リコーのMotionBoard活用事例

馬場保氏(以下、馬場):ただいまご紹介に預かりました。リコーインダストリーの馬場と申します。本日最後のセッションになりますね。ここは仙台ですし、もう時間的に国分町が呼んでいるかなと思うんですけれども(笑)。少しの時間お付き合いください。 弊社はMotionBoardをちょうど3年前に導入しました。みなさまの会社ではどうでしょう? MotionBoardとDr.Sumを入れていらっしゃる会社さんが多いんでしょうか? 入れていらっしゃるという会社さんはどれくらいでしょうか? 

(会場挙手)

これから入れようと検討していらっしゃる方が多いということですね。弊社は3年くらい前にMotionBoardを導入しました。導入当時から一番欲しい情報があったんですが、それはなかなか手に入らない情報でした。何かと言うと「MotionBoardを導入している企業では、実際に会社の中のデータを使って、どんな風に使っているんだろう?」と。デザインであったり、社内の業務部門からどんな要望が来て、どのように反映し展開しているのか。

加えてどのような情報の粒度(細かさ)で見せているのか、など実際に使っている会社さんと情報交換がしたいなぁと、ずっと思っていましたが、なかなかそういう機会に恵まれません。

ウイングアークさんの先ほどのデモを見ていても、1億件、10億件のデータをサクサク動かして、「こんなイカしたデザインでできますよ」というプレゼンがありました。へぇ簡単に開発出来るんだなぁとその時は感じるんですが、いざ実際自分の会社に帰ってMotionBoardを導入するだけで同じことができるかというと、なかなか出来ないのが現実です。

本日は最終セッションまで残って頂いた皆様には、せっかくの機会ですので弊社で動かしている実際のMotionBoardを動画としてお見せしようと思います。導入してから今まで、3年間いろいろ失敗がありましたが、現在社内で運用している最新の状態を動画サンプルとして3つくらい持ってきています。

弊社はリコーグループとしてモノを作っている工場です。工場での品質情報を可視化しているMotionBoardを後ほどお見せしますが、実際の数値部分は「あくまでデモ」のためのサンプルデータ」ですので、お間違えのないようによろしくお願いします。では始めたいと思います。

国内のものづくりを1つにしてマザー工場に

まず会社紹介ですが、名前の通りリコーグループです。国内海外合わせて230社、従業員11万名ほどの大きな会社の一員です。弊社はリコーインダストリーといい、国内5拠点に生産工場を配置しています。東北から関東、静岡というところに点在しております。

リコーインダストリーは、4年半前の2013年に設立した若い会社です。設立前は国内4つの会社がありましたが、国内での生産拠点を1つの会社にして、マザー工場としての機能強化と最適化を実現しましょう、という想いの中で設立された会社です。

おのおの20年~30年という長い歴史を持っていた4つの会社が合併してできたのが4年半前で、日本をマザー工場として、海外の工場に生産に関わるノウハウを展開していきましょうというミッションを進めています。

作っているものは、大きな産業用プロダクションプリンタであったり、新聞紙を広げたサイズより大きいサイズを印刷できる広幅のデジタルプリンタであったり、プリンタで使うサプライ用品のインクやトナー、コピー機の中の重要なパーツ、キーパーツと呼んでいますが、各種ギアや基板だったり、各種ユニットを生産しています。

ちょうど本日の会社は仙台ですので、弊社の東北事務所を少しだけご紹介致します。仙台から東北本線で東京方面に30分ほど上ったところに槻木駅がございます。そこで降りていただきますと東北事務所がございます。ご覧のような広い敷地の中でデジタルプリンタやトナーを生産しています。

すべての層で意思決定が早くなる

本日お伝えしたいことはBI(BusinessIntelligence)ツールの活用法です。よくやってしまうのがツールを導入することが目的にすり替わってしまうことですが、一番大事なのは、ツールはあくまで道具のひとつですので、その道具を使って何がやりたいかという、目的を先に考え決めておく。

その目的を経営層とコミットするなりして、BIの導入が目的ではなく、目標を達成するためにBIを活用することが重要というのを、ブレなく最後まで頭に置いて進めないと、気がついたら「導入できた。やった、終わった!」となってしまうので、そこは注意して進めた方がいいと思います。

昨今、働き方改革という言葉もよく聞くと思いますが、いろいろな会社、業種がありますので、当然施策は違って当たり前ですよね。でも、IoTや情報活用、ビッグデータというキーワード。これはどんな業種であっても同じように使えると考えて良いと思います。

そこで弊社が選んだのがウイングアークのMotionBoardで、グループ内グローバルでの様々な情報を一元的に蓄積し、可視化してクイックアクションできるようにすることで先読み経営に役立てたい。これを狙って活動しております。

皆さんが気になるのは、BIを導入するとどんな業務改革ができてどんな効果が得られるのか?というところだと思います。ひとつは、大規模、大量のデータを非常に高速に処理できますので、当然、意思決定が早くなります。これは経営層、マネージャー、一般職、全てのユーザーが実感できるはずです。

とにかく今までやっていた集計業務や報告書のためのデータを集めることが早くできます。賛否のあるプレミアムフライデーですが、ものを作っている生産会社で月末の金曜に早く帰るって無理ですよね(笑)。でも、日々の業務が早く出来るようになると、こういう月末でも無理なく早く帰れるようになります。

誰かに頼まなくても、自分で欲しい情報はいつでも自分で取れる。この便利さが習慣になっていくと積極的に自分の環境を変えていこうという動きになっていきます。そういう環境変化のチャンスを作れることが、かなり期待できると思っています。

この環境変化を生産活動と間接業務の両面で実現して、仕事のやり方を変えていこうというのが「ワンクリ」というネーミングを付けて活動していきている弊社のテーマになります。

「ワンクリ」は社内で付けたネーミングなんですけれども、使っている製品はDr.SumとMotionBoardです。ワンクリのOneは、社内のどこかで生まれた最初のデータを、重複入力することなく、会社全体で活用して、日々の業務で作成する資料や報告書のOneClickで作成できるようにして属人化の排除と共に、自動化出来たら良いよね。この「One」というのキーワードを我々情報システム部門は念頭に置いて活動しています。

よくシステム部門は金食い虫(コストセンター)と言われますよね。でも「ITは活用することで経営のための戦略的な武器になるんです!」ということを経営層にずっと言い続けて、高い投資に対しても理解を得て、稟議を通して頂いてきています。

それでは、弊社のワンクリ(Dr.SumとMotionBoard)活動を詳しく説明したいと思います。

国内、海外必ずどこかで最初のデータが生まれるはずです。その情報をグループ全体で転記であったり重複入力しないでグループ全体で活用し、かつMotionBoard等の機能を使って定型フォームはボタンをクリックするだけで自動作成し作成業務を中抜きする。日々見るべき情報はダッシュボードとして全員で同じ情報を見てクイックアクションにつなげるために使っています。

導入前の状況

2008年当時、まだ会社が合併する前なのですが、埼玉事業所でDr.Sumを入れました。まずそこではモデルラインの生産予実績から展開し、1年ほどかけて拠点内の全てのラインへ展開を拡大しました。そのあと品質保証部門、購買部門、人事総務部門、と順番に広げていった時代がありました。当時はDr.SumとDatalizerの他にVisualizerを使って可視化していましたが、現在はVisualizerは廃止して可視化部分はMotionBoardに置き換えています。

その後、2013年にリコーインダストリーとして4つの会社が合併して規模が3,000名くらいの会社になり、扱うデータ量もユーザー数も数倍に増えました。更に2016年、マザー工場というミッションから、国内だけでなく海外も含めたグループ全体での生産工場の情報を一元的に見ることが必要になり、ライセンスをグループライセンスに切り替えました。ちょうど昨年のことです。

今年になってグループ展開での情報の一元管理を本格的に展開しはじめているところです。国内海外合わせて生産に関わるスタッフが約1,600人から今2,000人くらいにまで増えています。現時点でワンクリはこのくらいのユーザーに使っていただいているシステムになっています。Dr.Sumの中のテーブル数も先週確認したところ、約700テーブルありました。

より詳しくお話ししますと、リコーインダストリーで展開しているシリーズは、Dr.SumとDatalizer for WEBとMotionBoard、をワンクリシステムとして構築し、ワンクリへ国内では主要5つの工場からデータを連携、海外では、中国、タイの複数の工場拠点からデータ連https://logmi.jp/wp-admin/media-upload.php?post_id=243799&type=image&TB_iframe=1携しております。

生産に関わる基幹システムはIBM System i AS/400で構築され、国内・海外多くの拠点単位で動いています。更にリコーグループは、グループウェアとしてIBM Lotus Notesを11万人全員で使っておりまして、そのなかのコアのNotesのデータベースも連携してきています。

また工場拠点なのでMES(製造実行系システム)ですね。生産現場のラインサイドで動いている生産システムがあります。いろいろな仕組みがSQLサーバやOracleサーバで動いていますが、それも多数連携してきております。

この図は、ワンクリの活動を始める前のイメージになります。Dr.Sumを入れる前ですね。いろいろなシステムから情報を取ってきて日々一生懸命業務して、週報なり月報なり作りますよね。社内の間接部門のユーザーを対象に業務分析を最初に実施しましたが、分析していくと、あちこちの部署でアウトプットの形はほんの少しだけ違うが、同じ情報ソースから似たような資料を作っていることが多々あることがわかってきました。

またヒアリングしていくと、手間暇かけて作成したアウトプット資料は誰も使わない、保険のために作っているという資料もあるということもわかりました。「その資料をどこに出すの?」と聞いたら、「1年に1回くらい市場クレームがあったときにこれがあると便利なんです。なので毎日作っています」ということでした。ちょっと驚きですね。

狭い範囲では見えませんが、全体最適視点で俯瞰して、こういう状況をどうにかしなくてはいけない、と活動を始めました。工場拠点で重要な情報で、かつ一番多く活用されるデータはQ・C・D情報です。この情報が1ヶ所に集まっていればみんなで見て活用できますよね。

みんなが同じタイミングで同じ精度の情報を取れること

目指す姿のイメージがこちらの図になります。1つの工場だけでなく国内海外もひっくるめてQ・C・Dの情報は1ヶ所、ワンクリ(Dr.Sum)に集めます。ワンクリに集めて、生産に関わるスタッフはここだけを見れば、みんなが同じタイミングで同じ精度の情報が取れる。更にワンクリの機能を活用してアウトプット資料はOneClickで自動作成する。これを目指して2008年から活動を進めて、もう9年目ですね。9年間この活動をずっと続けてきています。

冒頭にも言いましたけれども、あくまでBIを入れるのが目的ではありません。目的はBIを使って先読み経営であったり、業績に貢献できる仕組みとした活動にしなくてはいけないというところです。ここがブレてしまうと、入れて「終わった、やった!」で終わってしまいます。

3つの狙いを説明します。会社統合からリコーインダストリーになって4年半くらい、この3つの狙いを実現するための活動をしてきています。

まず国内海外でグループ展開して活用していますので、ワールドワイドな情報を一気通貫で見て、同じ情報を見てディスカスしましょうということ。

もう1つ、マネジメントサイクルを短縮しましょうということ。ものを作っている会社の宿命ですが、どうしても市場に出した製品に対して品質不具合等がございます。その時はやはり対応スピードが命ですよね。お客様に迷惑がかからないように、可能な限り早く原因究明して、影響範囲はどれくらいなのかを、データを集計・分析して更なる問題が発生しないようにしなくてはいけない。こういうところに対してもワンクリは有効活用ができます。

3つ目、これはまだまだ道半ばですが、BIにはデータがたくさん貯まってきております。今後はAIなどが入っていくでしょう。AIを使って予知予兆ができるようになると先読み経営につながるはずです。たくさんのQ・C・Dデータが貯まっていますので、それにライン作業者の動線データであったり、気候データであったり、需要予測であったり、社外のデータを追加してAIを使って分析していくこともやっていきたい。ここは今いろいろ考えている最中です。

ワンクリシステムのシステム概要図です。生産の基幹システムの他に、財務システム、工程内の品質システム、グループの人事システムも連携しています。各社員の残業や有給、スキルといった情報もすべて連携してきています。

システムではないが、生産のスタッフが自分のパソコンで持っていて「それは共有したほうが効果的に使えますね」というデータは、説得してDr.Sumの中に保管して共有していただくように変えてきています。