本日のテーマは「デビュー」
内村史子氏(以下、内村):テーマトークのコーナー! というわけで、本日のトークテーマを発表したいと思います。本日のテーマは「デビュー」。
髙橋正敏氏(以下、髙橋):デビュー、誕生ですか?
庄司智氏(以下、庄司):体重が増えた的な……
髙橋:デブー……。
(一同笑)
髙橋:ああ、やばい。乗っちゃったなあ。
内村:拾えなかった自分がちょっと悔しい(笑)。さて、デビューといってもいろいろありますが。
庄司:髙橋さん、社会人デビューとかしてそう。
髙橋:社会人デビューは……あ、社会人デビューじゃなくて大学生デビューですね。僕。高校生の時めっちゃ地味だったぶん、大学になったらチャラくなりたいと思ってたから、髪の毛を茶髪にしたり、ピアス開けたりとか。
庄司:女の子をはべらせたり?
髙橋:はべらせてないよ。
内村:とっかえひっかえ。
庄司:なんだ、今と変わらないじゃん。
髙橋:とっかえひっかえもしてない! 今も昔も!(笑)
ラノベに持ち込みはある?
内村:(笑)。まあ、いろいろなデビューがありますけれども。そんなデビューに関してお便りをいただいているので紹介していきたいと思います。まずは庄司ネーム「そーや」さんからいただきました。ありがとうございます。
庄司:ありがとうございます。
内村:「はじめまして。昨今ではネットの投稿サイトから書籍化される作品が多いですが、持ち込みをして話し合って作品内容を詰めたりすることは、デビューしていない人間でも可能だったりするのでしょうか?」というお便りですね。
庄司:ラノベの場合、新人賞があるので、持ち込みというのはあんまり受けていないんです。新人賞に応募していただいて、受賞なり、受賞には至らないけど担当がついたりするシステムがあるので、都度都度の持ち込みを受けてる編集部は少ないかなと思いますね。漫画はどう?
髙橋:漫画は持ち込みは受けてるんですけど、完成原稿をお持ち込みいただく場合が多いので、そーやさんのおっしゃってるような、最初の持ち込み前に話し合って詰めたりすることっていうのはないかなという感じですね。もちろん担当付きになったらいろいろお話はしますけど。
内村:なるほど。
庄司:お便りに関連して、小説をWebで掲載されてる方々の場合、執筆仲間や読者の方からのコメントや指摘などをすぐ反映できるというのは一種の強みかなと思います。それでおもしろくなっていくことも当然あると思うので。
それはそれでいいことだと思うし……だからこそ、それに負けないように、僕たち編集者もちゃんと存在の意味を失わないよう、いい作品作りをお手伝いしていきたいなと思いますね。
髙橋:ぜひ講談社ラノベ文庫に投稿していただければ。
庄司:髙橋さんは持ち込みじゃなくてお持ち帰りが得意だけどね。女の子の。
髙橋:あ、もう……。なんか本当今日そのネタなのね。
庄司:(笑)。
Web発じゃない作品はどうすれば売れるのか?
内村:はい。もう1通いただいています。庄司ネーム、「ラノベの王女様」からいただきました。
髙橋:またまた登場ですね(笑)。いつもお便りありがとうございます。
内村:「何度もお便りを読んでもらえるなんて、私ってば相当有名になってるわね。疑問なんだけど、Webじゃない作品ってどうすれば売れるの? 某所で『出版の新シリーズは8割爆死。Web作家デビューは8割成功』なんて書いてあったわ。実際現状はそのとおりじゃないかしら。智、編集としてこの事態を打開する案を出しなさいよ。夢の印税生活が遠ざかっちゃうでしょ!」。いや、あなた王女様でしょ。
庄司:そうねえ、まず、漫画のほうはどう?
髙橋:漫画は最近アプリ発というのが増えましたね。
内村:アプリ?
髙橋:漫画アプリ。雑誌掲載じゃなくて、例えばLINEマンガさんとか、ああいうもので掲載してるものからのヒットが増えました。
Webの作品は人気が担保されている
庄司:確かに、最近の雑誌は紙じゃなくてWebとか多いもんね。
髙橋:多くなりました。
庄司:僕の担当作も『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』とか『異世界支配のスキルテイカー』といったタイトルをニコニコ静画さんで公開していただいていて。けっこうみんなコメントつけながら読めるもんね。
髙橋:コミックスも売れてるよね。でも、お便りでは新シリーズ8割爆死って言うけど、それこそ新人賞デビューでも売れてるものもやっぱあるわけじゃない。だから8割は言いすぎかなと思うけど……まあ、そういう印象になっちゃうってことだよね。今は。
庄司:Webのほうが、人気というか「人が集まる」ということがある意味数字で可視化されたり担保されてたりしていて、それを書籍化してるわけなので。だから爆死しづらいのは確かかもしれない。新人賞とか新シリーズって、どっちかというと、お客さんにとっては読むまでどんな作品かわからないわけだからね。
髙橋:そうだね。
庄司:その博打感が今は支持されづらい場合もあるのかなとは思うんだけど……。とはいえ、それでもおもしろいと言ってもらえるようなものを作らなきゃなあとは思います。
髙橋:Webの作家は8割成功というのは、これはそうなの? でも、Webに載せててもさ、デビューできない人もけっこう多いんじゃないの?
庄司:そうだね。Webに上げればなんでもかんでも数字が取れるわけではないし。だからこそ、Webで成功している……厳しい中で勝ち残っているから、それを出版に持ってきても成功する、というのはあるのかも。
髙橋:「Web作家デビュー8割成功」みたいな感じだとなんかすごいような気がするけど、そもそもデビューの裏にはたくさんの屍たちが埋まってるんじゃないのか、って思っちゃう。
Webで成功するのは決して楽じゃない
庄司:そうだね。Webで成功してる方々って、やっぱり更新頻度とか内容をすごくがんばっていらっしゃるわけですよ。
内村:そうですよね。
庄司:だから、その時点でちゃんと努力していらして、ただ偶然成功したわけじゃないと思う。
髙橋:アプリは連載媒体として僕ら出版社がやってる場合も多いけど。そうじゃなくて個人でWebでやっている場合、お金になるかならないかわからないのに更新続けるっていうのはすごいよね。だってさ、俺、毎日更新とか間違いなくできないもん。
庄司:そう。だから別に、Webからの出版がイージーなこととは僕らはぜんぜん思っていなくて。Webでそうやって数字取るまでに至るには、作家さんのすごい努力があるんだろうなと。そこはちゃんとリスペクトしつつ、かつ、Webのランキングなどの指標だけでは拾いきれないところも、ちゃんと新人賞で拾っていければなと思っています。
「声優デビュー」とはいつのこと?
髙橋:あとデビューというと、声優業界のデビューって聞いてみたかったんだけどさ。声優さんって、養成所から所属になると、みんなデビューっていう扱いになるものなの?
内村:何をもってデビューというのかはちょっと難しいですね。仕事をして、その仕事が表媒体で出たらデビューなのかなっていうイメージでしょうか。
髙橋:やっぱり表に出るのがデビュー?
内村:みなさんが思うデビューってたぶんそういうことだと思うんですよ。いろいろ細かいお仕事をしていても、アニメとかそういう大きな媒体のお仕事のほうが目立ったりたくさんの人の目に留まったりしやすい。 だからたぶん、例えば私のデビュー作はこの作品と思っても、ほかのみんなが思う私のデビュー作は違うんだろうなっていう印象ですね。
庄司:確かに声のほうで「大型新人デビュー!」とかそういうのあんま話題はないよね。
内村:そうですね。徐々に徐々にっていうことのほうが多いので……。もちろんいきなりブレイクするかたもいますが。
1人前とデビューの違い
髙橋:漫画だと雑誌に載ったりすることがデビューだったりとか、Webに載ることがデビューだったりするんだけど、やっぱりみんな連載を始めてデビューっていう感じはするんだよね。
庄司:そのあたり、漫画とライトノベルはちょっと違うよね。漫画の場合、新人賞を獲ったらそれがそのまま本になるということではない。
内村:本になったらデビューという感じなんですかね? 読み切りで紙面に載ったからデビューとかではなく。
髙橋:読み切りでもお金ももらえるし、商業デビューという意味では商業デビューなの。でも、やっぱり本という形にするまでいかないと、なかなかデビューという感じはしないよな、と。
庄司:ラノベのほうだと、賞を獲ったら基本的には刊行に向けて進めるので、受賞=デビューということになります。そこがちょっと漫画と違うという話はよくするよね。
髙橋:僕は自分が商業の編集、出版だから、出版社で勤めてるので、やっぱり作家さんが定期的に漫画で収入が入る――漫画でご飯が食べられるようになるとデビューかなという意識を持ってやってたりするんだけど。
庄司:そこまで行くと、ただのデビューというより一人前かどうかという気もする(笑)。でも確かに、いろんなデビューの形があっても、最終的にはそうやって作家さんが成功するというのを、編集者としても目指したいよね……。
内村:お話は尽きないんですけども、そろそろおしまいのお時間となってしまいました。番組ではリスナーのみなさんからのご意見・ご感想メールをお待ちしております。庄司さん、髙橋さんへの質問なども募集中です。よろしくお願いします。
髙橋:よろしくお願いします。
庄司:お願いします。
内村:番組内容がログミーさんで記事化されたら、またTwitterなどで取り上げていきたいと思うので、みなさんこちらもよろしくお願いします。
髙橋:よろしくお願いします。
内村:というわけで、庄司智のラノベ編集者NIGHT! SIN、番組のお相手は。
庄司:講談社ラノベ文庫編集部の庄司と。
髙橋:アフタヌーン編集部の髙橋と。
内村:ナビゲーターの内村史子でした! では、また次回もお会いいたしましょう。せーの! おやすみなさい。