ダース・ベイダーの帽子でディズニーと提携

塩谷舞氏(以下、塩谷):Fish Born Chipsさんの次なるステップは?

Yoshiteru氏(以下、Yoshiteru):うちはminneさんで活動しているうちに、実店舗からお声がけいただけるようになって。

塩谷:どんなブランドから?

Yoshiteru:H.P.France(アッシュペーフランス)から声がかかるようになって。それでそのうち、展示会にも出すようになったんですよ。さらに展示会でディズニーさんから声がかかって。

片桐仁氏(以下、片桐):ディズニーのほうから⁉︎ こっちから声をかけたんじゃなくて⁉︎ すごくないですか⁉︎

塩谷:私てっきり、非公式で作ってらっしゃるのかと……。

片桐:そんなの自分でシール貼ったのかなって(笑)。

Yuka氏(以下、Yuka):と思ってたら、公式で。

片桐:公式サポーター。

Yoshiteru:ダース・ベイダーとかも僕が手描きで描いてるんですよ。

片桐:ええ⁉︎ じゃあ、もう1点ものですか?

Yoshiteru:いや、これはもう言われただけ描きます(笑)。

片桐:言われただけ描くんですか⁉

阿部雅幸氏(以下、阿部):認められているんですよね? ダース・ベイダー描いていいよって。

Yoshiteru:自分で言いづらいですね(笑)。

阿部:認められているし、一つひとつ同じじゃないんですよね?

Yoshiteru:多少は誤差があります。なんて言うんですかね……スケッチとかを出すんですよ、アメリカに。全部やりとりしなきゃいけないんですけど、うちの嫁(Yuka)がすべて担当してたんですけど、うちの嫁も英語ができなくて。日本語を翻訳して適当に英語で打って、送っちゃったんですよね。

送った後に1回友達に見せたんですよ。

片桐:文面をね。

Yoshiteru:文面を。そうしたら、「お前、ちょっとやばいぞ」と言われて。「これ帽子の曲面に描くんで、多少誤差が出る」ということを言いたかったんですが、「ダース・ベイダーを描け」みたいな命令文になっていて。

片桐:描くのはこっちなのに。

Yoshiteru:描くのはこっちなのに(笑)。「お前が描け」ってまず命令口調。そして「多少の誤差は許すがな」みたいな(笑)。

片桐:間に人を入れればよかったのに! 英語ができる友達とか。

Yoshiteru:そうしたら代理人からすぐ「なに言ってるの?」みたいな連絡が来て。「お前が描くんだろ」と(笑)。「すいません」と、そのあと英語ができる人に頼んで、いろいろやりとりして。それで、どうにか……(笑)。

塩谷:でも、ありますよね。英語の壁というか……。

片桐:海外の方での反応はどうですか?

Yoshiteru:契約で、国内でしか売っちゃいけないんですよ。

意外と売れなかったSWカバン

片桐:minneどうですか?

阿部:minneもイタリアから問い合わせ来たりして。

片桐:minneイタリアも始まるかもしれない。

阿部:minneイタリアも始まるかもしれないですね。

Yoshiteru:海外からの問い合せもちょこちょこ来ますね。

片桐:海外でもこういう手作りサイトって、いっぱいあるわけですか?

阿部:あります、各地で。

片桐:これは? この、ストームトルーパーのカバン。

塩谷:ペンギンとストームトルーパーと似たところが。

Yoshiteru:群れてるところがね。白い革で。

片桐:これは売れたでしょう、ペンギンより?

Yoshiteru:これは実は、売れなくてですね(笑)。スターウォーズって、男性のファンが多いんですよ。

片桐:そうか。

Yoshiteru:さらに、おもちゃのほうが……。

片桐:ああ、なるほど。カバンで持とうとか、そこまでじゃないんですね。

Yoshiteru:ないです。だからこれ、男性で買っていかれた方がいらっしゃるんですけど、その方も「飾る」って言って買っていきました。

片桐:なるほど。

阿部:部屋のインテリアになりますもんね、これ。

片桐:カバンだったら、おもしろいですもんね。

Yoshiteru:おもしろいですね(笑)。

塩谷:minne大賞とられて……。

Yoshiteru:50万円はもらえなかったですけど……。

(会場笑)

minneではApple Payが使えます!

塩谷:はい、ということで今日はここAppleの表参道店ということで、去年Apple payが国内で初めて提供をはじめる時に最初にminneが対応したというところで注目を集めているわけですが、ここでいきなりムービーが始まります。

(ムービーが流れる)

阿部:こうやってminneでApple Payを使って……。

片桐:簡単に買えたね!

(会場笑)

片桐:吟味せずに買っちゃったぞ。

Yoshiteru:買っちゃいましたね。

片桐:これは危険だぞ!

(会場笑)

阿部:これは危険ですけど、これだけ簡単に。

片桐:簡単って危険なことですよ(笑)。

阿部:こういうことができるようになってたりしてます。

塩谷:今ので全部取り戻したと言いますか……Appleへの暴言を……。

片桐:なにをおっしゃいますか。本当にこれ、minneさんのサイトにApple Payが入ってるんですよね。

阿部:入ってますね。

塩谷:そうするとApple Payと、いつものクレジットカードの番号とか。

片桐:最初に登録するだけですもんね。

阿部:最初だけです。それ以降はもう簡単に。

片桐:そうですよ。それすらもすっとばして、Apple Payで。

塩谷:指紋で買える。

片桐:指紋で買える……誰かが触ったら危ないですよ。子供にやられますよ。

塩谷:ただ、片桐さんのiPhoneケース、指紋認証ができないくらい……。

片桐:そうです。ちょっと難しいですね。

塩谷:画面に迫ってきてて、先っぽでしかできない。

片桐:先っぽで、こう、認証しているわけですね。

塩谷:本当にAppleを尊敬しているんですか?

片桐:当たり前じゃないですか(笑)。

塩谷:失礼しました。そういう指紋認証だとか、Apple Payだとかで。やっぱりそのデジタル系とか、ものを買いたいという時になにかひっかかってしまうと、買う思いが高まっているのに決済がいやで諦める方、意外と多いんですよね。

片桐:諦めるというか、冷静になるってことだよね。ある意味、言い方を変えるとね。

塩谷:まあまあ、そうも言いますけれども(笑)。

片桐:「買おう!」と思っても、カードを持ってないとかね。

塩谷:やっぱりお買い物って、買いたい時にパッと買うほうが……。そこでちょっとカードの情報を入力くれという時間のうちに、冷めてしまって……。

片桐:冷めてきますね。

塩谷:そう、冷めてくることがありますけど。

阿部:お店だと、レジでやれますからね。

塩谷:そう、店員さんがずっと応援してくれますから。

片桐:店員さんが応援してくれる(笑)。「いいですよ、これ。似合いますよ」って。それはそれで、嫌いな人もいますけどね(笑)。自分のタイミングで買えますもんね。

阿部:minneだと自分のタイミングで簡単に買えます。

片桐:そう、すぐ買えるところがいいですね。

minneがきっかけで実店舗を出した例も

塩谷:minneさん、やっぱりいろいろなメディア……Twitterとかめちゃめちゃ多いじゃないですか?

阿部:はい。

塩谷:そこで発掘してもらって、人生変わったみたいな人たちが……。

片桐:そうですよ!

阿部:ご紹介するとそこから一気に人気になる作家さんがいらっしゃいます。

片桐:minneさんのTwitterに出してもらう。手軽ですもんね。人の人生を握ってますね。31万人の命を……。

阿部:ちょっと命までいくと、けっこう大袈裟かもしれないですけどね。

片桐:でも「ツイートしてやるから」みたいなこと言えますもんね。

阿部:それはちょっと違うんですけども(笑)。もうちょっと丁寧に。

片桐:そうですね(笑)。

阿部:影響はけっこうありますね。みなさんご活躍されていて、実際にお店を持たれたりした方とか。

片桐:実際に店舗を! そこまできましたか。

阿部:お仕事をされている方が並行して作品作りをされていたんですけど、お仕事を辞めて作家として専念されるという方も出てきていますね。

塩谷:すごい! さっきの美大生のやる気を砕いていたのは……。

片桐:95%は作家活動を辞めてますからね……。僕がいたクラスからは、35人中1人しか作家してる人いないですからね。

塩谷:美大出身の方、いらっしゃいますか? 

(会場挙手)

塩谷:お、ちらほらいらっしゃって。

片桐:やってます? やってない?

阿部:やってる方、いらっしゃいます?

片桐:やりたい気持ちのある方はminneへ。現実が駆け上がりますよ。

見てもらえる・フィードバックがもらえる場所の大切さ

塩谷:でも15年前と比べるとほんとにいい時代かと思いますが。

片桐:ほんとにいまはいい時代。

Yoshiteru:自分の作品を見てもらうってだけでも、普通ギャラリーとかになるじゃないですか。

片桐:やらせてもらえるかどうかも、わかんないですしね。

Yoshiteru:来ても身内が数人とか、なんですよね。

片桐:そうなんですよ(笑)。

片桐:でも本当に、minneさんに出すと、アート作品も出せるので、何万人もの人が平気で見てくれるので。そんなにお金を払わないで見てくれるなんて。

Yoshiteru:お気に入りが付くことが、作家としては意外と大切で。例えば、いろいろな形、大きさ、いろいろなバージョン作ってアップした時に、お気に入りが付く数がぜんぜん違うんですよね。

片桐:なるほど! 大きさによって。

Yoshiteru:それで、こっちとしては、どの大きさがいいかわかんないので、「これがいいんだ」というのがわかる。

片桐:フィードバックがある、みたいな。

Yoshiteru:買う・買わない、だけでなく、そのフィードバックが非常に大きいです。

片桐:さすがですね。

阿部:ですね。誰が作ったんだろ(笑)?

片桐:誰が作ったんだろ?(笑)。

塩谷:いろいろなクリエーターさん、世界観もあって「ここでやりたい」となるんでしょうけど、それだけじゃなくて、いろいろなイベントに参加してみたら「まさかディズニー⁉︎」みたいなことがありますよね?

阿部:バイヤーさんや企画されてる方もminneを見てくれてますから。

片桐:そうですよね、業界の人が。どこで誰がどうつなぐか、わかんないですね。

阿部:そうですね。

片桐仁、ヴィレヴァンでオリジナルグッズを販売したら……

塩谷:片桐さんもそういうシンデレラ的な、「このiPhoneケース!」みたいな、こう……。

片桐:……え?

Yoshiteru:(笑)。

片桐:「欲しい」と言われるんですけど、やっぱり鯛は痛いから。これまで何人かに差し上げたんですけど、使いづらい。

塩谷:誰も使っていない?

片桐:量産したのは鯛の前に、かえるちゃんというのがあるんですけど……。

阿部:かえるちゃん、さっき写真ありましたね。

片桐:はい。かえるちゃん、これですね。これ、谷原章介さんに差し上げたんですけどね。

Yoshiteru:使ってるんですか?

片桐:いやいや、使ってないです。鯛Phoneは林遣都くんと、ザ・クロマニヨンズのヒロトさんが……使ってないですね(笑)。

みなさん、最初は使ってくれるんですけど、割れるとか、いろいろあるみたいで。柔らかい素材で作りたいんですけど、柔らかい素材をやるのはノウハウがなくて。

塩谷:儲けるために作ってない?

片桐:いや、儲ける気はものすごいありますよ。今日出してないですけど、フリスクケース。ヴィレッジヴァンガードで出したら、1万6,800円とかで売ってたんですよ。なかなかないじゃないですか(笑)。

塩谷:ヴィレヴァンなら。

片桐:いろいろあって1万6,800円になっちゃって。

塩谷:片桐さんが作ったんですよね?

片桐:違います。中国で生産しました。

Yoshiteru:ええ⁉︎

(会場笑)

片桐:僕は原型しか作ってないです。パッケージまで入れたら1万6,800円になっちゃって。

塩谷:何台売れたんですか?

片桐:えっと、300個発売して……。300個作ったことしか知らないです。

塩谷:ヴィレッジヴァンガードへ行けば、まだあると。

片桐:はい、たくさんあると思います。全国に600店ありますからね。近くのお店に必ずあるとは限らない。

阿部:300個だから、行き渡らない。

片桐:そうです。