増加する劇場アニメ
その理由は「友達を誘えるかどうか」にあった

SNS時代の劇場アニメの変化への対応 #1/8

第17回NED
に開催

2017年7月20日、Tokyo Otaku Mode渋谷オフィスにて、株式会社シェアコトが主催するアニメカルチャーを活用したプロモーションに関するセミナー「NED」が開催されました。イベントには、シェアコトにてアニメコンテンツマーケティングを手がける武者慶佑氏と、株式会社ウルトラスーパーピクチャーズのプロデューサー、平澤直氏が登壇。劇場アニメが増加する理由や宣伝方法の変化まで、実際の作品を例にアニメビジネスの裏側を紐解きました。本パートでは、「なぜ劇場アニメが増えているのか?」というテーマでパネルディスカッションを展開。変化するアニメ消費の在り方に迫ります。

NEDってなに?

武者慶佑氏(以下、武者):では、始めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

(会場拍手)

武者:ありがとうございます。今日はTokyo Otaku Modeさんの会議スペースお借りしてやらしていただいております。あちらでTokyo Otaku Modeさんが全力で世界に向けて働いていらっしゃる横で、ちょっと小さくやらせていただきたいと思っております。

本日、お越しいただきましてありがとうございます。私は、株式会社シェアコトという会社でアニメコンテンツマーケティングという、企業さんとアニメのタイアップのプロモーションなどを専門でやっている、武者と申します。よろしくお願いいたします。

本日は、すてきなゲストの方もいらっしゃいますので、パネルディスカッションは後ほどしっかりと時間を取って行いたいと思います。まずは簡単に弊社のご紹介などさせてください。

NEDというやつをやってます。エヌ・イー・ディーじゃなくて「ネッド」って覚えてください。ちなみにNijigen Entertainment Designの略です。NEDというのはなんなのかというと、要はTEDのパクリなんですけど……。NEDはTEDが流行っていたのでそこから拝借して、インパイアしましてやっております。

NEDは、できればオタクとか「アニメが好きなので個人的に来ちゃいました!」という人よりも、もう少しビジネスっぽくやりたいと思っています。

今日来ているみなさまも、どちらかというとオタクであったり「アニメが好きで」とか「ファンなんです」ではなくて、個人的な興味ではなくビジネス目的でいらっしゃっていると思います。そういった方々と一緒に、一緒というか相互シナジーでもいいと思うんですけれども、考えていけるのか。

なのでNED、基本的にはどうやってシナジーを生めるか。そしてアニメというよくわからない状態ものを、いかに定量的、かつフレームワークで整理していけるか、というところを考えて、僕が実際にやった企画の事例などをベースに考えております。

これまでずっと無料でやらせていただいていて、Tokyo Otaku Modeさんに無料で場所を貸していただいたという感じです。なので、セミナー自体が弊社の収益源ではございませんので、どうぞ心ゆくまで自由に楽しんでいただければと思います。

NEDを通してやりたいこと

NEDを通してやりたいことは、アニメカルチャー活用の最新の傾向に対して、ゲスト様や事例をもとにテーマを立て、定量化・体系化していくことで、一般企業様のプロモーションに活用しやすくなるようにしたい、という思いでやっています。

あとは企業様やコンテンツホルダー様などに有益なマッチングの場を一気に作れるといいな、と思っています。ここにいらっしゃる方はだいたい関わっていらっしゃる方だと思います。後ほど名刺交換のお時間などもありますので、ぜひコミュニケーション取っていただけるといいなと思っております。

最終的には、弊社の仕事につながることを狙っていこうと思っておりますので、そのへんもみなさまに覚悟していただければと思っております。

今まで17回やっておりまして。過去の16回を見ると、こんな感じでいろんなテーマを毎回立てています。

いろんなテーマを、本当にその時その時で、僕が「こういうテーマでやったらもっといいんじゃないか。実はここの部分って体系化されてたりとか定量化されてたりとかしないんじゃないのかな。ここをもう少し分析してみようかな」と思った分野で、都度都度テーマを立ててやっています。

SNSの運用からグミまで

そういえばうちの会社の話をしてなかったので、会社の話をすると、私はNEDという会社ではなくてシェアコトという会社に勤めています。パンフレットにもあるんですが、ソーシャルメディアマーケティングをメインで行っている会社でございます。

Instagramの企業様のアカウントの運用や立ち上げ、戦略構築、プロモーション支援であったりとか、FacebookやTwitterなどもやってるんですけれども。会社としては、InstagramマーケティングやSNSのマーケティングというのが一番大きい分野です。

あとはアニメコンテンツマーケティングといって、私がメインにやっているところが50社ぐらい。あとは最近グミの仕事始めまして、グミを5社ぐらいやっておりますので、なにかグミでお困りのことがありましたら、ご一報いただければなんでもお答えできます。

そんな感じで、シェアコトという会社はソーシャルメディアマーケティングの会社であるということをお伝えできればと思います。アニメコンテンツマーケティングの会社ではないので、僕はただの平社員でございます。

では「アニメコンテンツマーケティングとはなにか?」という話なんですけど、2012年ぐらいからやってます。

私、アニメは2012年から見始めたんですね。なので、それまではドラゴンボールくらいしか見ていませんでした。ドラゴンボールを見て、エヴァンゲリオンはちょっと知ってるくらい。そこで急に『這いよれ! ニャル子さん』を見たという、そういう流れでアニメのことを勉強しております。

もともと代理店で企業様のプロモーション支援をやっていたので、その知識を使えばアニメというところの効果って非常に高いだろうなって思ってて。そこの体系を作っていけないかと思って、アニメコンテンツマーケティングをはじめました。

アニメコンテンツマーケティングとは?

アニメコンテンツマーケティングというのは、アニメコンテンツをソリューションと考えて、企業のプロモーションに活用することで企業価値を高めたりとか。

あとは、アニメは今コンテンツが非常に多いですよね。3ヶ月に1回、40本50本ぐらいのアニメが新しく始まります。それがパって始まってパッと終わっちゃうんじゃなくて、タイアップを続けていきながらライフサイクルを長くしていったり、ファンを増やしていったり、そういうことにも寄与できればと思ってやっております。

この5年間でけっこういろんな企画をやってまいりまして。代理店様と一緒にやったこともあれば、アニメとか、あとは企業のオリジナルのキャラクターであったりとか。声優様やアーティスト様なども、ある意味アニメの領域を拡大解釈したときに考えられることではないかと。こういった事例を弊社では行ってまいりました。

そこで最近どんな仕事をしてきたのか今一度思い出してみますと、この1年で増えてきた実績がございます。それは「作品自体のプロモーション」なんですね。例えば『この世界の片隅に』なんですけれども、ここのソーシャルメディアのプロモーションのご支援をさせていただいたりとか。

あとは今日一緒に登壇する平澤さんとご一緒させていただいた、丸井さんのオリジナルのアニメですね。これはテレビCMを活用したものなんですけれども、そちらの企画や宣伝の部分であったりとか。

あとはアニメ原作の劇場版の実写ものですね。これは漫画原作ですか。こういうもののソーシャルメディアのプロモーションなどをこの1年間で受けてきました。

ですので、こういう事例を今のうちにNEDでちゃんと体系化しておけるといいかなと。なぜ最近こうした作品自体のプロモーションや劇場版が増えてきたのか。どうすれば再現性や成功確率が高まるのか、今のうちにしっかり紐解いておいたほうがよいかなと思って、今回の場を設けております。

なので、「なぜ、増えてきたのか?」であったりとか「どんなものが増えてきたのか?」。あとは宣伝方法の変化や、「企業はどんな作品とか劇場版とタイアップするべきなのか?」っていうこと。このあたりを本日は紐解いていければいいなと思っております。

ウルトラスーパーピクチャーズ、平澤氏が登場

というわけで今日のテーマは「劇場版NED」というところで、「第17回 SNS時代の劇場アニメの変化への対応」です。さっそく、本日のゲストである平澤さんにご登壇いただきたいなと思います。平澤さん、よろしくお願いいたします。

平澤直氏(以下、平澤):よろしくお願いします。

(会場拍手)

平澤:改めましてみなさん、お忙しい中お越しいただきましてありがとうございます。平澤と申します。

現在は、「ウルトラスーパーピクチャーズ」というわりとイケイケな名前の会社で企画開発やプロデュースを担当させていただいております。

こちらにも書かせていただきましたが、今回お呼びいただいたのは、まだまだ劇場版アニメ経験多くはないんですが、去年の11月に公開した『モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ』という作品のプロデューサーをやらせていただきました。

そのほか4月新番では、『ID-0』という深夜アニメだったりやらせていただいてます。またYouTubeにおいて、『モンスターストライク』の新シリーズも現在更新中というところでございます。そのほか、先ほど武者さんにもご紹介いただきました、丸井さんの企業CMをアニメで作るということで、そちらのプロデューサーもやらせていただいています。

今日はとくに劇場アニメについて。モンストの映画をやったときに思ったことだったり、そのあとにいろいろ考えたことを中心にお話できればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

武者:よろしくお願いします。ありがとうございます。

劇場アニメが増加する理由

武者:ではさっそく、今日お呼びした経緯も踏まえて、「劇場版アニメ」ということなんですが、やはり増えてる感じなんでしょうか?

平澤:そうですね。去年からはとくに顕著に増えたところはありますが、その前からだんだん増えているな、という気がします。

やはりここ10年間、アニメ業界には「ブルーレイをどうやって売るか」という課題がありました。そこで、ブルーレイを売るために、かなりクオリティの高い作品を劇場で公開して、その場でブルーレイを売るというようなビジネスが始まったのが約10年前。

そこを端緒として、劇場アニメの新しい取り組みが始まったんだろうと思います。そして、もう少し大きな変化が現れたのがここ5年ぐらいですかね。

武者:その変化というと?

平澤:一言で言うと、深夜アニメでもそうですが、アニメに対する世間のある種の“ハードル”というか、そういったものがすごく下がったというか。気楽に観にいけるというか、お友達を誘ってもよいというか。そんな空気が出始めたのを強く感じています。

武者:一般としてアニメが受け入れられているから、アニメでなにかをやるということが増えてきたということですか?

平澤:そうですね。ある時期、これも5、6年前からだと思うんですが、劇場に1人で来るお客さんはだいぶ減ったと思っていて。今、劇場は1人で行くよりはお友達と行くものになり始めていると感じています。

その時に「お友達誘えるかどうか」というのが1つのキーになるわけですが、そこにアニメという選択肢が入ってもよくなったというか。

武者:なるほど。アニメが1人でこっそり観にいかなくちゃいけないものから変化してきていると。まあ誘ったほうが単価は上がりますしね。

平澤:そうですね。お友達とアニメ映画を観て、例えばその足で池袋のどこかに行ってとか、あるいは新宿で観たら新宿のどこかに行って、みたいに1日の中のお友達との体験消費の中に劇場アニメが入ってよくなった。

武者:アニメがコミュニケーション化しているということでしょうか?

平澤:そうですね。

配信が生み出した、カジュアルな消費

平澤:それとやはり、配信への対応が早かった。

武者:配信?

平澤:はい。テレビドラマ、あるいはほかのタイトル、バラエティ番組とかって、あまり配信されなかった時期がある一方、深夜アニメはほとんどの番組を配信で見ることができます。

それによって、時間がないときになんとなくちょろっとアニメを見るユーザーさんがだいぶいらっしゃるようで。このあたりについては、僕も今年でアラフォーもいいところなので、感覚的には「そうなのか」という感じなんですけど。若い方を中心に、アニメがカジュアルに観てよいものになりつつある空気が出ている。

武者:モンストなんかはその最たるもので、長さは7分、しかもYouTubeでの配信ですよね。

平澤:まさにそうですね。ちょっとバラエティ番組っぽく作ってみたり、いい意味でYouTubeのゆるい空気をうまく取り入れられれば、ということで設計したりしています。

そうしたいろいろな事情の変化によって、劇場アニメを友達と観に行ってよいみたいな、そんな空気が出てきたのは、ここ最近の特徴になっているのかな、と思います。

テレビと映画は合わせ鏡?

武者:恋愛モノなんかも見られていますよね。

平澤:そうですね。まさに恋愛モノという点でいうと、もう1つポイントになるのが、地上波のテレビ局さんで流れているコンテンツとの対比関係だと思います。視聴率の関係等でお話を聞いていると、今、中高生が主人公のものって、ひょっとしたら僕らが中高生の頃より減ってるかもしれない。

武者:中高生が主人公のテレビ番組?

平澤:そうです。ではそういったニーズを今どこが満たしてるかというと、俗に少女漫画原作で恋愛を扱ったような映画が、今、実写ですごく増えています。なんとなく毎シーズン、映画館に行くとなにかしらそういった予告編を見ることが多くあると思います。

中高生が、同世代の恋愛を扱った作品を観たいと思ったときには、今はテレビで流れてるものを見るよりも、ひょっとすると劇場に行くという習慣になりつつあるのかな、というふうにも思っていますね。

なので、劇場でどんなタイトルがかかっているのかを考えたときに、地上波のテレビ局でどんなものが流れているのか。これは1つ参考になるのかなと思います。「合わせ鏡」と言うとあれですが、ある種の補完関係みたいなものにあるのかもしれないなと思います。

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