「ビジョンを社員に伝え続けていくこと」 マネックス松本大氏が語った、企業が成長するために必要なものとは?

Session 7-A 成長を続ける力 #1/3

IVS 2014 Spring
に開催

ネット業界で世界を舞台に活躍し、今なお急成長を続けるベンチャー企業の経営者3名-マネックスグループ・松本大氏、GMOインターネット・熊谷正寿氏、LINE・森川亮氏-が一同に会し、企業が成長し続けるためのノウハウや仕組みづくりについて語り合いました。

「成長を続ける力」セッション開幕

関口和一氏(以下、関口):皆さんこんにちは、日経新聞論説委員の関口でございます。ただいまより、成長を続ける力と題しまして、セッションを開始したいと思います。今日先ほど皆さん全員そろったばっかりで、何の打ち合わせもしていなくて、しかもテーマが「成長を続ける力」なんて直球のお題をいただいたものですから、正直どんなふうに進めていいかと思っているところなんですけれども。

皆さんよくご存知の方ばかりで、この世界では大成功された3人のパネリストですので、あえてここで、ご紹介ということは私の方からはいたしません。このセッションを通じては、今のこの日本の経済環境の中で、あるいは、世界の経済環境の中でどうすれば会社の成長、持続的な成長ができるのか、この辺のノウハウとか秘訣をお聞きすると同時に、せっかくの機会ですので、3人の方の心の中に秘めた思いとか、あるいは夢とか長期的なビジョンですとか、こういったものをお聞きしていきたいと思います。

1時間15分時間がありますので、私からの質問だけではなく、後半のほうは広く会場にオープンにして、皆さんからご質問いただければと、このように考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。では、座らせていただきたいと思います。

最初に何もたたき台がないと何ですし、せっかくですので、おさらいという意味で、皆さんの会社の近況といいますか、最近どういう事業をやってらっしゃるのか、売上の規模などもどのくらいになったとか、あるいはこういう新規事業をやるんだとか、そういったようなことを5分ずつぐらいで結構ですので、順番にお聞きしてよろしいでしょうか? では、目が合ったから、森川さんのほうからいきますか。よろしくお願いいたします。大きな拍手でお迎えしたいと思います。

(会場拍手)

LINE株式会社・森川亮氏、事業紹介

森川亮氏(以下、森川):皆さんこんにちは、LINEの森川です。僕たちの会社はちょっと複雑なのですが、もともと2000年に会社をつくりまして、そのときはゲームの会社「ハンゲーム」という会社と、「NAVER」という会社がふたつバラバラだったんですね。そのあと合併をして「NHN」というふうになりまして、さらにその後「livedoor」が一緒に加わって、3年ほど前にLINEが生まれて、去年ゲーム事業とそれ以外が別れてLINEという会社ができました。

なので、一応14年ほどたっていますが、LINE単体としては3年という状況です。ゲーム事業をやって、ポータル事業をやって、検索の事業をやって、今LINEなんですけれども。ここ3年ほどは、今までのPCからスマートフォンに大きく変わって、またそれだけではなくて、海外のユーザーが圧倒的に伸びていまして、それも日本、アジアが強かったのが、最近はヨーロッパとか中国とか、北米まで伸びてきていて。

そういった意味だと、アジア以外の地域も、すごく可能性が出てきたということと、またビジネスの領域も、もともとやっていたゲームもやっていたり、Q&Aをやったりとか、またニュースもありますけれども、最近Eコマースを始めたり、電話の事業を始めたりとか、そういう新しい方向にも広がってきていて。なので、今回成長というところで、いろんな可能性があると思うんですけれども、全く新しい分野に入っていくプラットホームができたということで、すごく成長の核になっているのが、今の状況です。

マネックスグループ株式会社・松本大氏、事業紹介

関口:ありがとうございます。それでは続きまして、松本さんにお願いしたいと思います。 松本さんと私はお会いするのは、もう10年ぶりくらいですよね。確か米国のアスペンで開かれたアスペン会議というのに一緒に参加しましたよね。ところがカリフォルニアからアスペンまで飛行機が向こうで飛ばなくて、ドライバーとバスを借り切って、日本から参加した8人ぐらいが一緒にそれに乗って、確か行ったんじゃなかったでしたっけ?

松本大氏(以下、松本):そうですね。10年前の話ができるというと、ずいぶん歳とったことがバレちゃうんですけれどもね(笑)。

マネックス証券の松本です。私は1999年に会社を4人でつくりまして、当時は本当にSOHOみたいな感じで、オンライン証券のはしりをつくりました。そのあといろいろ買収とかを重ねまして、だんだん大きくなってきまして、数年前に香港のオンライン証券を買収して、3年前に当時上場していたアメリカで5番目に大きいオンライン証券会社も買収しました。

今、アメリカと日本と香港の3カ所でオンライン証券業をやっていて、オンラインでもオフラインでも、アメリカと日本と香港で個人投資家向けの証券業やっている会社は世界中でうちだけなんですが、そんなこともやっています。

為替では世界150カ国にお客様がいて、世界に12拠点のオフィスがあり1,000人ぐらいの社員がいるんですけれども、7割方が今アメリカにいる状況になっています。収益は日本がやっぱり多いのですけれども、アメリカとかヨーロッパもそれなりにありまして、ですから扱っている商品もグローバル化をしていて、お客様もグローバル化をしていて、経営体制もグローバル化を進めている、そんな感じでやっています。

オンライン金融の世界に新しい風を

松本:オンライン証券は、15年前にできて、当時はオンライン証券というだけで面白かったんですけれども、最近なんかつまらないって、自分で言うのもなんなんですけれども。あまり差別化できなくなってきていて、うちのマネックス証券のイメージ調査なんてやったら、オンライン証券の老舗なんていうふうに言われてですね、侮辱的な言葉で。そんなこと言われてどうしようと思って、これはちょっと変えないといけないと、面白く。

ということで、最近新しいことをいくつかはじめまして。今朝launch padの審査員をさせていただいたときにも話したのですけれども、マネックスベンチャーズという会社、これはもともと当社はライフネット生命のインキュベーションに関わったり、ユーザベースさんとか、マネーフォワードさんのエンジェル投資をしたりもしてきているんですけれども、マネックスベンチャーズというふうに衣替えをして、日本で面白いスタートアップの会社をもっとよく知ろうとか。

あとアメリカでもMITメディア・ラボ。これは、Google Glassとか、SquareとかMindstormsとか、全部もともとはMITメディア・ラボから来ているんですけれども、そこの、コンソーシアムメンバーというのになって、MITメディア・ラボのIntellectual Property(知的財産)の情報を得たり、アメリカのシリコンバレーとかフィンテックのファンドのベンチャーキャピタルファンドなんかにもLP投資をし始めて、アメリカでも1番面白い技術をよく見て、日本でもスタートアップの方ともっと仲良くなり。

そういうのを、もう1回オンライン証券、オンライン金融の世界に、新しいアプリケーションとかアイディアをつぎ込んで、15年前みたいに面白い、何か違うねというものを、もう1回つくろうというふうに今やっている。そんな状況です。

関口:今日も海外から来られて、16泊連続外泊したそのまま来られたとお聞きしましたけれども……。

松本:16泊17日の海外出張の、今日17日目でして。だから最終日だけは国内なんですけれども。ずっと旅芸人のようにぐるぐるぐるぐる回って来まして。まあ、IRと色々オフィスがあったりするので。そんな感じでやっております。後悔していますけれども(笑)。

関口:ありがとうございます。

GMOインターネット株式会社・熊谷正寿氏、事業紹介

関口:では、熊谷さんお願いいたします。

熊谷正寿氏(以下、熊谷):皆さん今日はどうぞよろしくお願いいたします。GMOインターネットの熊谷です。私どもですが、現在やっております事業領域は4つです。皆様に大変にお世話になっているWebインフラの領域、インターネットメディアの領域、ネット証券の領域、あとは今スーパーレッドオーシャンのマーケットに投資をしていますが(笑)、モバイルエンターテインメント、モバイルゲームの領域。4大領域が今の事業領域です。

会社の数が上場企業6社を中心とする、今82社になっています。仲間の数、スタッフの数は4,000名ぐらいです。今期が開示ベースで1,050億、経常利益は125億円の見通しになっています。こんな形なのですが、一番力を入れていますのは、第4の柱にしようということで、モバイルエンターテインメントの部分に相当投資を行って、3年目にしてやっとブレークイーブンかなと。今300名ぐらいが関わっていると思うのですけれども、来期以降、収益貢献してくるだろうというようなところです。

次に見ていますのは、やっぱりアジア市場の開拓ですね。ネット証券は今、香港とイギリス、アジアではないですけれどもイギリス。あとはWebのインフラ事業が非英語圏のアジアに拠点をどんどん設けていっておりまして、今4,000人のうち大体15%に満たないぐらい、13、4%ぐらいの仲間たちが海外のスタッフになっております。1番人数が多いのはベトナムでございまして、ベトナムは300名にちょっと満たないくらいのスタッフが活躍をしてくれています。

成長のきっかけは、自分1人では何もできないと気づいたこと

熊谷:今日は試練というテーマだったと思いますけども、僕なりの試練……、試練じゃないや、成長だ……(笑)。すいません。今日のテーマは成長だったと思いますけれども、僕なりに成長の定義というのはですね、僕は座右の銘で、「学とは、いかに自らが知らざるかを知ること」。「学ぶとは、いかに自分が知らないかに気づくことである」と。というのが僕の座右の銘のひとつなんですけれども。

自分で、人生50年振り返ってみると1番成長したときって、やっぱり自分が1人では何もできないと気づいたときで、これがすごく成長のきっかけになったなというふうに思います。やっぱり仲間の力を結集してこそ物事を成し得るということに気づいた。

あともうひとつ自分が成長したなと思うときは、やっぱり大きな困難に直面したとき。皆さんご存知だと思いますけれども、僕は2007年に400億円ぐらい損して、会社を潰しそうになったことがあって、そのときに自分も会社も大きく成長したというのを覚えています。社内にスピリッドベンチャー宣言というのがありまして、うちのグループで社の社訓を集めた正典みたいのがあるのですけれども、そこは過半数の関係者が賛同すると、書き加えたり削除したりできるんですね。

その1番苦しかった時期に、その年に入社した新卒の仲間たちが、スピリットベンチャー宣言に1行書き加えてくれたんです。僕は代表と呼ばれているのですけれども、「代表、この1行を書き加えましょう」と新卒の仲間たちが加えてくれた1行は、「困難は成長のための試練である」と。こんな言葉を400億損したときに書き加えてくれました。はい、ということで本日のテーマ……。

関口:いやあ、美しい話をありがとうございます(笑)。

熊谷:はい、以上でございます(笑)。

「成長」をどう定義すべきか

関口:思わず書き留めちゃいましたね。本当にね。ありがとうございます。せっかく熊谷さんのほうから、成長力の定義を今お話いただいたので、松本さんと森川さんにも「成長力って何なんだ」ということをお聞きしたいと思うのですけれども。では、森川さんどうですか?

森川:難しい質問ですね(笑)。会社というのは、成長が社員にとって1番のモチベーションになると思うんですよね。ですので、成長を諦めた時点で会社を諦めるとイコールだと思うので、やらなければいけない根本的な部分だと思うんです。ただ、成長といってもいろんな成長があると思うんですよね。今のものを伸ばす成長、もしくは全く新しいほうにチャレンジをする成長。それは事業もそうだし、人もそうですよね。

結局、インターネットの世界だとそこにいる社員が成長しない限り、会社は成長しないので、それをどう組み合わせて成長をつくっていくのか、ということが1番重要なのかなと考えております。

関口:松本さんはどうですか?

松本:成長っていろんな定義があると思うんですよね。時価総額だとか、利益だとか、給料だとか、社員の数であるとか、なんでも成長といえるので、何を定義するかだと思うんですけれども。

私は最終的には、お客様の数と、お客様向けのサービスの向上なんじゃないかなと思うんです。そのふたつがあれば、お客様向けのサービスの質量というか、それが増えれば、いろんなものがついてくると思うので。それをデザインするというか、ビジョンを持って、それに向かっていろんな企業活動をしていくということなんじゃないのかな、というふうに僕は思うんですけれども。

例えば、日本の金融機関では、時価総額がずっと大きくなり続けているが、1株あたりの価値は全然増えていないとかですね、あるいは、お客様の数は多いけれども、サービスは別に全然良くなっていないとか、そういうのは成長ではないと思うんですよね。成長というのはやっぱりお客様のサティスファクションの質量が増えること、数と深さが増えることが1番大切だと私は思いますね。

人の成長こそが良いサービスを生み出し、企業の成長につながる

関口:熊谷さん、先ほどは自分が知らないことを知るという、どちらかというと、精神的なことをお話していただいたと思うのですけれども、その成長の尺度というかですね、熊谷さんにとって成長というのはどういうことを指して成長というふうに言ったらいいのですか?

熊谷:事業をやっていく上で、やっぱり1番大事だというのは、お客さんが喜んでくださることだと思うんです。そのためには1番のサービスを提供しなくてはいけない。1番のサービスを提供するとひと口で言うけれども、すごい大変で、エンジニアの方、クリエイターの方が、日夜血のにじむような努力をして、やっとそういうものを作り上げて、マーケティング関係者がそれを販売していく。

それってみんな1番のサービスを提供するには、苦労して関係者が日々成長していかないと。技術も考え方もノウハウも成長していかなければいけないし。この苦しみと成長が結果として、1番のサービスを提供して、それが業績の成長につながって、時価総額の成長につながって、株主さんの資産の成長にもつながって。笑顔の循環ができるんだと思うんですよね。

僕はやっぱり元をたどると、人の成長こそがサービスの成長につながって、企業の成長につながると思うので、そういう好循環をつくれたらいいなあというふうに思います。こんなんで回答になっていますでしょうか?

関口:もちろんなっています。大丈夫です。

トップとボトムのモチベーションが共有されているか?

関口:日本でアベノミクスがスタートしたことで、久しぶりに成長ということを表立って言える雰囲気になってきたと思うんですよね。それまで成長といっても何となくピンとこない。それと日本自体が「失われた20年」ということで来てるものですから……。

うちもガキが3人いるのですけれども、1番上の女の子が平成元年生まれなものですから、生まれ落ちて気づいたときには、もう日本は成長が止まっていたと。家の中で成長といっても成長って何なんだっていう感じで、ほとんど自分の肌で感じてないわけですよね。物価が上がっていくということも知らないで育ってきている。

そういう世代がどんどん増えている中で、そういう方を社員として皆さん雇い入れていると思うのですけれども。今おっしゃっている成長というのは、ちゃんと社員と意識が共通化されているんですかね? どうですか。熊谷さんところなんかは。

熊谷:「人の成長が、サービスの成長」と先ほど申し上げました。それは企業の成長と申し上げたのですが、人の成長のベースはやっぱり夢、目標、それと困難ですよね。試練。やっぱりここが人を1番成長させるので、ポジティブには高い目標を持って、高い夢を共有して、苦労していくという。

あとはやっぱりストレートにはいかないわけで。それこそ僕はビジネスは和訳すると戦(いくさ)だと言っているんですけど、戦なのでやっぱりみんな毎日毎日、試練じゃないですか。高い夢、目標と困難が人を成長させるんだと思うんですよね。そういうふうに考えています。

成長への意識を社員と共有するための「仕組み」が必要

関口:松本さんのところの社員はどうですか? 外国人が多いでしょうから、日本とまた違うのでしょうけれど、成長については社員とちゃんと意識をひとつにできているのでしょうか?

松本:できていますって言いたいのですけどね、そんな簡単じゃないですよね。それはやはり経営者はいろいろ考えるわけですよね、成長とかそういうビジョンみたいなものを。だけれども、社員がみんな同じようについてきてくれるかというと、そんなことはないですよね。

日々の仕事があり、日々間違いを起こさないことも重要であったりと、いろんなことがあるので、そんな簡単には皆ついてこないですよね。でもそれを、そう言い続けなければいけないという、そういうことだと思ってやっていますけれども。

関口:森川さんのところはどうでしょう?

森川:そうですね。われわれはLINEが相当伸びていまして、地域もそうだし、国の中のサービスのラインナップもそうだし、それを考えると社員の人も、成長しないとついていけないなという危機感は言わなくても感じているのかなというふうには思いますね。

成長というのは、坂道のように右肩上がりというよりは、僕はジグザグの階段のようなものだと思っていて、この大きい階段を上るときというのは、上のリーダーなり、指導する人がその階段をちゃんと見せてあげて、また、上がった後でそれを褒めてあげるような、そういう仕組みが必要だと思うんですよね。

また、BtoCの場合は、逆に上司が多少ダメでも、お客さんが褒めてくれたりとか、感動してくれたりするので、そういうエンジンがあると、より成長しようという気持ちになるような気がしますね。

松本:ちょっといいですか?

関口:どうぞ。

松本:あの、会社つくったとき、どベンチャーのときというのは、別に何も言わなくてもみんな、もうすごい成長志向があるんですよね。だんだん大きくなってくると、だんだん守るものもできてきたりして。そうすると今度は上場しようとか、今度は買収しようとか、香港いこう、次はアメリカにいこうとかですね、どんどんそういう新しい目標設定というか、新しい坂をつくって、みんなで頑張って登るというふうにやらないと、どうしても怠けちゃう……怠けちゃうというと言い方がよくないのですけれども、慣れちゃうというのはあると思うんですよね。

だから、その会社のステージによって成長のイメージも違うし、ステージによって社員のみんながそれを抱えるのがナチュラルな場合と、ナチュラルじゃない場合というのも違うんじゃないのかなと……。それに応じて、うまく成長の絵を描いたり、引っ張っていったりしないといけないのかなというふうには思いますけれどもね。

※続きはこちら! 「LINEというハコはできた。あとはなにを載せるか」 森川社長が語る、事業成長の"核"とは?

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