田原総一朗氏「日本にミサイルが飛んでくる可能性がある。そのために…」
安倍晋三氏が明かさなかった解散理由

外国特派員協会 田原総一朗氏が記者会見 10月13日 #1/2

ジャーナリストの田原総一朗氏が10月13日、日本外国特派員協会で記者会見に応じました。今回の解散総選挙に関して、解散の背景や日本固有の問題に言及。舌鋒鋭く、今の政治情勢に一石を投じました。

安倍晋三氏は「普通の人」

田原総一朗氏:いまご紹介いただきました、田原総一朗です。いま日本の総理大臣は安倍晋三という人です。

安倍晋三は、歴代総理大臣とはまったく違う特徴があります。歴代首相は、まあ政治家はそうなんですが、政治家になる時に「何のために政治家になるのか」ということを考え、そして政治家になる決意をしました。

彼はそういう決意をまったくしていない。おじいさんもお父さんも政治家だった。だから彼は家業を継ぐように政治家になった。そのことが彼の良さでもあります。割に誰の言うことでもちゃんと聞きます。普通の人です。

その普通の人のだらしなさが典型的に現れたのが、森友・加計事件だと思います。あんなものは日本にとって、日本をどうこうすることではまったくない。政治が歪んだとか、間違ったとか言うことでも全く関係ない。

単純に言うと、森友学園問題では国有地が8億円以上安くなった。なぜ安くなったのか? その理由を財務局がそれなりのきちんとした文書を書いたと思う。理由をね。その文書を国会で示せば何の問題もなかった。この安倍内閣は4回も選挙に勝って、一強多弱、気が緩んだ。

もう1つ悪いことに、小選挙区制になって、自民党の議員が安倍イエスマンになった。誰も文句を言えなくなった。そこで安倍内閣の重要閣僚が「こんな文書があると野党から質問されてめんどくさい。なかったことにしよう」。

だから、かわいそうなことに財務局の責任者が、国会で嘘八百、誰が聞いても嘘っぱちの答えをせざるを得なかった。政府がその官僚に悪いことをした、気の毒だと思って、彼を国税局の長官にした。

加計の問題も、安倍さんは、賄賂もなにももらっていない。あんなものは簡単で、委員たちに「加計孝太郎は40年来の友人である。だけど友人だからといって甘くするな。きつく審査しろ」と一言言えば、これで全部これでOKだった。

彼は神経がたるんでめんどくさいと思った。だから「まったく知らなかった」と言っている。

この間、閉会中審査で、初めて知ったのは今年の1月20日だと言った。去年だけでも、7回、加計孝太郎と飯を食い、ゴルフをしている。これを知らなかったというのを信じろというのは無理です。

しかしいずれにしても、日本をどうこうする問題ではなくて、実につまらない問題。ところが、日本の野党は安倍首相を攻撃するのにこれしか材料がない。

今回の解散総選挙は米朝の緊張関係が背後にある

今、国民の最大の不安は、北朝鮮とアメリカがいつ火を吹いて戦争になってもおかしくない緊張状態にある。私の友人は、チキンレースの段階が終わって、ロシアンルーレットだと言っている。

(会場笑)

4日にトランプ大統領が日本にやってくる。なにしに来るのか? いろんな情報がある。中には、韓国のああいうTHAAD(ミサイル)を売り込みに来るんじゃないかという情報もある。1基が1,300億。3基で3,900億。

さらに問題は、この日本を訪ねたあとに、トランプさんは中国で習近平主席と会談する。いろんな情報がある。一番極端な情報は、もしかするとアメリカが北朝鮮に武力行使をする可能性がある。そのとき中国は黙って見ててくれ。

いずれにしても、今年の年末から来年にかけて、アメリカと北朝鮮の間で火を吹く危険性がある。防衛省の幹部も外務省の幹部も私にそう言ってる。安倍首相も側近に「それが大変心配だ」と言っている。

もしそういうことが起きれば日本にミサイルが飛んでくる可能性がある。ところがなぜか今回解散する時に、安倍さんはそのことを言わなかった。

外務省幹部は私に、「とにかく年末から年明けにかけてアメリカが武力行使をする可能性がある。日本としては、そのための体制を作らなければいけない。そのためにできるだけ早く選挙をしたい」。防衛省の幹部も私にそう言っている。

安倍さん自身が側近たちにそのことをしきりに言っている。ところがなぜか、解散の理由に安倍さんはそのことを言わなかった。なぜ言わなかったのか?

外務省や防衛省の幹部に聞いた。官房長官にも聞いた。そしたら安倍さんの側近の1人が、「国民が非常に危険視する。言わない方がいい。まったく触れないほうがいい」と言ったそうです。

そこでくだらない消費税を2パーセントあげると。こんなことを理由にした。こんなものは解散しなくても国会で論議すればいい。

そのために、野党は「大儀なき解散だ」と。「森友・加計隠しの解散だ!」と。新聞やテレビもそう報じた。それはいいとして、選挙戦で野党が全くこの北朝鮮、アメリカの緊張状態について論議しなかった。

「国民の生命を守るのは与党の仕事で、俺達は関係ない」と、そういう姿勢だった。だから国民の多くはこんな選挙になんか関心を持てなかった。

日本は保守層がいない不思議な国

もう1つ大きな問題がある。アメリカやヨーロッパの国々では、選挙になると保守とリベラルが政権の座を争う。アメリカで言えば共和党が保守で、民主党がリベラル。

保守は経済の面では自由競争、そして、政府は社会のことにあんまり介入しない小さな政府。しかし、それをやってると貧富の格差がどんどん大きくなり、競争に負けて生活が苦しくなった人たちがどんどん増える。

そこで次の選挙ではリベラルが勝つ。リベラルは生活が苦しくなった人々を救うために、社会保障・福祉、ガンガンこれに金を投入する。すると、財政が悪化する。そこで次の選挙では保守が勝つ。

保守がいいか、リベラルがいいかということではなくて、言ってみれば、保守とリベラルがかわりばんこに政権についている。これが世界の状況です。

ところで日本では、自民党は保守層です。ところが、その自民党は経済面ではリベラル、バラマキ政策です。だから、1,000兆円も借金ができた。

さらに、民主党の野田政権の時に、「消費税を10パーセントにする」と約束した。ところが、自民党の安倍政権はそれを先延ばし先延ばしにしてきた。つまり、自民党は世界で言えばリベラル。

今回、その安倍首相は「2パーセントを、消費税を上げる」と言った。すると、希望の党の小池さんをはじめ全野党が反対。つまり、日本には保守がないんです。保守層がない。

かつて、民主党という党が政権をとった。「自民党は密室談合政治だ」と、「俺たちは開かれた政党だ」と、「政治の形が大きく変わる」と宣言した。ところが、実態はなにも変わらなかった。

だから、自民党は政権をとっている期間が長いので、ある意味、政治が上手い。ズルいと言ってもいい。民主党は正直で下手。この違いだけが出ていた。

さて、2つ。つまり今回の選挙戦では、一番肝心のこのアメリカと北朝鮮との緊急事態どうすればいいのか? 一切これが論争にならず。

それからこの消費税の問題でも、全党が、つまりリベラルだと。保守がないことがはっきりした。このことをなぜか新聞もテレビもまったく疑問視しない。とても不思議な国だと思う。以上です。

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