2児のパパ=レインボーパパ?

安藤哲也氏(以下、安藤):では、坪井さんの次は尾形さん。

尾形和昭氏(以下、尾形):はい。尾形和昭と言います。

安藤:この人も、同じ44歳ね。

尾形:はい。44歳で、1月産まれですね。1月23日ですけども。はい。

安藤:ここ、同級生。

小津智一氏(以下、小津):まったく同じ日に生まれて。44歳だっけ?

尾形:すいません。これ、サバ読んじゃいました。45歳です。

(会場笑)

ちょっとこれ、古い資料から持ってきたんで。妻は1人で。……今、笑うところです。

(会場笑)

娘が8歳。

安藤:娘だ、やっぱり。

尾形:息子が5歳。2人と妻とというかたちで、パパをやっています。で、レインボーパパ、けっこういるんですけど。これは今日はちょっとおいておきますね。

(会場笑)

尾形:2児(にじ)のパパ、、「虹」のパパなので、レインボーパパって言っています。

川島高之氏:ちょっと冷ややかな感じ。

(会場笑)

日本パパ料理協会の“腹”会長飯士?

尾形:ここでも大ウケする場合があるんですけども。今、ファザーリング・ジャパンにはけっこういろんな関わり方をしているんですが、ちょっと時間がなくて(スライドに)入っていませんけども、イクボスプロジェクトの事務局メンバーとして動いていたり。

あと、ファザーリング・ジャパン大江戸ということで事務局長をやっていたり。最近は、あまり活動ができていないんですけど、パートナーシッププロジェクトで、コアメンバーをやっていたり。

あと、それ以外でPTA。江戸川区に住んでいまして、小学校のPTAを今、(子どもが)小学校3年生で、8歳。それで、副会長2年目です。1年目はいろんな理由があってPTAの役員メンバーには入れなかったんですけど。

会長からは「すぐに会長をやってほしいから、尾形、入ってくれ」って、前年に言われていたんですけど「それはちょっと勘弁してくれ」って言って勘弁してもらって、PTAの副会長に2年生から入ってやっています。幼稚園のときは会長をやっていた繋がりで、その会長からコネがあったっていう。で、日本パパ料理協会。今日はパパ飯士は、この中には……。

安藤:いないね。

尾形:日本パパ料理協会っていう、男の料理とパパの料理の違いを説いている団体があって。

(会場笑)

それが、男の料理はいわゆる自分軸で、趣味の料理って言ったほうがいいかもしれないですね。だけどパパの料理は、家族思いの思いやり料理。家族思いのものなので。

要は主婦(主夫)と同じように、食事をつくるときも材料であり合わせのものでやったり、簡単にできることを少しでもやる、っていうことがすばらしいですよね、ということを伝えている団体の、“腹”会長飯士。誤字じゃないですよ(笑)。

(会場笑)

腹は、お腹。腹会長飯士っていう役職をもらって、今パパ料理のススメってことでいろんなことを。例えばで言うと、パパスクール。いろんな区でやったりするんですけど、ここの中で料理の講座をいれたりして。そこの運営をやっているので、そこでパパ料理を広めるっていうことをしています。

大規模な企業なら労働組合はほとんどある

尾形:ここで、ちょっと前なんですけど、マンションの管理組合の大規模修繕委員会って……マンションに住まわれている方はどれぐらいいらっしゃいますか。

(会場挙手)

半分ぐらいですかね。マンションって、管理組合っていうのがあると思うんですね。少し大きければ、必ずと言っていいほどあるんですけど、そこの中で12~3年に1回、大規模修繕というのがやってくる。

私、1年目のときに管理組合の副理事長をやることになってしまったんですね。十数年経って、そのタイミングで大規模修繕なんだけど、そこの現役の会長が理事長をやると、利害関係がそこだけに集中してしまうので。

別の人にやってほしいって言うんで、億を超えるお金の大規模修繕を、住民の人たちが積み立てたお金を使って傷んだところを修繕したり、改善したりいうことを決定する、委員長の経験があります。200世帯ぐらいなんで、けっこうな額になるんですね。

そういったこともやってきたという経歴があります。なんでこういうことをやったのかというと、労働組合がある会社の方ってどれくらいいらっしゃいますか。

(会場挙手)

これもやっぱり半分ぐらいですね。もうちょっと多いかもしれないですね。今、組織率18パーセントって言われていて、労働組合のない会社が多いんですけど、労働組合は大規模な企業であればだいたいと言っていいほどあって、その中の元委員長をやっていました。企業規模で言うと、3,000人を超える規模で、組合員が1,800人。そこの中の委員長なのでトップですね。

グループの労組の集まりでの役員経験もありまして、50,000人ぐらいのグループ労組の中の企画をするメンバー、事務局っていうのがあって、その事務局の事務局次長、お金を預かるようなことをやって。事務局として、協議会の中でどういう方針でいくか、活動方針の骨子案や企画を作ったりしてました。

変わったきっかけとなったEU視察

尾形:なので、いろんな企画をするなかで、事務局が発信をするベースをつくってきたというのが私の役割でした。いろいろやってきたんですけど、本業はパパですっていうのが、2人目ですかね。全員そうかもしれないですけど。こうは言っても、実は仕事がけっこう忙しくてワーカホリックでした。労働組合の会議で土日もいろんなところに出張したりして、土日も活動していたんですね。

労働組合ってワークライフバランスを推進しているところだと思うんですけど、そういう立場でありながらぜんぜんいけてない状態だったんですね。今でもほとんどの組合はそうだと思うんですけど。

これはまずいなと思ったときに、第2子の妊娠がわかり、そのなかで働き方を見直さないとやばいんじゃないかと。なんとかしないとなと考えているところで、ファザーリング・ジャパンに出会い、今に至る。

労働組合でもいろんな経験をしているなかで、ファザーリング・ジャパンに出会って。でも、私を一番変えたと思っているのは、実はここなんですね。労働組合で、ワークライフバランスを研究するため、EUに視察にいきました。

そのときにバスに乗って移動していたんですけど、そのなかで男の人たちがいっぱい集まっている場所があったんですね。

時間にすると、16時ぐらいです。なにかなと思ってバスガイドさんに聞いたら、「あそこは保育園だよ」って言われたんですね。男の人がベビーカーを運んでいる。「なるほど、ヨーロッパじゃそれが当たり前になっているんだ」と。

1人で育児をするのは大変なことだ

安藤:EUの視察で、日本ではなんでこうなってないんだろうと。

尾形:そうですね。ヨーロッパってなんでこうなんだろうっていうのが、そこで理解できなくて。バスガイドさんに「なんでですか?」って言ったら、「当たり前じゃないの」って。ベビーカーを押すのは重労働。だから、男の人がベビーカーを押す。

家族のために行くのは当たり前だよね。「あー、そうなんだな」と。そのときは腑に落ちなかったんですけど、でもそういう考え方って、日本人って根本から違う状態になってしまっている。

安藤:1人目(の子ども)のとき、自分がそういうことをやっていなかった?

尾形:はい、やっていなかったです。やらなくても、妻がいったん会社を辞めると言って。

安藤:離職しちゃったの?

尾形:はい。「辞めるわ」って言われたときも、私もその時は育児は自分の仕事でないって思っていた。

安藤:稼いでいればいいと。

尾形:妻が辞めてくれるって言うんだったら、稼いでいればいいんだと。「なんで辞めるの?」って言ったら、「3歳まで私の手で育てたい」ということを言っていたんで、「そうだよね。わかった、いいよ」って言って。今は、また仕事をやり始めていて、妻とは共働き。

安藤:第2子のときに育休を12日間とって、なにを感じたんですか。

尾形:そのときは、専業主婦ですよね。子どもが生まれて専業主婦の状態で、私も休みの状態、要は育休っていうかたちで、なんちゃってなんですけど。ここで感じたのは、これは1人で育児をするのは大変なことなんだと、まざまざと感じました。

あとは自分が家の中のことっていうか、物が置いてある場所もあまり理解をしていない。なので、なにがどこにあるか、まずそこから始まって。

安藤:昭和の男みたいだね。

(会場笑)

尾形:本当に昭和の男ですよ。なにが置いてあるかわからなくて、「ここにあるよ」ってことを聞きながら。でも、料理はしていたんですね。まさにそのときは、男の料理になっていたんで。

労働組合の目線から解決できることもある

安藤:昭和の男が大きい会社を辞めるときには、相当な勇気があったと思うんですが。

尾形:そうですね。今、世の中が変わってきているなっていうことを、ずっとファザーリング・ジャパンだとか、ワーク・ライフバランス社の小室淑恵さんの話を聞いたりとか。いろいろ行動している中で、世の中もけっこう変わってきているなと感じてたんですね。

このタイミングで、労働組合で今まで培ってきたことというのを自分だけで、ないしは自社の中だけでうまくやるってなんなんだろうなって思ったんですね。もともとは、労働組合の役員をやりたくて、やったわけじゃないんですけど。

安藤:悪性のストレスだね。

(会場笑)

尾形:はい。ですけど、やってみるとけっこういろんな課題を会社は抱えているし、労働組合自身もけっこう課題を抱えているなと。こういったことを労働組合の目線で解決をいていくっていうところで、ニーズがあるんじゃないのかと思っていて。それで独立を選んだ。

安藤:その独立も、労働組合の事業支援みたいな?

尾形:そうですね。労働組合が働き方改革っていう、ドライブがかかっている会社もかかっていない会社も、労働組合はなにをしたらいいんだと。ワークライフバランスってまだまだ、本当に腑に落ちている労働組合の役員ってあんまりいないんですね。

いるんですけど、まだまだ少数派で、どうやっていいかわからないという人も多い。自分たちが昭和の働き方をまだしていますから、そのギャップをどうやって埋めていったらいいか、というのを支援したくて。

安藤:執行委員長までやった、尾形君ならではのビジネスだよね。組合を支援していくってのはね。

尾形:そうですね。

安藤:奥さんは辞めるときは、どうでした?

尾形:妻は、そのときには私もすぐにYESかNOかって、返されるような聞き方をすると、これは絶対NOだと言われると思ったんで、少し工夫したんですね。

(会場笑)

辞める理由ではなく、やりたいことを話した

尾形:要は、嫁ブロックとか言われますけども、「俺、会社辞めようと思うんだけど、どう?」っていうと、YESかNOかっていうかたちになるじゃないですか。ないしは、「なにを考えてるの?」って。

なんですけど、私、聞き方をちょっと変えたのは、いろんなファザーリング・ジャパンの活動をしているなかで、「こういうことをやったらいいんじゃないかって思ってるんだ」っていうことを、丁寧に話をしたんですね。

安藤:やりたいことを言ったんですね。辞めたいことではなくて。

尾形:はい。「こういうことをやろうと思うんだけど、どう?」。それで、「会社を辞めようと思うんだけど、どれぐらいの期間だったら、収入が少ない状態でも許してくれる?」って聞いたんですね。

安藤:収入がなくなる、減る執行猶予はどれくらいか?

(会場笑)

尾形:執行猶予はどれくらいかって聞いて、うーん、っていうなかで答えが出てきたのが、6ヶ月って。

安藤:短い!

尾形:めっちゃ短いなと。

(会場笑)

でも、6ヶ月でも言ってくれたら、私はありがたかったんです。なんでかって言うと、YESかNOかって聞き方じゃなくて、6ヶ月って言ったら相手も考えてくれる。「6ヶ月でなんとかなるの?」って言われて、「うん、どうなるかはわからない」。それは正直に言いましたよ。

6ヶ月っていうなかでなんとかはするけれど、考えながら生み出すと思うんだけど、応援してくれるかって聞いたらそこはYESって。やっぱり、そこは聞き方。

安藤:昭和の男が、清水の舞台から飛び降りた感じがしますね。みなさん、応援してあげてください。よろしくお願いします。

(会場拍手)