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特別講演 GOAL「目標達成力」と「やりたいことの見つけ方」(全7記事)

「逃げちゃダメだ」と思う必要はない 怪物・芦名佑介氏が説く“諦めの哲学”

電通コピーライター時代にプルデンシャル生命にヘッドハンティングされ、史上最年少で営業所長になった後、ハリウッドで俳優に挑戦し舞台デビューを果たすという異色の経歴を持つ芦名佑介氏。現在は、芦名表参道株式会社で代表取締役を務める芦名氏が、全国6カ所で特別講演、GOAL「目標達成力」と「やりたいことの見つけ方」を開催しました。質疑応答では、参加者から寄せられた悩みや相談に独自の哲学をもって回答しました。

逃げたかったら、逃げていい︎

司会者:今回は芦名さんのプロフィールなど、私が聞きたいことを聞かせていただいていたんですが、みなさんもきっと質問したいことがたんまりできている頃だと思うので、質問を受け付けさせていただきたいと思います。挙手でお願いします。なにか質問がある方?

(会場挙手)

質問者1:お話ありがとうございます。お会いできて嬉しいです。職業柄、うつ病の患者さんなど、いろんな方と向き合うことが多いのですが、不器用であることから、社会的な成功をしているけれども、心の中はすごく苦しい人もいらっしゃいます。ボトムの人もトップの人も、そういった意味では心の中の構造は同じだと感じています。

逃げる人というのは確かにいると思うんですよね。先ほどのお話に僕もすごく同意していて、勇気が持てなくて逃げてしまう方、自分と向き合うことはもちろん周りや世界と向き合うことから逃げてしまう方がいると思うんです。それを解決する方法としては、カウンセラー、友達や家族、または芦名さんのような方が愛する勇気を与えるということも1つだと思います。

芦名さんは、勇気が出なくて逃げたくなるような、本当に苦しくつらい時でも、すごく自分と向き合って来られた方なんじゃないかなと、あらためて聞いていて感じました。そんな時に、どうやって自分で自分に勇気を与えるのか。何かやられていらっしゃることがあるんじゃないかなと思いまして。もし何か実践されていることや、その時のエピソードなどを教えてもらえたら嬉しいなと思いました。

芦名佑介氏(以下、芦名):ありがとうございます。

1つだけですね。諦めることです。逃げちゃいけないと思うと、すごく苦しくなるじゃないですか。「逃げちゃいけない」とか「うわ~これ嫌だなぁ、諦めたいなぁ」と思ったら、僕は、すぐ諦めます。

諦めてから考えればいいんですよ。その時に、「やっぱりやらなきゃダメだな」と思うかもしれないし、「諦めてよかったな」と思うかもしれないし。誰かが決めた幸せよりも、自分で何が幸せかに気がつくことがすごく大事なんです。

あと、カウンセリングは、その人の現状をしっかりと認識させてあげるだけです。例えば「あなたは今、行動していません。でも行動していなくてもいいんじゃないですか? それは問題ではないんじゃないですか?」と。

「逃げちゃダメだ」と思っている人ほど、なぜ逃げちゃダメかをわかっていないんですよ。もしかしたら逃げたほうがいいのかもしれない。何がダメかわからないまま解決をしようとしているので、どんどん解決できなくなる。だから、しっかりと相手を受け止めてあげて、それでもいいんじゃないですかということを言ってあげたら、彼自身が自分で解決方法を見つけるのではないかなと思います。

質問者1:ありがとうございます。

好きなことを仕事にする方法

司会者:では、前の方。

質問者2:こんにちは。最後の話で、芦名表参道を作られた時に、やりたいことをやるということをおっしゃっていましたが、僕は自分の人生でやりたいことを見つけるのが苦手です。まだやりたいことが……まぁ多少はあるのですが、もっともっと欲しいと思っているので、具体的にやりたいことの見つけ方のコツがあったら教えていただきたいです。

芦名:今回のテーマはそれでしたね(笑)。今、毎月、収入はどれくらいありますか? 

質問者2:毎月……いやぁ、そんなにないです。

芦名:そんなにない。でも収入はあります?

質問者2:あります。

芦名:その収入で、貯金はけっこうありますか?

質問者2:貯金は……そんなにないです(笑)。

芦名:ということは、その入ってきた収入は使っているわけですよね。そのお金が何に使われているのかということを、ちゃんと明確に分析してください。それがやりたいことです。

「うわ、すげぇ、飲み会ばっかに使っているな」と思ったら、飲み会がやりたいことです。「風俗に使っているな」となったら、風俗がやりたいこと。「デートに使っているな」と思ったら、デートがやりたいことです。

やりたいことというのは、みんな明確に見つかっているはず。それにお金を費やしているので。お金を使っていることが、自分のやりたいことなんですよ。なのでみんなやりたいことはすでにあるんです。「やりたいこと」ではなく「お金が稼げるやりたいこと」がないというのが多くの人の悩みだと思います。

これは、すごく難しいです。正直な話をすると、「お金が稼げること」と「やりたいこと」は、かなり違います。逆の言い方をすれば、残念ながらお金を稼いでしまえば、それがその人のやりたいことになります。それが「やりがい」というものです。

例えば、さっきの商社マンを例に出すと、32、33歳の年収が1,200万から1,500万くらいあるかもしれない商社マンに「やりがいは何ですか?」と聞くと、おそらくこう答えます。「俺のやりがいは貿易だ。海外から、鉄を買うんだ。お前、海外から鉄買えるか? あの時の感覚シビれるぞ。それを、イタリアに売り飛ばすんだ。お前、イタリアに売り飛ばすんだぞ。超カッコよくねぇか?」と。

でも彼はおそらく、その仕事の年収が100万円ならそうは答えていないはずです。もし仮にみなさんトイレ掃除の仕事をやるとします。嫌な仕事だなと思う方もいるかもしれません。でもその彼にトイレ掃除の年収を1億円与えたとします。おそらく彼は「俺がトイレという気持ちのいい空間を作ってる。この空間があるおかげで世の中の人たちが仕事の生産性を上げることができるんだ。こんなにやりがいのある仕事はない」と言い始めると思います。つまり「やりがい」とは、後付けの解釈なのです。

やりたいことで仕事がしたいという人は、まずは、最低限の生活費となるお金をちゃんと稼ぐべきです。それから、自分がやりたいことというのは、土日でもいいし趣味としてやるのがいい。

その趣味を仕事にするというのは、また次のレベルです。趣味と仕事の違いですね。これは何かというと、集まる人数の量です。僕がここで陶芸をやって、1人で「わ~この陶芸、素晴らしいなぁ!」と言っても、誰も集まって来ないかもしれないですね(笑)。そしたら、これはただの趣味です。僕が陶芸を作って、ここに1万人集まったら、それはビジネスです。

自分がやりたいことが見つかった後の話ですね。やりたいことが見つかってから、それで仕事がしたいとなるのであれば、それで何人を集められるかです。

基本的に、お金というのは、人数×単価ですから。1万人が1万円出したら、いくらですか? 1億ですね。1万人が100円でもいいです。1万人が100円出したら、100万円です。そしたら、月収100万円です。なので、やりたいことで仕事をするのであれば、とにかく人を集めるということです。

世の中に存在するものの価値は需要と供給で決まります。良いものというのは、人が集まるものです。良くないものというのは、人が集まらないものです。なので「俺がいいもの作ったのに、ぜんぜん人が集まらねぇ。みんなわかってない」というのは、それは良くないものだということです。

とにかく、自分のやりたいことで仕事をするのであれば、人を集めることを意識してほしいですし、自分が何をやりたいのかなぁと思ったら、自分が何にお金を使っているのかということを見てほしいなと思います。

質問者2:ありがとうございます。

自己評価のために人からたくさん評価をもらうべき

質問者3:お話ありがとうございました。先ほど、芦名さんが、自分の能力をよくわかっていたとおっしゃっていて、自分の能力を的確に把握するためには比べろというお話がありましたが、何を見て、どう比べるのかすごく難しいのではないかと思うのですが、着眼点やヒントのようなものがあれば教えていただけると嬉しく思います。

芦名:ありがとうございます。これは、すごく難しいです。自己評価というのは、人から評価をたくさんもらったほうがいいです。

一番怖いのは、年齢を重ねれば重ねるほど、知名度が上がれば上がるほど、地位が上がれば上がるほど、収入が上がれば上がるほど、客観視をするのが難しくなることです。なぜなら、それを言ってくれる人がどんどんいなくなるからです。

日々心がけなくちゃいけないのは、今の僕はどうだったということを、素直に言ってくれない人とは絶対付き合うべきじゃないということです。だから、僕の仲間に、お世辞を言ってくれる人は誰もいません。

正直に「お前、これ、ちょっとこうだったんじゃないか」というのを、too muchなくらい言ってくれる人じゃないと、僕はちょっと付き合いたくないです。なぜかというと、自分がどこに立っているのかがわからなくなるので。

あと、もうひとついいのは、自分がどこに立っているのかということを知るのに一番ふさわしいのは、録音もしくは録画です。

僕、ちょっと歌手になろうかな(笑)と思いまして、この間ロンドンへ2週間ほど、ボーカルトレーニングに行ってきました。そこで「マママ、マママママママ~(発声練習)」みたいな練習をするわけですよ。それからじゃあ歌ってくださいとなって、それを録音して聞くんです。すると、「これ誰!? この下手くそな歌唄ってるの!?」と。

(会場笑)

それくらい自分ではわからないので(笑)。自分の録音だったり、自分の録画というのは、すごく大事です。

デザイナーに必要なのは、デザイン能力ではない

質問者4:貴重なお話をありがとうございました。自分は明後日から新社会人なんですが、それと合わせて、副業とまではいきませんが、趣味の延長としてデザインやイラストレーターの活動をしていこうと思っています。

その分野というのは、アートの業界ということで、やはり美大生ですとか、専門の学校を通して非常に練習を重ねてきたレベルの高い状態の人たちがたくさんいます。その上でどうやってそうした人たちを倒していけばよいかを考えたときに、自分はやはり趣味のレベルからスタートしているので、今の段階ではダイレクトに勝負できないことはわかっているんですね。ですから、練習を重ねながら、他の分野で差別化をしていくべきだと思うのですが。

芦名さんから先ほどお話をいただいた中で、お金持ちと勝負するにあたって、違う部分である表現力やオーラで勝負をするというお話がありましたが、もし、アートの業界、まさに表現力の世界で勝負をするとしたら、どういうところで差別化を図っていくのかということを伺いたいです。お願いします。

芦名:ありがとうございます。アートとデザインの違いということだと思いますが、たぶん普通に生きていれば、アートやデザインについてあまり考えることはないと思うのですが、アートとデザインの一番の違いは、アートは自分でメッセージを発信して消費者の心を動かすもの。デザインはクライアントのメッセージを発信して消費者の心を動かすものです。

もっとわかりやすく言うとですね。「僕がこれを発信したいんだ」「世の中はこういうことを考えているんだ」「それを僕がこの世の中に発信する」。これがアートです。

デザインというのは、それを発信したい人がいて「僕、それできます。キレイにできます」と受注を受けて、世の中に発信するもの。でも、このデザインのメッセージというのは、自分のメッセージじゃなくて、クライアントのメッセージです。

それがアートとデザインの違いです。

デザイナーに求められるのは、一般的には、その精度です。アーティストが求めているクオリティを、デザイナーが実現することができれば、それはデザインの価値です。ただ、僕もデザイナーと仕事をすることも多いのですが、一番求めたいのは、企画ができるデザイナーです。つまりただ綺麗なものが作れるだけではなく、消費者の心に届くまでの工程を「企画できる」デザイナーです。

ですから、ただ絵がうまいとか、プログラミングができるとかではもう価値がありません。1つ飛び抜けて価値が出るのは、デザイナーも、エンジニアも、プログラマーもそう。世の中がこういうことを求めて、こういう表現をすれば、彼らの心に届く企画にもなるというものを出せる人しか、生きていけないと思います。なので、企画を大事にしていただければと思います。

質問者4:ありがとうございます。

多くの人は「人が嘘をつく」ということを見抜けないまま死ぬ︎

司会者:他にいらっしゃいますか?

質問者5:お話ありがとうございました。今、転職活動中でして、プルデンシャル生命さんに入りたいなと思っています。

印刷会社の営業をしているのですが、基本的に、広告代理店から降りてきた仕事を素早く、的確な納期で間に合わせて生産するということを一生懸命やっています。ただ、それは自分じゃなくてもできることなんじゃないかなと思うんですね。

まだプルデンシャル生命さんに入ったことはないのでなんとも言えないのですが。ライフプランナーとして1年半活躍される中で、自分にこういう能力がついて、それが今の芦名さんにも活きているといったこと。

また、自分自身がどういう人間になりたいかを今回考えてみました。みなさんに笑われるかもしれませんが、幸せになりたいと思ったんですね。幸せな家庭を築けるお父さんになりたいと思っていて、プルデンシャル生命さんだったら、すごく自分自身の人間力を高められるのではないかと、現状の僕は思っているんです。

ですから、芦名さんが実際にプルデンシャル生命に入られて、お仕事をされていた中で、今、ご自身で活きているスキルのようなもの、これはすごく活きているよということを伺ってみたいと思いました。

芦名:ありがとうございます。一番活きているのは、「人は嘘をつく」ということを知れたことですかね。多くの人は、人が嘘をつくということを見抜けずに死ぬと思います。

ただ、営業をやっていると、営業というのは、お客さんに決断してもらうことなので、物を売ることではないんですよ。お客さんが、別に、イエスだったらイエスでいいし、ノーだったらノーでもいいんですよ。イエスなのかノーなのかということを、すごく上品に決断させるのが営業なんです。

僕が最初に直面したのは、営業をやっていると、お客さんが「考えておきます」といった回答をしますよね。「考えておきます」と言われると、僕も最初は「お客さんが考えてくれていますよ!」と会社に喜んで帰ってくるわけですよ。先輩に「お前、それ嘘だぞ。お客さん、本当の理由を言ってない」と言われても「いや、お客さんが言ってるから本当に決まってるじゃないですか!」という感じでした。

それを繰り返す中で、「考えておく」というのはノーなんだということを知っていきます。それは営業を経てビジネスをしている今でも「相手に嘘をつかせない」ことは意識しています。

質問者5:それくらいですか、プルデンシャルで学んだのは。

芦名:細かいことはもっとたくさんあると思いますが、それは、人によります。プルデンシャルで勤めたからといって営業がうまくなるというわけでは、まったくありません。プルデンシャルで勤めたから、人を見る目が上がるというわけでもまったくありません。それはもう完全に個人の素養に依存します。ですから、あまりプルデンシャルだからうまくいくということは思わないほうがいいです。

質問者5:そこの差がどのように出るものなのか、どんなふうに分析をされていますか?

芦名:それは、だいたいは過去ですね。過去の自分の決断がちゃんとできている人は、大体うまくいっています。適当な人間はなかなか変わりませんから、適当な人間でうまくいきたいのであれば、プルデンシャルは選ばないほうがいいと思います。

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