2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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森安康雄氏(以下、森安):よろしくお願いします。先ほどまで、この会場はすごい盛り上がりだったので、どう始めようかと考えていました。ちょっと年齢が上がっていますが、ぜひ楽しんでいただければと思います。
まず、私の話からします。私は、去年まで34年間「ベネッセ」という会社で仕事していました。エドテックという仕事です。そこで、テクノロジーで教育をどう変えられるのかを30年ぐらいやってきたんです。
今日は、ぜひ最先端の話も含めて将来に向けて、特に日本の教育がどうなっていけばいいかという話ができればと思っています。
そこでまず、教育の全体像です。2020年に指導要領が変わります。この指導要領の変更は10年に1回しかないんです。これから先、2020年から先の10年間、日本の教育は小中高、このフレームで展開される。
そのなかに、例えばプログラミング教育とか英語、そういう新しいものが入ってきている。これは世界の潮流を踏まえて、日本もグローバルのなかでどう生きていかなきゃいけないかを踏まえたものになるわけです。それが、今日ご登壇いただいた方々から見て、どうなっていくべきかというお話ができればと思っております。
それで、私の話はここまでにしまして、3人の方に、まずは自己紹介をしていただければと思います。よろしくお願いします。
澤円氏(以下、澤):改めまして、澤と申します。こんな感じですけど、一応サラリーマンでございます。
日本マイクロソフトで、いわゆる法人営業部隊の一部として活動しています。「すべてのテクノロジーをすべての顧客セグメントに伝える」という、ちょっとザクッとした仕事をしています。
もう1つは、サイバー犯罪に関する情報を提供をすることです。「サイバークライムセンター」というところの責任者をやっています。あと本職とは別に、いくつかのベンチャー企業の顧問をしたり、あるいは琉球大学の客員教授もやっています。
そういった意味で、ベンチャー企業の顧問もそうですが、新入社員研修、あるいはちょっと変わったところだとマナー研修、いわゆる社員教育のお手伝いをさせてもらったり、あるいは琉球大学では、大学ですから、その教育に携わることなど、比較的教育に近いところにいます。
そのなかですごく気がついたことは、1つにかなり危機感を持っていることです。最先端のテクノロジーに触れる一方で、その教育に触れていると、すごく大きなギャップを感じることが私の問題意識になっています。
ですので、今日はこういうテーマで呼んでいただいたんですけど、自分としては非常にありがたい企画だと思っています。よろしくお願いします。
(会場拍手)
森安:では、高岡さん。
高岡美緒氏(以下、高岡):高岡と申します。今、実は、マネックスグループの顧問と書かせていただいたんですが、今、若干お休み中でございます。
直近までは、マネックスで新規事業や、マネックスベンチャーズというコーポレートベンチャーキャピタルの運営をしておりました。そこで国内外のベンチャー、とくに金融系のフィンテック関連のベンチャー投資などをやってきております。
私のバックグラウンドですが、この会にお呼びいただいた理由は2つあると思うんです。1つは、私自身、父の仕事の関係で小中高大すべて海外で教育を受けました。なので、日本の教育を一切受けておらず、大学卒業してから初めて日本で社会人として始めました。だから観点がみなさんと少し若干違うかもしれないということが1つ。
もう1つは、私は3人の子供の母親です。9歳、6歳、4歳と、3人です。私自身は海外の教育しか受けていませんが、子どもたちは日本の幼稚園、日本の小学校に通わせておりまして、その違いも含めて、いろいろと考えさせられることも多々あります。今回、すごく楽しみにしておりますので、どうぞよろしくお願いします。
(会場拍手)
森安:ありがとうございます。では、川向さん。
川向正明氏(以下、川向):はじめまして。川向と申します。富山県の氷見市に住んでいます。生まれは京都ですが、僕は24歳の時に留学しまして、アメリカで12年生活をして帰ってきました。
向こうの大学を出る前に英語学校に入りましたが、そのあと、「リベラル・アーツ・カレッジ」という大学を出ています。そのあと、1年間インターンをして、それからもう1度大学院に戻って、会計事務所に入りました。その前に一度、大学で会計を教えて、会計事務所に入って、それからシリコンバレーのベンチャーで指紋センサーを作っていました。
僕はアカウンタント(注:会計士、会計担当)だったので、どっちかというと、バックオフィスなんです。このAppleにある指紋センサー、実は僕が働いていた会社の競合がつくったわけです。
当時、2000年にドットコムバブルが弾けて、なんと僕が働いていた会社も崩壊してしまいました。それで、会社を整理清算して、もう一度再スタートをして、でもビザが結局取れなかったので帰ってきわけです。
日本には、2003年から今でちょうど15年ぐらいです。シリコンバレーにいたのに、いきなり北陸に帰ってきた。日本の洗礼、田舎の洗礼にしこたま頭を打ちました。今、ようやくベンチャーの支援や、国のお金を使って、IoTを使った独居老人の見守りなど、いろんなプロジェクトをさせてもらっています。
僕の子供は、上が5年生、下が3年生で、やっぱり思うところがいっぱいあります。今日はそういったことをみなさんと共有できたらと思います。よろしくお願いします。
(会場拍手)
森安:3人の方、ありがとうございました。それで今日は、3つテーマを用意しています。これから先はフリートークでやりたいと思います。
1つ目のテーマは「日本の教育はダメですか?」です。ズバリ聞いてみたいと思います。
なぜかというと、澤さんは日本の学校にいらっしゃいましたが、外資で働いていらっしゃる。それから、お2人は日本を飛び出して、海外の学校教育を受けられ、また日本に帰っていらしている。私はすごく純ドメスティックな人間なので、そういう経験の中から見て、「日本の教育はどうですか?」と。いいところもあると思いますが、「こういうところが課題だ」と聞いてみたいと思います。まず澤さんのほうから。
澤:(会場に向かって)ちなみに学校の先生っています? この中に。学校の先生。
あ、いらっしゃらない。わかりやすくはっきりと言いますけど、これ(日本の教育は)ぜんぜんダメですね。申し訳ないですけど。
(会場笑)
ただ、ダメといっても、例えば、アメリカのほうがいいとか、欧米、ヨーロッパのほうが優れているなど、そういう話ではなくて、あまりにも、もったいない教育をしているということです。
あとは先生、教師の職場はあまりにもブラックすぎるというか、無駄が多すぎることです。その無駄が多すぎることもそうなんですが、結果的に被害者になるは誰か? 子供なんですよね。
たぶん、あとでも出てくると思いますが、日本の教育というのは……ちなみに日本でしか教育を受けていない人、どのぐらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
ああ、大半ですね。ありがとうございます。
そうすると、日本の小学校・中学校は、教科書のなかに赤い文字で正解を書いてあるってご存じですよね。先生用の教科書というのがあります。そこにたどり着くための教育しかしないというのが、小学校・中学校なんです。高校もそうです。
結果、なにが起きるかというと、正解がある前提でものを考えるという癖がついてしまう。
僕は今、グローバルな企業にいますが、僕と同じ立場の人間って全世界で42人いるんです。アメリカに20人、それ以外の大都市といわれているところにだいたい全部います。
その連中は、必ず正解がある前提で考えずに、「私の考えはこうだ。お前はどう思う?」とディスカッションをすることがもう、血液の中に染み付いている。それが当たり前なんです。
それからもう1つ、時間が有限なので、必ず最後、なにかエンドポイントを決めて、そこから逆算して設計する考え方がすごくはっきりしてる。
ですので、ふわっとした、in near futureや、as soon as possibleなどを、すごい嫌うんですね。「いつまでなんだ?」、「end deadはいつなんだ?」と。そこに対してどれだけのリソースが必要なのか、というものの考え方をする。
そうすることによって、早くいろいろなものが回るし、うまくいっているかいっていないかをチェックできるんです。けど、それが日本はふわっとしすぎちゃっている。
小学校からずっとそういう教育を受けちゃうのでなかなか癖が抜けないのかな。だから、それをどうにかしなきゃいけない意味でいうと、僕はダメ派ですね。
森安:ありがとうございます。今のお話、たいへん興味深いです。では、ずっと日本の教育を受けないで育ち、今、日本でお子様の子育てをされている高岡さんでは、いかがでしょう?
高岡:ちょっと違った意見を申し上げると、私はダメだとは思いません。ちなみにいうと、たぶん20年ぐらい前までは日本の教育が一番いいとされてきました。今、アジアでは一番とされているシンガポールは、日本の教育システムを参考にして作ってきたぐらいです。なので全部がダメだとはまったく思っておりません。ただ、時代に合っていないかなと思っております。
高度成長期のときに合わせて、こういうふうにやったらこうなるということがわかっている時代においては、日本人の高校卒業レベル、大学卒業レベルの人材って平均点にはとても高いと思います。
さっき裏でもお話ししましたが、アメリカやイギリスでは識字率が著しく低いです。算数や簡単な足し算・引き算もできない人がざらにいます。
私も大学卒業直後は外資系の投資銀行に就職しましたが、日本の大学を卒業している新卒の人たちは、世界的にでもわりと高いレベルだったと思います。
ただ、なにがいけないか、2つあります。1つは、平均点はすごく高いけど、そこにあふれちゃっている人たち、平均からあふれている人たちへのケアがまったくされていないと感じております。
なので、平均点の子は、日本の学校にぶちこんでもぜんぜんいいかなと感じております。
私自身の経験としては、アメリカで初等教育を受けているんですけど、日本人ってやっぱりすごく算数が得意なんです。そうすると算数だけだとものすごく天才になっちゃうんですよ。日本人って。
なので、私自身、飛び級しておりますし、どんどんできるところはできる環境を作っていってあげようと。なので、1年生の時に、私だけのために学校が小学高学年の教科書を用意してくれたり、もうどんどん伸ばすところは伸ばそうという教育システムがあったからこそ、いろいろ自信もつけられ、今につながっているかなと思っております。
日本ではそもそも飛び級が認められていません。なにか得意な子はなんか引っ張られちゃっているとすごく感じます。
2つ目の問題点としては、澤さんもおっしゃっていましたけど、正解をとりあえず解くというところです。金太郎飴みたいな子たちばっかりを作ろうとしているというところ。
会社もそうだと思いますけど、同じような人たちを作っても、今後って、「じゃあどうやって競争優位性って出していくの?」ということがまったく見えないんですよね。
海外ですと、「私はこれが得意です」「私はこれが誰よりも負けません」みたいなものをアピールするカルチャーですので、同じような人たちを育てるのではなく、本当に「ここは不得意だけど、これはものすごく得意」みたいな教育です。日本はそういう人材をあまり育てようとしていないところは若干気になっています。
森安:ありがとうございます。今のお話、すごく示唆的というか、平均の子供を育てるのはすごく上手だけれども、その上や下などに対するケアが不足してるんじゃないかと。それは日本が高度成長期に、産業界の要請でそのようなシステムに磨きをかけたバックグラウンドもあると思います。そういうご指摘だったと思います。
川向さんは、日本の学校を出て、アメリカの大学にいらした教育のヒストリーがあります。そのあたりを踏まえて、日本の教育をどうお考えかについてお話いただければと思います。
川向:僕、日本で高校を卒業して、一浪して、大学行ったんです。けど、中退しているんです。よくある、遊びすぎて親が退学届けを出しに行ったという(笑)。
ずっとバイトにほうけていたので、親が「どっちかせい!」って言うから、「いや、僕は両方がんばります」って言ったら、次の日、「もう退学届け出しといたからな」と言われた。「ああ、そうですか」って言って、それから働いたんです。けど、人生そんな甘くないですよね。
今まで自分でバイトをして稼いでたと思っていたのが、うまくまた使われた。「もう一回、お前の根性を見るから、給料これから5万円にするぞ」と言われて、いきなり1人暮らししたのに、毎月2万円ぐらいしか使えなくなった。仕方ないし、もう毎日キャベツかじって、ビール1本だけ飲んでた生活をしていました。
いろいろあって結局、大学はアメリカに留学できたんですけど、やっぱりぜんぜん違いましたね。先ほど高岡さんもおっしゃっていましたけど、そもそも向こうは自己主張しないと存在していないのと一緒なので、そういう教育を日本で受けてこなかったので、もうタジタジです。
英語もやっぱりうまくないので、すごく苦労しました。行きの飛行機の中で、ビールって頼んだら牛乳出てきましたから。
(会場笑)
それまで僕、「言葉は聞くから話せる、話せるから読める、読めるから書ける」というラーニングプロセスでした。関係なく勝手に自分で中学校の教科書を音読して、それでバーに行って外人つかまえてしゃべっていた、みたいな。だから、そこそこしゃべれるんかなと思って行ったら、いきなり行きの飛行機でもう頭バーンとハンマーで叩かれたので、いい勉強になりました。
やっぱり子供の教育を見ていても、どうしても詰め込みですよね。押さえますよね。先ほどおっしゃってましたけど、日本って先生が、答えありきでそこに誘導していく。それができる子が要領のいい子で褒められる感じになりますよね。
うちの息子なんかそんなの関係ないので、もう思いついたらバーっとしゃべるんですよね。やっぱり学校の中ってしゃべれる時間とか決まっているから、「いや、もういいから、やめとけ」みたいになる。そうすると、すごい落ち込んで学校から帰ってきたりするわけです。ああいうのを見ていると、ものすごい危険やなと思います。
あと、例えば近所のスーパーに行くと、どこどこの幼稚園、どこどこの保育園って、似顔絵がかかっているのを見たことありません? あれ見ていると、幼稚園によって顔の描き方が一緒なんですよ。どういうことかというと、先生が描き方を教えているんです。「こう描きなさい」と、わざわざ手取り足取り押さえているんですよ。
だから、ここの幼稚園だと、顔がいっぱいあって、体がちょろっとだけある。目と鼻と口があってみたいな絵になる。おばあちゃんを描かすと、「いや、シワないじゃん」と絶対言われるんです。「うちのおばあちゃん若いからシワないよ」って言っているのに、「いや、シワを描きなさい」とかね。おかしいですよね。そういうことが平気であるんです。
それを見た時に、「子供のクリエイティビティはこうやって殺されるんだ」と僕はすごく思いました。だから、僕は子供たちに好き放題させています。自分が思ったこと、それから興味があったことはもうとことん伸ばしてあげる。
当然、上のお兄ちゃんと下の子供は、興味の向いてるところ、個性がぜんぜん違うじゃないですか。やっぱりそこは家のなかでやらないと、今の日本のなかに埋もれていっちゃうと怖いなと、正直感じています。
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