空の青さとの関係はない?

オリビア・ゴードン氏:「空がどうして青いのか」というのは、好奇心旺盛な子供が聞いてくるお約束の質問ですし、誰しもが疑問に思うことです。

空が青いことを疑問に思う人は、同時に海が青いことも不思議に感じているはずですが、海は空の下にあるので「海が青いのは空を反射させているからだろう」と考え、空が青い理由を尋ねるのではないでしょうか。

ですが、科学的に物事の本質を考えると、当たり前のように思えることも実はそうとは限らなかったりするのです。海が青い本当の理由は、水そのものが青くなっているからなのです。

空が青いのは、光が空気中の分子と反射する際に起こる「散乱」が原因で、青い光が赤い光より散乱しやすいために青くなります。空で散乱した青い光は海上にも反射しますが、海が青い一番の理由ではないのです。

海が青くなるのは光の反射ではなく、光の吸収によって起こります。

光はその色ごとに水分子を振動させます。太陽光が海水にぶつかると、スペクトルで赤寄りの光は水分子を揺らす程度のエネルギーしかありません。

なので、海水は赤、黄色、緑といった色の光を青に比べて吸収してしまいます。ですが、青色の光は吸収しきれないのでそのまま光ってしまうのです。

もしコップの水のように量が少なければ、どの色の光も等しく通り抜けるので透明に見えます。

ですが、コップの水であっても青い光の方がわずかに透過しやすくなっています。数百メートルの深海になると、赤色の光はほとんど吸収されてしまい、海の色は深い青になります。残った青い光も吸収され続けるため、数キロメートルの深さになれば海の色は真っ暗になります。

青い光もすべてが吸収されるわけではなく海上に向かって反射される光もあるので、地球の海は美しい青色に見えるのです。

地球上には海が別の色に見える場所もあります。例えば藻類が緑の光を反射させて青緑に見える海もあります。

河口近くでは、川の砂や泥が反射して海は茶色く見えます。

ですが、そうしたものがあったとしても、深海では青色以外の日光は吸収されてしまうのでやはり真っ青に見えます。

こうした環境を活かして、青色ではなく赤色の見た目に進化した生物もいます。

青い見た目では青い光を反射してしまい、捕食者に簡単に見つかってしまいます。ですが赤い光がほとんどない深海の環境では、赤い肌、鱗といった外見は真っ黒に見えてしまい、まず見つからないのです。

つまり、空が何色に見えていたとしても深海はいつでも青色なのです。