柔らかすぎる「二重関節」の不思議

ステファン・チン氏:関節がとても柔らかく、指などをギョッとするような角度に曲げることができることができる「二重関節」を持つ友人が、みなさんにもいると思います。隠し芸に使えそうですね。

しかし、実際に二重関節とは何を意味するのでしょうか? そしてなぜこのような特殊な能力を持つ人と持たない人がいるのでしょうか?

誰も文字通り2つの関節を持っているわけではありませんが、ある人は通常よりもより柔軟な関節を持っているのです。

もちろん練習や訓練によって関節を柔らかくすることはできますが、ある人は生まれつき柔らかい関節を持っています。専門用語では、過度可動性と言います。これは、関節が通常よりも浅い場合に起こりえます。

みなさんが知っているように、関節は2つの骨をつなげる部分です。私たちの体で最も柔らかい関節は、球関節です。これは肩や股関節、肘がそれにあたります。

球関節では、骨の先にある球状の突起部分はもう片方の骨の入れ込み部分にフィットします。

そして入れ込み部分が浅いと、より関節の持つ可動域が広くなります。あなたの友人が宴会などで折れ曲がる肘を披露することが可能なのは、関節のへこみ部分が異常に浅いからです。

しかし、過度可動性は特別な弾性軟骨を持つことでも起こります。弾性軟骨は、硬いのですが、柔軟な細胞組織でほとんどの関節で見られるものです。

または、骨を結びつける結合組織である柔軟な靱帯機能を持つことでも過度可動性を持つことができます。エーラス・ダンロス症候群のような遺伝疾患は、関節が外れやすくなってしまう細胞組織の欠陥を持ってしまいます。

過度可動性は、短所もあります。より容易に脱臼になってしまうのです。脱臼とは、通常の関節の位置から骨がずれてしまい、痛みを伴い、医師の施術が必要になります。とくにエーラス・ダンロス症候群は、皮膚にあざができやすくなったり、傷が治るのに時間がかかったり、関節炎が起こりやすいといった喜ばしくない症状を引き起こします。

ですから、過度可動性がいいなと思うかもしれませんが、隠し芸以上のことも伴うものなんです。