2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
Why Do We Keep Planting Trees That Smell Like Semen?(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:外では太陽が輝き、葉の生い茂る木々が並び、ドアから一歩踏み出して朝の新鮮な空気を吸い込みジョギングをすれば、素晴らしい一日の始まりです。それが強烈な嘔吐臭を肺いっぱいに取り込むことであれば、吐き気を催すことになるでしょうけど。
ただしその嘔吐臭は昨晩、隣人の足元がよろめく帰路に吐き出したものではありません。近くにそびえ立つりっぱな木から発せられているのです。
たくさんある数種類の木の中には、とてもとても不愉快な臭いをまとうものが存在します。しかしその臭いは少なくとも、その木にとっては有利に働くものです。
私たちはたとえそれが嫌な香りだったとしても、他の動物にとっては木々の繁栄のため、受粉したり種をまくために引きつける役割があります。そして少なからずの臭いをともなう木々も、私たちが街などに植え込みをするに耐えうる力強さみたいなものがあるのです。
有名なものの1つにイチョウの木があります。これはまた銀杏やメイデンヘアー(娘の髪の毛)の名でも知られています。イチョウはきれいな扇型で秋には黄金色に葉の色が変化します。イチョウは世界各地で古くよりその臭いを放っており、その歴史は2億年前にさかのぼり、化石として出土しています。
イチョウは産業革命後より私たちの街に生息し始め、その頃はロンドンのようにスモッグや汚染といった問題が街の木々を殺していきましたが、イチョウの木だけは例外でした。
都市開発に関わる人たちは世界中にイチョウの木を植え始めたため、ロンドンからソウル、そしてニューヨークに至るまで非常に多くの場所で見つけることができます。秋は過ごしやすい季節ですが、唯一の欠点としては、嘔吐物と腐ったバターを混ぜ合わせたような、なんとも言えない臭いがするといったところでしょう。
古生物学者いわく、少なくとも銀杏の香りは恐竜にとっては好物だったということです。
イチョウの木は雌雄異株の植物です。つまり繁殖サイクルのために雄株と雌株に分けられます。雄株は授粉のための花粉を作り、雌株は授粉したあと種子になる胚珠を作ります。授粉した種子は春の実りの時期に備え、冬には冬眠状態となり、9月から10月にかけ枝から落ちます。
冬の寒さを乗り切るために種子の外皮は3層でできており、柔らかく一番外にある層は肉質種皮と言われています。そして真ん中の層は硬種皮、一番内側にある薄い層は内肉質種皮と言われています。見た目は特大の黄色いサクランボのようですが、そのフルーツのような表皮が異臭の原因となっています。
熟し始める頃には2つのアロマ族化合物を放ちます。それが酪酸とヘキサン酸です。
研究者の調べでは、イチョウの木は恐竜やその他に有史以前の時代の動物を惹きつけるために、何百万年もかけてこの臭いを工夫してきたとのことです。動物が落ちた実を食べればフンをすることでいたるところに種を拡散し、さらにたくさんの樹木を育てていたのではないかとのことです。
しかしこれが雌株の種子だけの問題となると、都市開発に関わる人たちが雄株のイチョウだけを植え、異臭を排除すればイチョウのいいとこ取りができるのではないかと考えるでしょう。
しかしそれは叶わぬ願いでした。なぜならイチョウの木は性転換することができるほかに、突然性転換して雄株雌株の繁殖する数を同等にしようとしているのです。つまりどれだけ雄株のイチョウの木を植えても、だいたいその半分は雌株になり異臭を放ち続けます。
しかし街で見受けられる異臭を伴う樹木はイチョウだけではありません。美しくも吐き気を催すマメナシ(イヌナシ)もまたその1つです。春には桜のような、優美で白い花を咲かせます。しかしながらマメナシは甘い香りどころか、腐った魚もしくは精液の香りと表現されることがあります。
この臭気は花から発せられる化学物質で、とりわけトリメチルアミンとジメチルアミンといういくつか同じ化合物でできています。そしてこの化合物が、魚や貝などに「魚臭い」においを伴わせているのです。
この化合物は精液に含まれるアンモニア誘導体です。だから同じ臭気を発することも理解できますし、私が可能な限り説明したとはいえ、これまでに誰一人同じような調査をした人はいないのです。自身で同じことを検証したいのであれば、どうぞ。
樹木の花から発せられる強い臭気は、マメナシであれば他家受粉のみによる繁殖のためなので、蜂が他の樹木に花粉を運ばせるよう惹きつけるために放出されていると考えられています。
この適応は種にとって素晴らしい進化的な強みでありますが、樹木が密植された都市部にしてみれば問題となりえます。種の繁殖はとても早いですし、多くの場所では樹木は侵入生物種として自生植物種の生存に取って代わってしまうからです。だからたとえ白い花でいっぱいの木立が街を彩っていても、臭いだけが問題というわけではありません。
もう一つ恐ろしい臭いを伴うもばかみたいに一般的な樹木についてお話しましょうか? いいでしょう、それがニワウルシ、もしくは神樹とも呼ばれている樹木です。その枝はシダ植物のように外側に突き出ており、25メートルにまで成長します。街の中ではとても高い樹木です。
もしたったいま、あなたが中学3年生にかえった気分になることがあったら、おそらくこの神樹が「ブルックリン横丁」という小説に、象徴的な意義で何度か登場しているからでしょう。この小説はアメリカの多くの学校で紹介されているのです。
私が話した他の樹木と同様に、タフな木であり強烈な刺激臭という代価を伴います。その臭いは想像を絶するほど腐ったピーナッツバターや猫の尿にとても似ていますが、何度も言いますが私は普段は古びたピーナッツバターやペットの猫の尿を嗅ぎながら歩いたりはしません。
イチョウの木のように神樹も男と女の性を両方持つ雌雄異体ですが、種子の段階では雄株のほうが臭います。おそらく授粉のお手伝いをする昆虫を惹きつけるための臭いなのでしょう。
また生き残りを確実なものとするために、樹木はまた別の特別な適応能力を発達させてきました。つまり神樹は自生植物より大きく成長するため、除草剤的な役割を果たす樹液を出し、近くに密生する他の植物を殺します。
そういうこともありたとえどれだけ美しい緑樹が街に生息しても、それはもはや歯止めのきかない侵略種なのです。街に木を植え付けを行うとなると、選択肢も限られることも頷けます。多くの自生する樹木は、狭くて混雑した都会では生き残ることができないのです。公害も1つの原因となっていますね。
残念なことに都市設計家によって植えられたいくつかの樹木はたいへん臭く、生き残ることができたかもしれない自生植物の何もかもを殺してしまうのです。
しかしながらこのような自生植物を生き残らせ、拡散する努力も行われています。そしてありがたいことに、そういった植物は異臭を抑える手助けともなってくれるでしょう。
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