小説は紙で読む? 電子書籍で読む?

乙君氏(以下、乙君):次は小説だって。

山田玲司氏(以下、山田):やべーよ、『ブレードランナー』の時間が。

乙君:それはそうですよね。

しみちゃん氏(以下、しみちゃん):そうですよね。

しみちゃん:これもまた我々も。

山田:我々もやりますけど。

しみちゃん:お願いします。

乙君:せーのーどん。

山田:あ、ごめん小説でしょ?

乙君・しみちゃん:小説です。

山田:これは、深夜特急派だからなお前。沢木(耕太郎)某だろうお前。

しみちゃん:(笑)。

山田:沢木某です、こんにちは。

本の厚みで物語の中に入れる

乙君:耕太郎って言って下さい。小説に関しては絶対に紙の方がいい。

山田:なぜ?

乙君:なぜかっていうとですね、まず厚みのもんだなんですよ。

山田:どういうこと?

乙君:だからあれはデータを感受してるわけじゃないんですよ。

山田:なんですか?

乙君:物語の中に入らなければいけないんですよ。ってなったときに電子だと手触りであとどれぐらいかわからないんです。わかります? この感じ?

山田・しみちゃん:あー。

乙君:「ここまで読んだ、もうすぐ終わっちゃう」とか、最初こんな分厚いのに全然進まないっていう体験も踏まえて本も読むってことなんですわ。あと匂い。紙の匂いって、けっこうするんですよ。 古本はけっこう匂いするんですけど。でもやっぱ電子だとデバイスの匂いしかしないわけです。その紙の、デバイスの匂いしかしないじゃん。

山田:匂い嗅ぐんだ。

乙君:嗅がないけど、無味無臭なわけよやっぱり。そうじゃなくて本の…。

山田:(ニコ生のコメントに)「この人と一緒になるの嫌だ」とか言わないで。

しみちゃん:(笑)

乙君:本の風合いと手アカね。例えばポテトチップス食いながら本読むとするじゃん。そうすると脂的なものが付くわけ。それが俺がこの物語に参加してるというか証ともなってるわけですよ。

でも電子で読んじゃうと1ページ1ページに手アカがつかないんですわ。それが体験としてアトラクションになってない。

ただ、評論や論文とか、そういうのが電子の方がいいなと思うんです。こっちが参加するわけではなく、情報もらうだけだから。俺は小説は紙だけどっていうだけですけどね。

本屋さんには多様性がなくなった

しみちゃん:先生は電子というふうに。

山田:あのねこの話、長くなるんでざっくり言いますけども、本屋には本当に申し訳ないんですけど、マーケティングで売れる本を売れるタイミングで並べるっていう、わりと野菜売るみたいな感じになってるんで。

乙君:野菜売る?

山田:うん。映画化と同時に大量入荷とか言ってね、要は時代と共に今のタイミングだったら売れると思ってすぐ売れるからすぐ入荷するって。こんな本屋つまんないってきまってるんじゃん。

だから、ウロウロする本屋は俺はもうなくなっちゃう感じあると思う。あとは「こういうのが流行ってるから、こういうのやりましょう」って。だから「女の子がおいしそうに何かを食べてる漫画が流行ってます」っていうと、みんなそうなっちゃうっていう状態の本屋さんの多様性みたいなのがなくちゃってるみたいな。

これはかつてのエイベックスCDショップなんだよ。だから、どれも見たエイベックス。いまだったら嵐とAKBしかなくなっちゃいました、みたいな。だから多様性のなくなったショップというものに行く気がしないというか。

そこがけっこう決定的で。森鴎外に興味ありますって言ったら、やっぱり初期作品から最後までみたいじゃない。そん時に電子のタブレット1個あれば無料だからね。

乙君:だけど本だったら1冊ずつ積み重ねていく快感があるんですよ。買います、それが積みあがっていく。さっきまで場所を取らないと。違う場所をとるからいい。

山田:だからね、まず一発目に俺はじゃあ太宰(治)と鴎外どっちが好きかっていう段階では電子。大ファンになったら、紙でほしいなっていう時代にきている。

乙君:まーそれは、そうかもしれないですね。

山田:それはかつて雑誌の連載で読んでる分にはいいけどコミックス買うほどじゃねーな、一応読んだ品みたいなやつを。「いやコミックス残したいよ」というやつと似てて。そういう雑誌がやってた役割を電子に移った感じがすごくある。

乙君:立ち読みが電子になった。

アナログレコードとして親しまれる紙の書籍

山田:実をいうと漫画に関してもそういうふうになってしまってて、紙に対する個人的な思い入れがあるんで「電子です」とは言いづらいというところはあるのが本当のところだよね。

乙君:そこがおもしろいんですよね。これは本としてもっと期待というプライオリティーというかなんて言うんですか? 特別感みたいなものにシフトしてきていると。

山田:だから…。

乙君:モノっていう自体が、なんかそこがおもしろいことっていうか。

山田:だからアナログレコードと似てて…。

乙君:そうそうそうそう。

しみちゃん:あー。

山田:ファングッズになっちゃうんだと思うの、この先は。だから基本的に電子で見る。しかも電子だと漫画だとさ、長い連載だと最初の2巻ぐらいまではタダみたいなところから、どハマりする人は本を買ってくださいみたいな。

乙君:矢沢でいうタオルだと。

山田:矢沢でいうタオルですね。

(一同笑)

そういう感じじゃないですかね。

しみちゃん:なるほどなるほど。

乙君:ただその…。次行く? 次雑誌いく。

山田:俺のホームページからは俺の本ないんだよ。基本的に電子全部買える。それぐらい昔考えられなかった。是非ホームページ来てくださいね。

次は雑誌をどっちで読むか

しみちゃん:はい、これ最後は雑誌ですね。どちらでしょうか?

山田:雑誌っていろいろあるからね。せーのーどん。

乙君:出すの?

山田:段取り(笑)。

しみちゃん:お願いします。

山田:あ、紙なんだ。

しみちゃん:ちょっと増えましたね・

乙君:へ―こんな感じなんだ。

山田:これちょっとファッション雑誌めっちゃ読んでるしみたいな。

乙君:玲司さん。やっぱ職業柄。

山田:そうなのよ。理容師さんはね。

乙君:ちょっと出しますか我々の。

山田:せーのーどん。

山田:ですね。はいはい。これはあれでしょ? 髪切ってるときに目の前並べてあるファッション誌にお世話になってるっていうところもあるよね。

しみちゃん:っていうのもあるんですけれども、でも今ではやっぱりカタログはけっこうタブレットの方に一考していて検索かけやすいんですよね。だからヘアカタログで言うなら多分けっこうiPadを使っているサロンが増えてますね。

山田:え、そうなんだ。雑誌の切り抜き持ってくるっていうのはなくなっているわけだ。

しみちゃん:もうほとんどスマホで持ってくるっていうのは相当多くて。

山田:そういう文化もなくなっていくのね。

しみちゃん:僕は紙って言ったのはファッション誌で言うならやっぱり大きさがないとちょっと困るのでそういう意味で紙の方がっていうことで上げました。お二人は電子ということなんですけども、雑誌。

雑誌文化はスマホに駆逐された

乙君:雑誌ってなにを指すのかいまいちわからなかったんで、電子かな。情報っていうことで考えると、暇だから自分の興味ない雑誌読もうかなっていう趣味がないから、だからそういう意味では知りたい情報だけネットで見てとかその記事もそうだよね。そういう意味で雑誌はこっちかなっていう。

しみちゃん:先生は?

山田:雑誌仲間がね、軒並み売れなくて地獄の生き目にあってるわけよ。『FLASH』の友達とかいっぱいいるわけじゃない。だから大変だなって。

だけど、それが各誌まとめて月いくらで読み放題でっていうのは盛況だって。だからYahoo!ニュースみたいなのを見ているのと、もっと豪華なやつっていうふうに今はそういうかたちでの進化をしたんだと思うんだよね。

だからYahoo!ニュースの中にコラムみたいな、SmartNewsとかあるじゃん。あれのちゃんとしたやつが、「各誌の充実してます」みたいなやつだったんだよ。ああいう枠組みみたいなものがそのまま消えるんだったら、俺は電子で残ってた方がいいんじゃないのかなっていうくらい、スマホにやられちゃいましたね。雑誌文化が。

恐らくはおっさんしか買ってない。だからさようならっていう感じの。直前なんだけど。だったら電子で残ってもいいんじゃないって気がするな。

紙媒体は「予期せぬ出合い」がある

乙君:ただ、これは本っていうか紙媒体全体に言えるんですけど、予期せぬ出合いがあるわけなんですよ。コンビニでもそうなんだけど。例えばジャンプ立ち読みしようと思って、ジャンプとるじゃないですか。

あれも結局、ワンピース読みたいけどなんか新しい漫画ちらって読んじゃうとか。そういうのも含めて自分がまったくその時「こういこう」と思ったけど、こっち側になにかあるっていう出合いもあるわけですよ。

本屋ってそれだったんですよね。amazonにおススメとか出てくるじゃない。あれだけになるとどんどんどんどん自分の世界が同じ色になってくるっていうのがあるから。

コメントでもあったけど本屋っていうのは多分その、なんかわからないけどこのタイトルおもしろそうとかなんかその秘密がいっぱいあってねとか。

山田:だからね本当は本屋はそうなってほしい。だけど2週間で動かなかったら引き取られて裁断されるっていうような期間はそれぞれあると思うんだけど、システムで回ってるっていう。そうすると多様性じゃないんだよね。前売れた作家さんが出てくるとか。

村上春樹だったら山積みみたいなさ。でも、全部あの数の本を違う本にしたらさ俺は本屋に行くね。だっておもしろいやつあるかもしれないじゃん。っていうのはあるな。最近は俺はSNSで出会いを探しているとこあると思わない? Twitterとかでこれおもしろかったみたいなのがナニコレみたいな。

しみちゃん:タイムラインで。

本屋でうろうろするという体験の重要性

山田:そういうふうに変わっていってしまってるのは止めようがない気がするな」と思って。リアル社会で新しいものに出会う限界みたいなものがあって。

フォロワー、例えば1000人ぐらいフォロワーしててさ、でおもしろかったものをガンガン上げてくるわけじゃん。しかもそれ1クリックで変えたりするわけだからこれはちょっとかなわなくない? 実際うろついて買おうっていうロマンチックなやつと。

乙君:そこもまた体験みたいになっちゃって。

山田:本来は俺もそっち派。

乙君:足で行けよって感じで。

山田:俺もそう思う。

乙君:本屋ってなんかその本屋が好きなんですよ、やっぱし。本屋行ってなんか20分ぐらいいるとうんこしたくなるんですよ。あれなんですよ。予期せぬことの最大の。

山田・しみちゃん:(笑)

山田:はい、次行きましょうか。

乙君:いやいやいや。便をもよおすっていう、わかりますか? 人間ですってことなんですよ。これをスマホをずっといじってたら、なんかもうそれこそ脳だけみたいな。

脳と指っていう話になってきちゃうんですよ。だけど本屋に行って本を、おもしろそうな本を、欲しいものを買いに行くんだけど、それでなんかこれおもしろそうとか平積みされてるこれ売れてるんだなってそれでブーっていて間にうんこしたくなるんですよ。

山田:あれ研究した人がいて、どうも植物繊維じゃんこれって。

乙君・しみちゃん:はい。

山田:人間の遺伝子の中に草の臭いをかぐとしたくなるっていうのが入ってるらしいんですよ。

乙君:でしょ! 本能を呼び覚ますことができるんですわ。

山田:それが…。

(一同笑)

山田:そうっすか。ありがとうございました。

(一同笑)

エロ本以外は紙が勝ちました

乙君:すいません。

山田:やっぱお前『おそ松さん』を見るべきなんだよ。

乙君:そんな感じですかね。

しみちゃん:そうですね。はい。

山田:そんな感じでちょっとまとめして。

乙君:だいぶふざけましたけどね。しみちゃんどうぞ。

しみちゃん:まとめですか。

乙君:はい。

しみちゃん:はい、ちょっと…。

山田:エロ以外は紙が勝ちましたってことですよね。

乙君:そうね。

しみちゃん:そうですね。

乙君:最終的にこれとる?

山田:まあいいや。

しみちゃん・乙君:(笑)

乙君:飽きてんじゃん。

山田:早くブレードランナーやりてーから。待ってるでしょみんな。

しみちゃん:じゃあ行きましょうかブレードランナーに。

乙君:いいですか。じゃあ、まとめの一言言って。

しみちゃん:まとめの一言ですか。みなさんがご機嫌になれる方を選んでいただければいいんじゃないでしょうかと。

山田:はい、ありがとうございました。

(一同拍手)