「心のOS」が形成されるのは14歳と22歳--世代間の断絶を生む若者の問題とは

著者と語る朝渋『モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書 』 #1/5

2017年11月13日、Book Lab Tokyoで毎週開催されている会員制朝活コミュニティ「朝渋」の人気企画「著者と語る朝渋」にて、『モチベーション革命』の著者・尾原和啓氏を招いてトークセッションが行われました。インドネシア在住の尾原氏はこの日、リモートマシンから中継でセッションに参加。現代の若者と36歳以上の間にある世代間の断絶を独自の見地から語りました。

バリ島からリモート登壇

井上皓史氏(以下、井上):今日は8時半までということで、早速はじめたいと思います。『モチベーション革命』の尾原さんにお越しいただいております。

モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書 (NewsPicks Book)

拍手でお願いいたします。

(会場拍手)

よろしくお願いします。聞こえますか?

尾原和啓氏(以下、尾原):聞こえますか? 

井上:大丈夫です。よろしくお願いします。

尾原:どうも、おはようございます。

井上:おはようございます。

尾原:今日はこういう機械での参加になりましてすみません。(注:Double RoboticsというiPadとロボットが合体したリモートマシンを使い、バリ島からインターネット電話で参加している)

井上:いえいえ。

尾原:実は昨日、4時間だけ東京にいたんです。

井上:4時間?

尾原:ちょうど先週はサンフランシスコにずっと行っていたんです。伊藤穰一さんのカンファレンスで、人の未来がどう強化されていくかという『オーグメンテッド・ヒューマン(Augmented Human)』と、あとフードテックですね。やっぱり食料自体はAIを使ってものすごく進化しています。

世界各地を飛び回る

尾原:それと、Salesforceさんがやっている「Dreamforce」というイベントに参加していました。世界中から14万人が集まる、一企業のイベントとしては世界最大のイベントなんです。

井上:なるほど。

尾原:戻るときにちょっとだけ東京を通って、日本に来させていただいておりまして。

井上:今、東京からバリはどのぐらいの時間で行けるんですか?

尾原:東京からバリはですね、今、AirAsiaさんが就航したので、ガルーダかAirAsiaで6時間半です。直行便で。

井上:6時間半、じゃあ日本にいる時間のほうが短いんですね(笑)。

尾原:そうですね、AirAsiaだと実は往復3万円で来れるんです。

井上:安いですね。

尾原:下手すると福岡行くより安いです。

井上:確かに。月に何回ぐらい東京に来ていらっしゃるんですか?

尾原:月ですか? 月で言うと今はだいたい4日ぐらいですね。リアルは。

井上:そうなんですね。

尾原:はい。ただこうやってサイバーで東京につないだイベントは月に1回ぐらいやらせていただいていますし。だいたい1日3本ぐらい東京の方と打ち合わせして、1本は地方の方と打ち合わせしています。

井上:オンラインで、ですか?

尾原:はい。ビデオ会議で。あと1本はアメリカかヨーロッパの方とミーティングして、という感じで生きています。

井上:今は、バリは何時なんですか?

尾原:バリは日本より1時間早くてですね。

井上:じゃあ、ほぼ時差なしで。

朝7時に渋谷に集まるのはモチベーションが高い

井上:今、朝渋で早起きをかなり推奨しているんですけれども。尾原さんは、早寝早起きはされるんですか?

尾原:そうですね。そもそも今日、この時間に渋谷に集まるって……(笑)。

井上:はい(笑)。

尾原:もうモチベーションに関して話を聞かなくていいんじゃないかって個人的に思うんですけど(笑)。

(会場笑)

井上:もう話すことない、と(笑)。

尾原:みんなモチベーション高いですよね(笑)。

井上:そうですね(笑)。みなさんたぶん、朝の5時半くらいには起きてここに来てると思います。

尾原:偉いよ、本当に。

井上:はい。まあそんななかで、尾原さんにいろいろとお聞きしたいと思います。

小原:はい。

井上:その前に、尾原さんのことはもう知っている方も多いと思うんですけども、簡単に自己紹介いただけますでしょうか?

尾原:僕の自己紹介ですか?

井上:はい。

尾原:簡単に自己紹介といっても、全部しゃべると長くなるので。

ひと言で言うと、僕はインターネットやテクノロジーというのは人間の人間らしさを引き出す、自分が自分らしく生きられる力を与えてくれるものだ、というふうに信じていて。それが一番インパクト大きくできる会社をずーっと渡り歩いていて、現在、14職目です。

絵文字のドットを最初に打った人

尾原:具体的にはGoogleでGoogle NowっていうAIのサービスの立ち上げをやらせていただいたり。それから例えば、みなさん絵文字って使ってくれてますか? 

井上:私、使ってます。

尾原:絵文字を使ったことがある人、手をあげてください。 

(会場挙手)

井上:はい。もう全員ですね。

尾原:みんなですよね、ありがとうございます。あの絵文字のドットを打ったのは僕です。

井上:そうなんですね! それ何年前の話ですか?

尾原:それはもう98年だから……18年前ぐらいですね。iモードが立ち上がったのが99年の2月22日で、絵文字を入れる締め切りが98年の4月か5月くらいだったんで。

井上:20年ぐらい前。

尾原:そうですね。ありがたいことに僕自身は、小学校のときにパソコンができて、中学校のときにパソコン通信が生まれて、大学1年のときにインターネットが大学に来て。

ずーっとインターネットの歴史を人生の節目節目で歩いてきたので。インターネットというプラットフォームが人の自由をどうやって増やしてきたかということをリアルで体感することができたんです。

そういうことを体感しながら、iモードの立ち上げをやらせていただいたり。リクルートにいたときは、ちょうど紙からネットの時代になって、ネットによって引っ越しや就職や結婚などをサポートするサービスの立ち上げをやらせていただいたり。

井上:なるほど。ずっと、ネットに関わるところを20年以上も見てこられたということですね。

尾原:はい。そうですね。

井上:はい。

尾原:ネットという定義にもよりますけど。最初に僕がネットによって遠くの人と繋がるという経験をしたのは、中学2年生からなので。もう32年前ですね。

14歳と22歳のときの環境が、心のOSのつくり方に影響を与えている

井上:32年前、中学2年生。ずっとネット界隈を見ているということですね。

今回、「乾けない世代」ということをテーマに本を書かれていらっしゃると思うんですけれども。

尾原:はい。

井上:(会場に向かって)今、乾けない世代、30代以下の方はどのくらいいらっしゃいますか? 年齢言うのもあれですけども。

尾原:あっ、一応ですね、いろんな統計があるんで。本では曖昧にしたんですけれども、いくつかの調査をみると、乾けない世代と乾いた世代の境目は、日本では36歳ですね。

井上:36歳。なるほど。

尾原:はい。

井上:ちょっと間違えてしまいましたね(笑)。

尾原:(笑)。

井上:36歳までの方、どのぐらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

井上:半分、6割ぐらいですね、今日お越しいただいています。この世代に対して、本を書くまでの印象と、本を書いた後の今の印象は違ったりするのでしょうか?

尾原:もちろん、36歳を境に全部が全部、人の心が一様に分かれるわけではないんですけれども。やっぱり人間って、いくつかの年齢のタイミングでどういう環境にあるかによって、心のOSのつくり方が大きな影響を受けるんですよね。

井上:OSが変わる、と。

尾原:はい。日本の場合は、残念なことに社会に接続する年齢は就職活動をする22歳です。この年齢のときに、人間が社会と明確に繋がりやすいし、世の中がどうなっているかということにものすごく影響を受けやすい。

もう1個が、 14歳のとき。家庭というルールから、学校や家庭以外のほかのルールがあるんだと気付くのが14歳ぐらいのとき。

井上:なるほど。

尾原:僕らの世代だったらポケベルだったし、今の世代だともうiPhoneでSnapchat(スナップチャット)やmusical.ly(ミュージカリー)で繋がっている。その14歳、22歳というときにどういうコミュニケーション環境・社会環境だったかで、自分の心のOSのつくり方が変わっちゃう。

そこを認識したうえで、それぞれ一人ひとりの方の個性というものが、当然おありになるので。そこがどうつくられているのかを理解しておいたほうが、「あいつはよくわかんねえやつだ」「あいつは俺と違うからダメだ」とか、そういうことにはならないということですね。

世代によって心のエンジンのあり方が違う

井上:昔であれば、中学、高校まではケータイは持たないのが当たり前だった。今の14歳はもうスマホが当たり前だし、小学生、幼稚園のときからiPadをいじっていたりするのは、よく電車などで見ると思うんですけれども。

そういった年代と、乾けない世代の上の世代である36歳以上の方というのは、上司と部下の関係になったときになかなかうまくコミュニケーションがとれない、ということがあると思うんですけれども。「14歳のときにスマホを持っている年代」という前提をしっかり押さえておくことが大事になってくる、ということですね。

尾原:そうですね。いくつかの雑誌のインタビューでも言ったんですけど、上の世代の人の理想の人生って、『課長島耕作』で……。なんでそんな都合よくいい女と仲良くなって、しかもそのいい女がいい情報を握っていて出世していくんだ? っていうお話なんですけど。

井上:ははは(笑)。

尾原:あの『課長島耕作』って、一巻のときの年齢が32歳なんですね。

井上:けっこう年齢高いんですね……。

尾原:そう。で、あの作品って、その32歳のときに「自分の同期ではじめに課長になるやつは誰なんだ?」と悩んで始まるんですよ。

井上:サラリーマンが上を目指す物語なんですね。

尾原:そうそう。で、たぶん今日ここに来ていらっしゃる方って、ベンチャーの方とか先進的な会社が多いので、もう32歳で課長とか部長って、けっこう当たり前だったりするんですけど。

井上:はい。

尾原:世の中、一般の会社では、34歳ぐらいから課長になり始めるんですよね。

井上:なるほど。

尾原:課長ってなにかというと、日常の業務を遂行する責任者なわけですよ。その日常の業務を遂行する責任者が、どういう心のエンジンで動いてるのかというのと、42、3歳以上の部長という会社の戦略とか方向性を決める人たちはどういう心のエンジンで動いているか。そのギャップが一番激しくなるのがちょうどここ数年なんですよね。

井上:なるほど。

尾原:ただ、大事なことは、上の世代の方々がこの日本の繁栄をつくってきてるわけですよ。

井上:36歳以上の方ってことですよね。

尾原:そういう人たちの心のエンジンのあり方というのも若い方々は理解したほうがいい。

井上:お互いの歩み寄りですね。

尾原:そうです。だから、どうやって架け橋を繋いでいくかが、今大事だと思ってこういう本を書かせていただいたんです。

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