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『最強の働き方』ムーギー・キム氏トークイベント(全7記事)

自己肯定感の基本は「自分軸で生きること」 一流のリーダーたちに学ぶ、モチベーションの作り方

ベストセラー『最強の働き方』『一流の育て方』などの著者ムーギー・キム氏の「最強の社員研修セミナー」が東洋経済新報社にて行われました。世界中のさまざまな業界で仕事をしてきたキム氏が、さまざまなビジネスリーダーに話を聞いてわかった「モチベーションの源泉」について語りました。

自己肯定感の基本

ムーギー・キム氏(以下、ムーギー):ただ、そんななかでも、やっぱり充実してる人の共通項ってあるわけですよ。

そういったことの共通点について、第5章では書かせていただいています。それが本日のお話のコアな部分と被ってくるわけですけども、一言でいうと、どうやったら前向きのモチベーションに溢れる人生が送れるのかと。

これはね、ミリオンダラークエスチョンですよね。とくに日本の場合、おもしろい調査結果があって。自己肯定感の低い国ランキングって、日本が1位なんですよね。知ってました? びっくりでしょ?

ちなみに韓国が2位で。つまり私なんか、どっちにいっても自己肯定感が低すぎる中でどうやってこんな自己肯定感が高まっちゃったかと。私好きで好きでね。自分のこと。っていうとブワーッと炎上するのでね、恐ろしいんですけれども。

(会場笑)

でね、この5章では、自己肯定感が高すぎる人たちにバーってインタビューしたんですよね。第5章について書くにあたって、どうやったら人って自分のことを好きになるんだろうと。

そのなかで、1人良いインスピレーションをくれた人が、今ベンチャーキャピタルで活躍している高宮慎一さんなんですけども。非常に立派な方でね、私のコンサルティング時代の先輩なんですけども、その方が、はたから見ると煌びやかなキャリアなんですよ。帰国子女で、東大行って、そのあと私がいたコンサルティングファームに行って。そのあとハーバードに行って、と。

でも彼が言ってたのが、どうしても自分を好きになれないんだと。その理由が、俺は器用だから、やってると何でもできると。ただ、今まで仕事を選んでた軸っていうのが、自分は何ができるかベースで仕事を選んでたから、「あ、できる」と。賞与評価もされるし昇進もすると。

だけどあるとき、これは俺がやりたい仕事じゃないよね、ということに気づいたと。その後に彼が、周りから社会的に評価される仕事とか、もしくは自分ができる仕事じゃなくて、原点に帰って、結局自分は何やりたいの軸で、自分軸ってなんなのかっていうのを問い直してみたと。

自分にとって大切なものってなんなのかねぇと。自分の価値感って言われてもなかなか答えられないですよね。つまり、あなた誰って質問が一番困る質問ですよね。で、もう1つの質問で困るのが、「あなたにとって一番大切なものってなんですか?」と。これ、パッと答えられる方……一番大切なものはなんですか?

『最強の働き方』ですとか、そんな答えでもいいですけど。

(会場笑)

回答者1:命かなと。

ムーギー:そりゃそうだよね(笑)。N大先輩どうですか? 一番大切なもの。私の人生で一番大切なものは何かなって。

N:大切なものですかぁ……。

ムーギー:自分が大切にする時間、とかね。

N:時間ですかね。

ムーギー:時間、大切ですよね。そこでその高宮さんが実感したのが、あぁ俺がやりたいのはデザインチックなことが好きだなぁと思って。とくにアーティストとビジネスの橋渡しみたいなことが好きなんだなぁと思って。

とくに、日本発の技術みたいなのを世界に持ってくっていう、大企業をサポートするんじゃなくて、今から出て行く種を育てるっていうのが自分は好きで合ってるなぁって、そういったことに気づいて、それでベンチャーキャピタルに入ったんですけどね。

で、彼が言ってたのが、そのとき初めて自分のことが好きになれたって言ったんですよ。その心は、自己肯定感の基本は、「自分軸で生きてますか」と。自分の価値観で生きてますか、と。これって本当に重要なことだと思うんですよね。

ビジネスリーダーたちが親に感謝していること

で、ここが一流の育て方、さっき頂いた質問と絡んでくるんですけども、実はこの一流の育て方と、最強の働き方、根底にある重要なメッセージは共通してるとこがあって、結局「自分を知ることが幸せ」とか「自己実現とかモチベーションを上げるために大切でしょう」ということなんですよ。

『一流の育て方』っていう本、この中に見てくださった方、何人くらい知ってましたか?

……意外と挙がっている手が少ないってことは、まだまだ売れるってことかな?

(会場笑)

一流の育て方―――ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる

あの本がどういうふうにできたかっていうと、経緯がこういうことだったんです。私ね、こういうキャリアとかいろんなとこ見てると、いわゆるグローバルキャリアに行きたい人が就職相談でいっぱい来るんですね。

やっぱり模擬面接とかしますよね。で、あまりにも人数が増えちゃったから、事前にエントリーシートとかを送ってもらったんですよね。あなたは今後どんなことをやりたいのか、と。それで見てると、あまりにも立派な人が多くて私の方が相談に乗ってほしいくらいだわっていう、素晴らしい人たちが多かったの。

それで、親の顔を見てみてぇなと私思ったんですね。そこで私がやったのが、私の講演会に来たい人は自分がどうやって育てられて、子どもの頃を振り返って親に一番感謝してることを書いてくれってやったんですね。

向こうとしてはビックリで、今からキャリア相談したいのに、何で俺が親に感謝してることを書かなくちゃいけないのと思うんですけど、やっぱ良い仕事につきたい人ってみんな必死ですから、真面目に送ってくれると。

それ見てみると驚いたのが、200何人に自由に聞いたわけですよね。「子どもの時、親に一番感謝してることなんですか」と。で、驚いたのが、フリー形式で書いてもらってるのに、書いてることのパターンがほとんど一緒だったことなんです。

ということは、これだけ意識高くて、良いキャリアで、自己実現しようという意識の高い人たちで、比較的充実度の高い人たちが親に感謝してる育て方の基本ってこういうことなんだと。

それを55箇所にまとめてあるのがそれなんですよね。その中であったことと、『最強の働き方』に書いてあることで一番共通してる重要なメッセージが自分にとって大切なことを知るトレーニングなんですよね。

その200人の学生さんのなか、もしくは学生さんだけじゃなくていろんな所で活躍しているビジネスパーソン、政治のリーダーとかに出ていただきますと。例えば竹中平蔵先生ですとか、もしくはインテグラルの社長の、私の高校の先輩でもあります佐山展生さんですとか。石川善樹さんっていう医者の先生いらっしゃいますよね。他にも安渕さんっていう、私のボスで、GEの社長で仲良くさせてもらってた、世界的にも尊敬されてるリーダーなんですけども。

それで、いろんなビジネスリーダーにも話を聞きました。そこで共通してたのが、親に一番感謝してる教育法が、子どもの時から、「あなたは何をやりたいの?」「あなたは何が好きなの?」とひたすら聞かれてきたと。

これってね、日本の普通の教育でやるとなかなか無い機会なんですよね。「自分が何が好きなの?」って自問する機会って滅多にないんですよこれ。このなかでご両親が、あなたは何が好きなの? 何やりたいの? って問い続けてくれたことってありますか?

それでおもしろかったのが、親に一番感謝してることシリーズでこう答えてる人が多かったんですよね。「自分に決めさせてくれた」と。しかも、「大切なことを自分に決めさせてくれた」と。例えばどの学校に行きたいとか、どの習い事したいとか、どんな仕事したいとか、自分で決めるんです。

ただしね、ここでおもしろい工夫があるのが、自主放任なんだけども放置プレイとは違うと。放置プレイって、子どもって選択肢とか知らないじゃないですか。そういった人に勝手に決めてって言っても、これ放置ですよね。で、そういった親はちゃんと、選択肢をいっぱい教えてあげると。こういったプランがあってね、と。ここに行くとこういう扉があってね、と。選択肢を与えるんだけども、最後選ぶのは子ども自身。

モチベーションに必要なのはオーナーシップ

こうすると何が起こるかっていうと、これみなさんビジネスでも同じじゃないですか? この仕事、このプロジェクト最後までやろうって、結局自分が言いだしっぺな方が良いですよね、と。例えば私がね、機関投資家の立場で、どこかの会社を買収すると。で買収すると、経営者に頑張ってもらわなくちゃいけないわけですよね。

例えばコンサルティングにしても、会社に入ってって、向こうの経営者に頑張ってもらわなくちゃいけないと。そんな時に、これが正しい解ですからやってくださいって言っても動かないですよね。

結局モチベーションに重要なのって、オーナーシップなわけですよ。「これ、俺が言い出しっぺで、これの成功は俺がやり始めた」って言えるんだと、こういうことが重要だと。だから、親、もしくは上司の立場で答えが分かっていてもそれを伝える時に、その人の内面から沸き起こってくるようなアシストをしてあげると。

これがモチベーションを湧かせるために非常に重要なことなのかなぁと。これは子供の教育でもそうですし、また新人研修でもそういうことなんだと思います。それが、一流の育て方関係で重要なことかなと思います。

で、そういうことをやるとどうなるかっていうのがここに書いてあることなんですけど、例えば、幸せなエリートキャリアと不幸なエリートキャリアって話がありますけど、いわゆる社会的立場はよくて、周りから羨ましがられるんだけども不幸な人って実はいっぱいいると。

その一例がこの人ですね。これはゴールドカフって英語で言いますけども、よく向こうで言うのがやりたい仕事じゃないんだけども給料が高いから抜けられない。そういう人ってけっこう多いわけですよね。

昨日もちょうど話してたのが、某総合商社の幹部なんですよねその人。某出向で超大手の金融機関のお偉いさんをやってる人なんですけども、その人はね、実は独立したいんだと。ベンチャー行きたいと思ってると。

ただ、転職できない。なぜなら、まず給料高いでしょ。社会的地位もあるでしょ。でもけっこう自己実現してる系の人たちって、周りから見ると「なにそれ! もったいないじゃん」「馬鹿じゃないの」と思われながらも、「いや、私がやりたいことはこれじゃないって気づいたから辞めるんです」と。

でね、こういった決断ができてる人に話を聞くと、やっぱり共通してるのが、子どものときから親が「あんた何やりたいの?」と自主的な判断というのをすごい尊重してくれたと。ここで私が自分の職場経験とリンクしたのがこういうことなんです。

一応この投資ファンド業界とかって、学歴も高い。基本的に賢い人がいっぱい入ってくると。そのなかで、いざ仕事になると、多分みなさんの会社にもいると思うんですけど、「この人頭良いはずなんだけど、なんでこんなに役立たないのかしら」っていう人いらっしゃいますよね。すごい笑顔が見れましたけど香川にもいますかそういう人が(笑)。いますよね。

いつまでも学歴でいばっているみたいなね。なんかすごい頷いていらっしゃるんですけど、いらっしゃいますかそういう人周りに。

逆に、この人別に良い大学とか行ってないけど、でもすごい仕事できる人いますよね。この違いがどっから来るのかっていうのがこの本のコンセプトの1つなんですけども、この本の最初の登場人物が、私が前のファンドの時にいたボスで。

ブルネイに2人でファンドレイジングのミーティングに行ってるんですよね。ブルネイの、今も忘れないエンペラーホテルっていうとこで朝ごはん食べながら。朝ごはんけっこう美味しかったんですよ。

でね、その時言ってたのが、ちょうど煌びやかなキャリアを歩んでいるので有名な経営者がいるんですよね。東大の法学部から、某アイビーリーグの弁護士になって、その後大手某法律事務所の人になって、と。その人がすごいのは、キャリアが毎年変わってるんですよね。その理由が、毎年クビになってるんですよ。

そこで話してたのが、「この人のクビのペースはすごいですね、こんだけ早くクビになる人もいないですよね、こんなに頭がいいのになんでなんでしょうかね」って話をしていた時に、私のボスがね、「ムーギー、仕事のIQっていうのと頭の、学歴のIQっていうのは別もんなんだ。仕事のIQとでも呼ぶべきものがある。ムーギー、そうだろ?」と。

世の中には、学歴は良いんだけども仕事が全然できない人、例えばムーギーみたいな人いるでしょと。いやそんなことないですよと言ってたんですけども。今の冗談ね(笑)。もう1つは、全然学校とか行ってないんだけど、仕事ができる人。

で、ここで書いたのは学歴とかそういうの関係なく、誰でもできることで、凡事徹底やと。結局それで仕事ができる人の要素ってなんなんですかねっていうのをここに詰め込んだんですけど。

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