英会話スクールに行けば上達するわけではない

上村潤氏(以下、上村):なるほど。ひとえに英会話スクールに行ったからすべてが上達するというわけではないんですね。難しいですね。

西澤ロイ氏(以下、西澤):逆にちゃんと上達したいんだったら、「この力を高めよう」って、そこにフォーカスしないとなかなか伸びないんですよ。

上村:漠然と「行けばなんとかなるだろう」「行けば上達するだろう」と思っていくと、ちょっと痛い目を見るというか。

ロイ:そうですね。そういう方もいるので。それってもったいないじゃないですか。せっかくやる気があって、お金も投資しているのに。

だから本当に力を伸ばしたいと思ったら、そこに集中して。例えば発音を伸ばしたいなら発音をやるとか、ボキャブラリーを増やしたいならそこをやるみたいな感じで、英作文とか動詞をやるとかいろんなやり方はあると思うんですけど、まずそういう捉え方をしてほしいなと思うんですね。

上村:どこを鍛えようというのが、そこらへんが明確でないと上達している実感はなかなか得られないですよね。

ロイ:そうですよね。

上村:なかなか難しいですね。でも、確かにネイティブの先生は、それこそどこを鍛えたいというのが明確になっていれば、そこをちゃんと重点的に教えてはくれると思いますし。

ロイ:そこをわかってるかどうかもわからないですけどね。先生によると思うので。でも、会話になるとやっぱり総合力が試されてしまうんです。

上村:なるほど。なかなか高き門というか。

ロイ:例えば、英語の表現にあんまり自信のない人だったら、単語を並べたりしてなんとか通じるという経験はできて、経験値が高まったり度胸がついたりはしやすいんですよ。でも、それによっていろいろ表現できるように、自在にしゃべれるようになるかというと、やっぱり別ですよね。

上村:確かに。これは、う〜ん……難しい問題ですね。こうなってくると。

英語で大切なのは動詞である

ロイ:(笑)。でも、難しく考えないでほしくて。僕は「動詞が大事だよ」とお伝えしてるんですよ。英語って本当に語順的にも、SVOとか言ったりしますけど、主語の次に動詞を言う。例えば「じゅんじゅん聞いてよ。僕、食べたんだよ」みたいな感じで、「僕、食べた」って「I ate...」みたいに言わないとしゃべれない言語なんですよね。

だから動詞を意識して動詞の使い方をいろいろ学んでいくと、本当すぐしゃべれるようになる。そういう言語なのでけっこうシンプルなんですよね。

上村:学べば学ぶほど、その英語のシンプルさというのに気づくというか。

ロイ:ただ、やるんだったらそこにフォーカスして練習する。動詞の使い方をちゃんと本を読んで学んだりとか、それを使って実際英作文を何度もしてみて使いこなせるようにトレーニングするとか。

そこをやらずにいきなり会話ってなっちゃうと、ちょっとハードルが高すぎるというか。そうすると、なんとなくのまま使って「通じちゃったからそれでいいや」ってなると、ちゃんとした力がつかないかもしれないので。そうするともったいないですよね。

上村:なるほど。半年通っていらっしゃるということなので、なにも身についていないということはないと思うんですよ。絶対にその授業の中でなにかしらが身についていると思うんですけれども。それを学びたいことを明確にすることで、今まで積み重ねてきたものがそこで出てくるということですかね。

ピアノレッスンの例で分かる、身につかない勉強法

ロイ:そうですね。あとは、これは昔、杉田敏先生から聞いたお話なんですけれども。杉田敏先生というのは、NHKとかのラジオ講座とかああいうのでビジネス英語を教えていらっしゃる先生なんですけど、ちょっとピアノと比較してすごいわかりやすいことをおっしゃってたんですけど。

ピアノだと、ピアノ習ってる人って先生から習うのが週に1回2回ぐらいあるじゃないですか。それ以外にもふだん練習しますよね。

上村:しますね。

ロイ:でも、英会話になると、スクールに週1回2回通っただけで、ほかなにもしない人が多いという。

上村:あぁ、わかる気がする。

ロイ:それなんでなんですかね。

上村:本当に生活に落とし込まれていないというか、学びに行く場所でしか、それこそテキストなりなんなりを開かない、教材を聞かないという。やっぱり日常の中のものではないですかね。あとは、そこに行けば身につくと思ってるから、そこ以外でやったことに関しては身につかないみたいな勝手なイメージを持っているのか。

ロイ:「そこへ行くと身につく」みたいな発想なんですかね。

上村:おそらくそうだと思います。ちょっと他人任せというか、「そこに行ってれば身につくものだ」って行っちゃってるとやっぱり身につかないですよね。

英会話スクールは「試合」だ!

ロイ:そうそう。だからやっぱり試合なんだと。練習試合とか試合なんだと考えていただくと、そうするとやっぱり「じゃあ素振りしなきゃ」って。

上村:そうですよね。週1のレッスンだったら、その日を試合と定めて、その前日まで下積みをして、その成果を出すのがそのレッスンの日だといったところですよね。

ロイ:そうやったらたぶん上達って感じやすいし、たぶんその準備をして英会話、実際レッスンに向かったときに「あ、言えた!」とか「これ練習したけどうまく言えなかった」みたいな、すごくわかりやすい結果が出ると思うんですよね。

上村:うまくいくことばかりじゃないですもんね。確かに。

ロイ:そうそうそう。やっぱりそこで悔しくて「またもっとここがんばろう」って思ったりとか。やっぱり言えたら、それで「けっこう通じるようになってきた」と思えたらやっぱり上達ってすごい感じられますよね。

上村:確かに今、挫折に慣れていない方って多いじゃないですか? 先生のほうも、やっぱり挫折することでやめられても困るし、あまり否定的なことは言わない先生とかもたぶん多いと思うんですよ。

そうなるとやっぱり自分が弱い部分が見えてこないから、「どこを鍛えたらいいんだろう」「どこを改善していけばいいんだろう」というのがなかなかわかりづらい状態なので、なので目標が漠然としてしまう。上達がなかなか気づきづらい状態になっちゃってるんですかね。

ロイ:というか、なんかじゅんじゅんが「私、挫折に慣れてます」みたいな(笑)。

上村:いやいや、そんな挫折してきたわけじゃないですけどね(笑)。

普段の練習も大切に!

上村:でも、失敗から学ぶことっていっぱいあるじゃないですか。失敗したからこそ、今の自分のダメなところに気づいたから「ここをよくしよう」って思えるわけですから。

やっぱり恐れずに自分が下積みしてきたことを試合の日に出して、成功するか失敗するかというのは、別に失敗したからダメだってわけじゃないですからね。それはさらに伸びしろがあるってことですもんね。

ロイ:そうそう。英語なんて最初はまったくわからない言語なわけで、もう単語もわからない。聞いてもわからないみたいな。それがそれだけ通じるようになるってすばらしいことですもんね。

上村:やっぱり生まれたときは、それこそ日本語だってしゃべれないわけですもんね。

ロイ:そうそう。

上村:そう考えると、今こうして日本語がしゃべれるようになってるのは、生まれてから今までずっとしゃべり続けてきたからということですかね。いや、今日はなんかすごい語ってしまった気がしますけれども(笑)。

ロイ:(笑)。

上村:最後にアドバイスのまとめをお願いいたします。

ロイ:英会話、通うだけじゃダメで、やっぱりそれに向けて、それを試合だと思ってきっちり準備していってください、と。

上村:ヨウコさん、ぜひとも試合に向けて練習、素振りをがんがんやっていただきたいと思います。というわけで、今日はラジオネーム・ヨウコさんからのメール、ご紹介いたしました。

ロイ:ありがとうございました。

上村:ありがとうございます。