関東大震災の朝鮮人追悼文

記者3:共同通信のカワムラと申します。2点お伺いいたします。1点目です。毎年9月1日に都立公園で市民団体が主催で開催されている関東大震災の朝鮮人犠牲者の追悼式への追悼文送付に関してです。

これまで歴代の知事は追悼文を送ってこられたようですが、今年から知事が送ることを取り止めるということなので、これに関して3月の定例会の一般質問でも自民党の都議から慰霊碑の犠牲者数に疑義が呈されて、追悼文の送付を考え直すようにという質問があったかと思うのですが。

それも含めて、知事から改めて、どのようなお考えで追悼文の送付を取り止めるという決定をしたのかお聞かせください。

2点目です。少し話が変わるのですが、文部科学省が先週23区内の私立大・私立短大に対して来年度以降2年間定員増加を認めないという方針で、設置基準の告示の改正案を示しました。この告示は2年間限りの措置で20年度以降は定員抑制について新たな立法措置も検討しているとのことです。

知事はかねて知事会でも抑制に反対の方針を示していらっしゃいますが、この告示案が示されたことをどのようにお考えかということと。

この抑制をめぐっては各地の知事の中でも捉え方が差があって、この告示に関して言うと知事会の要望がかなり影響したという話もあるんですけれども、東京都として今後どのような対応をとるか、この2点をお聞かせください。

小池百合子氏(以下、小池):まず1点目のご質問でございます。横網町公園での追悼行事に関してのご質問だと思います。今年も3月に関東大震災と都内の戦災、遭難者慰霊大法要。9月にも行われるわけであります。3月には私はその大法要にも出席をいたしております。

その場で都知事として、関東大震災で犠牲となられたすべての方々への追悼の意を表したところでございます。ということで、すべての方々に対しましての慰霊を行っているということで、今回、特出しの意味で行なったわけではございません。追悼文を送ったということではございません。それに尽きます。

私立大の定員問題

それから2つ目のご質問でございますけど、23区の大学の新設増設学部の増設及び定員の問題については長年、長年と言いましょうか、この数年間ずいぶんクローズアップされてまいりました。

問題は2つあって、大学の問題とそれから東京一極集中の問題。これが非常に混乱して話し合われているではないだろうかということでございます。もともと工場等の規制法、これが緩和されて、なんと大学は工場等の等に読み込まれていたということでありますけれども(笑)。

今さまざまな学校の問題が生じてますけれども、私は大学が今後定員割れであるとか地方の大学ではやっていけないであるとか、そういったことを言われておりますけれども。それと東京一極集中との関連性は、私はなかなか見出しにくい。

その1つの証左として、実は今日の新聞に、私自身、自ら某紙に書かせていただいているんですけれども、今日本で1番人気のあるのは秋田の県立の国際教養大学というところで。

これは日本国内だけではなくて世界からも注目されている大学であって。つまり東京都内にあるから魅力があるのかというのではなくて、その教える内容についての魅力を感じて人気があるわけですね。

ですから私は今の日本の大学が抱えている問題と東京一極集中の問題とはまったく次元が異なる問題であります。

両方重要ではあるけれども、そこを混同して23区内の学部生の定員を抑えたからといって大学問題、とくに地方の大学問題というのが解決されるとは到底思わないというふうに私は考えておりますので、今の流れについてはどこか方向性が大いに間違っているのではと思っております。

その旨を先日の全国知事会で自ら出席をして申し述べたところ、意外にも何県の知事から賛同の意見を得たことは大変心強く思われました。

大学のあり方というのは本当にこれから日本の人材を育てていくということについては、もう少し本質論からやるべきではないかと思っております。それも含めて今の流れについては、東京都としてもこれは大きく異議を唱えていきたいと思っております。

朝鮮人の犠牲者について追加質問

記者4:朝日新聞のオカです。先ほどもあった朝鮮人の犠牲者の追悼式典に関して追加でうかがいたいです。今、知事が犠牲者全体への追悼の意を込めてというようなお話、理由の説明がありました。

主催者側からは一般の震災の犠牲になられた方と、それから不幸にして流言なのによって虐殺をされた人の手で殺された犠牲者の方への追悼というのは、これは意味が違うというようなことで意見も出されているわけですけれども。この反論については、知事はどうお考えでしょうか?

小池:それぞれ主催をされる方々のお申し入れというのは、切り口は異なっているかと思います。しかしいずれにしても不幸な死を遂げられた方に対しての慰霊をする気持ちには変わりません。

ということで3月と9月、都知事としてまた都としてすべての方々への哀悼の意を評するということは大変意味の深いことだというふうに思っております。

記者4:民族差別というものが背景にあるようなかたちで起きた不幸な悲劇について特別に追悼の辞を送るということについて、ここにはなにかしら特別な意味というのは見出されないですか?

小池:そこで民族差別という観点というよりは、私は災害で亡くなられた方々、災害のさまざまな被害によって亡くなられた方々に対しての慰霊をしていくべきだというふうに思っております。

記者4:去年も出されているわけですけれども、去年出されて今回は取り止めされたと、この判断の違いというのはなにか理由があるんでしょうか? 去年は判断を誤っていたという、そういう観点なんでしょうか?

なぜ今年は取りやめたのか

小池:一言で申し上げますと、こういう追悼文であるとかさまざまなメッセージについては都知事自らが案文を考えたりするわけではなく、また慣例的に、そのまま事務的に繰り返し日付だけ変えてかどうか知りませんけれども、送られるということもあるようでございます。

昨年は慣例的に事務的に戻していたといったことでございまして、私はあとでそのことについてたまたま知ったということから、今回は私自身が判断をしたということでございます。

記者4:去年は送られたと知らなかったということですか?

小池:そのような文言というかメッセージというのは、あちこちからお申し出がございますので、知っているものと知らないものと、そして問題のあるものと問題のないものがあるかと思いますけれども。

こういった背景等判断が必要なものについてはそれ以降きちんと私自身に確認を取るようにということを伝えたところでございます。

記者5:ジャパンタイムズのオオスミです。先ほどの質問と関係がありますが、都知事が今年追悼文の送付を断られたことによって、朝鮮人コミュニティの中では大震災のときに朝鮮人が殺害された事実が否定されることになるという批判の声が出ています。

それについては知事はどう思われますか? 実際はそういったことがなかったという批判に対してどう思われますか?

小池:さまざまな歴史的な認識があろうかと思っておりますが、この関東大震災という非常に大きな災害、そして、それに続くさまざまな事情によって亡くなられた方々に対しての慰霊をする気持ちは変わらないものでございます。

豊洲問題に尽力した小島顧問

記者6:産経新聞オオイズミです。よろしくお願いします。豊洲市場の問題についてお聞きしたいと思います。今も都議会では経済公安委員会が続いていて、そこで豊洲市場の問題について議論が交わされています。

今日の委員会でも指摘があったんですけれども、豊洲市場問題ですごくアイデアを出されて尽力をされてきたと思います。

小島敏郎顧問が公の立場を離れてという建てつけのようなんですが、いろんなところで関係者の方にご意見なり自分の考え方を示されて、それによって業者の方々でもいろんな捉え方があってですね。

業者の団体で小島さんの動きをめぐっていろんな意見交換がなされたりとかいろんな動きが出ている中で、そういった小島さん個人の活動とはいえ都の顧問というお立場があり、解散したとはいえプロジェクトチームを率いていた方だと。

そういった方が都民の目に見えないような水面下のところでいろいろ市場問題について働きかけ、動きをするというのは1丁目1番地とされる情報公開の面からも少し問題があるんじゃないかという指摘もあるんですが、そういった点について知事が今どう捉えてらっしゃるのかということと。

問題なんじゃないかという捉え方をしている都議会会派は、委員会での小島顧問の質疑を求めたりもしているんですが、例えばそういった小島顧問が公の場で質疑するとか、なんらかのかたちで会見をして情報発信をするとか、そういったことを働きかけるとかそういったお考えはありますでしょうか?

小池:PTが解散しているということと、それから小島さんは弁護士でもあり、かつこういった市場の問題について、加えて土壌汚染ということについてはまさしくプロとして、20年にわたってやってこられた第一人者であるわけでございます。

市場の関係者の方々に呼ばれて相談を受けて、それに対して意見を述べられるということは、個人として自然なことではないかと思っておりますので、それに対して私が「どうしてください」とか「行かないでください」とか、私は1度も申し上げたことはありません。

そことのやり取りがどうだったかということは、ずいぶんみなさんもご存知のようで、すでに公開されていると言うのに等しいのかもしれませんが、むしろ小島さんもいろいろと発信されているのではないかと思っております。

それから今ちょうど委員会も開かれているわけでございますけれども、誰に何を聞くかということは、議会のほうでお決めになっていることでございますので、それは見守っていきたいと思っております。

じゃあラストワンで申し訳ない(です)。

「特別なかたちでの追悼文は控えた」

質問者6:東京新聞のモリカワです。追悼文について追加でおたずねします。仮に昨年の追悼文が慣例的であったとして、知事は今年3月の議会答弁で「今後については私自身が目を通した上で適切に判断する」と答弁されています。

追悼文を実際に読まれたかと思います。昨年の1節を読みますと、「この極度の混乱のなか、多くの在日朝鮮人の方々がいわれのない被害を受け、犠牲になられたという事件は、我が国の歴史の中で稀に見る、まことに痛ましい出来事でした」とあります。

追悼文の中身を実際に読まれて、ご自身として内容についてはどのようにお考えであるのか。内容に違和感があるのかないのか、あるいはどのようなご感想をもたれているのか、そのあたりはいかがですか?

小池:基本的に関東大震災という大変大きな災害があり、そしてそれに付随したかたちで、関連したかたちで、お亡くなりになった方々というのは、国籍を問わず多かったと思っております。

その意味で、3月そして9月の大法要ということについては、すべての方々について慰霊を行っていく。という点については変わりがないわけでございます。

これまで毎年出していたということについては、そういう見方もあるだろうと思いますけれども、私は今回はすべての方々への法要を行っていきたいという意味から、今回特別なかたちでの追悼文を提出するということは控えさせていただいたということでございます。

以上です。終わりです。