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“リアル”と”バーチャル”がつながるスマートシティー - 3D技術を活用した都市の未来を創造するプラットフォーム(全2記事)

2017.11.07

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シンガポール全土を3D化 リアルとバーチャルが融合する「スマートシティ」の可能性

提供:ダッソー・システムズ株式会社

2017年10月3日から6日にかけて行われた、アジア最大級の規模を誇るIT技術とエレクトロニクスの国際展示会「CEATEC JAPAN 2017」。ダッソー・システムズ株式会社による講演「 “リアル”と”バーチャル”がつながるスマートシティー - 3D技術を活用した都市の未来を創造するプラットフォーム」では、シンガポール政府とともに進める「バーチャル・シンガポール」のプロジェクトについて紹介。都市の課題を3D技術やIoTを駆使して解決するための先進的な取り組みについて解説しました。

製品からエクスペリエンスへ

セバリン・チャパス氏(以下、セバリン):本日はみなさま、お集まりいただきましてありがとうございます。これからの都市の計画のあり方に関する私たちのプレゼンテーションを本日させていただきますことを、非常にうれしく思っております。

ダッソー・システムズはソフトウェアの企業です。私たちはイノベーションを私たちの企業の中心に位置づけている、科学をベースにした会社です。そして、世界中に情熱を持った社員が約1万5,000人おり、イノベーションに日々取り組んでいる会社だとご理解ください。

非常に多くの企業が私どものお客様になっております。それらの企業の変革・イノベーションのお手伝いをするのが、私たちの仕事です。また、世界中に多くのパートナー企業を有しており、その数は1万3,000社ほどです。そして、私たちは長期的な視点に基づいた経営をしている会社です。

私たちは歴史的にまず、航空や防衛の分野からビジネスを始めました。それから、輸送やモビリティという分野に移り、今では多様な分野のお仕事をさせていただいております。ハイテクですとか、ライフサイエンス、また電力・ガス・水道や建築・設計、そして金融、天然資源に関しての仕事もしております。

(スライドを指して)これまでの私どもの歩みです。

いろいろなビジネスの分野に参入して、私たちのビジネス自体も再構築してきました。最初に3Dの設計から始まり、それから3Dのデジタルモックアップの分野に移ってきました。これは、モビリティや防衛、航空分野でよく利用されている技術です。

また、製品のライフサイクルの最初から最後まで管理するPLM、すなわちプロダクト ライフサイクル マネジメントに取り組み、そして現段階においては、製品からよりエクスペリエンスにシフトしています。

私たちダッソー・システムズの理念は、製品と人々の生活と、自然や環境との調和をつくろうというものです。その理念をもとに、私たちにとっての都市のお話をするということは、非常に自然な流れとなります。というのは、都市には多くの課題があり、脅威も存在しますが、同時に多くのチャンスがあるとも思っています。

このプレゼンテーションの中で、今世界的に都市がどのような傾向にあるかということを、みなさんと共有させていただきたいと思います。そして、私たちの都市に関する分析結果を共有させていただきたいと思います。

都市のつながりとさまざまな課題

最初にお話させていただくのは、「つながり」ということです。世界中の都市は、今つながっている状態です。東京とニューヨークもつながっていますし、他の都市もつながっています。そしてまた、都市の中に暮らす人々も常につながっていて、いろいろなレベルでつながっているということが言えます。

都市がつながっているということは、都市における社会的現象を非常に速く進展させる強い牽引役になっていると言えます。ですから、ウェルエイジング、健康で幸せな歳のとり方や、行政への市民の参画などが重要になってきます。

また、新しいビジネスモデルのチャンスも私たちは都市に見ております。最近よく話すことの中に、倹約的経済ですとか、循環的経済の話があります。どのように消費を減らすか、という話です。

ですから、持続可能な社会を構築するために、いろいろな規模で複数の取り組みをしなくてはいけません。例えば、廃棄物の管理施設もより小型にし、効率を高めるといったことに取り組んでいかなければいけません。

今、私たちはデジタルの世界に生きています。デジタルの世界に生きていることで、個人のエクスペリエンスも変われば、集団としてのエクスペリエンスも変わってきています。

現在、都市はいろいろな脅威にさらされており、また、課題も多くあります。例えば、拙速で無計画な都市化も問題ですし、気候変動、汚染等が私たちの生活を脅かしています。しかしながら、もともと都市というのは資源に富んだ場所であったはずです。

資源の話をすると、天然資源を思い浮かべますが、私たち人間の才能や専門性、また活動というものを資源として扱うことができると思っています。それらの資源をより持続可能なかたちで効率よく、そして魅力的なかたちで使っていくことが必要だと考えています。

私たちのソリューションは、常に同じプロセスをたどっています。まず最初に、資源の特定と評価です。

どういった資源があるかを特定した後、具体的にどの程度の資源があるかを把握し、その資源の最適化、また価値の創出を、資源を共有することによって実現していきます。その後、レジリエンスということに取り組みます。それは資源の変革や再生にかかわる分野です。

1つ例を挙げさせていただきますと、2020年には東京でオリンピックが開催されます。そこに向けてまた多くの資産、資源が開発されていくと思いますが、開発された資源や資産をどのように再利用していくか、それをきっかけに都市がどのように変わっていくのかということは、もうすでに最初の時点から考えておかなくてはいけません。

私たちが常に考えていることについて簡単にご説明いたしますと、私たちはまず対象領域、すなわち「誰が主役なのか?」ということを考えます。そして、「何を行うか?」ということ、そして実際に「どのように行うか?」ということを考えます。

そして、このスライドは私たちの都市の見方を示しています。

これは「システムの集合体」とも言えるものになっています。まず最初に動的なデータモデルを作成して、マルチスケールのデータを提供します。そしてまた、マルチスケールのデータを使ってサービスを提供する、ということになります。

そして、何のためにこういったことを行うかということですが、それは都市にそのテリトリーの中で全体調整をする能力を持たせるためです。そして持続性、レジリエンス、効率性を担保するためです。

私たちはこの方式をフランスの中規模の都市に応用しました。レンヌという市で、人口は大体50万人程度です。そして、レンヌで適用した同じロジックと手法を、シンガポールにも適用しています。

シンガポールのプロジェクトは、取り組んでから3年経っています。そして、今後も続いていくプロジェクトとなりますが、シンガポールは、先ほどのレンヌ市と比べて10倍の人口を持ちます。

では、具体的にシンガポールで私たちが何をしているかについて、弊社の野崎のほうからデモをさせていただきます。

シンガポール全土を3D化

野崎省二氏(以下、野崎):みなさん、こんにちは。私のほうからバーチャル・シンガポールという、シンガポールで弊社のソフトウェアを使って行っている取り組みについて、少しご紹介させていただきたいと思います。

今からご覧いただくのは、私どものソフトウェアを使ってシンガポール国土全土を3次元化しようという取り組みのビデオでございます。

(デモ動画が流れる)

単に3次元データを作成するというだけではなく、都市に点在しているいろいろな情報を付加したり、もしくは3次元のデータを使ってシミュレーションを行い、将来のシンガポール市がどのようになっていくべきかを検討するとか。将来というのは例えば5年後、10年後、30年後を見ていくようなものになります。

ご覧いただきましたように、もう3D化はかなり進んでいるんですけれども、この3Dのモデルの中でも、Level Of Detailという考え方がありまして、近寄るとだんだん詳細に見えてくるんですね。

シンガポール全土の3Dを全部詳細につくると大変なことになりますので、重要な駅やビルディングといったところをかなり細かく作る。そして、シンガポールの中でも郊外、田舎のほうに関しては簡単なデータで済ませていく、であるとか。このバーチャル・シンガポールの中でも、使う用途に応じて3次元の精度を変えることができるようになっています。

ある一部の地域の例をご覧いただきたいと思います。このあたりは、かなり詳細につくり込まれております。しかも3次元になっていることだけが特徴ではありません。

ご覧いただいたように、例えば外から見た時に各部屋がどのような特徴を持っているのか、日照時間がどれだけあるのか、素材が何でできているのか、もう少し言うと、どんな人が住んでいるのか、とかですね。こういう情報を一つひとつ、この3次元オブジェクトの中に保存していくことができます。

もちろんビル1棟とっても、例えばこのビルの容積率を求めたり、屋根の面積を求めて、ソーラーパネルを乗せた時にどれぐらい発電できるかを推計したりすることもできます。

もしくは、この公団の管理している駐車場の情報をそのままバーチャル・シンガポールに結び付けることによって、今、どの駐車場にどれだけの空きがあるのかといったことも管理できます。植樹の情報もシンガポールでは細かく管理していますので、どの木がいつ植えられたのか、ということも管理することができます。

さらにこういった3Dのデータを使うことによって、風のシミュレーションですね。海風によってヒートアイランドの現象をどれほど軽減できるかということ。もしくは、新しいビルが建つ時に、そのビルの裏側になる地域は、風が舞っていろいろな影響を受けますので、新しいビルを計画する際に、ビル風のシミュレーションをしてみることもできます。

未来のシンガポールを体験

今ご覧いただいている映像には、「Smart Walking」とありますが、俯瞰して全体を見るだけではなくて、中に入り込んでいって仮想体験することもできるんですね。未来の都市をバーチャルに体験して、本当にこの計画がいいのかどうかを見たりすることもできます。

これはHDBというシンガポールの住宅公団がやっているグリーンプリントという、環境にやさしい都市をつくろうという取り組みです。「ソーラーパネルを付けるとどれぐらいの発電量があるだろうか」などといったことを分析しています。

これは日照時間のシミュレーションですね。とくに、新しいビルを建てる時、北側になる地域にどれぐらいの影響が及ぶのか。また、セキュリティカメラを取り付けた時に、例えばこの駐車場を管理するのにこれで十分なのか。カメラの視点から見た時に景観がどうなるのか等々も、検証できるようになっています。

1つおもしろい取り組みを紹介します。あるマンションから最寄りのコミュニティセンターに行く時に、今(映像内に)ルートが出ていましたが、最短距離の緑のルートだったら3分で着きますが、車椅子に乗ると、ぐるっと回る赤のルートで18分かかります。

なぜかというと、道路を渡っている歩道橋が階段しかないからなんですね。シンガポールに行かれた方はご存知かもしれませんけど、こういう歩道橋があちこちにあります。それを、例えばエレベーター付きにしようとか、スロープ付きにしようとか、車椅子でも通れるようにしようということを、道路整備局で検討していたりします。

それとともに、今(映像内の)公園の景色が変わりましたけども、コミュニティセンターに隣接している公園のリノベーションも、今度は公園管理局が計画しています。いわゆる縦割りの行政の中で、それぞれが別々の思いでスロープ付きの歩道橋を新しく建設したり、公園をリノベーションをしたりということを計画しているんです。

今まではバラバラに工事していたので、後でよく問題になったんですけれども、このバーチャル・シンガポールのデータを使って、同じプラットフォーム上でお互いがいろいろな検討を行うことによって、スロープの出入口と公園の出入口を近いところにつくって、よりアクセスがいいものにするといったことができるようになりました。こういった部局間のコミュニケーションも促進することができます。

そして、もう映像の最後のほうになってきましたけど、このように仮想的に未来のシンガポール市の中に入って、ウォークスルーでいろいろな体験をしていただくことができます。

2次元の画面で見るだけでなく、今、流行りのVRですね。バーチャルリアリティの技術を使うと、自分が小さな人間になって、3次元のバーチャル都市の中にスーッと入っていって、未来の都市を体験するということもできます。

バーチャルですので、本当にいろいろなことが検討できます。シンガポール市ではこれを使って、部局間の調整をしながらコミュニケーションを活性化し、最終的には5年後、10年後、30年後のシンガポール市をデザインするための、意思決定のプラットフォームとしてご利用いただいているということになります。

以上で私からのご説明は終わらせていただきます。もう一度、セバリンに渡します。

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