自民党と一対一の構図に持ち込む

前原誠司氏(以下、前原):みなさん、おつかれさまでございます。お集まりをいただきまして、ありがとうございます。

まず解散についてでございますけれども、再三再四、我々が国対やあるいは4党の幹事長会談での申し入れを行っていたにもかかわらず、まったく議論をせずに冒頭解散。

これは戦後初でありますけれども、冒頭解散をしたことについては極めて強い憤りを感じております。暴挙であると思っております。

しかし、解散がなされました。我々としては安倍政権をストップさせる、そのために、常に言っておりました、一対一の構図に持ち込むというところの結論を一定、常任幹事会、両院議員総会でいただきましたので、そういった方向のなかでこれからは取り組みをさせていただきたいと、このように考えております。

私からは以上です。

どういう思いで決断にいたったのか

司会者:それではご質問をお受けしたいと思います。挙手のうえ、社名・お名前をおっしゃった上でご発言ください。どうぞ。

記者1:テレビ東京の大江と申します。よろしくお願いいたします。代表に就任されて1ヶ月たらずで大きな決断をすることになったんですけれども、この決断にいたるまでどういう思いで決断にいたったんでしょうか?

前原:おっしゃるように9月1日に代表に選ばれて、まだ27日目でありますので、本当に目まぐるしい1ヶ月弱だったと思います。しかしながら、山尾(志桜里)さんの問題、そして相次ぐ離党者、そして解散というかたちになりまして。

我々としては、どう国民に責任を果たしていくべきなのかということを常に考えながら行動してまいりました。そしてみなさん方に常に申し上げてきたように、どうすれば小選挙区を一対一の構図に持ち込めるかということを考えておりました。

4党での協力ということも選択肢であったと思いますけれども、やはり1つは、我々としては、政策理念というもの、あるいは方向性で一致するところとより協力をしていきたいということのなかで。

この10日あまりでありますけれども、小池さんサイドといろいろ話をしていくなかで、内々、今日にいたる合意を2人の間で行うことになりまして。そして結果として、今日の常任幹事会・両院総会での決定にいたったということであります。

さっそくこれからは政策のすり合わせ、そして候補者調整、息をつく暇のない状況になります。もうさっそく先方から候補者調整についての提案がありましたので、それにもう実務的にはかかったところでございまして。しっかりと、日がございませんので、大事な条件を整えていきたいと、こう考えております。

前原氏は希望の党から出馬するのか

記者2:TBSの『報道特集』のカネヒラです。今回の決断、非常に劇薬というか、両院議員総会が終わった時に、ここに参加されていた方がこういうふうにおっしゃっていました。

「次の選挙では党名が消えるわけであるから、実質的な解党的な合流だと自分は考えている」と。こういうご意見をうかがいましたですけど、前原代表はそのことについてどうお考えか?

もう1つです。前原さんご自身は、出馬する際、この提案に従えば、希望の党公認ということでご出馬なさるということでよろしいんですか?

前原:我々は長い政治生活のなかで、ともに社会を考え、そして政策を磨いてきた仲間がたくさんいます。そしてその仲間との共通する社会像、自民党の自己責任型社会ではない支え合いの社会というものを作りたいという思いは一切変わっておりません。それをなんとか実現したいという思いでございます。

ただ、いくら商品がよくても、お客さんに買ってもらえなければ物は売れません。そうしたお客さんに買っていただける土台をまずはしっかり作っていこうということのなかで、今回の決断をさせていただいたということでございまして。

今後、政策合意の中で我々が目指す社会像というものをお互い共有をし、今度は大きな仲間になるわけでありますが、共有するなかでその社会実現のためにがんばっていきたいと、こう思っております。

2つ目のご質問でございますが、まだそこは、希望の党の公認候補で出るのか、無所属で出るのかということについてはまだ決めておりません。

これは極めてテクニカルな話でございまして。法律上は民進党籍を残したまま、例えば希望の党という、ある党の公認候補になることは法律上問題ありませんが、これについてどう考えるかということを少し整理をしながら、10月10日までには結論を出したいと、こう思っております。

記者2:解党的合流ではないということですね?

前原:うん、まあ、いろんな方々がおられますけれども、私は小池さんのおっしゃっているアウフヘーベン(注:いったん立ち止まって、より上の次元に向かうこと)だと。つまりは止揚だと、こう思っています。

先週の4野党会談で話し合ったこと

記者3:東京新聞のヤマグチと申します。よろしくお願いします。先ほど代表は10日あまり小池知事と話し合ったとおっしゃいました。振り返ればこの10日ほど、先週ですか、4野党の幹事長会談を設けて、小選挙区での候補者1本化に向けて模索するということをおっしゃってました。

そうすると、両睨みで両党と交渉していたことになるのか? ということと、その1本化についてですが、この4野党、足並みが乱れるということで、一対一の構図というのをしっかり作れる、実現できるというふうにお考えでしょうか?

前原:まず、4党の幹事長で集まったのは「国会を開け」「冒頭解散はまかりならん」ということで、それを確認するための4野党の幹事長会談でございましたので。

まあ言ってみれば、候補者調整とか、我々1回も使っていない言葉でありますけれども、1本化とか、こういうものの集まりであったわけではありません。

他方で、小選挙区でありますので、一対一でどう戦い仕組みを作るかということについては、それは今後も模索していくことにはなるんだろうと思います。

1つの今回の結論として希望の党と一緒にやっていくことになりましたけれども、ほかにも野党はおられるわけでありますので、これをどういうふうにしていくかということについては、今後、小池代表の意向も踏まえながら、模索をしていくことになろうかと思います。

希望の党に公認申請しても拒否・選別されるのでは

記者4:フリーのヨコタハジメですけれども。希望の党に公認申請しても拒否・選別される恐れがないのか、と。

旧社民党出身者は受け入れない趣旨の発言を小池代表がしていますし、とくに昨日も細野さんが安保法制の白紙撤回は当然見直すという発言をして、今まで民進党の立場・主要政策の「安法法制の白紙撤回」「特定秘密保護法・共謀罪廃止」の旗を降ろすことになるんじゃないかという懸念があるんですが。

排除の論理、とくにリベラル派と、主要政策の見直しを迫られるんじゃないか。2点についておうかがいしたいんですが。

前原:我々は一緒にやってきた仲間でございますので、この仲間の公認を目指すということでこれから交渉していくことになろうかと思います。それはもともとどこの党にいたかどうかということは、もう一緒になったからには私どもは関係ないという立場で臨んでいきたいと思っています。

私、細野さんがどういうご発言をされたかということについて存じ上げませんが、安保法制の廃止、憲法違反廃止ということを決めたのは細野政調会長の時だったと思います。

そういう意味においては、憲法違反というものについて、その疑義があるものについての白紙あるいは見直しというものついては、我々は少なくとも細野さんとの間では合意できるのではないかと思いますし。

我々もなにも日米安保がダメだと言っているわけではなくて、日米安保は極めて重要であると。 そして日米防衛協力の指針、ガイドラインの見直しによって、日米の防衛協力を進めていこうと。

こういうことのなかで、お互いの政府で合意したことをそれぞれの国が対応策、法整備を行っていくということのなかで行われたことについては、「すべてノー」ではありません。

したがって、我々は隙間のないかたちで見直しはするけれども、新たなものを現実的にアメリカとの交渉のなかで模索をしていくということでありますので、合意はできるのではないかと私は思います。

少なくとも細野さんとの間では合意できるんではないかと思いますし、我々もなにも、日米安保がダメだと言ってるわけではなくて、日米安保は極めて重要であると。

そして、日米防衛協力の指針、ガイドラインの見直しによって、日米の防衛協力を進めていこうと。こういうことのなかで、お互いの政府で合意したことを、それぞれの国が対応策、法整備を行っていくということのなかで行われたことについてはすべてノーではありません。

したがって、我々は隙間のないかたちで、見直しはするけれども、新たなものを現実的にアメリカとの交渉とのなかで模索をしていくということでありますので、合意はできるのではないかと私は思います。

民進党議員は離党して公認候補になる

記者5:読売新聞のマエダです。衆院選のことなんですけれども、民進党籍を残したまま、希望の党から出るのか、もしくは完全に離党して希望の党に移籍して、そこから出馬するのか。そこらへんの……。

前原:今朝も小池さんサイドと話をしまして、公認候補になる場合においては、今民進党に所属をしている方が希望の塔の公認候補になる場合は、離党して出るということを確認をしております。

私が先ほどお答えをしたのは、私民進党の代表ですので、私が離党をすると民進党の代表がいなくなります。参議院議員もいれば、自治体議員もおられ、そして党員サポーターもある。全国に組織がございますので、私は民進党の代表をやめるつもりはありません。

したがって、衆議院選挙に出るときにはどういうかたちで出るかということについては、私自身の問題としては、どうしようかということについては、今後検討を加えて判断したいとこう思っております。

後のメンバーについては離党して、当然ながら希望の党から公認候補として出るということであります。

どうしたらLGBTへの差別や偏見がなくなるか

記者6:ゲイレポーターのサカイユウトです。よろしくお願いいたします。

僕は今年、ゲイであることをカミングアウトしてから、気持ち悪いと言われたり、ケダモノと言われたりすることがあり、偏見の目で見られることも少なくないんですけれども、率直にうかがいます。前原さんはどうしたらLGBTへの差別や偏見がなくなると思いますか?

加えて、政治はLGBTへの差別や偏見をなくすために一体なにができるでしょうか。よろしくお願いいたします。

前原:人は法のもとで平等であり、そしてLGBTというものについては、これは多様な価値観というものを我々は認める立場でありますし、小池さんや、あるいは小池さんのもとに集まっている方々も、それについては全く同じ意見だろうと思います。

これをどういうふうに偏見をなくしていくかということについては、いろんな啓蒙活動も必要でしょうし。

あるいはみなさん方のような、そういった活動をしておられる方々にアドバイスをいただきながら、法整備が必要であるのか、あるいは自治体において条例が必要であるのか、そういったみなさん方の運動体とのさまざまなコミュニケーションをとっていくなかで、ぜひそういう偏見をなくす社会というのを作っていきたいと、こう思っております。

民進党代表として無責任では

記者7:TBSのコバヤシです。よろしくお願いいたします。所属議員がすべて離党して公認申請をするということですけれども。

リベラル派の議員のなかからは、「公認が得られる保証がないのに離党させるということは代表として無責任では」という声も上がっているようですが、代表としてどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。

前原:これから公認候補を決めていく作業をしますし、我々の要望というものをしっかりと先方にも伝え、もうこれから「先方」とか「こちら」とかいうことではなくて、同じ党で政権交代を目指すということになりますので、できるだけ早くこの公認調整は行っていきたいと思います。

先ほどお話をしたように、すでに先方から我々の公認候補のリストがほしいという話がありまして、そこをこれから相互に確認をしあって行く作業を何度か行うなかで、最終調整をしていきたいと考えています。

記者8:サンデー毎日のカワノです。共産党との選挙協力についてお聞きしたいんですけれども、すでに共産党の候補を取り下げた地区などありますけれども、そういった地区に共産党との対応はこれからどうやっていくんでしょうか。

前原:北海道、あるいは熊本において、民進党の県連でそういうお話をされてきたということについては認識をしておりますが、これは党本部にまだ上げていただいておりませんでした。

こういった問題は党本部で決めることでありますので、あくまでも都道府県レベルでお話をされてきたという認識で今おります。

どう一対一の構図に持ち込むのか

記者9:NHKのオイカワと申します。今の関連なんですけれども、先ほど代表、一対一の構図に持ち込むために引き続き調整したいというお話もありました。

一方で共産党との間では、理念・政策の一致がなければということを再三強調されていたかと思うんですけれども、今後その一対一に持ち込む上で、共産党との関係、どういう絵図を描いていらっしゃるのかというところを改めてうかがえますでしょうか。

前原:今までは民進党の代表としてお答えをしてまいりましたけれども、これからは新たな政党というかたちのなかで、この代表は小池さんがなられるわけです。

もちろん我々は一致協力して、一体化をしていくということにこれからプロセスを経て、なっていくわけでありますけれども、小選挙区というのは一対一に持ち込んだほうがいいと。しかしながらこれをどういったかたちで持っていくかということについては、希望の党という新たな党のなかで、話し合いで決めていくことになろうかと思います。

民進党はどうなるのか

記者10:NHKのニュースウオッチ9のクリハラと申します。事実上、希望の党に合流するというかたちになりますけれども、改めて民進党という党はどうなるんでしょうか。

前原:2つの意味でお答えしたいと思います。私は今日の両議院総会の冒頭でもご挨拶で申し上げたように、我々の理念・政策の旗を、あるいは求める社会像をおろすつもりはまったくありません。

それを実現するために、我々は新たなところにみんなと一緒に合流をし、そしてその社会の実現を目指すという、つまりは民進党の掲げた社会像を実現するという想いは全く変わっていないということは、まず申し上げておきたいと思います。

その上で、少しテクニカルな話になりますけれども、衆議院の候補者になる人は離党するわけですね。しかしながら、参議院、自治体議員、また地方組織、党員サポーター含めて、いまだに民進党として残っているわけであります。

こういうものについては、衆議院選挙が終わったあとに、どういうかたちでまた合流するかということについては、しっかり私は民進党の代表として残りますので、その選挙後に1つになることを目指して努力をしていきたいと、こう考えています。