スマホの次のステージは?

鶴田浩之氏(以下、鶴田):臣さんは「スマホの次」をずっと考えていらっしゃるんですか?

村上臣氏(以下、村上):そうね。僕のなかでは2020年は……。

例えばインバウンドでいうと、日本ってWi-Fiがぜんぜん整備されていなくて、外国人の方が困っている。そういうのってやっぱり国も予算をつけて整備すると思う。センサーをつけてビーコンをつけたりとか、けっこうファシリティアップデートされると思う。2020年は新しいビルも建ちますから。

そうすると、IoTがビルにビルトインされるかたちで、ビル自体がIoT機器みたいになると思うんです。そういうのは新しいインターネット。

鶴田:それ、ヤフーのオフィスでやっていますよね?

村上:そうそう。だから、いろいろ相談も来ると期待している。そこにどんどん入り込んでいく。スマホはこれだけ浸透したので、あとはどう連携してやっていくか。

僕は映画でいうと『攻殻機動隊』と『マイノリティ・リポート』が大好き。とにかく早くチップを内蔵したいし、もうスマホを持ちたくない。めんどくさいので。なので、脳内に出てほしいんですよね。そんな世界とか、デジタルサイネージ。

鶴田:思ったよりいろんなことが今、起きていますよね。この2年ぐらいで。AIにしろ、自動運転にしろ。

村上:自動運転の乗用車はまだ遠いけど、うちでいうとSBドライブという会社を今立ち上げている。僕も役員をやっていますけど、バスやトラックは比較的まだ容易なんです。自動運転化する、フルのレベル4が。なので、すごく進んでいくと思います。

変わるときってバンっと階段が上がるんです。なので、ちょぼちょぼちょぼっていってバンっと上がる。ここからの3年って、このバンっと上がるときなんです。単純に個人的な意見ですけど。

例えばAIでディープラーニングも急にきたじゃないですか? あれもちょうどいろんなタイミングがギューンとなって、今、爆発期がきている。

理論的には完成されていたけど、要は計算機のパワーとか、データがただに近いかたちでゲットできるようになったとか。アルゴリズムの進化と、この3点セットがきて、ガーンと今上がっているわけ。こういったことが連鎖的に起きているので、なかなかおもしろいと思います。

これからの将来、個人と会社が逆転する

鶴田:過去を振り返って現代まできましたけれど。この系譜をたどっていくことで、これから3年5年の世界が見えてくるきっかけになる。

臣さんの全仕事をたどってきて、みなさんとこの場で共有して。ジェネラリストとしての臣さんの次のステージ、これからの3年でなにをされるのかがすごく興味があります。

村上:僕の個人的な課題感でいうと。今、オープンイノベーションをやっている話をしましたけど、社会の構造が今すごく変わっている。テクノロジーの進化とともに。例えば、AirbnbやUberとか、要は「所有」から「シェア」へって、そもそも資本主義の根幹を揺るがす出来事でもある。

あとは、うちも副業は認めていますけど、人の働き方。潰れそうになかった会社が潰れたり、終身雇用は完全に幻想になっている。とくに若い人は先行きに不安を感じると思うんです。

というと、個人がどう社会と接点を持つか。今までは企業が先に来ている。「どの会社に勤めている村上です」が、「村上ですけど、得意技はこれで、今こういうプロジェクト的に会社にいます」と、主従が逆転してきている。

鶴田:個人の時代。

村上:そう。当然、ソーシャルネットが流行っているのも、やっぱり人になっているからだと思うんです。

こういったときに、寿命も延びますから。普通に100年生きる時代になってくると、定年65歳だと、あと35年も死ぬまであるのかと。まあけっこういろいろできますよね。

そういうときに、社会のなかで自分がどう事を成していくか、楽しく過ごすかは、作っていかないといけない。こういう部分をITで解決する領域って大きいと思うんですよ。マッチングも得意ですから。

鶴田:そうですね。

村上:なので、ブクマもそうだし、ヤフオク!も。やっぱりいろんなものを、人と人、物と物をつなげるマッチングはテクノロジーが得意なので、こういった領域で、その心持ちでやっていきたいというのが、今の個人的な未来観です。

鶴田:ありがとうございます。ぜひ3年後にもう一度こういった場を持ちたいです。

村上:そうですね。お互いなにやっているか、楽しみだね。

LODGEで刺激を受け、新たなビジネスが生まれる仕組み

鶴田:じゃあ、質疑応答でなにか。「もう絶対聞きたい!」って人、いますか? はい、どうぞ。

質問者2:ちょっとLODGEの話をお聞きしたいです。これまで社内やオフィスでの働き方に合わなかった人が今、コワーキングスペースにどんどん来ている状況だと思うんです。それを受けて、「社員はこう変わっていきている」など見ていて感じられることはありますか?

村上:紀尾井町に来て、LODGE以外もフリーアドレスにしたんです。なので、今まではちょっとしたパーティションがあったり不便利だった。けっこう嫌がってる社員も正直います。

とくにエンジニアは「落ち着いて人と関わらず、ネット経由でやりたい」と言う人もいます。「チャットで済ませたい」とか、気持ちはわかるんです。

ただ、徐々に慣れてきていることもあって、実際、会話量が増えているわけです。なので、早く物事を決めなくちゃいけないときに、パパっと行って見知った顔がいて決められるのは企業としても力になるので、ぜひそういう働き方に慣れてほしい。

一応、集中スペースみたいな逃げ道は作ってあるので、そういう感じでうまく機能していますね。

LODGEは、けっこう社員向けに刺激を与えるために作っている。社外の人がイベントをやってくれているわけです。それを社内にも公開しているので、立ち見以外であれば予約制で見ていいルールになっている。なので、興味がある社員が、仕事が終わった7時ぐらいに「ちょっと見ようかな」と。そこで出会いがあって、「今度こういうことをやりましょうよ」となる。

あとはすれ違いざまにいろいろ人とある。たぶん、もっち(鶴田氏)も行って、紹介ラッシュがあったと思う。

鶴田:1件明確なアポがあった。

村上:アポで行っても、知り合いがいたりとかして。

鶴田:ありそう。

村上:そう。僕も通るたびに、「あっ、村上さん、ちょっと紹介させてください」って言って、実際に、新しい仕事が生まれている。どんどん仕事が増えちゃう。

鶴田:すてきですね。

村上:そういう働き方が、これから主流になっていくと思います。

大企業病を解消する放牧スタイル

鶴田:あと1つぐらい聞きます。はい、どうぞ。

質問者3:今日はありがとうございます。大企業病を脱するために、Yahoo! JAPANが心がけてること、そこからまた変えるためのLODGEだと思いますが。そのなかで、ついつい、そうなりがちなものをどう止めているか興味があります。

あと、いろんな会社が出てきているなかで、Yahoo! JAPANのライバルと言えるような会社はあると思われているのかどうか? 2つお願いします。

村上:最初の質問でいうと、「大企業病とはなんぞや?」っていう話です。いわゆる組織の硬直化だったり、意思決定が遅いとか、いろんな要素が頭に浮かびます。

とくに意思決定の遅さです。これは管理職なりトップマネジメントが率先して変えなくちゃいけないことです。

我々は新体制になったときに真っ先に手をつけたのはそこ。それまで、新規のサービスを立ち上げるまでに8つの承認プロセスがあった。8つです。それを4分の1の、2つに変えた。だから、その人の上司と、もう1ステップまでいってOKならやっていいよに変えた。

なので、とにかくユニットを小さく保つこと。組織、ヤフーも、最後は開発部みたいな統括本部が2,000人ぐらいいた。全社の開発を集めて効率化しようと。

でも、インターネットに向いているのは小さいチーム。10〜20人ぐらい。そこにある程度のヒト・モノ・カネのリソースの権限を与えて、「お前が責任者だ」と決めた。そこでやっていて、うまくいってる分には上の人は関わる必要がないと思っています。

なので、トップダウンからボトムアップではないけど、僕は自分のマネジメントスタイルを「放牧スタイル」と言っているんです。放牧。

うちの本部長も、最初に僕の部下になったときに必ず、「僕は放牧スタイル、放任じゃなくて放牧スタイルだ」「なので柵はある」「柵はあるけど、俺が見えている範囲でどこで草を食もうが自由だ」と。「その代わりいくつか約束事があるから、それだけ守ってくれればいい」みたいな話をしているんです。

そういうかたちが大企業病にかからないための処方箋の1つかなと思います。

ベンチャーの強さは、46時中1つのサービスしか考えていないこと

2つ目が……なんでしたっけ?

質問者3:ライバル。

村上:ライバルですね。ライバルはもう山ほどいます。今、とくにスマホの時代になって、ゲームチェンジが起こってしまったので。

今までYahoo!の強さは、PCにおいては、トップページやヤフトピを中心として、トラフィックをガーッと集めてリンクを貼ることによって、自分のサービスをバーンと立ち上げられた。そのパワーがあった。

ただ、ゲームチェンジが起こって、アプリのダウンロードがすべてApp StoreとGoogle Playになった。そこは我々のものじゃない。だから、我々がいくらがんばっても、ブーストができないわけです。

そうなったがゆえに、今でも圧倒的ナンバー1だとは思っていないです。スマホにおいてはいくつかのカテゴリーでは負けています。とくにコミュニケーションサービスでは負けています。

とくに緑色のね、なんか新宿にある会社がですね。もうあの熊が、うらやましい! 「うらやましい。かわいい!」という感じです。それぐらいにしないと、舛田(淳)さんに怒られちゃう(笑)。

(会場笑)

これからもどんどん作っていくし、今メガベンチャーが資金調達がかなり環境がよくなった。なので、適切にやっていくとかなり資金が得られる。

最近はもう10億、20億円を調達して、一気にCMやってバーンと伸ばすという、ある種のメガベンチャーの成功方程式みたいになっています。戦い方もだいぶ変わっています。やっぱり気を抜けないです。

ベンチャーの強さというのは、46時中1つのサービスしか考えていないことだと思うんです。例えば、我々のような大企業は、要は一部署がやっているわけです。

例えばヤフオク!を例に出すと、1カンパニー、大きく見て12個ぐらいあるところの1個をやる。彼らもPCもいろんなことをやっている。なので、実際に戦っているベンチャーとの戦力ってそんなに多くないんです。

ただ、「こっちはもう一枚岩で一点突破でやってる」というので、たまにジャイアントキリングが起こるんです。こういうものと戦うのは、こっちのチームもベンチャーマインドをフォーカスできるように保たないといけないので、すごく難しいです。

逆に大企業だと調達したお金よりも、こっちの使える広告宣伝費のほうが小さかったりするわけです。なので、なかなかCMに予算が使えないこともある。戦い方を変えればいいですけど、やっぱり気が抜けない世の中で大変だと思います。

「Yahoo!でググる」

鶴田:ありがとうございます。じゃあ村上さん、この直近でイベントとか、ご案内したいPR事項がありますか?

村上:なんだろう?

鶴田:なければヤフーの採用案内でも(笑)。

村上:(笑)。まあ若者がみんなヤフーにくればいいと思いますけど、ぜんぜん告知を予期していなかったから。

鶴田:すいません。失礼しました。

村上:これってオープンなイベントなのかな? 初めて来たけどさ。ずっと来たかったけど、おもしろい本たくさんあるね。

鶴田:ありがとうございます。

村上:本屋大好きなの。俺。

鶴田:本屋好きですよね。みなさん。……なにか告知ありますか。ないですか?

村上:なかったです。

鶴田:わかりました。じゃあ、せっかくなので本を……。

村上:とにかく検索はYahoo!を使ってください。今日の「Yahoo!でググる」という言葉をみなさん思い出してください。

(会場笑)

鶴田:Yahoo!のアプリをまだ入れてない人がいたら……。

村上:そうですね。Yahoo! JAPANアプリ。

鶴田:「Yahoo! JAPAN」アプリと、本のフリマアプリ「ブクマ」の2つを入れていただいて、締めましょう。せっかくログミーさんいるので、本持ってログミーさん用の写真を。

村上:なるほど。了解です。

鶴田:後日、ログミーさんに記事があがるので。ありがとうございます。今日スペシャルゲストとして登壇いただいた村上臣さんに、盛大拍手をよろしくお願いします。

(会場拍手)