15年間も植物状態だった男性が奇跡の回復
「無反応覚醒症候群」に関する最新の研究結果

A New Way to Bring People Back from a 'Vegetative State'

生きてはいるものの意識がない植物状態。意識が回復することは稀だと言いますが、あるフランスの研究者らが、無反応覚醒症候群、いわゆる植物状態の患者を再び反応させる方法を考え出しました。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」では、植物状態の最新研究と蒸発エネルギーを使った発電の研究についての二本立てです。

植物状態の患者が回復する可能性

ハンク・グリーン氏:現代医学は長い道のりを歩んできましたが、いまだに不得意な分野が存在します。その代表とも言えるのが、脳傷害の治療です。

しかし『Current Biology』で今週発表された研究事例が、それに変化をもたらすきっかけになる可能性があります。あるフランスの研究者らが、無反応覚醒症候群(時には植物状態と呼ばれる)の患者を再び反応させる方法を考え出したのです。

無反応覚醒は、昏睡状態と全く同じわけではありません。眠った状態の無反応ではなく、目が覚めているのに無反応の状態なのです。

彼らの体は上手く機能しているものの、何かを認識しているという兆候は見られません。また、脳のニューロンは本来なすべき方法で互いにコミュニケーションされません。

脳が自らの修正に優れている場合、しばしば意識が戻ってくることがありますが、そうでない場合もあります。科学者たちは、意識が戻る原因やどのように起こるのかを厳密に把握できていません。

しかし、ほとんどの研究者は、無反応覚醒が約1年間続いた場合、回復の可能性は非常に少ないと述べています。

現在研究者たちは、無反応覚醒症候群から回復させるための研究に挑戦しています。これまでの研究では、特定の神経が刺激されたときに、最低水準の意識レベルの患者でも少し改善したことが示されていました。

そこで、研究者たちは意識レベルがさらに低い患者にも同じことが働くのではないかと考えました。この研究の対象者の1人は、自動車事故によって15年間無反応状態の35歳の男性でした。研究者らは、最も重要な神経の1つである迷走神経を刺激することを試みました。

この神経は脳から他のすべての器官に信号を送り、血圧の維持、気分の調節、そして食べ過ぎた後の眠気を引き起こすなどの機能を果たします。また、目を覚まさせることに密接に関与している神経でもあります。

研究者たちは電気で迷走神経を刺激することによって、患者が反応するかどうかを調べました。すると、この予想が的中したのです。

治療を続けて約1ヶ月が経過した時、この男性は反応を見せるようになりました。彼に頭を動かすように要求すると、実際に彼は頭を動かし、また動いてるものに目を追うこともできました。それだけでなく、研究者の1人が突然動いたとき、彼は一種の恐怖の反応までも見せたのです。

この治療の結果は、信じがたいほど驚くべきものとなりました。

男性は15年間も無反応だったので、これはほんの1つのケースにすぎません。科学的結論を出すには、これ以上の実証が必要となります。研究者らは、同様の状態にあるより多くの患者に対してテストを行い、より速く回復するのに役立つかどうかを確認したいと述べています。もし回復に役立つことがわかった場合、無反応覚醒状態にある人々を治療する選択肢が広がることでしょう。

蒸発のエネルギーで電力供給

一方で、他の研究者たちは、全く異なる問題の解決策を模索してきました。それは気候変動を10億倍悪化させないように、過度の電力需要をどのように供給するのかという問題です。

コロンビア大学の研究者は、私たちの周りで起きているプロセスからエネルギーを利用する新しい方法の研究に取り組んでいます。『Nature Communications』で今週発表された論文では、それが想像以上の規模になるかもしれないことが示されました。

世界では、毎年50万立方キロメートル以上の水が海、湖、川、小川から蒸発します。そして水が液体から気体に変わるとき、膨大な量のエネルギーが消費されます。

数年前、研究者たちは、このエネルギーが蒸発エンジンと呼ばれる再生可能なエネルギー源に変わる可能性があるかどうか疑問を抱きました。そして、2015年にいくつかの実用レベルの試作機を開発しました。

それは悪条件下になると丈夫な外殻を作るという、細菌胞子の不思議な性質から成り立っています。そして細菌は眠りにつき、環境が良くなるのをただ待ちます。

研究者たちは、胞子が水分を吸収すると膨張し、水がなくなると再び収縮することを発見しました。細菌胞子をテープに置いて乾燥させるとテープは自然に丸まり、胞子が湿気にさらされるとテープが再び広がる現象が見られました。つまり、胞子は蒸発エネルギーを動力に利用したのです。

蒸発エンジンにはいくつかのバージョンが存在します。1つはプールの水上にあり、シャッターを前後に動かすために自然蒸発のエネルギーを使用するものです。

もう1つは、湿度の違いを利用してタービンを回転させ、小さなレゴ車に動力を供給するものです。

これがものすごく可愛いのです! しかし、技術は非常に新しいのですが、実際に使用できるものに発展するのに十分な時間がありませんでした。そこで今週の論文で、ある研究チームが数学を使ってエンジンの可能性を実証しています。

研究者らは、表面積情報と気象データと共に利用可能な水量を管理する新しいコンピュータモデルを開発することによって、この技術が最大325ギガワットの電力を生成できることを算出しました。これは、2015年に米国で使用された総電力の69パーセントというとてつもない量になります。

同様に研究者たちは、テキサスにある貯水池から年間178メガワットの電力を得られることも算出しています。それは130,000以上の家庭を動かすのに十分な量となるでしょう。

しかし、これは最良のシナリオの場合です。貯水池や湖全体を蒸発エンジンでカバーすることにはデメリットもあります。なぜなら、水源をカバーすると生態系の化学を劇的に変えてしまうかもしれないからです。さらに、地域社会にとっては、水域の大部分が非常に重要な役割を果たしています。

水辺でピクニックをしてボートに乗りたいのに、そこには奇妙な蒸発エンジンがあるだけなんて嫌ですよね。

しかし蒸発エンジンは、他の再生可能エネルギーよりも利点が多く有益です。例えば風力や太陽光は天候に左右されますが、水循環は常に安定しています。

だから、将来電気は細菌胞子が少し湿ることで点灯しているかもしれませんね。

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