ハンドメイドとテクノロジーをつなぐ

塩谷舞氏(以下、塩谷):今日はお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は作ることと、広めること、そして売ること。その3つについて、近年注目されている2つのキーワード「ハンドメイドとテクノロジーをつなぐ」についてトークイベントをさせていただきます。

オンラインとオフラインとの出会いを……、もう登壇者が見えてるので、早く出てきてほしい感じなんだと思うんですけど(笑)。お話をしていただきたいと思います。

よろしければみなさんお写真をお撮りいただいてソーシャルでイベントをご紹介ください。では、ご登場いただきます。

(会場拍手)

このままで始まりますけれども。自己紹介からお願いしたいなと思うんですけれども。

阿部雅幸氏(以下、阿部):はい、私のほうから。どうも、みなさん初めまして。minneというサービスの発案者で、事業部長をしております、阿部と申します。よろしくお願いします。

(会場拍手)

塩谷:そして、そのお隣にいらっしゃるのが。

片桐仁氏(以下、片桐):片桐仁です(笑)。俳優やお笑いをやりながら、こういう作品を作っています。

塩谷:カレイPhoneですね。

片桐:カレイPhoneです。テレビでおなじみ。あとこれ、だいぶ前に作った初代iPadなんです。今回はApple製品にまつわる物をいっぱい持ってきたんです。いろいろな物に粘土を盛ったりする連載を『週刊FRIDAY』で、月刊という謎の連載のかたちでやらせてもらってます。

塩谷:毎回、すごいことになってますから。

片桐:回によっては載ってるので、よかったら見てください(笑)。よろしく願いします!

(会場拍手)

minneで活躍中の作家も登壇

塩谷:私の隣にいらっしゃるのが、minneで活躍されているFish Born Chipsのお2人です。

Yuka氏(以下、Yuka):こんにちは。

Yoshiteru氏(以下、Yoshiteru):マイクが、入らない? (大声で)Yoshiteruです! よろしくお願いします!

(会場拍手)

夫婦でやってます!

塩谷:YoshiteruさんとYukaさんの2人組でいらっしゃる。

Yoshiteru:はい。

塩谷:今日、身につけていらっしゃる物もハンドメイドということで?

Yoshiteru:はい、そうです! 作った物を、身につけて参りました!

(会場笑)

片桐:声がよく通る(笑)。

塩谷:あの、一般の方ですよね?

Yoshiteru:はい、一般人です! よろしくお願いします!

(会場拍手)

塩谷:元気よくあいさついただいて、ありがとうございます(笑)。今日はおしゃべりの上手な4人で進めていきたいと思っております。私、司会をさせていただきます塩谷です。よろしくお願いします。

一同:よろしくお願いします。

(会場拍手)

500万作品、31万人の作家たちが集まるminne

塩谷:今日は、事前にお申し込み頂いてお越しくださった方もいらっしゃいますが、すごいガラス張りの建物なので「なにをやってるんだろう?」「なにか始まったぞ」って感じでみえてる方も多いと思うんで、まず「minneってなんだろう?」ということで……。minneって知っていらっしゃいますか?

(会場挙手)

片桐:ああ、すごいすごい。

塩谷:表参道の9割5分。

阿部:すごいですね。

Yoshiteru:もう、説明いらないんじゃないですか?

(会場笑)

片桐:しましょう(笑)。まだ知らない人もいますからね。

阿部:知らない方は今すぐアプリをApp Storeで、ダウンロードお願いします。minneは、最初のほうに説明ありましたけれども、物作りをしている個人の方が簡単にインターネット上で自分の作品を販売できるマーケットアプリになります。

今、作品数でいうと500万作品くらい。

Yoshiteru:500万作品⁉︎

片桐:作家数は?

阿部:作家数は31万人くらいいらっしゃいます。

片桐:そんなに作家さん、いらっしゃるんですか? 日本の方ばっかりですか?

阿部:全員、日本の方ですね。

片桐:日本だけで、31万人?

Yoshiteru:何年間でですか?

阿部:2012年からスタートしてるので、丸5年ですね。

片桐:丸5年で、31万人?

阿部:31万人ですね。

阿部氏「ネットで作品する場がないなら、作ればいい」

塩谷:阿部さんはその生みの親ということで?

阿部:そうですね。2011年に企画をして、会社のほうに提案して。

片桐:どういうきっかけでそういうことしようと思ったんですか?

阿部:もともと好きだったんです、手作りするのも好きですし、手作りの物を見るのも好きだったんです。ただ、2011年頃ってインターネット上で作品を販売したり、発表したり、そういうことをしている作家さんは少なかったんですよ。

なんでだろうと見てみると、そういう場所がなくて。ネットショップも難しいし、自分の雰囲気に合うところがないなって感じていて。ないなら作ったらいいんじゃないかと思ったんです。

片桐:作家が、自分が欲しい物を作っている感じっておもしろいですよね。身近な物を。

阿部:そうですね。

塩谷:自分が欲しい物というのがどういう物か、こちらにいろいろありますけれども。

塩谷:とげとげした針みたいなのがついていますけど。

阿部:HOLY CRAP(ホーリークリップ)さんという靴を作ってる作家さんなんですけど。

片桐:この人、靴を作ってる作家さんなんですか?

阿部:はい。もともと靴作りをされていらっしゃって。

塩谷:友達なんですか?

Yoshiteru:はい。ずっと靴屋で働いてて、「独立するぞ!」と意気込んで独立したそうです。

阿部:minneのハンドメイド大賞で賞をとられてね。

片桐:レディ・ガガとかが履いてそうですね。

塩谷:続いてはお尻です。

片桐:こちらもお知り合いなんですか(笑)?

Yoshiteru:知り合いです(笑)。

Yoshiteru「もともとカスタムで作るのが好きだった」

片桐:minneの作家さん、みんな仲いいんですか?

Yoshiteru:たまたまですね(笑)。

片桐:たまたまですよね(笑)。

Yoshiteru: この「440」で「よしお」って読むんですけど、彼に「なにか作らないか?」と誘われたんです。

片桐:そうなんですか!

Yoshiteru:最初3人でやってて、けっこう軌道に乗り始めたらよしおが「忙しいのやだ」と言って、辞めたんです(笑)。

片桐:辞めちゃったんだ(笑)。

塩谷:じゃあ、辞めたバンドメンバーが。

Yoshiteru:そう、辞めたバンドメンバーがみたいな(笑)。

塩谷:なるほど。

阿部:毎年、minneのハンドメイド大賞っていうコンテストをやってるんですけど、去年(2016年)の大賞を受賞された作品ですね。

片桐:いろんなバリエーションありましたよ。 僕、イベントでお会いしましたけど。

塩谷:この作品はいったい?

Yoshiteru:これは僕のふつうの私服なんです(笑)。

塩谷:これ?

Yoshiteru:今日、着てるのもそうなんですけど。ちょっと、自分でカスタムをして作ったりとかするのがもともと好きなんです。

以前はディレクターだったYoshiteru氏

塩谷:minneが誕生した2003年頃は、FishBorn Chipsさんは活動を始めていらっしゃったんですか?

Yoshiteru:2003年はまだぜんぜんですね。

阿部:2012年ですね。

塩谷:すみません。

Yoshiteru:2012年は始めた年です。11月に始めたんで。

Yuka氏(以下、Yuka):活動自体は2012年の12月から始めて。minneさんは13年かな? 13年になってから、すぐでした。それまでは映像をやっていて。

塩谷:Yukaさんがですか?

Yuka:主人がですね。私はまったく関係ない。

片桐:CGとかですか?

Yoshiteru:ふつうにバラエティ番組とかをやっていました。

片桐:バラエティ⁉︎ カメラマンさんですか?

Yoshiteru:ディレクターでした。

片桐:バラエティのディレクターだったんですか⁉

塩谷:バラエティとかそういうことをされてて……。

Yoshiteru:ずいぶん違うことをしてましたね。

塩谷:ものづくりというかなり違うほうに大きくジャンプをされてますよね。

Yuka:そんな中、よしおさんに誘われたんです。

片桐:もう辞めたバンドメンバー、よしおさんが?

阿部:その時からご結婚されてたんですか? お2人は。

Yoshiteru:そうです。

片桐:3人で三角関係になるとか、そういうのは大丈夫ですよね(笑)。

Yuka:そういうのはないです(笑)。

Yoshiteru:よしおの顔、見てください(笑)。

片桐氏のアーティスト活動「相方任せで始まった」

塩谷:そのころ、片桐さんは?

片桐:僕は1999年から始めてますから。

阿部:長いですね。

片桐:雑誌の連載で『ヤングマガジン アッパーズ』という、もうなくなっちゃったんですけど、マガジンの別冊で白黒ページで1ページ「なにやってもいいですよ」という依頼。

ラーメンズの相方(小林賢太郎氏)と2人で毎回連載をしていて。相方は1コマまんがを描いたりしてるうちにまんが家として毎回載るようになってきて。「片桐、お前どうすんだ?」と言われて、俺もその質問に対して「どうしたらいいと思う?」と返しちゃったんですね。

そうしたら、「こうしたらいいんじゃないか」と言われて。「粘土好きだから、それでなにか作ったらいいと思うんだけど。1回、雑誌の企画かなにかで粘土を……ゲタとかウクレレに盛ったりしたのがおもしろかったので、あれをそのままやればいいんじゃないの?」と。

「俺、文章とか書けないよ」と言ったら、「文章は俺が書いてやる」と。「名前とか付けらんない」と言ったら、「名前も俺がつけてやる」と。

Yoshiteru:全サポートじゃないですか。

片桐:全部、相方任せで始まったのが99年11月ですから。

塩谷:99年。その頃に生まれた子が18歳くらいになってますもんね。

片桐:本当ですよ。18年目!

塩谷:重い伝統を歩んでこられて。そのころ、初めて作られたのがこちら……。

片桐:これですね。自意識ですよね、もう(笑)。

塩谷:これは、自画像ならぬ自画セロハンテープですね。

片桐:自分の顔も売りたいし、作ったものをうまいって言われたいし、みたいな。

塩谷:やっぱり「顔を売りたい!」と?

片桐:そうですね。インパクトがいまだに一番あると言われちゃうので、複雑なんですけど。こういうとこから始まりましたね。

塩谷:それからの歴史、片桐さんの歴史にApple製品が出てくるんですけど……。

片桐:そうですよね。ちょうど3Gのころですよ。

片桐:サイフォン(笑)

塩谷:サイフォン

塩谷:なんでiPhoneケース……。これはまだ3Gが出た時って、みんなが「iPhone、めずらしい!」と言って、誰もケースのことを考えてはいなかった頃かと思いますが。

片桐:MacのCMのちょっと後くらいですね。最初はiPodが出て、iPod touchが出て、その後、MacBook Airが出て。あれが2008年とか2009年なんで、10年前くらいですかね? そこで、いろいろなApple製品と出会って、「これは粘土を盛らなきゃいけないな」と。

Appleに尊敬の意味を込めて作った「鯛フォン」

塩谷:その作品をなぜ作ろうと?

片桐:なんかあのAppleのカッコつけた感じがすごい嫌で?

塩谷:そんなこと言って……もうちょっとその……。

片桐:俺も今、もうちょっとオブラートに包まなきゃいけなかったなと。

塩谷:そうですね(笑)。

片桐:コマーシャルもやらせてもらってるのに、そんなこと。

塩谷:でも、そのまんまでも大丈夫かもしれないですね。

阿部:盛ろうと思ったってことは、製品を否定してますからね。

片桐:スマートにとか、どんどんちっちゃくなっていくというのは、我慢ならなくて。もっと、よく考えたらiPodとかiPhoneとか、すごいじゃないですか。

でも、あまりにもコンパクトすぎて、日常に入っていきすぎて、すごさをみなさんわかっていないのかなという。みんな、家でデスクトップのパソコンでやってた時代からそんな経っていないのに、当たり前のようにここにパソコンを持ってきて、無料で連絡が取れたりとかね。

あと、Twitterだなんだと、世界に発信してね。それに対して、入れ物はこれでいいのかと思いますけどね(笑)。

塩谷:(笑)。だって、サイって動物のなかでも1、2を争うくらいゴツゴツしてますよね。

片桐:そうですよね。しかもインドサイっていう、けっこう甲羅っぽいやつにしたんですけど。

このくらい、その重厚なというか、すごい物というのが……。だから、鯛フォンというのがわかりやすいんですけど。これ選んだきっかけは、鯛ってほら、獲れたらみんな喜んだじゃないですか?

塩谷:はい。

片桐:そのくらいありがたいものだということを、言わしめたいと。だから、Appleに最高の尊敬の意味を込めて作ったというのが、きっかけってことでしょう。

塩谷:当時は、(iPhoneを)持たれていたんですね?

片桐:3Gの時は、持ってなくて。モックを、知り合いに買ってきてもらって、いざ本物を入れようと思ったら、小さくて入らなかった(笑)。

この時は持ってなくて、4Sからは持ってますから。3G、4、5、6と、まあ4つくらい作ってますね。