2024.11.25
「能動的サイバー防御」時代の幕開け 重要インフラ企業が知るべき法的課題と脅威インテリジェンス活用戦略
手塚治虫 1985年頃のインタビュー(全1記事)
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渋谷陽一氏(以下、渋谷):その、倫理観というんですか、道徳観というんですか、(手塚治虫氏は)それを決めちゃった人なんですよね。
手塚治虫氏(以下、手塚):いやいや、そんなことないでしょう。やっぱり安保が決めたんでしょう。
渋谷:そんなことないですよ。ヒューマニズムというのは、基本的に、僕らの中に手塚治虫的な非常に苦いヒューマニズムと言うんですかね、そういうのですごく影響を受けていますよね。
手塚:そのヒューマニズムっていうのはね……手塚ヒューマニズムって、よく昔の人が言ってるのはね、本当にもう、耳ふさぎたいんですよね。
渋谷:すみません(笑)。
手塚:ヒューマニズムっていうのは、僕にとって砂糖なんですよ。オブラートなんです。もっと僕の本音を読んでほしいわけ。くさいんだよ、ヒューマニズムっていうのは。僕としては自分からさらけ出してね、どろどろしたもん書きたいんだけど、それが出来ないってところが、商売人っていうのはダメなんだね。
渋谷:本当にオブラートなんですかね?
手塚:僕は、つげ義春とか……まあ大友君は6世代の方だから別なんで、これはまた違うと思うんだけど、つげ君とか水木氏ね、それから滝田ゆう、この辺は本音だけで書いているから、うらやましくてしょうがない。全くこれ、歯に物を着せないでしょ。白土氏のほうがまだ商売人ですよ。
渋谷:かもしれませんね。
手塚:あれは、『忍者武芸帳』でも何べんも描いているわけですよね。つまり一番最初に、紙芝居で描いてね、それから『忍者武芸帳』やって、『カムイ外伝』やって『カムイ伝』でしょ。だんだんオブラートが入ってきているんですね。ね、だんだん面白くなくなっている。でも僕、紙芝居の『忍者武芸帳』見たいんだな。あれこそ、本当に生活に追われて、七転八倒して描いて、脂汗のたまものだと思うんですよ。そういうものが、僕にはないんだ。出てないわけ。それを出したいんですよ。
渋谷:本当に出てないんでしょうかね?
手塚:出たとしたらね、本当に初期の、僕の1万円何某の原稿料もらうためにね、赤本単行本屋に通ってせっせと原稿を描いた、あのころにいくつかあるかもわからないですがね。妥協しないもの描きたいんだよね。
渋谷:例えば描かざる一編があるとするならば、それは手塚さんの頭の中で、どういうものとして?
手塚:それは、どんなものでもなるんですよ。なる要素はあるわけ。例えば今描いている『アドルフ』にしてもね、『陽だまりの樹』にしても『火の鳥』にしても、それをやろうと思えばできるんです。ただ、怖いんだ。それでもう手塚おしまいじゃないか、ていうような感じがすごくあるわけ。やっぱり手塚プロと女房と子供、食わしていますからね。今の50才代の手塚治虫としては、それは清水の舞台から飛び降りる気持ちになっちゃうんですよ。だから僕があと30年若ければね、それをバーンとぶつけてアメリカなんかに逃げちゃったりね。
渋谷:(笑)。
手塚:20年ぐらい帰ってこないっていう形ならば、僕はやらないとも限らない。
※画像は手塚治虫作『ブラック・ジャック』
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