キャリアに悩む=頭の中で1人で悩んでいる
曽山哲人氏(以下、曽山):もしかしたら教員とか、そういった選択肢もあるかもね、とか。
(スライドを指して)これは私が28歳だったらという仮定で書いたものですけども、こういったものをとりあえず書いてきてというのを面談のときによくお願いするんですよ。そうするとよくあるのは、「3個か4個ぐらいまではサラッと書けました。残りがちょっと時間考えて書きました」という話です。
私がこれをもらって必ず聞くのは、「書いてみてどう思った?」ですね。そうすると、「自分の選択肢が広がってちょっと安心しました」という声が出てくることがけっこう多いです。もちろん出てこない場合はもっと相談にのってあげたほうがいいんですけども。
これはなにかというと、選択肢を俯瞰できると人は安心するということなんです。
キャリアで悩むときになにが起きているか。頭の中で1人で悩んでいるんですよ。
このアイデアが出たらポッと消えて、このアイデアが出たらポッと消えて。これが人間なので。それを紙に書いて俯瞰できるようになると安心できるようになる。もしよければ、せひ使ってみていただけるといいかなと思います。
役員対抗で新規事業のバトルをする「あした会議」
具体的に意思表示する人事制度で、1個だけ代表的なものを持ってきました。
基本的に意思表明では「言わせてやらせる」というキーワードがあります。まず本人に言ってもらう。言ってもらった以上はやってもらう。そして決断経験が高まる。「言わせてやらせる」ってよく言うんですけど、それを僕ら経営陣もやるっています。
これはなにかと言うと、役員対抗で新規事業のバトルをするというものです。新規事業だけじゃなく中長期的な課題解決案など、役員が決議するような案を考え、その点数を競い合うんです。
「あした会議」という取り組みなんですけど、私も役員の1人として参加するんですが、順位が社内外に公表されるんですよね。嫌じゃないですか、公開されるのだから、絶対にビリになりたくない。だからみんなめちゃめちゃ頑張って、案を考え切るんです。これは、1人の役員と、4〜5名の部署横断の社員でチームが編成されるんですね。
チームメンバーは役員7〜8人でドラフト会議をやるんですよ。カードを引くと1番って書いてあって、誰をメンバーにしたいか指名する。
ただ1つ、ルールがあります。役員は自分の担当分野は提案してはいけないんです。なので、他部署の課題や他部署の伸びしろを自分で見つけて提案しないと、点数が取れないんですね。審査員は社長の藤田(晋)がやるんですけども。この取り組みの中で新規事業だったり人事制度だったりが生まれていく。
サイバーエージェントの人事制度はサイバーエージェントの人事が考えるというよりも、役員や社員から提案されることが圧倒的に多いですね。結果的に、1回のあした会議でたくさんの決議がされています。1泊2日の合宿で、各テーブルごとにチームで5〜6人集まっているんですけども。
一番右でマイクを持っているのが社長の藤田で、審査して点数を付けます。1泊2日でランキングを競うのですが、最初の提案で暫定点が付くんですよ。暫定点が付いたら、点数が低いチームから順番に藤田が回って、「あの案はここがよかったけど、この人事案はもったいないよね」とか考え方をシェアするんです。
「このビジネスモデルだと収益が成り立たないから、ここをもうちょっと考えて」と議論して、また3〜4時間ぐらいチームごとにディスカッションするんですね。夜にもう1回提案すると、最初の提案よりいい案になっている。
去年9月に実施した「あした会議」では30ぐらい提案があった中で、新会社として8社の設立が決まり、しかも2ヶ月以内に8社すべてが設立されました。こうやって設立された新会社の1つが、今このイベントを撮影をしている「CyCAST(サイキャスト)」です。こういった生放送を行う会社ですね。
こういった取り組みを通して経営陣も意思表明をする。あるいは「あした会議」に参加するメンバーは若手もいますけども、ここで自らが責任者として新会社を設立する意思表明をすることも行っています。
ということで私からのプレゼンテーションは以上になります。どうもありがとうございました。
「面白がる」が上手な人がいると、組織にいい風が吹く
ということで、瀬名波さんもありがとうございます。ここからパネルのディスカッションにいきたいと思います。そこでみなさんに力をお借りしたいと思ってまして、質問を考えるワークというか、セッションをしたいなと思います。今から3分ほどお時間を差し上げます。
基本的には「これもうちょっと聞きたいね」とか、今の2人のお話を聞いて「こんな感想をもったね」とか。雑談でいいです。5分経ったらもう一回お声掛けしますので、このFacebookグループに、もしくは曽山に直接でもいいのですが、1つだけでいいので「これ聞いてみたい」という質問をぜひ書いていただければなと思います。
もちろん、後で手を挙げる時間もとります。しかし、書いていただくとすぐ拾えるので、ぜひそれをディスカッションしていただければなと思います。今から3分お時間を差し上げるので、よろしくお願いします。
(時間経過)
今、質問を書いている方はそのまま書き続けていただいてですね、質問が2〜3個きましたので、さっそく、瀬名波さんと対談していきたいなと思います。この質問をできる限り拾っていきたいと思いますけども、盛り上がると後々質問に追いつかなくなる可能性がありますので、早めに書いていただければうれしいです。
さっそく瀬名波さんへ質問がきてますね。「面白い変わり者をチームとしてワークさせる」、これ難しそう。難しそうですよね。変わり者とかいてくれてもいいんだけど、「じゃあどうやってワークさせるんですか?」っていうのは、これ風土としてなってるかと思いますが、なにかアドバイスはありますか?
瀬名波文野氏(以下、瀬名波):前提は面白がるっていう。
曽山:自分が面白がる。
瀬名波:「この人変わってる」って思ったときに、「変わってるから面倒くさいな」となった瞬間はみんなにわかるんですよ。「こいつは面倒くさい奴だ」っていうラベリングになっちゃうんですよ。それを声が大きい人とかプレゼンスの高い人が「こいつ、超面白くてさ」っていう、そのスタンスがまず空気を変えるんですよ。
いい組織にはいい風が吹いてて、面白がるということが上手な人がいると、やっぱり違うんですね。それがまず大事で。
もう1個あるとすると、お互いにそうですけど、人間なので自分と同じタイプの人が、コミュニケーションも速いし気持ちがいいわけですよね。自分と違う変わり者ってやっぱり面倒なんですよ。私も面倒なんですよ。