私たちは重大な危険に直面している
ドナルド・トランプ氏:国連事務総長、大統領、世界のリーダー、代表者のみなさま、ニューヨークへようこそ。
私の生まれ故郷であるこの地で、アメリカ国民を代表してこの場所に立ち、全世界のみなさまに演説できることを光栄に思います。
何百人もの市民が我が国を襲ったハリケーンの壊滅的な被害に遭われました。援助と救援を申し出てくださった、この場所にいるすべての代表者のみなさまに感謝を申し上げます。アメリカ国民はこの厳しい状況からも立ち上がり、さらに強くたくましくなります。
幸いなことにアメリカ合衆国は、去年の11月8日の選挙以来、とても順調に歩んでまいりました。株式市場は記録的な高値です。規制やその他の改革によって失業者数は過去16年で最低になり、これまで以上に多くの人々がアメリカ合衆国で働いています。企業が国内回帰し、雇用創出はこれまでの長い期間に見たこともないほどです。さらに7千億ドルを軍と防衛のために計上しました。
我々の軍隊はこれまで以上に強靭になります。戦争と平和が紡がれた70年以上にわたって、国、活動家、宗教のリーダーたちがこの総会に集まってきました。彼らと同じように、私も今まさに直面している重大な脅威について演説しようと思いますが、それは今まさに解き放たれようとしているのです。
私たちは素晴らしい可能性の時代に生活しています。科学のブレイクスルー、テクノロジー、病気を治療する医薬品など、以前の世代ではどうすることもできないと思われていた問題を解決しているのです。
ですが、私たちが大切にしている価値すべてを脅威にさらす危険が、毎日のように報じられています。テロリストや過激派集団はより強大になり、地球上のどの地域にも広がっています。この場も代表している「ならずもの国家」は、テロリストを支援しているだけでなく、大量破壊兵器によって他国へも自国民にも人道的な脅威をもたらしています。
権威主義や独裁主義は、軋轢を起こさず世界が平和になるよう第二次世界大戦以来守ってきた価値観、システム、同盟を崩壊させようとしています。国際的な犯罪やドラッグ、武器の密輸や人身売買、不法移民は私たちの境界を脅かし、テクノロジーを活用した新しい侵略も市民を脅威にさらしています。
簡単にいえば、私たちは重要な約束と重大な危険の両方に直面しています。これは私たちが世界をさらなる高みに押し上げるか、荒廃の谷へ落とすかにすべてかかっているのです。
私たちにはそうする力があり、多くの人を貧困から救い、市民が持つ夢をかたちにし、子供たちの新しい世代が暴力や憎しみ、恐怖から自由になるために使うべきです。
未来への約束を勝ち取るために、過去の叡智から始めなくてはならない
この機構(国際連合)は2度の世界大戦の結果を受けて、こうしたよりよい未来を作るために設立されました。多様な国家が協調しながらそれぞれの主権を守り、安全を保障し、繁栄を促すというビジョンが基盤になっています。
まさに70年前、アメリカ合衆国はヨーロッパを復興支援するためにマーシャル・プランを推進しました。そこには3つの素晴らしい柱、主権、安全保障、繁栄という平和のための柱がありました。
マーシャル・プランは、各国が強くなり、独立し、自由になれば世界は一層安全になるという高貴なアイデアに基づいて提唱されました。トルーマン大統領は会議において、「私たちのヨーロッパのみなさまへの復興援助は、国際連合と完全に協調して行います。国際連合の成功は、参加各国の独立した強さの上に成り立ちます」と言いました。
今ある危機に打ち勝ち、未来への約束を勝ち取るために、過去の叡智から始めなくてはいけません。私たちの成功は、強さを1つにすることと国家の独立性にかかっています。各国の主権によって安全保障、繁栄、各国と世界の平和とが促進されるのです。
私たちは、多様な国家が同じ文化、伝統、ひいては政府の仕組みを共有するとは考えていません。ですが、すべての国が主権国家として次の2つの責務を果たすと期待します。自国民の利益と、他の主権国家の権利を尊重することです。これはこの機構の素晴らしいビジョンであり、協調と成功のための基盤です。
強い主権国家は、異なった価値観、異なった文化、異なった夢を持つ多様な国家と共存はしませんが、互いに尊重し合うことで共に歩むことができます。
強い主権国家は、自国民が未来を自分たちのものとし、運命をコントロールできるようにします。さらに、強い主権国家は一人ひとりが神の思し召しのままに繁栄できるようにもします。
アメリカでは誰かに生き方を強制することはせず、むしろ誰にでも見せられる輝きを放ちます。今週、私たちの国はこの点で誇りに思える特別な理由があります。愛すべき憲法が制定されて230周年であり、今でも使われている憲法の中では世界で最も古いのです。
この時代を超えた憲法はアメリカ人の、そして人間性や個人の尊厳、法の支配を重んじる世界中の国の何百万もの人々にとって、平和、繁栄、自由の基盤となってきました。
偉大なアメリカ合衆国憲法は、3つの美しい単語で始まっています。「われら人民は(We the people)」です。
何世代ものアメリカ人はこれまで献身的にこれらの言葉と、私たちの国と、偉大な歴史を守り続けてきました。アメリカでは人民が治め、人民が統治し、人民が主権者です。私は力づくに選ばれたのではなく、アメリカ人の一人ひとりが持っている力によって選ばれました。
外交問題においても主権におけるこの原理原則を新たにします。政府がまず優先させるべき義務は自国民、私たちの市民の必要を満たし、安全を守り、権利を保障し、価値を守ることです。
アメリカ合衆国大統領として、常にアメリカを第一にします。各国のリーダーであるみなさまも、同じようにそれぞれの国を常に第一にされるでしょうし、そうすべきです。
(会場拍手)
悪の根源は“ならずもの政権”
すべての責任あるリーダーはその国の市民に奉仕する義務がありますし、国家は国民の状態をさらに引き上げるためのものです。
ですが、自国民の生活をより良いものにするためには、すべての人にとっての安全と平和な未来を作るために、一層の調和と協調が求められます。
アメリカ合衆国はこれからも永遠に世界の、とりわけ同盟国の友人であり続けます。
しかし、これ以上、アメリカにとって何も見返りのない不公平な取り決めを交わし続けることはできません。私が政権を握っている限り、アメリカの利益を第一に守ります。
ただ、自国の人々のためにこの義務を果たそうとしているうちに気付くのは、すべての国が独立し、豊かであり、安全である未来を世界中の誰しもが望んでいるということです。
アメリカは、国連憲章で提唱されている価値観を代弁しているだけではありません。アメリカ市民は、アメリカの自由のみならず、ここにお集まりの多くの国々の自由を守るために多大なる代償を払いました。西はヨーロッパの海岸から中東地域の砂漠やアジアのジャングルに至るまで、我が国の若者たちが同盟国と共に闘い苦しんだ戦場でアメリカの献身的な愛情を確認することができます。
過去の悲惨な大戦で他の同盟国と共に勝利を勝ち取ったにもかかわらず、戦後の領土拡張を求めたり、自国のやり方を他国に強制させたりすることがなかったということが永遠に語り継がれるでしょう。その代わり、すべての国の主権や安全、そして繁栄を守るため、アメリカはこの国連のような機関の構築に尽力しました。
多様な国々が集まる世界に対する我々の望みはただ1つ。対立と争いではなく、調和と友情を求めます。我々はイデオロギーではなく、結果によって導かれます。私たちは、互いにすでに共有済みの目標や興味、そして価値観があり、原則に基づいた現実主義の政策を掲げています。
その現実主義があるため、今日ここに集まっている各国のリーダーはある課題に直面しなければなりません。決してこの課題から逃げることはできません。自己満足することなく、課題や脅威、そして戦争でさえもマヒさせます。
それとも、我々の市民が平和と繁栄を感じられるように、いま起きているさまざまな脅威と直面するだけの強さとプライドを持ち合わせていますか?
市民を元気づけたいと強く願ったり、歴史によって承認されたりすることを望むのであれば、統治国家としての職務を全うしなければなりません。我々は国家を守り、その利益や未来を守らなければなりません。西はウクライナから、東は南シナ海まで、主権に対するすべての脅威を排斥しなければなりません。
法を尊重し、国境を重んじ、文化を尊重することで平和な解決策が導き出されます。そして、この組織の創設者たちが期待したように、我々をカオスや混乱やテロで威嚇する国家に対しては一致団結して対抗しなければなりません。
世界における悪の根源は、国連の元になっているさまざまな原理原則を侵害する小さなならずもの政権です。彼らは自国の市民の権利のみならず、主権すら尊重しません。
もし正義の多数が邪悪な少数者と対峙しなければ、悪が勝利するでしょう。もし善良な市民や国家が歴史の傍観者になれば、破壊勢力は力と強さを増すだけです。
北朝鮮を完全に破壊する以外に選択肢はない
邪悪な北朝鮮政権に対してこれまで軽蔑を表明した国はありません。その結果、何百万人もの人が北朝鮮で飢餓に苦しみ、無数の刑務所での懲役・監禁、拷問、殺戮、抑圧が起こりました。
無実の米国人大学生、オットー・ワームビアさんがアメリカに戻った数日後に亡くなり、我々の政権は致命的な虐待を目の当たりにしました。また、独裁者の兄弟が禁止薬物を使って国際空港で暗殺されたのも見ました。さらに、日本の海岸から13歳の可愛い日本人の女の子を拉致し、彼女を北朝鮮のスパイのための語学教師として奴隷にしたことも知っています。
これだけではありません。核兵器と弾道ミサイルの追求は考えられないほどの人命の損失を伴い世界に脅威をもたらします。
このような国家と貿易するだけでなく、武器の供給や金銭のサポートをして、核紛争で世界を害する国家があること自体が遺憾です。
核兵器とミサイルで武装した犯罪者のつながりをみたい国など、この地球には存在しません。アメリカには優れた強さと忍耐があります。しかし、その存在自体や同盟国を守らなければならない時、北朝鮮を完全に破壊する以外に選択肢はありません。ロケットマンは彼自身、そして彼の体制にとって自殺行為であるミッションです。
アメリカには準備ができています。厭わず、実現可能です。しかしそれが必要とされないことを願っています。またそれが国連の全てであり、存在意義ではないでしょうか。これからが見ものです。
受け入れられる未来は非核化しかないということを北朝鮮は認識するべきです。国連安保理は2つの満場一致案を出しました。15対0で北朝鮮に強硬策を実施するというものです。他のみなさん同様、制裁案に投票してくれた中国とロシアには感謝しています。しかし私たちはもっとやらなければいけません。
敵対姿勢が終わるまで、全員が協力して金体制を孤立させるのです。この判断は北朝鮮だけに対するものではありません。昔、無謀な体制に直面していた国々です。大量殺人、アメリカへの死の宣告、イスラエルへの破壊、この部屋の多くのリーダーたちへの荒廃を公に話していた国家です。
見せかけの民主主義の裏で、イラン政府は荒廃した独裁主義を作りました。かつて富があり素晴らしい文化がや歴史があった国を、枯れた悪党国家へと変貌させました。その国の長は暴力や流血や混沌を世に送り出していました。
もっとも長く苦しんだのは彼ら自身です。資源でイランの生活を増幅させるより、その油はヒズボラや他のテロリストたちの手に渡り、罪のないイスラム教徒たちを攻撃し、平和なアラブやイスラエルを攻撃しました。
イランの人々に正当に属するこの富は、バッシャール・アル・アサドの独裁の手に渡り、イエメンの市民戦争を激化させ、中東全体の平和を害しました。
危険なミサイルを作る人殺しの体制に混乱を生む活動を続けさせるわけにはいきません。結果的に核開発の構築を意味する協定にも賛成できません。アメリカが関わった最悪かつ一方的なものがイラン協定です。簡単に言えば、あの協定はアメリカにとって恥でした。聞くに堪えないほどです、本当に。
イラン政府に死と破壊の追求をやめさせるために、全世界が私たちに協力すべき時なのです。不当に拘束された全てのアメリカ人と市民を開放すべき時が来たのです。