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GEジャパン×サイバーエージェント(全6記事)

「失敗ギリギリの挑戦者を救う」サイバーエージェントが採用する“社内ヘッドハンター”の正体

真の働き方改革に必要なのは「制度」よりも「個人の強み」。では、社員一人ひとりの強みを見つけ、活かすにはどうすれば? FRESH!で放送されている「人事就活チャンネル」の中で、サイバーエージェント曽山哲人氏とGEジャパン谷本美穂氏の対談が公開収録されました。本パートでは、サイバーエージェントが採用する「社内ヘッドハンター」を紹介。挑戦者を「失敗した人」にさせない支援とはなにか。

サイバーエージェントにある「社内ヘッドハンター」

曽山哲人氏(以下、曽山):今日、強みをこうやって見つけていく中で、たくさんは持ってこれなかったので、1つだけ事例をご紹介したいと思います。

サイバーエージェントが強みを活かして、人を活かすということをやる中で取り組んでいるものの1つで、最近すごく伸びているのが社内ヘッドハンターです。GEにもそういう方っていらっしゃる?

谷本美穂氏(以下、谷本):社内ヘッドハンター、うーん……。

曽山:どちらかというとさっきの話だと、自分で手を上げて、オープンポジションがポンと出て、その事業部長を相手に話にいくっていうケースのほうが多いんですかね?

谷本:そうですね。ある意味、人事のメンバーが社内ヘッドハンターのような位置付けですね。

曽山:まさに、そういうエンパワーメントしたり、異動をお手伝いしたりとかっていうことをやってる。僕らサイバーエージェントには、人事の中に「キャリアエージェントグループ」っていう社内ヘッドハンター専門チームがあるんですね。ここはスライドに書いてある「挑戦者のセーフティネット」として機能させる、っていうことがすごい重要で。

サイバーエージェントって毎年10~15社ぐらい新会社を立ち上げるんですよ。当然、その中からは数年すると撤退したりする可能性もあって、失敗しちゃうこともある。

そういう時に、その失敗の手前ギリギリに、ヘッドハンターがそのメンバーと対話をして、次の異動先をこっそり相談しておくっていうことをやったり。あるいは、今活躍しているエース級の人材も実はキャリアで悩んでたりすることもあるので、そういったメンバーと面談をして、次のポジションを提案するということをやったりする。もしくは、本人に考えを言わせて聞き出す、ということをやってます。

ヘッドハンターの仕事は、異動の支援

ヘッドハンターチームの人員が具体的になにをやってるかというと、3つのステップでやっています。

まず1つは、全社員に毎月1回「GEPPO」というオンラインの簡単なアンケートに答えてもらう。

これはなにかというと、自分のコンディションを会社に報告するというものです。回答した内容は役員と社内ヘッドハンターチームしか見れないもので、上司も見れないため、「なんかあったらフラットに相談するよ」という仕組みになってます。

それとは別に、このヘッドハンターチームは事業部長としょっちゅう面談をしていて、必要なポジションと実際のリアルなニーズを聞きにいく。まさにヘッドハンターのようにしています。それを社員と面談して、必要であれば役員に異動を提案して、実施していきます。

GEは30万人でしたっけ? サイバーエージェントの場合は、社員数が4,000人とそこまでの規模ではぜんぜんないですけども(笑)。

子会社が80社以上あって事業部が多岐にわたるので、ぜんぜん違う部門への異動だともう転職みたいになっちゃうんですね。なので、それを支援するのがこの社内ヘッドハンターチームになります。

このオンラインアンケート「GEPPO」は具体的にどういうものをやってるかっていうと、毎月だいたい2個か3個ぐらいの質問で、1つ目は先月のあなたのパフォーマンス、谷本さんの言葉で言うと「成果」ですね。「成果はどうでした?」っていうのを聞いて、この5つをラジオボタンのように押せばいい、というかたちになっています。

2つ目は、例えば「会社のミッションステートメントに『迷ったら率直に言う』という言葉があるけど、あなたの部署はどうですか?」といったように、組織にどれくらい企業文化が浸透してるかのチェックをしたりしています。

あるいは「あなたの能力発揮度合いを数字で書いてください」とか。あとは業務の負荷、「過重労働じゃないですかっていうことを、天気で書いてください」といったように、毎月質問を変えてます。

毎月全社員、サイバーエージェント籍の2,500人のうち95パーセントぐらいは回答してくれるんですよね。これだけの人数のデータが集まって、設問3つ目にフリーコメントに、「相談したいです」といったものがあれば、さっきのヘッドハンターチームが面談するというループで回していますね。

ということで、今日はそんな事例を紹介させていただきました。みなさんありがとうございました。

(会場拍手)

ありがとうございます。ということで……はい。

「会社のカルチャーに満足していますか?」

谷本:今のすばらしくて、聞かせていただいた時に、私はGEに提案しました(笑)。

曽山:マジっすか!

谷本:すごくいいと思います。このリアルタイムのフィードバックを社員からとるっていうのは、GEも今の流れでやっているんですけれどもGEPPOはクエスチョンが率直でいいと思うんですよね。

曽山:それは、どこが違うとかあるんですか? 「率直だ」という点で。

谷本:うちの場合は、同じ10問を3ヶ月ごとにが全社員に聞いています。でも質問の内容は個人についてではなくて、会社のカルチャーについてです。「会社のカルチャーに満足していますか?」的な質問が多いですね。

そして、以前はこれを社員満足度調査のようなかたちで1年に1回やって、ものすごい長いレポートが出てきて。しかも、さらにいろんな角度から自分で分析できたんですね。それをもっとタイムリーに、本当にシンプルなクエスチョンで頻度をあげてやる。そして、すぐに簡単な結果が返ってくる。このパルス方式はいいですよね。

曽山:実際、GEもリアルタイムのフィードバックとか、今みたいにアンケートをショートスパンで取っていくということですが、他になにかやられてる、まさにリアルタイムフィードバックってありますか? これからディスカッションに戻っていきたいと思いますが。

谷本:リアルタイムフィードバックは、まさに目標管理制度のところですね。

曽山:(スライドを出して)これかな。

谷本:この「目標管理ではなく、パフォーマンス促進」というところ。「Performance Development」っていうシステムです。

曽山:「Performance Development」っていうシステムがあるんですね。

谷本:簡単なシステムを社内で開発して、アプリを使ってスマホからでもアクセスができます。

曽山:へぇ。

大事なのは、ゴール達成に向けて周りの人が支援すること

谷本:以前は目標をたてるときに、5項目とか決めて、ある一定の時期に全員に書いてもらって管理していましたが、今は上司と部下で合意している目標を、極端な話、紙に書いて写真で撮って、それをアップする。それだけでもいい。

大事なのは、そのゴールの達成に向けて上司や周りの人が支援していくこと。そこで通年で頻繁にフィードバックのやり取りを行うことを進めています。LINEみたいなアプリをつかって、いつでも誰にでもインサイト(気づき)を送ることができる。そして自分に送られてきたコメントっていうのは、上司に見えることがないんですね。

曽山:なるほど。

谷本:あくまでも自分の成長のためのフィードバックとして使ってます。

曽山:これはPerformance Developmentなんとか……。

谷本:そうです。「Performance Development……PD@GE」って、ちょっとIT流に(笑)。

曽山:いいじゃないですか、PD@GE。「Performance Development@GE」っていうツール名なんですね。

谷本:はい、ツール名です。

曽山:今おっしゃってたLINEみたいなっていうやつ、僕もニュースで拝見したことがあるんですけど、これって普段は、仕事で普段のメッセージとしても使うんですか? それとも、フィードバック用なんですか?

谷本:フィードバック用ですね。メールと連携はしているんですが、インサイトを送専用のツールです。つかうときはその人のためを思って送るので、いったんよく考えるんですよね。

曽山:そうですね。

谷本:あくまでもその人の行動やパフォーマンスに対する周りからのインサイトっていうことで、「この資料を作っておいて」とか業務連絡じゃないですね(笑)。

曽山:なるほど。そういう業務連絡ではない。

信頼関係あってこそのフィードバック効果

ちなみに、ここで言う「インサイト」って、GEの中では 日本語に言い換えるとどういう意味なんですか?

谷本:「気付き」です、はい。

曽山:仲間とか、上司、部下とかで、「ここいいね」とか、「ここ直したほうがいいよね」っていう気付き。

谷本:そういうことです。「仲間」っていいですね。(笑)。

曽山:谷本さんもこれを使ってるんですよね?

谷本:使いますよ。使いやすいように、Continueインサイト、「これからも続けていこうね」インサイトと、Considerインサイトといって、「次やる時はこうしてみたらどうかな」っていう、の2つに分けてるんですね。こういうカテゴリーを作って送ってます。

曽山:それは、例えば、曽山哲人に対してContinueとConsiderがあるんですか?

谷本:そうです。

曽山:へぇ。ざっくり言うと、ポジティブでいいね、伸ばしてねっていうのがContinueで、改善をするともっとよくなるよっていうのがConsider?。

谷本:そういうことです。

曽山:これ、みんなが投げるものなんですか? 

谷本:これが、最初は浸透させるのが大変なんですよね。Continueはたくさん出てくるんですけど、Considerになってくるとなかなか送れないんですよね。

じゃあ、Considerをどうやって送りやすくするかということでで、さっそのTrustの話がでてくるわけです。

曽山:信頼関係。

谷本:そうなんですよ。先ほど曽山さんも言っていた、「他の人のことを深く知って、強みにも弱みにも寄り添う」っていう、そういう環境ができると、Considerを送っても、「これは自分のためを思って言ってくれているんだな」って人間は思うようになるんですよね、信頼関係があると。

曽山:なるほど。

タイムリーなフィードバックは「ギフト」になる

もともとはGEの中にそういうカルチャーってあったんですか? メールでそういうやり取り。文字で送るって、けっこう難しいですよね……。

谷本:ないですね。

曽山:グローバルカンパニーだからメールでやり取りする、ということなんですかね。

谷本:うーん、やっぱりいつ何時でもConsiderフィードバックっていうのは、メールでも、フェイストゥフェイスでも、やっぱりやりにくいものです。

曽山:ですよね。

谷本:ただ、これまでものすごく考えて準備をしてフィードバックしていたものを、そのときにタイムリーにやってあげることが成長につながるので。実際、自分もやってみて思うんですけど、だんだんと「あ、言ってもらってよかったな」って思うようになるんですよ。

曽山:関係性ができてると。

谷本:そうです。自分から「インサイトをください」っていうふうにお願いすることもできるんですね。そのほうがみんなConsiderインサイトを言いやすいので。

曽山:なるほど、「ください」って言うんですね。

谷本:とくにリーダー、ピープルリーダーにはそれをお願いしていて、「自分がよりいいリーダーになるためにもインサイトください」って。最初は読むとうれしいこともあれば、ショックなこともありますけど。でも、部下が言えなくて悶々としているぐらいなら、早く知ったほうがなんとかできるので、こんなにありがたいことはなくて。

曽山:なるほど。

谷本:今ではConsiderのほうがむしろ、ギフトに感じます。

曽山:そうですね。慣れてくると、絶対そうなりますもんね。

谷本:うんうん。

「チーム一人ひとりの強みを理解していますか?」

曽山:谷本さんは誰からもらってる? 上司からもらうんですか?

谷本:上司からももらえば、チームからももらいます。

曽山:あ、メンバーからもなんですね。へぇ。

谷本:周りの人たちからももらいますね。ちなみに、ピープルリーダートレーニングって今年から始めるんですけれども、その第1ステップは、チームのみんなからインサイトをもらうっていうところから始まるんですよ。

曽山:さっきありましたよね。これとか。

谷本:そうですね。

それこそ「リーダーである自分はチーム一人ひとりの強みを理解していますか?」「みんなが言いたいことが言いやすいような環境づくりをしていますか?」とかいったことをサーベイでとって、それをまず自分が見る、振り返るというところから始まりますね。

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