原発擁護派・反対派から「絶対なにか言われると思っていた」
竜田一人、『いちえふ』執筆時の覚悟

漫画「いちえふ」作者 竜田一人が語る「福島の今を知る3」 #5/6

漫画「いちえふ-福島第一原子力発電所労働記」の作者・竜田一人氏が、毎日メディアカフェに登壇し、当時の体験を語りました。原発作業員としての日常を丁寧に描いた「いちえふ」。同会では、竜田氏が漫画を描いた背景や、福島の現在などを参加者らに解説。本パートでは、参加者からの質問に回答。『いちえふ』発売前、原発に関するさまざまな議論に巻き込まれる懸念に対して、当時の心境を語りました。

続編で描いてみたいことはたくさんある

冨永氏(以下、冨永):『いちえふ』の続編の予定は?

竜田一人(以下、竜田):いろいろ描いてみたいです。周辺の事情はありますので。

冨永:大出版社から、鬼のような催促は来ないんですか?

竜田:なんか、ちょっと最近ほっとかれてるみたいで(笑)。それはそれでちょっと、もう終わりだって切られるのもちょっと怖いんけども、またなんらかのかたちで。

冨永:でも、ファンの方はたぶん待ってる。

竜田:そうですね、本当にそれも申しわけございません。

冨永:ちょっと難しい質問です。「竜田一人さんご自身が、原発について、どうしていくのがいいと思いますか」という質問が来てます。

竜田:割と聞かれるんですよね。「推進ですか、反対ですか」って感じでね。

もう、それに関しては、なにかを言ってしまうと結局、あいつはどっち側だってくくられたり、その言葉の端っこを切り取ってなにかの主張に、どっちかの陣営かに都合よく使われたりするので。基本的にそれに関しては、ノーコメントということを貫いております。

冨永:はい。恐らくご自身がご出身なのか、親族のどなたかが福島にいらっしゃるっていう方からのご質問なんですけども、テレビの天気予報、浜通り、中通りなどの、今日の天気はこうですよっていう情報のほかに、今日の放射線量もある。それ、どう思いますか。

竜田:だから、それは知りたい人はいますよね、気になる人。そういう人が知りたいと思ったら、アクセスできるところにデータを置いておくことが大事だと思います。

誰かが勇気を出せばやめることができる

誰でも見られるところに、最新のデータを、なるべくわかりやすいかたちで詳しく置くというのが大事だと思いますけれども、もういい加減、どうせなんの変化もないんだから。

でも、あれをやるのは時間の無駄だし、それをいつまでもやってることによって、さっきの風評みたいな話ですけども、危険だからやってんじゃないのっていう見方を、どうしてもされちゃうので。

冨永:ご質問されてる方も、そのニュースを見聞きするたびに、そのぶれないという部分があると。こういう放射線の情報を知らせずに済む日は、果たして来るのでしょうかっていう。

竜田:いや、もう来てるんです。やめればいいだけの話で、誰かが勇気を出して。そのときに批判はあるでしょうけども、やめてしまえば、別にそれで風評が再燃するということはないと思いますね。

冨永:なるほど。メールでいただいた質問は以上なんですが、せっかくなので会場のほうからもご質問受け付けようかと思います。ご質問ある方、第1号の方で手を……あっ、ありがとうございます。

質問者1:どうもお世話になってます。ビール瓶をいくつか贈ったこともあったんですけど。竜田さんが作業に行ったときに泊まっていた、日立出身なんですけど。

竜田:あー、そうですか。日立ですね。

なにかを言われることは最初から覚悟していた

質問者1:『いちえふ』っていう漫画を読んだり、自分も『廃炉図鑑』の方ときっかけがあって、実際に原子力発電の中に行ったんですけど。

その時行ったことを、やっぱりいろんな人に話を聞かれるんですけど、よく言われるのが「真実を話せ」とか、「東電の回し者」って言われたり。親父が原子力関係の日立にいただけで、加害者の1人だって言われることも一時はあったんですけど。

東電の回し者とか、東京電力と裏で組んでんじゃねえって言われたとか、みんな最初はつらかったかもしれないですけど、なにか吹っ切れたきっかけっていうのは。

竜田:吹っ切れたっていうよりも、最初から気にしなかったですね。漫画を描いて発表する時点で、これは絶対どっちからもなにか言われるなって思ってましたので。

反対のほうに逃げちゃった人からは、東電の回し者みたいな言い方、あるいはもっと陰謀めいたうわさとか流されるだろうなっていうのは、もう最初から覚悟してましたから。

案の定そういうのが起こっても、最初からとくに危惧しませんでした。言いたいやつには言わしとけですね。

質問者1:自分もそういうスタンスで。ただもう被爆とかに関しては、JCOの臨界が茨城にあるから、今さら知ったことではないって。要するに、1つ2つや変わらないから、そんなに別にいいかっていう感じです。

竜田:よくはないですけどね。まあ、あまり気にしないのもよくはないですけど。でも、そういうことですね。

結局、世間で騒いでる数値っていうのは、実際に体に影響が出る数値よりも低い数値で、ごちゃごちゃ言ってるわけで。それに関して、いちいち気にしてもしょうがないっていうことですね。

質問者1:どうもありがとうございました。

冨永:ありがとうございます。他にいらっしゃいますか。

セキュリティゲートにあったのは「ポケモンGO禁止」の看板!?

質問者2:私も昨年12月に、吉川さんと中を見学させていただいたんですが、いろいろとびっくりしたことがたくさんあって。超びっくりしたのは、普通の職場だと。

竜田:でしょう。

質問者2:普通に働いてる、ニコニコしながら出たり入ったりしてるっていうのはびっくりしたなと。そのときに入退のところ、セキュリティーゲート手前に、看板が置いてあったんです。そこに、「ポケモンGO禁止」。

(会場笑)

竜田:あー。当時流行ったらしいですね。

質問者2:ポケモンGOをやってる人はいないだろうなと思ってて。あれは一体なんなんだろうなって疑問だったんですけど。

竜田:結局、みんな電話は持ってますから、すぐスマホなり携帯電話なり持っていけるので、禁止される前にやってるやつがいっぱいいて。

私はこれをやってないのでよくわかんないですけど、けっこう、レアなやつが出るって話を聞いて。でも、歩きスマホばかりやってて、ぶつかって労災とかシャレにならないので、それで禁止されたんでしょうね。

質問者2:ありがとうございました。

冨永:ほかにいらっしゃいますか。

質問者3:すみません。漫画の中で仮設住宅って……。

竜田:あー、はいはい。

会場3:仮になにか現地で、草刈りとかで活躍するボランティア活動をやってる人たちがいると思うんですけど、それにも参加して、漫画にしようっていう気持ちはありますか。

竜田:私は草刈りとかっていうのは、残念ながらちょっと今までやる機会がなくて。機会があれば、ちょっとやってみたいなとは思ってるんですけども、それぞれが自分に得意なことをやればいいんです。

ボランティアというより遊びに行っているだけ

別に、やりたいやつがやりたいようにやるのがボランティアなので、もう私自身はボランティアっていう意識すらなくて。単に仮設のおじちゃん、おばちゃんのところに遊びに行ってるだけなんで。

実は先週も、あるところの仮設住宅に行って、このマスクとは別の姿で歌ってきたんですけども。もう、そこでの音楽活動の姿を知ってる人は……今(会場の人が)お笑いになりましたけど(笑)。

そんなんで、それぞれができることを好き勝手にやってるのが……だいぶボランティアの活動も減ってきて。震災発生直後、あるいは、その何年間後までは来たり出たりしてたやつとか、いっぱいいたんだけども、もう今はあまりいなくなっちゃったんで。

逆に、あの当時「被災地に力を!」とか言っていたミュージシャン連中は、今こそ行ってはどうかなと。お前らの情熱は今はどうなってるんだいう気がします。

(会場笑)

冨永:週末行かれてたのは、twitterで拝見してて。多少ギャラ的なものって出てるのかなと思ったら、身銭で行かれてるんですよね。

竜田:ただ遊びに行ってるだけですから。

冨永:やあ、すごいね。なるほど。

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