都知事と党代表を兼務、小池氏が会見

小池百合子氏(以下、小池):みなさま、こんにちは。ご紹介いただきました小池百合子でございます。

お話がございましたように、8月に知事就任1年ということで都政についてのお話をこの場でさせていただくつもりにいたしておりましたけれども、当時、議会のほうで臨時会というのを開くことになりまして。国会でいうところの臨時国会でありますけれども。

その関係で日にちをずらしましたら、なんと飛んで火に入るなんとかになりまして、今日この日にお招きをいただくということになったわけでございます。

今日はそのことと都政について、それからまた昨日設立をいたしました、そしてまた私が代表を務めることとなりました希望の党を設立したばかりでございますので、若干そのことについてもお話をさせていただければと、このように思っております。

その前に、今日はみなさま方にいくつかオリンピックグッズもお配りをさせていただいているかと思います。こちらのオリンピックの入場券……と言いたいところですが、案内状でございます(笑)。

それから、こちらのほうはオリンピックバッジとなっておりまして、こちらはピンバッジではなくて磁石でくっつくようになっております。これから選挙が始まるということでございますので、“落ちない”バッジということで使い勝手もいいかなと思っております。

「希望の党」の名前の由来

それではまず、ちょうど昨日設立したばかりでございますが、希望の党、最初のチャーターメンバーの方々13人、そして私が、昨日、新宿のホテルにおいて希望の党をスタートさせたばかりでございます。

この希望の党という名前そのものは、テレビなどですでに紹介されておりますように、私はもう今年早々に商標登録も私の名前で済ませたものでございます。

「希望の塾」を昨年スタートいたしました。その希望の塾のネーミングも同じなんですけれども、私はこの日本、今、物は溢れておりますけれども、足りないのは希望と液体ミルクだということを常に申しておりまして。

やはり国民のみなさんが、都民のみなさんが、「やっぱり今日より明日のほうがいいよね」という、その希望を持てる東京、そして日本にしていかなければならない。常々そう思っておりますので、いつかこの言葉を冠したこの動き・活動をしたいと長年思っておりました。

その関係からこの「希望」という2文字を活用して、「希望の党」というネーミング、そして希望をみなさんに抱いていただける。

経済への希望、そして政治への希望、そして暮らしへの希望、家計への希望、教育への希望、すべてに通ずるこの希望ということをこれからしっかりとお訴えをしてまいりたいと考えております。

そしてそのためには、しがらみの政治から脱却をして、そして新しい日本、新しい東京を作っていかなければならない。そういう思いで昨年はまず都知事選に立候補いたしました。ご承知のとおりでございます。

自民党のご推薦等々いただくことなく、結果的には、本当にお一人おひとりの1票1票、291万もの方々のご支援を受けて、私は都知事に就任をして、そして1年が経った。

さらに今年7月には、自らの仲間ということで、議員をということで、都議会は55人の体制を整えまして、そして第1党ということとなりました。

そうやって一つひとつこれまで民意を問うて、そして改革を、しがらみのない政治、そして新しい政治を展開をしてきたところでございます。

「日本をリセットする」の真意

そのためにも、昨日の会見におきましても何度か「リセット」という言葉を使わせていただきました。今、日本を、そして東京をリセットしていかなければ、世界のこの激動・潮流に日本は置いてけぼりになるのではないか。都市間競争において東京は遅れてしまうのではないか。

そういった危機感が私をいつも募らせて、そしてさまざまな活動へと、このように背中を押されている。それは基本的に私が抱いておりますさまざまな危機感、そこをただ嘆いている、そして憂いているだけでなくて、アクションをとろうというのが私のいつものかたちでやり方でございます。

ということで、そのたびにアクションをとってまいりました。今回は国政のアクションをとった。最大の理由はなにかといいますと、なによりも安倍総理が突然解散総選挙をなさるということとなったわけで、そこから具体的なアクションをとったわけでございます。

都知事選になぜ立候補したか? それは言うまでもありません。前の知事が突然辞められたからそのアクションをとったということでございまして。ある意味、そういういろんなチャンスをいただいて、それぞれの対応をしてきたというのがこの1年少々でございます。

3つの柱で都政に取り組んできた

私は長年、ちょうど25年ですね、24年間国会におりまして、そしていろんな経験もいたしました。そしてこの日本が少しでもよくなるようにと努力をしてまいったつもりでございますけれども、しかしながら変えられるところもあれば、なかなか変えられなかったこともございました。

であるならば、国会の場でできなかったことを、むしろ東京という人口1,300万人の都市でやってみたらどうだろうか。それによってむしろ日本課題を、まずモデルとして東京で実現をしていくことが日本全体を引っ張っていくことにもなるのではないか。

そういう思いで、この1年間、東京大改革と称しまして、まず情報公開、この徹底。そしてまた都民ファーストの考え方ということで、例えば待機児童の問題につきましても、やはり働くママさんたちの声を活かしながら、実際に働く保育にあたる方々のニーズなどもうかがいながら進めてまいって、1万6,000人分の数も増やしたところでございます。

新しい定義が、待機児童の定義が変わりましたので、結果として数が増えているようではございますけれども、しかしながらしっかりとここに対応していくということは、やはりなによりもこれからの人口動態を考えてまいりますと、とくに都会における待機児童問題は喫緊の課題であるということで取り組んでまいりました。

そしてまたワイズスペンディングという観点から、オリンピック、そしてパラリンピックにかかる経費を改めて見直しをし、そしてより効果的な、かつ、これまでのオリンピック・パラリンピックの会場が終わったあとでなかなか厳しい状況になっている例は各地に残念ながらございます。それを避けるためにはどうしたらいいのかという、まさしくワイズスペンディングな考え方ということで取り組んでまいりました。

そしてこれらの、情報公開、都民ファースト、そしてワイズスペンディング、この3つを柱にしてこれまで都政ということを見直しを1年間し、同時に新しい種蒔きも行ってきたところでございます。

そこで私ちょっとご紹介しておきたいのが、先ほど人口動態ということを申し上げたわけでございますけれども……せっかくパワポ作ってきたのでちょっと使っていいですか?(笑)。はい、お願いします。

他国の後塵を拝す日本の衰退を憂う

これが日本と東京の人口の推移でございます。もうみなさまにはご説明の必要もないかと思いますが、2度目のオリンピック・パラリンピックを東京で迎えるにあたって、1964年とそして今回2020年ではまったく様相が違ってきているわけでございます。

そういうことを人口動態の、デモグラフィーの観点からどうあるべきなのかということは、東京という一番大きい人口、また東京一極集中ということで……。近々、文科省のほうで告示として出るんですけれども、東京23区内の大学の定員数を抑制するということが、これが閣議決定されて、かつ、告示で今後立法措置になるという話でございます。

ちょっと次(のスライド)ご覧いただきたいんですけれども、これアジアの大学のランキングでございます。例えば東京大学、これまでずっと1位でありましたけれども、もはやシンガポール大学やそのほかアジアの他の大学の後塵を拝するようになっている。

世界で見るとどうなのかということが次のランキングでございまして。2016年の段階で東大が39位であったのが、翌年にはなんと46位に後退している。京都大学はむしろ上がっているという状況ではございますが。

23区内のの定員の増減をどうするこうするの前に、やはり今、日本の大学そのものがいったい世界で見てどうなのかという、もっと本質論をしなければならなくて。

ただ23区内の大学の大学生の定員数をどうするかということに矮小化して、かつ、それで東京一極集中が解決できるかのような、そのような弥縫策というのをやめなければならないということを強く思っているところでございます。

ましてやこれからノーベル賞ウィークになるかと、たいへん日本の方が専門家が受賞されることを誰もが願って、今年も願っておりますけれども、今後ノーベル賞級の方々が実際日本からどれぐらい出ていくのかというのは、私はとても危惧するところでございます。

『Nature』(学術誌)などに掲載される本数であるとか、そういった傾向を見ておりますと、非常に先細りしているという状況に置いて、文部科学行政、今回も例の特区の問題で、教育の定員がどうだとかありましたけれども、もっと本質論が必要なのではないか。文部科学行政こそまさにリセットすべきことだと、私はこのように思っております。

財界の雄が苦境に立っている

それから、日本経済を見てみますと、これが、昨日も希望の党を作りました際に申し上げた点でございますけれども、私がキャスターをしておりました頃の92年93年、ちょうどバブルの宴が終わった頃ですけれども。

時価総額の1位はNTT、そして5位以下はズラーっと日本の銀行が並んでいるというのがこれが時価総額でいうところのランキング。

そして次が2007年という段階のものでございますけれども、ここは中国勢が一気にガーッと並んでるわけですね。

そして最近はどうかと言いますと、これがIT系かつグローバル系ということでございまして、日本を代表するような、また財界の雄の方々の企業が、今非常に厳しい状況にあると。

じゃあ、このあとどのぐらいの日本企業が世界を引っ張るグローバルな企業として出てくるのかどうなのかということについては、なかなかこのままでは厳しいというのが、私が懸念するところでございます。

そして、ちょうど今日のみなさま方の報道で、アメリカのトランプ大統領がキャンペーン中には法人税を15パーセントに減らすという話をしておりました。

今お示しをしているのが、みなさま方から見て左端の2本というのが今の日本の法人税でございますけれども、3本目のところの一番高い部分がアメリカでございますけれども、これを一気に25パーセントに、まあ議会対策もありますけれども、これだけをどーんと減らしていこうという話になっている。

私も党税調の一角に入れていただいて、議論のなかに加わらせていただきましたけれども、毎年年末に行われる税調は、各業界団体からの要望を聞いて、本当にわずかな税率の変化で勝った負けたと言っているわけでございまして。

世界のスピード、ダイナミズムに、このいつものようなやり方で本当にやっていけるのだろうかということをつくづく思います。

と同時に、東京におきましても、すでに82万件の空き家が出ております。相続税、そしてまたその空き家に対しての法律も改正をいたしておりますけれども、かたや金融のほうでは、せっせと地銀などがアパート建設などのほうにお金を出しやすくすると。

これだけ空き家があるなかで、こちらで空き家対策をしているのに、かたや空き家を増やす新しいアパートやマンションの建設が始まっているというのは、「これは整合性がとれているんだろうか」「どこでなにが話し合われているんだろうか」ということを大変危惧するわけで。

超高齢化社会の到来

そういったことでこの世界の中での競争、そしてまた、これから加速度的に進む人口の変化、こういったことに今の国政においてのしくみでは太刀打ちができないのではないだろうか。

よって、これまでアベノミクス「3本の矢」ということでですね、異次元の金融緩和、そしてまた、かつてない財政出動ということが2本の柱でございました。そしてまた成長戦略ということで3本の矢だったと、このように記憶いたしておりますけれども、確かにGDPは少しずつでも、まあイザナギ越えなどということも言われておりますが実感を伴っていない、そしてデフレ経済はそのままとどまっている。

一方で、人口の動態は激しく今後変わることが、こればっかりは嘘つかないですから、明らかに今後の超高齢化社会の到来というのは目に見えている。

そこに、これまで通りの延長線の政治でいいんだろうかということでございまして、今回私がリセットしたいというのは、そういった日本のディシジョンメイキング、意思決定の場である政治が、このままの流れで各業界団体の声を聞き、これまで通りの方法で、「去年よりは1パーセントいいでしょう」「交付金を少し積み増ししましたからね」ということだけで本当にいいのだろうかということでございます。