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既存の概念を変えるサービス(全3記事)

「新しい仕組みを作るにはベンチャーしかなかった」元コンサル男性社員が@cosmeを立ち上げた理由

マイナビが主催したイベント「ベンチャーPARK」のなかで、「既存の概念を[変える]サービス」というセッションが行われました。登壇したのはRetty・奥田健太氏、アイスタイル・吉松徹郎氏、ザワット・原田大作氏。モデレーターはC Channel・森川亮氏が務めました。「今ない価値を生み出す」ことが仕事でもあるベンチャー。彼らは既存の概念を変えるサービスを始めたきっかけとは? 

動画ビジネスで、ちょっと常識を変えた?

MCあまり氏(以下、あまり):それでは、「VENTURE SESSION2 既存の概念を[変える]サービス」をスタートいたします。このセッションのモデレーターをご紹介いたします。C Channel株式会社 代表取締役社長、森川亮さんです、どうぞ!

(会場拍手)

森川亮氏(以下、森川):よろしくお願いします。

あまり:森川さん、ありがとうございます。森川さんと最初にお会いしたのは、私が担当しているJ-WAVEのラジオの『イノベーション・ワールド』という番組の第1回目のゲストを務めていただいた時で。

その時、たしかC CHANNELを立ち上げて間もない頃でした。あれ、いつでしたっけ? 2015年の5月とか……。

森川:5月。立ち上げて1ヶ月くらいです。

あまり:その時に森川さんは、「これからは動画がくる」とおっしゃっていました。その時はまだSNS上の広告は画像ばかりだったのに、今はもう、全部動画に移行している感がありますね。

森川:そうですね。あれから1年半くらい経ちましたけど、環境がずいぶん変わりましたね。

あまり:それはネット環境や画像に飽きてきたとか、そういった変化があるってことですか?

森川:時代の流れって言うんですかね。PCの時も、テキストから写真になって、動画に変わって、SNS的にも動画に移行しようっていう流れがあったので。タイミング的にちょっと早いぐらいだったんじゃないですかね。

あまり:ちょっと常識を変えたっていうところはあるんじゃないですか?

森川:まだこれからですね。大きくなると思うんで。

あまり:ありがとうございます。今日は興味深いお話、たくさんうかがいたいと思います。それでは、パネラーの方々をご紹介させていただきます。

まずは株式会社アイスタイルの代表取締役社長兼CEO、吉松徹郎さん。続きまして、ザワット株式会社の代表取締役社長、原田大作さん。そして3人目は、Retty株式会社の経営企画・事業開発、奥田健太さんです!

(会場拍手)

以上、この4名で進めていきたいと思います! それではみなさん、あとはよろしくお願いします!

森川:はい。では、よろしくお願いします!

食事もヘルスケアも、すべてビューティーにつながる

じゃあ、まずお一人ずつ簡単に紹介と、どんなサービスをしているのか。そのあたりをちょっとお話いただけたらと思います。吉松さんからお願いします。

吉松徹郎氏(以下、吉松):改めまして、アイスタイルの吉松と言います。アイスタイルって言うよりたぶん@cosme(アットコスメ)と言ったほうがわかりやすいと思います。女性のクチコミサイト、@cosmeをやっています。

だいたい、月間で1,400万人くらいの方に使われていただいているような化粧品のクチコミサイトです。

化粧品のクチコミサイトだけではなく、ネットからリアルということで、@cosme store(アットコスメストア)というリアルの店舗をやっています。今、会社を立ち上げてだいたい17年目で従業員数は600人くらいです。

僕個人としては、もともとアクセンチュアからスタートして3年働いて、今の会社を立ち上げました。

ということで、今日はみなさんといろいろお話できたらと思いますので、よろしくお願いします。

(会場拍手)

森川:はい。もう、@cosmeを始めて長いんですけど、美と言えばアイスタイルということで。コマースや実店舗もやっているし、いろんな動画とか、アドネットワークとか、さまざまな展開をやっています。さらに最近は食の分野も買収してということで、どうですか? 最近の調子というか。

吉松:僕が思っているのは、ビューティーってすごくおもしろい領域だなぁと思ってて。今、食の話をしてくれましたけども、コスメからスタートして食事もヘルスケアも全部ビューティーに繋がるんですよね。

男性の方よく「化粧品って、僕はよくわからないですけど」と言いますけど、化粧品会社の社長はほとんど男性ですからね。ビューティーを使う消費者じゃなくて、ビジネスで捉えるとすごくおもしろくて。

日本はアジアの中でも、一番ビューティーマーケットが多くて、これから海外へ行くにはむちゃくちゃいい領域ですから。実はすごく楽しい領域です。

海外に出品できるフリマアプリ

森川:なるほど。ありがとうございます。では次、ザワット原田さんお願いします。

原田大作氏(以下、原田):はい。ザワットの原田と申します。みなさんフリマアプリはよく使ってますよね? 個人の方も法人の方も気軽に写真を撮るだけで、商品が海外でも売れる。

とくにファッション、ブランド品とか、日本のアニメグッズとかおもちゃが海外で売れる越境フリマアプリの「スマオク」というものをやっています。

私は、学生の頃に「大企業に行こうかな、それともベンチャーに行こうかな」とさんざん迷って、結局ベンチャーを選んで。その後、大企業に転職をして、また自分でベンチャーをやるようになりました。

そういう経験もあったので、みなさんに近しいかなと思います。規模もまだ20人くらいなので、一番小さい会社としてお話できればと思います。よろしくお願いします!

森川:今、ちなみに越境がメインなんですかね?

原田:そうですね。今もう越境のフリマアプリのスマオクです。

森川:国内と海外だと売り上げ比率ってどんな感じなんですか?

原田:今、海外の方が買うものが、売り上げの7割くらいになってます。

森川:そうなんですね。じゃあ日本人が売って海外で買うみたいな。

原田:そうですね。「日本から世界」です。

社員6人、マンションの一室でスタート

森川:なるほど。ありがとうございます。今度はRetty奥田さん、お願いします。

奥田健太氏(以下、奥田):みなさんこんにちは。Rettyの奥田と言います。

Rettyは、いわゆるグルメのクチコミサービスをやらせていただいています。みなさんはたぶん、お店を探す時にGoogleで「渋谷 イタリアン」などと検索したりすると思うんですけど。

その時に食べログとか、Retty、ぐるナビとかいろいろ出てくると思うんですが、いわゆるそういうお店を探すためのサービスという形でやっています。

特徴としては、今までのサービスと少し違っていて、スマホにフォーカスしているとか、クチコミを書いている人が実名であるところなどが挙げられます。

今までのようなランキングとか、そういった定量的な形で探すというところからもうちょっと直感的に「この人がおいしいって言ってるんだったら、私もそう思いそうだな」という観点でお店を探せるWebサービスです。

だいたいユーザー数が月間で二千数百万人くらいですかね。毎月100万人ずつくらいユーザー数が伸びていて、どんどん今、使っていただける人が増えてるという感じです。

ちょうど先月、アジアの1都市でグローバル版もリリースしていて、これからは海外もやっていきたいなと思ってます。

僕は3年半くらい前にRettyの6人目の社員として入りましたが、その前は三菱商事という大企業でファイナンス系の仕事を5年半くらいやっていました。従業員が何万人もいて、売り上げ20兆円の会社から、6人でマンションの一室でやっている会社にガラッと環境を変えて入ったというようなキャリアでやってきました。

というところで、今日はみなさんよろしくお願いします!

PC→スマホは大きなタイミングだった

森川:時間があまりないので、さっそく突っ込んだ話に入りたいと思うんですけど。

まずRettyさんの場合は、出る前からグルメ分野でいろんなサービスがあって、それでもあえてやる意味というのは、どのあたりでしょうか?

奥田:それで言いますと、1つ大きな話があって。それがまさに、デバイスがPCからスマートフォンに変わったタイミングだったことです。それこそ大きなサービスがいっぱいあったので、こういったデバイスの変化がなければ、ある程度それらに匹敵するようなサービスは作れなかったと思います。

例えば、PCでクチコミを書いたりするのと、スマホで書いたりするのってぜんぜん違う行動になるので。そこを上手く突いて、新しい価値を作っていったのが1つポイントかなと思っています。

森川:そこは、原田さんのところもそうですか? 単純にスマートフォンってところが大きかったんですかね?

原田:そうですね、スマートフォンで世界中の人が同時にインターネットで接続できるという環境がある。弊社は、そういう時代を背景に、最初は国内限定でフリマアプリを展開していました。

ただ、買ってくださるお客さんを見た時に、海外から日本に来ている方がものすごい爆買いをしてらっしゃる。アジアの方が、最近とくにインターネットで買い物をしていると。じゃあそこを繋げてみようと世界に拡大して、今に至っています。

森川:越境だと、BUYMAみたいに海外のものを日本人が買うスタイルがありましたけど。その逆ですよね。

原田:逆ですね。

森川:実際どうですか? やってみた感触というか。どのあたりの市場からお客さんが集まっている感じですか?

原田:海外といっても、とくにファッションとかホビーは、今はアジアの方が多いです。香港とか台湾、あとシンガポール。わりと親日の国が多いんですが、そういう方が探して買ってくださっている感じありますね。

森川:それが伸びていくと、どのあたりの産業が置き換わる感じなんですか? 例えば、もう百貨店がいらないとか、そういう世界はくるんですかね?

原田:そうですね、やっぱり僕たちのコアなところって、日本のみなさんが海外の個人にCtoCとで直接送れるところなんですね。

物の取引って、けっこう間にいろんな会社が入ってるんです。そこを抜いて、直接CtoCで手紙を渡すかのように取引できるので。そういう商社とかの商流を飛ばして、少しずつ個人対個人に繋がっていくのかなと思っています。

森川:なるほど。そういうのだと海外の人材もけっこういるんですか?

原田:今はアルバイトも入れたら半分くらい。海外の方を積極採用しています。あと留学生とか帰国子女の方ですね。

森川:じゃあ、ある意味、留学生も一緒に働けるんですね。

原田:そうですね、中国の方、ロシアの方、台湾の方、いろいろいらっしゃいますね。

新しい仕組みを作るにはベンチャーしかなかった

森川:ありがとうございます。一方で吉松さんの場合、なにか既存のものがあったというよりも、本当にまったくないところに市場を作ったのかなと思います。それも、男でコンサルやってたのに美容っていう。なにがあったんですか?

吉松:もう昔の話であれなんですけど。インターネットが出た時に、コンサルタントをやっていました。そのとき、なにを言われたかと言うと、例えばみなさんが選ぼうとしている会社やクライアントさんにとって、インターネットはどう役に立つのか質問されるわけですよ。

森川:うん。

吉松:例えばキリンビールさんとか、TOYOTAさんとか資生堂さんにとってインターネットがどう役に立つのかって聞かれたんです。

「インターネットって世の中の仕組みを変えますよね」「これからユーザーのクチコミとかが世の中を変えてくんですよ」と言っても、みんな自分の会社のことしか考えられないわけですよね。

当時、僕が(インターネットを)始めた時は、日本にまだインターネットのクチコミサイトがなかったんです。食べログもAmazonも価格.comもないので、これからいかに新しいユーザーの声を使って新しい仕組みを考えていくかっていうと、ベンチャーしかなかった。なので、会社を作った。

でもこれ、同じ状況だと思ってて。今VRだとかIoTだとか、どんどんテクノロジーやAIが進んでいくじゃないですか。なんか同じように新しいものができるワクワク感があって、会社を作った。そんな感じでしたね。

森川:その時って、けっこう採用は苦しんだと思うんですけど、どうでした? どんな感じでセレクトした?

吉松:最初は3人だったんですよ。3人からスタートするとなにが起こるかと言うと、今のようにインターンはほとんどないし、そもそもインターネットがないので、学生が僕みたいなベンチャーを見つけることがないんですよね。

しょうがないからなにをやっていたかと言うと、@cosmeを使ってくれるユーザーの方々にガーッと連絡しました。「一緒に作りましょう」と言って参加してもらったり。

森川:なるほど。

吉松:あと、OB訪問で来る学生に「話聞くんじゃなくて俺と仕事した方がわかるぞ」って言いました(笑)。少しずつ学生が溜まるような、擬似インターンの走りみたいなことをやっていました。

変化に強い人=ベンチャー向きな人

森川:じゃあ、けっこう女性が多かったんですか?

吉松:そうですね、最初に男性3人の女性10〜15人とか、そんな環境で仕事してました。

森川:たぶん、今まで何百人とか1,000人以上採用してると思うんですけど。ベンチャーに向いてる人ってどんな人なんですか?

吉松:ベンチャーに向いてる人っていうのは、変化に強い人だなぁと思ってます。変化を楽しいと思う人。

よく、「なにしたらいいんですか?」と聞かれます。「どうしたらいいか考えてやってよ」と言った時に、最初の1歩がわからなくても、手が出る人がすごく向いてるなぁと思います。

森川:ご自身はベンチャー向きなんですか?

吉松:僕はベンチャー向き……ですよね、たぶん(笑)。

(会場笑)

吉松:もうね、15年ぐらいやってますから。

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