“他者に扮する”ことで個性を発揮するアーティストたち

DRESS-UP | 5 Artists in 5 Minutes

アーティストには強烈な個性の持ち主が多いですが、なかには“他者に扮する”ことで個性を発揮した人たちがいます。着飾り、誰かに変装することで、私たちになにかを問いかけてくる芸術家たち。今回のYouTubeのアート系動画チャンネル「Little Art Talks」では、自身を被写体とした作品で知られる写真家・監督のシンディ・シャーマンをはじめ、5人の“変装するアーティスト”を紹介します。

さまざまに着飾るアーティストたち

カリン・ユエン氏:アーティストには強烈な個性があり、キャラクターが濃すぎると非難されることもあります。でも彼らが現実の世界でもその個性を発揮しているわけではなく、きっと演じているにすぎないのです。

みなさん、こんにちは。カリンです。LittleArtTalksにようこそ。今日の「5分で5人のアーティスト」では芸術としてのオシャレについてお話していきます。

まずは、さまざまな衣装で着飾って自身を被写体とした作品で有名な写真家・監督のシンディ・シャーマンから始めないわけにはいきません。彼女は、作者、監督、メイクアップアーティスト、ヘアスタイリスト、衣装主任、モデルなど複数の役割を想定しながら、スタジオで単独撮影します。シリーズ作品を制作することが多く、一般女性の社会的役割を幅広く取り上げることに挑戦しました。

「アンタイトルド・フィルム・スティルズ」シリーズでは69人分の被写体を撮影し、20世紀のポップカルチャーの女性像を演じました。また、歴史的絵画、ファッション、ポルノ写真の女性になりきったシリーズもありました。

メイクアップ技術やデジタル技術を駆使しながらモーフィング画像処理をし、誇張された文化における複数のアイデンティティを映し出す肖像写真を作り上げました。

イスラエルの女性視覚芸術家タミー・ベントアは、新たなキャラクターを作り出し、自ら演じることで有名です。写真やビデオの撮影などで奇妙なキャラクターを作り上げる際は、文化的なテーマや文化的・人種的なステレオタイプを限定します。作品「Women Talk about Adolf Hitler」内では彼女自身が様々なキャラクターに扮し、ナチス独裁者について意見を述べています。

結果として、ステレオタイプが独り歩きして広範囲に蔓延していることを静かに示してくれているかのように、幅広い年齢層や文化を映し出す奇妙で心をかき乱す写真ができ上がりました。

変装することで見えてくるもの

ジリアン・ウェアリングは「アルバム」という作品のなかで、自分自身や家族に扮して肖像写真を撮るイギリスの概念芸術家です。

作品の中で彼女は丁寧に作り上げられたマスクやボディスーツを身に付けて、母、父、姉、弟、叔父、そして17歳当時の自分に変装します。不気味なほど不自然な画像は、肖像画であると同時にオマージュでもあり、匿名かつ現実でもあります。

弟のリチャード・ウェアリングに扮した作品では、ボディスーツとマスクを着用し、上半身裸の若い男性が乱雑な部屋で立っているという場面を作り出しています。

実物より悪く見えると同時に親密感も醸し出す作品に仕上がっています。口を閉じたマスクに、ぴったり作られたボディスーツ、まさに文字通りジリアンは弟の体に閉じ込められています。

カメルーン人の写真家、サミュエル・フォッソはさまざまな登場人物に扮するシリーズで自画像を撮影します。広告の写真家として活動する一方、緊急の仕事に備えて未完成の登場人物になりきって自画像を撮影していました。小道具を使いながら黒い背景幕の前でポーズを取っていましたが、次第に手の込んだものになり、皮肉たっぷりの自画像写真となりました。

2008年のシリーズ「アフリカン・スピリッツ」という作品の中ではマルコムXやアンジェラ・デイヴィスなどの歴史上の人物と同じ装いやポーズをして撮影しました。

「入植者にアフリカを売った長官(The Chief who sells Africa to colonists)」という作品の中では、西洋式の椅子に座り、ヒョウ柄の服を身にまとい、アフリカにおける薬の象徴であるヒマワリの花束を手に持ち、伝統的なアフリカのマスク(お面)を思わせるようなファッション性の高い白い眼鏡をかけています。

まるでモブツ・セセ・セコだと言う人もいるが、アフリカ大陸を入植者に手渡したすべての首長を表現している、とインタビューで言ったことがあります。

かつてはニューヨークを拠点としていた写真家、映画製作者のニッキー・S・リーは、現在はソウルで活動しています。

1997年から2001年まで「プロジェクト(Projects)」という作品を手掛けた際、パンク、スウィングダンサー、高齢者、ラテン系、ヒップホップミュージシャンとそのファン、同性愛者、専門職に従事する若い人、韓国人女子高生さまざまなサブカルチャーの人々と一緒に写真を撮りました。アメリカのサブカルチャーに夢中にどっぷり漬かることで自分の分身を作り出すかのようにアイデンティティーを表現しました。

美しい写真を撮ることが大事ではなく、むしろその土地特有の写真を撮ることでアイデンティティーのイメージを生み出すことができると言います。コスプレして特定のキャラクターになりきるより、個人的なアイデンティティーが流動的で自分の分身を表現できると言います。

以上、今週の「5分で5人の芸術家(5 Artists in 5 Minutes)」でした。お楽しみいただけましたでしょうか。

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Karin Yuen(カリン・ユエン)がアートの世界をわかりやすく解説するYouTubeチャンネル。古今東西のアートにまつわる豆知識をお送りします。

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