ヨーグルトに含まれるバクテリアの話

ハンク・グリーン氏:ヨーグルトを食べている時に、なんとなくヨーグルトの容器を見て、なにかおかしなことに気が付くでしょう。「活性乳酸菌配合」と書いてあり、バクテリアがヨーグルトの中に入っている上に、なぜかヨーグルト会社はそれを大ぴらに宣伝しているのです!

ヨーグルトに生きたバクテリアが入っているという事実は、なんだか気持ち悪いと思うかもしれません。もちろん危険な種類の細菌もありますが、ヨーグルトの中に入っている細菌も含め、多くのバクテリアは人間の体に害を与えるものではありません。

事実そのバクテリアが、牛乳をあなたの食べているヨーグルトに変えているのです。

濃厚で滑らかなヨーグルトは牛乳から作られます。牛乳は異なる種類の脂肪とタンパク質、ラクトスと呼ばれる砂糖が水に漂っている状態でなっています。

ヨーグルトを作りたければ、牛乳をスプーンですくえるくらいに濃くてクリーミーにする方法を見つけなくてはいけませんが、カードと呼ばれる凝固物と乳漬に分けてしまっては、チーズを作ることになってしまいます。

現代のヨーグルト作りは、まず牛乳を高熱で熱するところから始まります。これは、牛乳の中の不可解な微生物を殺すだけでなく、水を蒸発させて牛乳を濃くすることができます。なによりも高熱は、ベータラクトグロブリンと呼ばれる乳漬タンパク質の分解を助けその形を変えます。

ここで姿を現したタンパク質の構造は、 カゼインと呼ばれる他のタンパク質の培養に影響し始めます。そして、この作用が牛乳を固めていき、チーズのような大きな凝固物ではなく、ヨーグルトの食感を作り出すのにちょうどよい固さにしていきます。

ここで牛乳の温度をわずかに下げて、好熱性のバクテリアを加えるのです。バクテリアは牛乳に含まれている乳糖を食べ、発酵という過程の中で乳酸を作り出します。

これらのバクテリアが牛乳を発酵させて酸性に変えていくと、カゼインのタンパク質の構造が変わり始めます。タンパク質が新しく混ぜ合わさって網のような構造になり、濃厚でクリーミーな食感を作りだすのです。その上、乳酸がヨーグルト特有の酸っぱい味を出します。

国によっては、ヨーグルトの大量生産に使えるバクテリアの種類を規定で決めているところもあります。ここアメリカではFDA(食品医薬品局)が乳製品を発酵させる場合、ラクトバチルス・ブルガリクス(ブルガリア菌)と高温性連鎖球菌の特定の2つのバクテリアを使うように義務づけています。

高温連鎖球菌は咽頭炎や他の感染を引き起こす細菌と同じ属になりますが、全く害はありません。

犬に様々な血統があるように、ヨーグルトを作るのに使われるこの2種のバクテリアの中にも異なる種族がいます。違う種類のバクテリアを使えば、ヨーグルトの味も、より酸味があったり、苦かったり、ぴりっとしたり、クリーミーだったりと少しずつ違ってくるかもしれません。

そして、そこへ砂糖や色、人工の香味料や他のバクテリアなどを加えることができます。例えば、バクテリアの中にはプロバイオティクス(善玉菌)とみなされている種があります。それは、これらの菌が 腸内菌叢を助け、健康によいとされているからです。しかし、今のところそれを証明する確かな証拠はありません。

例えば、ギリシャヨーグルトのような別の種類のヨーグルトは、異なる温度や発酵時間があり加工の過程に違いがあります。

今度、朝ご飯にヨーグルトを食べる時、おいしいヨーグルトを作ってくれているバクテリアに感謝したいものです。