リストラ、ホームレス、自殺未遂…
転げ落ちていく人生を書き換えた、意外な"ひと言"とは?

人生の脚本の書き換え #1/2

交通事故、リストラ、ホームレス、自殺未遂……人生を転げ落ちていくなかで、"ある人物"のひと言が「人生の脚本を書き換えた」と語る、メンタルアーティストのセット裕一氏。言った本人も忘れているという、そのふとした言葉が氏に与えたものとは?(TEDxNayabashi 2014より)

「今日」は残りの人生のスタートライン

セット裕一氏:みなさんこんにちは、TEDxへようこそ。本当に感謝しています、みなさんがお越しくださって感謝しかないです。そしてもっと感謝したい人がもっといっぱいいるんですけれども、TEDxの会場を作り出してくれたスタッフのみなさん、本当に感謝しています。

俺はただここに立っているだけです。スタッフさんのその思いをしっかり受け継いで、僕は伝えさせていただきます。俺も何かやっちゃおうかなぁ? これしかないんですけど……。スプーン曲げって見たことあります? 身体のあるところを叩くと、

スプーン曲がるんですよ。

ほら、曲がってくるんですね。……大して盛り上がらなかったですね(笑)。

(会場笑)

人は不可能を可能にすることができると僕は思ってます。そして、不可能を可能にする僕の人生の先輩がこの方です。 

「めいちゃん」です。

(会場笑)

うちの娘です。1歳10ヶ月。口ぐせは、「だからー」って言います。なんの文脈もなく、いきなり「だからー」って言います。そして彼女が手に持っているのは、決して歯ブラシではないんですね。ただのブラシです。彼女は本当に可能性に満ちていて、自分たちもそうなんですけど、本当にチャレンジしまくります。転んでも転んでも、何度も何十回も何百回も転んでも立ち上がってきます。

そして彼女は、今、この瞬間を生きています。本当に僕は彼女からたくさんのことを学ばせていただいています。そして、その家族の応援、仲間の応援を胸に今日はこの場に立たせていただいて、本当に嬉しく思っています。パワーポイントはもうこれだけです。

(会場笑)

今日は残りの人生のスタートラインです。自分も含め、みなさん、これからどんな未来を作っていくんでしょうか? そして、どんな未来に向かって歩んで行くんでしょうか? 今までの過去のセクションで、そして現在のセクションで、様々な伝統芸能やもの、思い、しっかりと僕はその気持ちを胸に次のものを作り出していかなくちゃいけないと思っています。

伝統をしっかりと受け継いで、それを守って、そして現在から未来に向かって何を作っていくのか。俺たちの使命じゃないかって思っています。人生の脚本というものをどうやってデザインしていくのか、みなさんと一緒に考えていきたいんです。今日は人生の脚本の書き換えについてお話したいと思います。

車に跳ね飛ばされてぶつかったのが、たまたま病院の壁だった(笑)

みなさんは今までどんな人生を送ってきましたか? すごく楽しかったことや、すごく嬉しかったこと、そして逆に悲しかったことや、本当に腹立たしかったこと。いろんな人生を体験されて今日ここにお見えになったんじゃないでしょうか。みなさんにもそんな素晴らしい体験があるように、僕にも体験があるんです。少しご紹介したいと思います。もう舞台裏ではめちゃくちゃ緊張しましたね。メンタルアーティスト? メンタルコーチ? ドキドキしますよね。

(会場笑)

いやぁ、何しゃべるんだろうって実は自分でもよくわかってないんですけど、もうこの鼓動の高鳴りがハンパないってことは自分が一番わかってるんですよね。人から見たら「緊張しないよね」「人前で話すの得意そうだよね」、でも全然違うんです。今38歳になりましたが、34、35歳までこれが続きました。人前で話しても全然話せない、人の気持ちなんて伝えられない、何言ってるのか支離滅裂、わかんない状態がありました。

自分は健常者に見えるんですけど、実は障害者です。おもいっきり車に跳ね飛ばされて、左半身グッシャグシャになったんですね。内臓損傷を起こして、生死を彷徨って何とか奇跡的に生き返ったんですよね。助かった理由がいくつかあるんですが、もちろんドクターや看護師さんの処置が早かったっていうのもそうなんですが、総合病院の壁にぶつかったんですよ。何が言いたいかって言うと、病院の壁にぶつかったので、そのまま搬送されてそのまま緊急オペってやつですね(笑)。

リストラ、そしてホームレスに

なんとか運がよく拾ってもらったんです、命を。そんな命を拾ってもらったにも関わらず、あんまりいいことがなかったんですよね。それは自分にとってですし、自分が生み出したものなんですけど。それで、リストラされたんですよね、ひどかったんですよ、はっきり言って。理由がひどかったんですね。上司にこうやって言われました。

「あのさ、身体が悪い奴はうちではいらないから、辞めてもらえるかなぁ?」。それを聞いて俺は、「てめぇ、今なんつった? こんなとこ辞めてやる!」って言って、持ってた内線をちぎって、床に叩きつけて辞めたんです。いちばん言われたくなかった言葉ですよね。一生経過観察中なんですよ、俺。

いつこの世からいなくなってもおかしくない。経過を見ながら、検査をしながら生きている俺は「身体が悪いからいらない」っていうのがいちばんつらかったんですよ。人生諦めようと思いましたし、諦めました。そこで何をしたかって言うと、ホームレスです。この中でホームレスになったことある人います? 意外と1人ぐらいいたりするんですよね。

(会場笑)

ホームレスになって日雇い労働して。僕がどんな生活をしてたかというと、工場で働いて、部品をこうやって取るんですよ。そしたら「Bっていう地点に持って行ってください」って指示されて、部品を持っていきます。次はA。これを6時間やってたんですね。その時考えてたことです。

「夢? ふざけんな、夢なんて叶わないから。仲間? 友達? あんなの表っ面のやつでしょ。どうせ本心では何も思ってないんでしょ」。幸せそうな家族や幸せそうな奴を見てたら、街中で石を投げてたんですよね。街中で奇声を発してたり、狂ってたんです、俺。自殺未遂を何回もしましたし、笑い方忘れましたし、歩き方も忘れました。何これ、歩き方忘れるって? 何これ、笑い方忘れるって?

人生の脚本が書き換えられる瞬間

腐りきった自分は泣く泣く実家に引き取られることになりました。そこで見たのがオリンピックです。バカですよね、俺。学歴何にもないんです。中学校の成績は330人中321番、高校は工業高校でオール1でも入れるバカ学校、中学校の時は先生に通知表で1学期、2学期、3学期、何て書いてあったかって言ったら「幼稚」って書いてあっただけなんですよね。

そんななんの取り柄もない自分が、「オリンピックで金メダル獲りたい」って思ったんですよ。人生を挫折した人間が、オリンピックの中継を見て「絶対獲りたい」と思ったんですよ、金メダル。その思いだけでした。数年後、その思いを胸に、何をしていいかわかんなかった時にやった行動がこれです。単純です。インターネットで「オリンピック 金」そして、enter。

メンタルコーチのプロコーチ養成スクールがヒットしました。コーチングは知りませんでした。メンタルコーチのことも何にも知りませんでした。電話口で僕はこうやって言いました。

「すいません、俺、金メダル獲りたいんですけど、どうしたら良いですか? 獲れますか、ここで?」って聞きました。電話口で、事務局の人がこうやって言いました……、

「獲れますよ!」

「軽っ!」

(会場笑)

めちゃくちゃ軽かったんですよ、その人が。で、その人にある日会って聞いてみたんですよね。「覚えてますか?」って。忘れてるんですよね(笑)。でもその彼女が忘れてた一言でも、自分の人生変わったんです。人生の脚本が書き換えられる瞬間だったんです。それが彼女がどういう風に言ったか、わかんなくてもいいんです。でも自分はそのように受け取ったんです。獲れますよっていう形で。

ロッキーから投げかけられたメッセージ

それを信じてメンタルコーチのプロコーチ養成スクールに入りました。そこである男性に出会いました。それが「ロッキー」っていう55歳の男性です。思いっきり日本人です。

(会場笑)

農業をやっている、牛を飼ってるんだ、ヤギ飼ってるんだ、って。みんなからのニックネームが「ヤギ使いのロッキー」。でもその合宿中にヤギが死んだので、ただのロッキーになってしまったんですね。

(会場笑)

すごい仲良かったんです、ロッキーとは。合宿だったんで、毎朝一緒にコーチングの練習しようって言ったんです。ロッキーに「何時に起きる?」って言ったら「うん、そうだね、3時半」。早いんですよ、農業やってるから(笑)。7時からにしてくれって頼んで毎日練習をして。その時にあることが起きたんですよ。

何が起きたかって言ったら、スクールの中であるワークをやりました。「誰にも話したことがないことを話してください」っていうワーク。いちばん嫌だったんですよね。ホームレスやってた、リストラされた、自殺未遂をした、一生経過観察の障害者だ。そんなこと言ったら人に嫌われるんじゃないの? って思っていました。

こんな俺を受け入れてくれる友達はいないんじゃないかって。でも勇気を振り絞って、ロッキーだったら言えると思って言いました。そしたら、ロッキーがダダ泣きしてくれました。そこで言ってくれたひと言がこれでした。「お前のことは放っとけねぇ」。「ん?」って思ったんですよね。「米くれるのかな?」って思って……。

(会場笑)

彼は、僕にメッセージを投げかけてくれました。「お前は本当にすごい存在になるよ」って。わかんないんですよ。今までの、本当に自分にとって公表したくない人生を、相手に言ったら相手が涙をしてくれた。そして、その中で「お前はすごい奴になるよ」って、わかんないんですよ、言われたことがないから。

でも、彼はずっと言い続けてくれました、仲間もずっと言い続けてくれました。「お前は本当にすごい奴になる」って。そしたら、人生の自分の物語がちょっとずつ書き換えられていくっていうのを体感し始めたんです。そのスクールが終わって、ロッキーに「俺、独立することになったんだ、メンタルコーチで。でもお客さんが1人しかいなくてちょっと困ってるんです」って言ったら、ロッキーが「おい、待っとけ」って言うんですね。「いよいよ農作物をくれるんだな」と思ってですね……。

(会場笑)

受け取ったメッセージを、次の人に伝えていく

違ったんですよ。「おいセット、企業研修1年契約でやるか?」って。「大手企業のメンタルコーチにお前が就任だ。オリンピックで金メダルを獲りたいって言ってただろ? オリンピック選手やるか?」。ロッキーは東京で大成功したコンサルの大社長でした。もうやりきって、お金もすべて手に入れて、もう現役を引退していた彼。奥さんに勝手にプロコーチ養成スクールの申し込みをされた、ただの農業のおっさんだと僕は思っていたんですけど。

それ以来、大変身しました。じゃあ、なんで彼が俺に期待を持ってくれたのか? 「地位とか、名誉とか、年齢とか性別とか関係なく、お前は人として俺のことを見てくれた」って言ったんです。周りは社長だ社長だって言う中で、「おいロッキー、ちょっと練習しようぜ!」っていうのが嬉しかったんだそうです。自分もそうです。今までの実績はただの実績でしかないです。過去のトロフィーでしかないです。そのトロフィーは何にも必要ありません。今ここから作り出していきたいんです。

だから、そうやって受け取ったメッセージ、自分もメンタルアーティストとして、メンタルコーチとして多くの人に伝えたいって思いました。今はダメでもいいじゃん、今は自信がなくてもいいじゃん、それがあなたですって、そう思うんです。あなたが諦めても、俺は諦めないからって言える自信があります。やりたいって言ったことをやり通そう、今はどんな自分でもいいからって言えるようになりました。

それは仲間や家族、たくさんのメッセージを僕はもらったんです。みなさんにもないでしょうか。誰かからもらって、本当に人生が変わったっていう、その一言。そしてあなたの一言で人生が変わったっていうことはないでしょうか。ちょっと思い浮かべてもらえませんか? 必ず人生のターニングポイントには、人、そしてつながりがあったんじゃないでしょうか。

どうやって次世代にバトンをつないでいきますか?

俺も含め、みなさんは人類の最終ランナーです。いろんな人生の諸先輩方が、いろんな思いでそのバトンを俺たちに渡してくれました。このバトン、どうやって次世代につないでいきますか? あなたがやらなかったら、失われる未来があります。踏み出したいんです、今日ここから。

ここから、今日のTEDxから、日本そして世界の伝統文化を守りながら、新しいものを作っていきたいんです。俺は諦めません。もっともっと、更に日本を良くしたいです。それも、この東海からです。俺はその準備ができています。いつ死ぬかわかんない。今のうちに、全力でやります。一緒にやっていけたら嬉しいです。みなさん、その準備はできていますか?「Are you ready?」。ご清聴ありがとうございました。

<続きは近日公開>

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