カフェインは身体にどう作用しているのか

ハンク・グリーン氏:朝コーヒーを飲む時間がなかったせいで頭痛に襲われた経験はありませんか? それはあなただけではありません。

頭痛から疲労感まで、カフェインにまつわる症状は過去2世紀の間でたくさんの医学文献で報告されてきました。もっとも査読までされた論文のほとんどは最近になってからです。

鍵になるのはカフェインの中毒性と、脳や神経に対して与える影響です。医師たちはカフェインの中毒性は他の中毒性物質に比べれば穏やかだと考えています。ですが、毎日習慣的に飲むコーヒーに依存してしまうこともあるのです。

カフェインはアデノシンという分子のはたらきを抑制します。アデノシンは体のあちこちに存在しますが、脳内では特定の神経伝達物質の動きにブレーキをかけ、眠気を感じるようにしています。

脳内の細胞にある受容体に1日の間に結合していくことで、アデノシンは脳に休憩を促す役目を持っています。

ですがカフェイン分子はアデノシン分子と非常によく似ているため、同じ受容体に結合してしまい本来の機能を妨害するのです。

カフェインがアデノシンのはたらきを止めるため、神経伝達物質は依然として活動し続けて、体もシャキッと目を覚めていられるわけです。

今でもカフェイン中毒を断つ生化学について専門家が完全に解明したわけではありません。

ある研究では一日中カフェインを摂取していると、脳の細胞は阻害に対抗するためアデノシン受容体を増やして本来の機能を維持しようとするようです。その結果、毎朝のコーヒーを突然やめてしまうとアデノシンと結合する受容体が余ってしまい、神経伝達物質の量も変わって眠気を感じるわけです。

分子レベルで何が起こっているとしても、脳内の化学反応が変われば……カフェイン中毒から抜け出せます。

カフェイン摂取から12時間から24時間経つと、脳は血流や電位の変化を感じます。そうした変化は頭痛や眠気、注意力の低下を引き起こします。朝のコーヒーを抜いた人が感じるこうした症状は、2日から2週間ほどどこにいても続きます。

中毒から抜け出すことには心理的な「期待」も影響する場合もあります。頭痛はカフェインの禁断症状のせいだとわかっていて、同時に頭痛が起こると予想していると、そうした「期待」が実際の頭痛に影響をおよぼすのです。

2004年に報告された50以上の医学論文では、少なくとも複数の研究で「期待」が離脱症状に結果に影響をおよぼしたようです。

「期待」は確かに症状に影響を与えますが、離脱症状によって生理学的にも影響を与えるのは確かです。言いかえれば、毎日キャラメルマキアートをダブルショットで飲んでいれば脳内の化学反応にも変化が表れるのです。

ですがそれで集中力が増しているなら、そこまで健康被害があるわけでもありません。

実害がないなら大丈夫だと思いますよ。