話も詳しく聞きたかったんですけれども。今日は会場に70人来ていますので、ぜひ質問があれば。はい、ありがとうございます。

尾原:はいはい、リゾートワーカーでも、いいですよ。

質問者1:今日はありがとうございます。

尾原:はい、今日はありがとうございます。

質問者1:納得感のあるお話でした。1つおうかがいしたいことが、乾けない世代が希望を持つというふうに本に書いてあって。その希望って、パッと言われても「いや、希望までいけねえよ」みたいな人が、たぶんすごくいっぱいいると思います。

そこは、今お話されていたような、コツコツとやれるとこからというところだと、僕も思ってるし信じてるんですけど。ほかになにか、尾原さんのほうからコメントのようなものがあればおうかがいしたいな、と。

尾原:はい。

質問者1:希望になれるために気を付ければいいこと。

尾原:えっとですね……。本でどこまで書いたか覚えてないんですけど。ぜひ、梅田望夫さんが書いた『Web時代をゆく』という本を読んでほしいんですけど。

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

これ15年前に書かれた本なんですけど、素晴らしい本なんですよ。要は世の中の勝ちパターンは2種類に分かれるということを彼は言っているんですね。

「知の高速道路」で戦う道

尾原:1つは、知の高速道路に乗って、永遠とものすごい速度で走りながら世界で戦い続けるやり方。それかもう1つは、獣道という言い方をしてるんですけれども。誰でもは通らない、その生き物しか通らないような獣道で生きていくか。どっちか、と言っていて。

前者を簡単に説明すると、ようは世の中がめっちゃ変化するわけでしょ。みなさん、むちゃくちゃチャンスなんですね。オックスフォードが言った、半分の仕事がロボットとAIに置き換わるという話は、みんな知ってるよね?

井上:言われていますね。

尾原:逆に言うと、半分の仕事が、どうやってAIによって仕事をコントロールするかというような、新しい仕事をつくらなきゃいけないんだよね。僕みたいなリゾートワーカーのような生き方が増えている。ということは、リゾートワークをする人の環境をどうやって整えるの? という仕事であったり。

「そもそもこの仕事、リモートワークでよくないっすか?」というふうに、ぜんぶの仕事をロボットやリモートに置き換えたりする仕事が増えてくるわけですよ。ということは、今はこれのプロはいないじゃない? とくに大手の会社のなかに。

ましてや、ありがたいことにもう1個の話があって、乾けない世代よりもっと上の45歳より上で、今、本部長の人たちって、インターネットを体感してないから。まわりがメールを使ってるから使うか、みたいな人たちで。

インターネットの本質的なところで、どういうふうに好きな人が繋がって、外でもどうやって気軽に仕事ができるか、コミュニケーションができるかって、あなた方のようにネイティブに使ってないんだよね。

ということは、この20年間で仕事がぜんぶ入れ替わるのに、大きい会社であれば大きい会社であるほど、そのプロがいない。ということは、あなたが第一人者になれる、というチャンスなんだよね。

日本語の壁に守られて生きていられるのもあと5年?

尾原:ただ1個気をつけなきゃいけないのは、この大きな流れのなかで第一人者になるという戦い方って、若い人であれば若い人であるほど有利なんです。例えば、このなかでムーク(MOOC、Massive Open Online Courses)で勉強してる人たちっているかな?

井上:ムーク?

尾原:わざとムークという言い方してるんだけど。まあいいや、言い方を変えよう。オンライン大学。

井上:(会場に向かって)オンライン大学で勉強された方。あ、いないです。

尾原:いないでしょ? ね、それが日本の残念なというか、悲しい事実なんだけど。これをハノイとかチェンマイの大学生に質問したら、半分は手をあげるんですよ。

井上:ああ、なるほど。

尾原:これはなにかというと、世界中の大学の一番いい授業が、1ヶ月遅れぐらいで無料で公開されるものって、めちゃめちゃ多いんですよ。

井上:日本人はそれを掴みにいってないっていうことですよね。

尾原:うん。だから世界の人たち、昔だったらインドの人たちとか、今言ったベトナムの田舎の大学の人たちって、人件費が安いからコツコツやるしかないというイメージでいると、もう大間違いで。彼らのほうが乾いてるから、世界最先端の授業をがつがつ勉強している。

GitHubとかにコードをあげて、自分たちの努力の成果が認められたら、世界1級の人からアドバイスをもらえて、というふうに。知の高速道路でインターネットというロケットエンジン積んで、あなたを追いかけてくるわけですよ。

だから、この戦いに行くのか行かないのか。ただありがたいことに、日本語の壁というのもあるから、あなたたちは、まだぬくぬく生きれられる。

井上:(笑)。はい。

尾原:ただ、これもあと5年ぐらいすると、ネイティブな音声自動翻訳が完全にできるようになっちゃうから。そうすると、さっき言ったハノイとかチェンマイとかでオンライン大学で、こんな朝渋みたいな中途半端なレベルじゃなくて。

(会場笑)

尾原:僕の話の本家である、そのセリグマンだとか、アダム・グラントとか。そういう人たちの授業を直接受けてる人たちが、あなたたちを追いかけてくるわけですよ。その戦いに乗っかるんだったらOK。まず1個目。