オスもメスも命がけ
驚くべき昆虫たちの性生活

9 Extreme Bug Mating Rituals

少子高齢化が叫ばれている昨今ですが、昆虫たちには一切関係ありません。種を存続させるために、彼らは日夜交尾にはげんでいるのです。なかには、オスが交尾の直後に命を落とすミツバチ、交尾のためにオスがメスを脅迫するアメンボなどなど、人間の倫理観が通用しないクレイジーな昆虫たちも存在します。今回のYouTubeのサイエンス系動画チャンネル「SciShow」は、さまざまな昆虫の性生活について紹介します。

知られざる昆虫たちの性生活

ハンク・グリーン氏:ロマンスやダンス、デートに極上の贈り物、それに貞操帯。残忍な運命の女、嫉妬する男、強奪に、洗脳……。

『ゲーム・オブ・スローンズ』の新シーズンの放送が始まっているかもしれませんが、この現実世界にも、もう1つ暴力的で、裏切りや予想外のストーリーを展開する世界があるのです。それは、昆虫やクモの性生活です。一言で言えば、やりたい放題です。

雌のカマキリは求婚する雄の首を折って貪り食う習性があり、この昆虫ほど交尾での悪習性を知られている虫はいないのではないでしょうか?

この噂は一応、真実に基づいています。雌カマキリの多くは、雄を食べてしまいます。けれど、性交時の共食いは、実際にはそんなに頻繁には起こるわけではなく、全体の交尾の25パーセントほどで、受精の成功に必ずしも必要というわけではないのです。

とは言っても、つがいを食べることには、いくつかのお得な特典があります。まずは、ただで食事ができるということです。雌のカマキリは相手の雄のカマキリよりも大きいですから、もし雌が本当に空腹だった場合、交尾で忙しい雄は格好の標的です。よく肥えている雌のカマキリよりも、空腹だったり栄養失調のカマキリの方が、デートのお相手の頭を食いちぎる傾向にあります。

また交尾中に断首することは、ちょっとゾッとする恐ろしい話ではありますが、雌のカマキリに利点をもたらすこともあります。交尾中に脳を断ち切ってしまうと、交尾が終わってしまうと思いがちですが、雄カマキリの脳と体を切り離すことによって、実はより多くの痙攣を引き起こすことができ、より多くの精子が得られるようなのです。

多くの雄だって、命を長らえて、また新しい相手を見つけて交尾したいと願っているとは思いますが、雌の夕ご飯になってしまった彼らも、彼女らに栄養をつけさせ、遺伝子を次世代に繋げる可能性を広げているのです。

科学者たちは、雄のカマキリが 、意図的に自分をスナックとして差し出しているのかを解明できてはいませんが、もし、彼らが自らの意志で犠牲になっているとしても、交尾で自殺行為を行っている昆虫は彼らだけではありません。

ミツバチの巣における階級システムでは、どのハチも自分の役割を理解しています。雄ハチは精子提供者以外の何者でもありません。

彼らは、花粉を集めたり、幼虫の世話をしたり、巣の整備をしたり、 侵入者と戦ったりもしません。彼らの唯一の仕事は、他の巣から女王バチを見つけ、空中で交尾をし、輝かしい栄光の中で死ぬことなのです。

交尾に成功した雄バチが女王バチから離れると、彼の性器と腹部の組織の一部が、彼の体から引きちぎられて、その……、死んでしまういます。彼の情熱が、文字通りに彼の体を引き裂くのです。どうだ! 青春時代の詩人たちよ!

女王バチはというと、数十匹の雄バチとの交尾をし、彼らの精子を体内にため込み、彼女の安全な巣の中で数年に渡る産卵に使います。

交尾に成功しなかった雄バチがラッキーだったと思ってはいけません。秋になると、ただ飯食らいの雄バチたちは、他の姉妹のハチたちに巣から蹴り出されて、凍死させられてしまうのです。

華やかな蛍の贈り物

そしてほかにも、ロマンチックな虫ともいえる、歌や踊りを披露してくれたり、特別な贈り物をして愛を乞う昆虫たちがいます。

見た目の美しさでは、蛍の華やかな光のショーに敵うものはいないでしょう。この飛び回る蛍には腹部に特別な光の臓器があって、その中に溜まっているルシフェリンと呼ばれる物質が酸素と反応して蛍の光を放つのです。

蛍はこの臓器への酸素の流れを調節して、点滅のパターンを創り出し、それぞれの種族が個別の光の信号を出して、相手を魅了しています。これは、目に見えるモールス信号のようなものです。

期待を寄せた雄の蛍が、彼の気持ちを光で表しながら暗闇を飛びまわり、その光が好みにうるさい雌の蛍を魅了できれば、彼女は光を点滅させて雄に応えます。雄の蛍がこの華やかな光を見せることは重要ですが、彼らが彼女の気を引き続けるには贈り物も用意しなくてはなりません。

タフツ大学の研究者は、近年の研究で雌の蛍は、雄の繰り広げる光のショーではなく、 婚姻ギフトと呼ばれる贈り物の大きさによって、最終的に相手を選んでいると発見しました。そして、その贈り物というのは、精子の詰め合わせです。

交尾の間、雄の蛍は栄養価のある螺旋状のタンパク質に精子を包んで渡します。これは精包と呼ばれ、卵母細胞の発達の活力を増加して雌の受精率を高めます。この贈り物が大きいほど、求婚者を受け入れて、父親となることを許してくれるのです。研究者はいまだに、雌がどうやってこの精包大きさを見分けているのか解明できていませんが、雌の蛍は、大きいのがお好きなようです。

ほかの昆虫はもっとシンプルな贈り物で求愛しています。丸くて形のよい糞玉ほど雌のフンコロガシの優しい心を掴むものはありません。

糞はフンコロガシにとって全てです。集めたり食べたり、子供を育てる場所にさえなります。それが彼らがフンコロガシと呼ばれる理由です。

例えば、新鮮な象か牛の糞のそばで、相手に出会うと、つがいの絆を発展させて、大きな糞玉を一緒になって夕暮れの空へ向かって転がしていくのです。そして、柔らかい土を見つけると、彼らの宝物である糞玉を埋めて、交尾を始めます。時には、交尾をしながら糞玉の中へ入っていきます。

雌は小さい産卵用の糞玉に卵を産み付けます。卵が孵ったあとは、この玉は彼女のおやつにもなってくれるのです。多くのフンコロガシの種族は片親か両親がそばに残って世話をして、子供たちが成長するのを見届けます。これは、昆虫の世界では大変珍しいことです。フンコロガシは家族思いですね。

ダンスで魅せるクジャクグモの求愛

しかし、みんなが糞で感動するわけではありません。昆虫界では、もう少しお決まりの表現、例えば素敵なダンスなどを好む女性たちがいるようです。

わずか数ミリメートルの毛で覆われた、オーストラリアのクジャクグモはとても小さい生き物ですが、彼らの格好よさには変わりありません。彼らはエルトン・ジョンさながらの服装、チャニング・テイタム並みのダンス力を持っているのです。雌の気を引くために、雄は腹部を振動させて、まるで交通整理でもするかのように2本の足を振ります。

彼が観客を得ることができたら、奥の手を登場させます。彼の虹色の腹部皮弁を広げて、まるでクジャクの尻尾ように、頭の後ろでこの皮弁を情熱をこめて振ります。

彼がシミーを踊り、目まいがするほど足を空中に振り上げて、左右にジャンプしたり、地面を叩いたり、母親のくれた体を振ったり、とてもかわいいのです。

お目当ての相手に好印象を与えることができたら、彼女と交尾することを認めてもらえますが、もし、彼女のお気に召さなければ、素早く立ち去らなければなりません。そうでないと、彼女の夕ご飯になってしまうのです。

カゲロウのような種は、交尾の後に死んでしまいます。2年ほどの幼虫時代を水中で過ごした後、カゲロウはついに羽根の生えた繊細な成虫になり、人生のサイクルを終えます。

通常、その辺り一帯の水中にいる幼虫が一斉に孵化するので、大量の昆虫が激しく飛び回ります。ミシシッピ川にいるカゲロウの集団は18兆もの虫を孵化させます。この同時発生はカゲロウが食べられてしまう可能性を下げ、この乱交パーティーの環境では交尾できるチャンスが大いにあります。

それは文字通り、彼らの人生の唯一の目的と言っても過言ではありません。本当に、カゲロウには機能的な口や消化器官がないので、彼らは食事することすらできません。

一度、成虫になるとこの乱交パーティーは長くは続きません。ほとんどの種族は、成虫になってから24時間以上、命が続くことはありません。ドラニア・アメリカーナという種類のカゲロウは、成虫になってからわずか5分でその命が尽きてしまい、これは昆虫界でも記録的に短命な種族なのです。カゲロウがEphemeral(短命)やFleeting(儚い)を表す言葉に由来する、Ephemeroptera(カゲロウ目)に分類されているのにも納得がいきます。

カゲロウは水上の空中で交尾をし、雌は命が尽きる前に水面に卵を産みつけます。死んでいく雌は、辺りの魚にとってバイキング式の餌となり、雄は地上で息絶えます。受精卵は水底に沈んでいき、やがて幼虫へと孵化し、栄光なる1日を空中で過ごす運命なのです。

もっとも卑劣な種はアメンボ?

カゲロウのような短命の虫が素早く交尾をしなければならない一方で、かなり、のんびりとした種族もいます。長くて色の鮮やかなムクロジ虫をご紹介しましょう。

ある気候では、雌のムクロジ虫は雄よりも高い死亡率の危険にさらされています。これでは、性別の割合に大きな歪みが生じ、多くの雄が比較的少数の雌を巡って争うことになります。

それだけでなく、昆虫の種族の多くは、雌は何匹もの雄との交尾をして、普通は最後に交尾した雄の精子が受精に成功するのです。つまり、ムクロジ虫の雄は争って、雌を見つけ出すだけでなく、さらに戦って、最後に彼女と交尾できるように頑張らなくてはなりません。

その中に、受精がもうとっくに終わっていても、交尾を長引かせるという方法があります。雄は何時間、何日、時には1週間以上も雌に張り付いたままのこともあり、雌が卵を産み付ける間だけ離れます。

このような配偶者防衛は、時に度を過ぎて、なかには相手の雌が死んだ後でも、しがみついている雄が見られることもあります。幸運なことに種族の男女比のバランスが取れている場合は、競争率も低いですから、もっと交尾の時間も短いようです。

もしも、あなたが雄のキイロショウジョウバエであったなら、最後ではなく、お金を払ってでも最初の交尾の相手になりたいと思うでしょう。

なぜかですって?それは、彼らの精液には特別で、雌の行動に影響することのできる洗脳のタンパク質が含まれているからです。これらのタンパク質の中には卵子の生成を促進するものもあり、他には催眠作用なものがあって、他の雄とのセックスに興味を示さないようにする力があるようです。おそらく この両方の効果があれば、他の雄よりも優位になって生殖活動を行えます。

ワシントン大学でのある研究では、雌が多く精液を取り込むほど、雄が彼女の生殖行動に多大な影響を与えると示されています。

なんだか、めちゃくちゃだと思うかもしれませんが、いかがわしい交尾をするための戦略といえば、この虫が卑劣賞を獲るでしょう。

みなさんも、まるでオリンピックのスケーターのように優雅に池の水面を滑る、長い足のアメンボを見たことがあると思います。

しかし、その見かけにごまかされてはいけません。交尾をするための彼らの戦略は辛辣です。雄が交尾をしたい気分になると、口説きもせずに手っ取り早く1番近い雌の上に飛び乗ります。もしも雌にその気がなければ、彼女は貞操帯のような固い楯で性器を守ることができ、雄が諦めて他へと移動してくれることを期待します。しかし、もし彼がどこへも行かない場合、彼女にはちょっとしたトラブル発生です。

雄は足を使って水面で特定のリズムを刻み、水中の魚や肉食の昆虫などの 敵を呼び寄せます。このような敵は水面下から襲ってくるので、水に押さえつけられた雌は、彼女の方が食われる可能性が高いということを知らしめるのです。そうすると雌は、そのリズムを止めるために、性器を守っていた楯を下げて降伏するのです。優雅さを保ってくれよ、アメンボ君。

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