2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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高野真氏(以下、高野):おはようございます。今日私はとてもワクワクしています。大変有名なグローバル・リーダーであるカルロス・ゴーン氏が隣に座っていらっしゃるからです。
本日は、新しいテクノロジーである自動運転技術について、お話をうかがいたいと思います。ゴーンさん、本日はありがとうございます。
カルロス・ゴーン氏(以下、ゴーン):どういたしまして。
高野:ご存知のように、30分しか時間がありませんので、まず質問から入りましょう。初めは基本的な質問になるかと思います。この新しいテクノロジーにどれほど期待をかけていますか。自動運転技術についてどのように考え、またどのような利点があるとお考えですか?
ゴーン:自動車産業は未だに重要な産業の1つです。そして製品である自動車は将来に向けて変化しています。もっとも重要な変化は、車の電動化、コネクティビティ(自動車を含むあらゆる機器やインフラとの通信)、自動運転の3つです。特に重要なのは、自動運転です。
この変化はこれから間違いなく起きるでしょうし、さまざまな理由からすでに始まっています。もっとも重要な理由は、自動運転によって社会と個人に具体的な利益がもたらされるからです。
まずは社会については、自動運転は人間が運転するよりも安全です。自動車事故が起きる原因の90パーセントはヒューマンエラー、つまり判断ミスです。人間が操作する部分を減らせば減らすほど、自動車事故を減らすことができます。
これが、もっとも重要な理由です。だからこそ、世界中の政府が自動運転を支援しています。
次に、自動運転によって、運転がもっと楽しくなります。毎日、多くの人が渋滞に巻き込まれ、時間を無駄にしています。高速道路でも、市街地でも同じです。自動運転が広まって、運転を機械に任せることができれば、運転中でも別のことをすることができます。運転がより快適で、そして生産的になります。
そして、日本は高齢化社会に入ろうとしています。2030年には人口の3分の1が65歳以上になると言われています。
ご存知のように、人間は歳をとればとるほど運転技術は低下しますし、注意力も散漫になります。ずっと運転をしてきた人であっても、本来であれば、運転を諦めなければいけません。しかし、自動運転であれば、高齢者ドライバーが引き続き運転することが可能になります。
このような理由で、自動運転は絶対になくてはならないものだと考えます。だからこそ、すべての自動車メーカーが取り組んでいます。
高野:ありがとうございます。今、高齢化社会における利点について言及いただきました。ご存知のように、日本は世界でもっとも高齢化の進んでいる社会です。自動運転が広まることに関する、日本での利点を教えてください。
ゴーン:日本について申し上げると、日本は世界一平均寿命が長い国の1つです。男女ともに80歳以上です。しかし、現在生まれた子どもたちが成長した際には、平均寿命は100歳を超えるのではないかと言われています。私たちは自動運転のテクノロジーを準備することで、このような高齢者の交通手段を確保しなければいけません。
若いドライバーも、高齢者ドライバーも、このような利点から自動運転を行うようになるでしょう。日本における利点は、みなさんご存知のように、日本政府は高齢者ドライバーによる自動車事故の発生数の多さを大変懸念しています。自動運転を導入することで、高齢者ドライバーによる自動車事故の発生数は減らすことができます。
もう1つ、田舎に住む人々にとっても利点があります。都会に住む人々はさまざまな選択肢があります。自動車がなくても、タクシーや地下鉄などいくらでも利用することができます。しかし、田舎に住む人にとっては、車が唯一の移動手段となっていることが多いです。特に高齢者にとっては、自動車での移動は、すでになくてはならないものです。
日本にとっては、多くの人が田舎に住んでいるというだけではなく、高齢者の移動手段として、自動運転は絶対に必要となります。
高野:ありがとうございます。自動技術が私たちの生活をどのように変えるかお話しいただきました。
もう少しくわしく、この新しい世界の光景をご説明ください。例えば、都市デザインや地方での公共交通機関がどのようにあるべきか。また、現在のように自動車を所有するのか、または複数で共有するようになるのか、どのように私たちの世界は変わるとお考えでしょうか。
ゴーン:すでに多くの変化が起こっています。自動運転技術は、一朝一夕にして起こるわけではありません。波のように、次から次へとやってくるでしょう。その波は、日本から始まっています。
日産のセレナを購入すると、高速道路の同じ車線での走行を自動運転によってサポートする機能がついています。これは実際の自動車にすでに搭載されている機能です。これが第1段階です。つまり、自動運転技術はすでに市場に登場しています。
2年後の2018年には、高速道路の複数車線での自動運転が実用化されます。つまりこれは、高速道路に乗って、自動運転モードに設定した後は、機械の運転に任せられるということです。これが、2018年です。
そして、2020年から2021年には、市街地での自動運転も実用化されます。市街地での一般的な状態での運転です。2022年から2023年には、あらゆる状況に対応可能な完全自動運転技術が実用化されます。
そして、「ロボタクシー」が登場します。ロボタクシーとは、ドライバーのいない完全自動運転自動車です。
自動運転の場合、まだ人間のドライバーが車内に座っている必要があります。しかし、「ロボタクシー」の場合は車内に人間のドライバーが座っている必要はありません。これにはUberやLyftなど多くの企業が大変強い関心を抱いています。このような企業は人間のドライバーなしで完全自動走行が可能な自動車の実用化に、極めて強い関心を持っています。
だから、私たち自動車産業にとっては、2つの道があると言えます。1つは自動運転技術。そして、もう1つが「ロボタクシー」です。
このような新技術が実用化した場合どうなるのか、多くの疑問があると思います。その1つは、人々は引き続き自動車を所有したいと思うかどうかということです。自動車を所有しないという考えに置き換わるのではないか?
しかし、私はそうは考えません。将来的には2つのマーケットが現れると考えています。1つは自動車を所有するマーケットです。これは今すでに存在しています。グローバルマーケットの99パーセントがこれにあたります。そして、自動運転が実用化されたとしても、グローバルマーケットの70〜80パーセントはそのまま残るでしょう。
自動車の所有は、合理的な判断以上のものが存在するからです。ある種の情緒的な判断を含みます。家族のため、自分自身のためです。自動運転技術が普及しても、これがなくなることはないでしょう。
それとは別に、カーシェアリングやシェアリングサービスなどさまざまな新しい波がやってきます。既存のマーケットの上に乗るかたちでマーケットは形成されます。カーシェアリングやシェアリングサービスは、既存のマーケットに置き換わるのではなく、追加されるものだと考えています。
高野:それはいいことをうかがいました。私自身、運転するのが好きなので、ルノーではないのですが、これからも自動車を運転することを楽しみたいと思います。
それでは、次の質問にいきましょう。みなさん、ゴーンさんが見ている将来の光景は理解できました。
次に疑問に思うのは、どうやって実現するのかということです。テクノロジーはどのように進化していくのか?
ゴーン:自動運転技術やコネクティビティ技術という新テクノロジーが実用化されるためには、多くの新しいデバイスが必要となります。これは可能です。新しい計算能力を備えたコンピューターや新しいカメラ技術、新しいセンサー、新しいレンズなど、多くの新技術がすでに登場しており、これらの技術によって自動運転は実現されます。
5年前は不可能でした。
カメラ技術、マッピング技術、センサー技術の進歩があるからこそ、自動運転は可能になります。これらの技術の進歩スピードはとても重要です。なぜなら、自動車産業の進歩スピードは、自動車に搭載されるコンピューターの進歩スピードに依存するからです。
私たちの進歩というものは、インテルや多くの会社の技術革新に依存しています。これらの会社が船舶や自動車に搭載されるコンピューターを開発しているからです。彼らの技術進歩を見る限り、2〜3年後には自動運転技術は実現するといえます。特に、カメラ、センサー、レーダーの進歩は極めて重要です。
また、人工知能の技術も進化しています。だからこそ、多くの企業とパートナーシップを組むことは、自動運転技術を実現するのには欠かすことはできません。
自動車メーカーというのは設計者です。私たちは設計者として、部品を組み立てる、テクノロジーを組み立てる……。人々を組み立てることで、製品を世に出すことができます。時には、自分自身でテクノロジーを開発する場合もありますし、別の企業からテクノロジーを買う場合もあります。
自動車1台は、平均で3,000点もの部品から成り立っています。1台製造するのに3,000点の部品です。この部品すべてを自社で製造することは不可能です。部品の多くは、世界中のサプライヤーから調達しています。どこで組み立てるかに関わらず、インド、中国、日本などさまざまな場所から部品はやってきます。
私たちが為すべきことは、誰もがそのテクノロジーを利用できるようにすること。自分たちで開発するのか、他社が開発するのかに関わらず。そして、間違いなく部品を調達可能にすること。自分たちで製造するのか、他社が製造するのかに関わらず。
私たちの役割は、テクノロジーや部品を製品として組み立てることです。これが競争力を生み出します。だからこそ、テクノロジーの面では、多くのパートナーシップを結んでいます。例えば、コネクティビティ技術については、マイクロソフトが私たちのパートナーです。彼らとともに、自動車のコネクティビティ技術を開発しています。
また、自動運転技術については、非常に多くのパートナーがいます。例えば、カメラについてはこの人々、チップについては別の人々などです。このパートナーシップはこれからも続きますし、発展していきます。
そして、私たちの役割を少しずつ変えていく可能性もあります。なぜなら、過去のビジネスと比較すると、より進んだソフトウェア技術も必要になりますし、社内のコンピューター・サイエンティストも必要になるからです。
高野:たくさんの自動車メーカーが進んで、慌ててこの分野に参入しています。しかし自動車メーカーのみではなく、GoogleなどのIT企業も自動車開発に参入しています。彼らとは必ずしも競合するというわけではないのですか? どちらかというと、アライアンスを組むことになるのでしょうか?
ゴーン: GoogleやAppleといったIT企業が自動車開発に参入すると、メディアで見たり聞いたりします。しかし、彼らは自動車製造に参入しようとはまったく思っていません。それははっきりわかっています。
AppleやGoogleのような企業が自動車の生産に関心を持っていないという客観的な理由は、彼らは自動車の生産で得られるよりも多くのお金をIT産業で得ているからです。わざわざ見返りの少ない分野に投資するというのは、あり得ないのです。
通常は逆でしょう。つまり自動車メーカーがIT産業に参入するべきです。しかしIT企業が自動車メーカーになるのはあり得ません。まずこれが第1です。
しかし、IT企業は自動車メーカーを必要とします。なぜなら、自動車が、人々の生活における重要なものとなるからです。テクノロジーを持ち込み、ここにアプリケーションを搭載することができるのです。
例えば、電話です。初めは電話としての機能しか持ちませんでした。しかし、今となっては、パーソナル・デバイスとなっています。1台あれば電話はもちろん、メールを見たり、インターネットをしたりビデオを見たり、テレビを見たりとさまざまなことができます。
電話は電話として始まりましたが、今やさまざまなことができるパーソナル・デバイスです。
自動車にもこれに当てはまります。以前は自動車は、交通手段でしかありませんでした。A地点からB地点に移動するだけのものです。しかし、将来的に自動車は「モバイル・スペース」になるでしょう。仕事をしてもいいし、レジャーの時間でもいいです。映画やビデオを見てもいいし、ビデオ会議に参加してもいいです。その間に、目的地に移動することができます。
これが私たちの目指すところです。
これは、IT企業にとって非常にワクワクするものになるでしょう。彼らが自動車メーカーになるという意味でなく、自動車メーカーとともにこの変革に加わることになります。
高野:ありがとうございます。先ほどアライアンスの重要性について触れました。非常に多くの部品やアイディアを取り扱う必要があるからです。
本日、私たちはSlushという場にいます。多くのスタートアップ企業がこの会場にいます。彼らと協力するとしたら、どのようにしますか? どのように彼らを引き付けますか?
ゴーン:通常、スタートアップ企業の方から自動車メーカーにアプローチしてきます。なぜなら、スタートアップ企業はなにかしら彼ら独自のアイディアを持っているからです。独自のテクノロジーやデバイス、部品、イノベーションなどです。彼らの方から自動車メーカーにやってきます。
私たちにとって大きな挑戦は、どのようにスタートアップ企業と付き合うかということです。どのようにスタートアップ企業を理解し、どのようにコラボレーションを行う判断を下すか。特に、どのようにコラボレーションするかという点が重要です。なぜなら、さまざまなかたちでのコラボレーションがあり得るからです。
まず初めのコラボレーションは、スタートアップ企業の顧客となること。スタートアップ企業が独自のテクノロジーを持っており、自動車メーカーが興味を持ったとします。「OK、では契約しましょう。あなたのテクノロジー、デバイスを買います」。これがもっとも簡単な形でのコラボレーションです。
そして、スタートアップ企業に投資するということもあります。何パーセントかを出資して、スタートアップ企業が独自テクノロジーの開発を進めることができるよう支援し、スタートアップ企業のパートナーとなります。
ときには、スタートアップ企業を買収することもあります。あるスタートアップ企業にとっては、一定のレベルに達すると、それ以上に到達するには大きな企業に経営を委ねる必要が発生するケースがあります。
このように、スタートアップ企業と仕事をするというのは、さまざまな形態が考えられます。私たちは彼らを歓迎します。特にテクノロジー分野には大きな関心を持っています。なぜなら、スタートアップ企業がもたらす変化に対して、私たちは常にオープンでなければいけないからです。
特に人工知能は、私たちを取り巻くあらゆるものを一変させるでしょう。そのもっとも重要な要素が自動車であると考えます。
これを簡単だと言うことはできません。私たちは非常に巨大な組織があり、スタートアップ企業は通常、小さい組織です。小回りも効くしさまざまなことが可能でしょう。私たちは彼らとどのように仕事をするか、学ばなければいけません。
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