集めたIoTをどうビジネスで活用するか?

入澤拓也氏:エコモットの入澤と申します。今日はウイングアークさんのイベントで、我々はIoTということをやっていますけれども、どうやってそれを使ってビッグデータとして利活用しているかという話をさせていただきたいと思います。「集めたIoTデータをどうビジネスで活用するか?」と題しまして、ご紹介したいと思います。

まず簡単に当社の概要からです。当社2007年2月創業でまだ10年少し、社員74名ぐらいの小さな会社でございます。事業は、いわゆるIoTインテグレーション企業というふうに一応ベンチマークを立ててやっています。

IoTと一言で言ってもさまざまな方法がありまして、1つがインテグレーションによる営業です。お客様のIoTのビジネスとして、当社はFASTIOというプラットフォームを持っております。そこでは、お客様のいろいろな業務を支援しています。

次に、パッケージサービスによる提供ということで、基本的にはニッチな市場に対して我々が作ったIoTのパッケージを市場に提供しているというパターン。

まずIoTとは、というところで、簡単にだけご紹介したいと思います。

総務省さんが作られている情報白書のデータでは、現実世界にあるさまざまな機械・モノ・ヒトを、センシング、デジタル化して、それをデータ変換、抽出をした上で、今日のテーマであるビッグデータで分析をして、利活用に使う。

現実世界にフィードバックして、はじめて価値が出ます。簡単にクラウドに上げて満足するだけでは、IoTにはなりません。やはりグルグル回して、新しく売上を上げる、コストを下げるといったことができることがIoTだと考えています。

一番わかりやすい事例は自動販売機ですね。今ほとんどの自動販売機に通信機能がついています。通信端末でジュースの売れ行きなどをリアルタイムに計測して、このジュースが今どれぐらい売れているかということを、クラウド側で見えるようにしたり、自動的にドライバーさんに「今ここ欠品しているからすぐ入れに行って」「今あれが売れているから入れに行って」というかたちで、販売機会の創出であったり、機会損失をなくす。こういうことをやるのがIoTの世界観かなと考えています。

AIは脳、IoTは五感

そのあと我々は、当社のコーポレートスローガンになりますが、「あなたの『見える』をみんなの安心に。」ということで、さまざまなところで見える化、お客様が今見えないところを見えるようにする、そこの意味では今日のテーマにすごく近いと思うのですが、それをIoTサイドからやっています。

センサーやカメラを選定して、通信端末も自社で開発して、ネットワーク、セキュリティ、サーバー、アプリケーションなどを全部やった上で、運用保守までやる。そういうことをやっている会社でもあります。

最近ではAIなどもやっています。AIはいろいろな言葉が踊っていますので、さまざまな解釈があるかと思いますが、私なりの解釈はこれですね。「人間が行う知的労働をコンピュータで代替する」。これはいわゆるAIのメリットだなと考えています。

「AIとIoTってどういうふうに絡むの?」というところで言うと、AIというのは人間の脳ですね。人工「知能」というぐらいですから、脳みそ。IoTというのは、五感にあたるのかなと思っています。

要するに、センシングしたデータがないと、脳はなにもすることができません。ですから、あくまでデータを集めること、それがIoTの働きであり、そしてそれが脳に伝わることによって、AIが処理する。

これはこだて未来大学の松原先生(松原仁氏)がおっしゃっていました。今人工知能ブームが来ているというところで、「背景にビッグデータ、IoTの存在(学習の材料がある)」ですね。実際にデータがあるから人工知能側でそれを学習して、さらに活用する。つまりAIとは、なにかを認識して、判断して、決定する。ここまでをやってAIだと私は考えています。

センサーによる誤運転をなくしコストをカット

それでは我々の自社パッケージを簡単にご説明したいと思います。

当社の「ゆりもっと」というサービスのご紹介です。札幌は100万人以上の人口と、500センチ以上の降雪がある、世界唯一の都市です。ですから、ロードヒーティングがすごく普及しています。ロードヒーティングというのは、雪が降ってくると降雪センサーが雪を検知して、それでボイラーに信号を送って、ボイラーが稼働して、グルグルお湯を路面に回すんです。

その降雪センサー自体がすごく曖昧で、雨でもけっこう反応してしまう。本日の天気のようにパラパラと降っている時でも反応してしたり、湯気がぼうぼう立ちすぎているぐらい、ぼうぼう出てしまう。こういうことがあったりします。

過剰に運転しすぎるということは、つまり「センサーによる運転はムダな運転が多いですよね」と。そのなかで我々はなにをやっているかというと、アパートやマンションの駐車場に対して、監視カメラをつけ、カメラで撮影した映像を、24時間体制で、今日12月1日で、今日から我々24時間体制でお客様の物件をしっかり管理するという体制でやっています。

カメラでモニタリングし、みなさまの物件を見ながら、ボイラーのスイッチの入り切りを行って、センサーによる誤運転をなくして、電気、ガス、灯油などのコストを30%下げるということをやっています。

IoTでCO2を下げるということもやっています。これはAIを若干使っています。去年「融雪システムをAI管理」ということで日経新聞に載せていただきました。従来の監視オペレーターは人間がやっていると言いましたけれども、実際に現地を写真で見て、そして気象状況の確認をします。

要するに、これから雪が降るのか、雪が止むのか、そういったところを見ていて、それを実際にオペレーターが判断して入り切りをするわけですね。

そうすると、熟練したオペレーターであれば普通にできるですが、やはりまだ慣れない方にとってはムダな運転が増えてしまった、といったことがありました。ここを我々はAIで画像解析をして、気象状況を予測しながらさまざまなデータで、100パーセント、80パーセントというかたちで雪がある/ないということを判断して、ボイラーの入り切りを行っています。

雪がある/ないを認識して、ボイラーをつけるかつけないかという判断をして、実際にボイラーをつけるところまで自動化してこAIとも言えるのですが、まだつけるというところは人がやっているというかたちですね。今はあくまでサポートする機能ということでやっています。

CO2の削減や現場の安全管理をIoTで実現

続きまして、当社の「現場ロイド」というものをご紹介させていただきます。建設現場の現状として、なんと1年間に建設現場でおよそ300名もの命が奪われています。

建設現場というのは非常に危ないんですね。ですから、「安全第一」がやはりどこの現場でも掲げられていますけれども、例えば、どういう危険があるかというと、例えば堤防の工事で、水をせき止めて堤防の川底を直す時に、上流で雨が降ったりすると一気に水位が上がってきて、飲み込まれるとかですね。そこで、センサーで水位を測ったり、あとはこの矢板が倒れてくることがあるのですが、そういうものを検知計で測ったり。

施策としては、橋の下にワイヤーセンサーをつけていて、土石流が流れてきて下流にいる方たちに危険が及ばないようにということで、いわゆる現実世界に潜む危険をIoTで察知しているというのが我々の現場でやっていることです。

もう1つ、建設現場ではさまざまな計測をしなければいけません。例えば風速を測ったり、コンクリートの養生の管理だったり。あとは振動・騒音の規制法があるので、振動・騒音を測ったり、あとは現場の監視カメラを置かなければいけないというルールがあったり、さまざまなルールがたくさんあります。そういったことをもっと効率よくIoTでやれないかということで、建設現場の情報化施工で効率化することを支援しています。

あとは防災系ですね。昨年の台風のときのものですけども、瓦礫がせき止められた際にも我々のセンサーで二次災害を防ぐということをやっています。そういう建設現場や自然災害での人的被害を防ぐというところをやっています。

さらにパッケージサービスで「Pdrive」というものがあります。こちらもまた同じような流れです。昨年の交通事故の死者数は全国で3,904名ということで、非常に多くの方が交通事故で亡くなられています。そもそも交通事故の起こる原因には、ある一定の法則があります。

実は1件の重大な死亡事故の後ろには、29件の軽微な事故がある。これは「ハインリッヒの法則」というのですが、事故が起きることは顕在化していますね。ところが、300件のヒヤリハット、いわゆる事故は起きてないのですが、危なかったというところですね。「急ブレーキを踏んだりして事故は起きなかったんだけど、危なかった」というところを見える化して、教育・指導をして、結果的に事故率を軽減しようというのがこのPdriveのソリューションです。

どういうふうに見える化するかというと、当社で作っているドライブレコーダーで、カメラや加速度センサー、GPS、LTE通信というものを背負って、実際に急ブレーキを踏んだ時の映像をスマホやみなさま方のPCに飛ばしています。

それで、管理者の方が、営業マンの運転中の急ブレーキの映像を見て、「これは危ない運転をしている」となったら、その営業マンを呼んで「お前ちょっと来い、これ見てみろ」と。そしたら「大変危ない運転をしているじゃないか」ということで怒る、教育することによって、常に見られているという運転をすることで事故が減る、こういったソリューションです。

もう1つは、月に1回報告書が出るようになっていて、急ブレーキ、急ハンドルを月何回やっているか、営業マンのランキングづけをするんですね。常に安全運転する人はスコアがいいですし、常に運転の荒い人はスコアが悪いです。そういうふうにして、運転の荒い人を割り出して、事故を減らすというソリューションとなっています。

必要なものはメールアドレス、我々としては、運転状況の見える化というところまではあえて踏み込まないようにしています。あくまで動画が来るというところで「必要なのはメールアドレスだけでいいですよ」というライトな運用をしているということですね。IoTでヒヤリハットを見える化し、交通事故を減らすということです。

エコモットのIoT事例

つまり当社は何をやっているかというと、CO2の削減や現場の安全管理、自然災害監視、交通事故の防止ということで、これをすべてIoTで実現している、AIとIoTで社会のインフラを作ることを目指している会社になります。

次は、我々のやってきたIoT事例を具体的にご説明したいと思います。

まずはソーラーパネルの発電の監視です。今、だいぶ下火になってしまいましたが、一時期ソーラーパネルが数多く出てきたときに、とにかくこれを遠隔でモニタリングしなければいけないというニーズがありました。そんななか我々は、発電量をモニタリングするような装置をお客様に収めて、見える化するというところをやったりしています。

あとは高速道路のひび割れをカメラで定点観測するということをやらせてもらったり。それから、橋桁の補修工事で、橋の中に変位計のセンサーをつけて、橋桁の変形を見るということをしたりしています。

あとは農業ですね。一例として、アスパラの発育をモニタリングしているんですけども、土の下に温水を引いて、土を効率的に温めて、アスパラの発育を促すというものですね。アスパラは年3回~4回採れるようになっているので、非常にユニークな実証実験ですね。

それから、罠をつけて鹿を捕獲するということもやっています。こんな感じで、鹿がいるところにセンサーをつけて、「鹿がいるな」というタイミングでガチャンとやるんですね。

他には、JRのある線路のセンシングの事例です。その事例では、少し坂になっている線路にて、電車が、坂を登るのに、落ち葉が落ちて空回りしちゃうということで、落ち葉が落ちたらセンシングするという事例です。少し前置きが長くなりましたけれども、これが当社のご紹介です。

今日の本題ですが、集めたデータを見える化の目的とは、データを集めて、それを溜めて、分析して、アクションに使うんですね。我々はIoTって、つまるところこういうことだと思うんです。先ほどの総務省のデータもそうですけども、センシングしたデータをサイバー空間に送って分析して利活用するという流れになっているわけです。

我々は、どちらかというとデータを集めるというところに特化してやっています。ですから、現実世界にあるものをセンシングするところに重きをおいてやってるんですけども、ウイングアークさんはどちらかというとこちら側、データを溜めて、見える化する、分析するというところですね。

見える化するというのは非常に難しいんですよね、単純に見えるだけならいいのですが、お客様の要望はすごくたくさんありますので。

例えば、「これはこう見えるようにしたい」「これはああ見えるようにしたい」。そういう要望は、BIツールみたいなものを使ってうまく組み合わせることによって、もっといいものができるという事例を、今日は2つお持ちしましたのでご紹介したいと思います。