人に関する科学に「解」はない

青砥瑞人氏(以下、青砥):ダンシング・アインシュタインの青砥と申します。ほとんどの方は初めましてだと思うので、会社の説明と、僕がどんなことをやっているのかという話を少しだけさせていただいて、そのあとに「グローバル人材」「地球人財」「新しい世界へ飛び込んだ時に、人の脳がどのような働きをし得るのか」という話をさせていただきます。

そして、神経科学。「科学」と言いますとおそらくみなさんは、「解」を求めたり、「こういう真理を教えてくれるのではないか」と期待されたりする方が多いのかもしれませんが、僕の考えでは「人に関する科学においては、『解』はない」と思っています。

なぜかというと、もちろんDNAレベルの違いもあります。あるいは環境、育っていく中での差分も出てきます。ですから、1人として同じ神経回路を持っていません。もちろん科学ですから、一定の真理、「仮説を立ててゴールを導き分かってくること」を伝えてくれるとは思います。ただ、そのすべてが「解」ではありません。

今回は、いろいろな科学的な根拠から言われているような、「こんなかたちで脳が動きますよ」ということを、みなさんにお話しさせていただこうと思っています。ですが、話を聞く中で、「これは確かに自分にも当てはまる」ということをきちんと見つけていくことと、もう1つ、「これは自分と違うな」という「差分」に対しても、しっかりフラグを立てる。それがとても重要ですので、そのように聞いていただけると、とても助かります。

さて、「DA」……「脳」と「DA」と聞いて、何か分かる人はいますか。何だと思いますか?

参加者1:ドーパミンです。

青砥:そのとおりでございます。素晴らしい! 

(会場笑)

「DA」「脳」で「ドーパミン」と答えられる人は、日本ではほとんどいないと思います。医学論文を読んでいると、ドーパミンと何回も書かず、略記で「DA」と表記されています。

今日はメインテーマでドーパミンのお話はしませんが、ドーパミンというものは、人間の記憶定着効率や学習機能を高める、とても重要な神経伝達物質として働いてくれます。「脳と人の成長・学習・教育」という文脈で、ダンシング・アインシュタイン(社名DAncing Einstein)という会社をやっておりますので、DAが大文字になっているというわけです。通称「DAE」と言われています。

それでは、ここで問題です。

(スライドを切替)

分かる人? ……自信を持って!

参加者2:カズ(サッカー選手)。

青砥:カズがいたのが分かった方いますか? 何人かいましたね。他に発見された方?

参加者3:渡辺謙。

青砥:渡辺謙! 真ん中ですね。ほかには? あと3人残っています。左下は、歌手です。もう分かりましたか? 左下! 桑田佳祐さん!

会場:あー。

青砥:上2人は、高津さんと、僕です。みなさん、無事……認識できましたよね?(笑)。

参加者4:してないです(笑)。

青砥:してないですよね!(笑)。

(会場笑)

青砥:考えてみてください。みなさんがこれを見たとき、上の「知っている人いますか?」という文章は簡単に認識できましたよね。問いは読めましたよね? 何が書かれているか分かりましたね。ただ、「顔」という情報を読み取ろうとしたとき……みなさんもどこかでは見たことのある顔ですよね? 目の前にいましたよね?(笑)。でも分からない。これはどうしてでしょう?

神経の解剖学的な見地から解説すると、顔の認識には(文字と)まったく違うところを使うのです。Fusiform(紡錘状回)というところを介しているからこそ認識できる。かつ、「逆さでなくても、ちょっと分かりづらかった」と思います。ほかの情報を一緒に合わせて認識しないと、人の「顔」というものの認識は非常に難しいのです。

「3つのI」でアプローチ

青砥:そのようなわけで神経科学をいろいろ調べていくと、人間についておもしろい神秘がどんどん分かってくる。それを医学だけではなく、教育や学習、人の成長など、社会にもっと応用したい、ということで会社を立ち上げたのですが、どういったアプローチでこの神経科学を使っているのかというと、「3つのI」でアプローチしようとしています。

まず1つ目は、とても重要なナレッジとして、「BI」。僕は「バイオロジカル・インテリジェンス(Biological Intelligence)」と言っていますが、人間の脳は生物です。Biologyです。脳は1千数百億個の細胞で構成されています。これらは、組み合わさって何らかの信号を出して情報伝達したり、伝導したりして、そのような電気的信号、あるいはケミカルな信号で伝え合っているのです。

学習、成長を考える上で、やはり人間の脳がどのように働いているのか、機能しているのかを、しっかり捉えることが重要だと考えています。でも、これだけではダメだと思っているのです。

人工知能と科学

実際に教育現場で人の成長に運用しようとした時に、RI、「リアル・インテリジェンス(Real Intelligence)」と僕は呼んでいますが、現場のナレッジというものは絶対必要になってくる。やはり研究現場・研究所でやられていることと、実際の教育機関、人の成長が育まれていくような場とでは乖離があります。このどちらも必要ですが、「RI」は絶対必要なので、僕らは研究をしません。研究成果だけを集め、「いかに現場に応用するのか」ということを必死に考えています。

3つ目の「I」は、「AI」です。今、人工知能がいろいろなところで騒がれていますが、ではどのようなデータを集め、ビッグデータを解析していくのか。データの統計的処理をしていくと、相関分析をして、その相関値が高いところを抽出して、機械がどんどん学習していってくれるのです。

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