ついにCGはデジタル世界を抜けだした - リアルな物質を自在に操る、最先端CGのセカイ

Physicalization of computer graphics #1/2

メディアアーティストとして名を馳せる、現役東大院生の落合陽一氏。彼の研究によって、CG(コンピュータ・グラフィックス)はコンピュータの世界を飛び出し、リアル世界を物理的に動かせるところまで進化を遂げつつあるようです。

日常に溢れるようになったCG

落合陽一氏:僕はコンピュータ・グラフィックスのリサーチャーです。よくできている写真や映画を見て、「これはコンピュータ・グラフィックスだよ。どうせ作り物だよ」「この女の子、目がすごく大きい! Photoshopで加工しているに違いない!」などとよく聞きませんか? 私はコンピュータ・グラフィックスの専門家なので、このように、自分をかっこよく見えるようにすることもできます。

何が言いたいかというと、コンピュータ・グラフィックスはとても身近なものになっているということです。ここにいる皆さん全員が、おそらく「コンピュータ・グラフィックス」という言葉を知っているはずです。もうひとつ例をお見せします。

この風景はコンピュータ・グラフィックスによって自動的に生成されています。20年前だったら、そんなことを言っても多くの人が冗談だと思ったことでしょう。でも現代の皆さんの多くは、この景色が自動的に生成されていることを聞いても驚くことはないでしょう。

この20年間で、コンピュータ・グラフィックスはめまぐるしい発展を遂げました。1963年頃、コンピュータ・グラフィックスは誕生します、約50年ほど前になります。アイバン・サザンランドという人が初めてコンピュータ・グラフィックスを発見しました。

コンピュータ・グラフィックスはインターネット、PC、そしてパーソナルファブリケーション等、様々な分野に適用されています。中には3Dプリンターをご存知の方もいらっしゃるでしょう。つまり、コンピュータ・グラフィックスは私たちの身近にかなり浸透してきているということです。私たちが生きているこの実世界に、です。

現実に存在する物質を、CGのように自由自在に動かす

僕がどんな研究をしているかというと、現実に存在する物質をコントロールできるようにする方法を研究しています。例えば、コンピュータ・グラフィックスであれば、このようにクリックしてドラッグすれば、動かすことは簡単です。

しかし、現実世界でこんなことをするのは、重力も関係してくるのでとても難しい。過去50年間の間、コンピュータのプロたちが多くのシステムをつくりあげてきました。ここからはこれを実世界に適応していく時代です。もうひとつ例をお見せしましょう。

これは私たちが開発したシステムで、音響ポテンシャル・フィールドを使って、物を空中に浮遊させ、自由な位置に持っていくものです。「そんなのコンピュータ・グラフィックスでやっているんじゃないの?」と思われるかもしれませんので、デモをお見せします。

空中に浮遊したものを、コンピュータを使って自由に動かすことができます。この技術はどのようなことに応用できるでしょうか? 例えば、工場で。サイズの制約はありますが、小さなものであれば、ほとんど浮遊させて動かすことができます。

つまり、木材やマッチ、電子機器、またはネジやナットのようなものを、浮遊させてコンピュータ・グラフィックスの世界のように自由に動かすことが可能です。

さらに、液体のようなものですら浮遊させて動かすことができます。薬剤を扱う場や電子機器組み立てをする現場で有効活用できるはずです。では、この仕組みについてお話します。コンピューテーショナル・ポテンシャル・フィールドを使うのです。

例えば、電子の力や磁気、または音響のフィールドです。コンピュータによって計算されたポテンシャル・フィールドを使うことにより、現実に存在する物質を動かすことができます。この音響浮遊システムは、私たちのプロジェクトの一例です。ポテンシャル・フィールドを空中に発生させるのです。ドライアイスを使えば、ポテンシャル・フィールドを目で確認することができます。

ポテンシャル・フィールドなしには、物体は重力の力で下に落ちてしましますが……。

ポテンシャル・フィールド内では、このように物質が空中に留まります。

素晴らしいと思いませんか? さらに、星をつくってポテンシャル・フィールドに入れる。そしてそのフィールドを動かすことにより、この星が流れ星になるのです。多くのデジタル・ファブリケーションされたものを空中に浮遊させ、ポテンシャル・フィールドによって操作することが可能です。通常、デジタル・ファブリケーションされたものは動かない個体ですが、これは、実世界で動きを付けることが可能です。

ゴールは、CGと現実世界のギャップを埋めること

さらに、質感までも変える事ができます。コンピュータ・グラフィックスでは、簡単に木質の感じまで出すことができますね。

しかし、実世界で個体の質感を変える事は非常に難しい。

しかし、とてもやわらかいシャボン玉のようなフィルムにゆっくりとした振動を与えることで、ポテンシャル・フィールド上のスクリーンに、質感を変えた物質を投影することができます。

実世界に存在する物質の見え方を、とてもリアルに変えることができるのです。

さらに、木材やメタル、紙など消耗性のあるものまで、ポテンシャル・フィールドによってその質感を変えることができます。つまりこのように、実世界に存在する物質の質感を変える事ができるのです。

このレーザーは紙、またはメタルのような感じがします。ポテンシャル・フィールドにより、スクリーンを変形することもできます。この技術はコンピュータ・インタラクション・テクノロジーに応用することができるでしょう。さらにすごいのは、ポテンシャル・フィールドの分布を変える事ができる点です。物質を使って、空中に浮遊するスクリーンをつくることができる。

ホログラムのように使うこともできる。これはピーター・パンに出てくる“魔法の粉”のようなもので、実際私たちはこれを“ピクシー・ダスト(空飛ぶ魔法の粉)”と呼んでいます。スクリーンやアニメーション、多くのことにこの技術を適用しています。

僕のゴールは、コンピュータ・グラフィックスと現実世界のギャップを埋めることです。過去50年間の間、デジタル世界の中でのみ生きてきたコンピュータ・グラフィックスを物理化し、現実世界に適用するときが来ました。グラフィックスを物理化することにより、自宅で美しい蝶を見ることができるようになり、物を空中に浮遊させることができるようになり、“ピクシー・ダスト”で空中に実際にグラフィックスを書くことができるようになります。

今世紀は、コンピュータ・グラフィックスを物理化する時代です。実世界で実際にグラフィックスが可能になるときが来ました。ありがとうございました。

<続きは近日公開>

Published at

TED(テッド)

TED(テッド)に関するログをまとめています。コミュニティをフォローすることで、TED(テッド)に関する新着ログが公開された際に、通知を受け取ることができます。

このログの連載記事

1 ついにCGはデジタル世界を抜けだした - リアルな物質を自在に操る、最先端CGのセカイ
2 近日公開予定

スピーカーをフォロー

関連タグ

人気ログ

人気スピーカー

人気コミュニティ

ピックアップ

編集部のオススメ

ログミーをフォローして最新情報をチェックしよう!

人気ログ

人気スピーカー

人気コミュニティ

ピックアップ

編集部のオススメ

そのイベント、ログしないなんて
もったいない!
苦労して企画や集客したイベント「その場限り」になっていませんか?