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自分ブランドで生きていく! これからのキャリアの作り方入門(全3記事)

「なんでもできる人」はどこにも呼ばれない--経営コンサルタントが実践する“自分ブランド”の作り方

新年度の始まりに、さまざまなジャンルの“きっかけ”を提供するベネフィット・ワン主催のイベント「New-mon」で、ビジネス書作家であり経済コメンテーターとしても活躍する木暮太一氏と、経営コンサルタント・起業家の福山敦士氏が登壇し、それぞれのキャリアの作り方と「選ばれる理由」について語りました。

甲子園球児から起業家に

福山敦士氏(以下、福山):12年前の今日、甲子園のマウンドにちょうどいました。同世代だと田中マー君とか斎藤佑樹君とか、前田健太君とかと同世代。で、僕もピッチャーだったので、同じマウンドに上がって彼らの剛速球を見て。

木暮太一氏(以下、木暮):実際に甲子園に出たってことですか。

福山:甲子園に出て投げたんですけども。彼らのそのすごい球を間近で見て「あ、こいつらがプロいくんだな」っていうことがはっきりわかってしまい。そこで野球のプロの道を諦めました。

で、この先どうしようかなと悩みました。負けず嫌いだったので、プロに進んだ彼らに負けたくなくて、どんな道で彼らに勝とうかなってことを日々考えていました。

大学時代、サイバーエージェントの藤田社長の『渋谷ではたらく社長の告白』っていう本を読んで衝撃を受けました。「こんな働き方があるんだ」「僕が求めているのはこういう世界だ」って思って、それでサイバーエージェントに入ろうと思いました。面接はスーツとかは着ずに、毎回学ランで行って「社長になりたいです」ってことを言い続けて入社させてもらったいう背景がありました。

木暮:『渋谷ではたらく社長の告白』っていう、サイバーエージェントの社長の藤田さんが書いた本があるんですが、ご存じの方っていらっしゃいます?

(会場挙手)

あ、けっこう多いですね、すばらしい! ありがとうございます。あの本、僕が作ったんです。僕がサイバーエージェントにいって藤田さんと2人で作ったんですよ。藤田さんが書いて、僕がその他営業とかをやっていったんです。なので、あの本でサイバーエージェントに入ったっていうことなんで、かなり縁(?)を感じますけど。

福山:そうですね!

渋谷ではたらく社長の告白〈新装版〉 (幻冬舎文庫)

木暮:で、今は会社を経営されてるわけですよね。

福山:はい。サイバーエージェントでは、丸5年間働かせてもらいました。スマートフォンのアプリ作ったり、営業組織まとめたり、グループ会社の経営をやったりとか、いろいろと自由にやらせてもらい、去年の3月に独立しました。

「選ばれる理由」を作るには

木暮:なるほど。じゃあ自己紹介それぐらいにして本題に入っていこうと思いますが、最初のテーマは、「なぜ『自分ブランド』なのか」です。これ、すごく大事な話だと思うんですが、なかなかピンとこないというか、この言葉に関してピンとこない方もいらっしゃると思うんですね。で、「自分ブランド」というのは何かっていうことと、なぜ大事なのかってことを、ちょっと2人で話していきたいと思うんですが。まずこれって何ですか。

福山:「自分ブランド」ですね。結論「選ばれる理由」かなと思っています。

木暮:選ばれる理由、あなたに仕事をお願いしたいと言われる理由。自分から見ると「なぜ自分が選んでもらえたのか」のかということですね。そこが「自分ブランド」があるかどうかっていうことですか。

福山:そうですね。タグづけとかキーワードとかにもつながると思うんですけども、ビジネスでいえば、端的に「選ばれる理由」ということかなと思ってます。「株式会社○○の●●さん」に依頼する仕事、ではなく「●●さん」として仕事を受けるというか。

木暮:それは2つ意味があると思うんですね。1つはポジショニング。あなた、この領域で仕事をしてるから、この仕事をお願いしようっていう、単純な仕事の内容の話です。そしてもうひとつはレベル感の話。あなた、レベルが高いから、この仕事をお願いしましょうということ。この2つがあると思うんですけど、まずどっちが大事だと思います?

福山:まず領域だと思います。

木暮:どこのポジションで仕事をするかっていうのを自分でしっかりと決めるというのが大事ということですね。「私はこの仕事をしています」というフラグを立て、それをまわりに発信するというイメージでしょうか。

福山:はい。

木暮:ちなみに、福山さん、どうやって発信しました?

福山:ブログ、SNS、イベントなどありとあらゆる手段で発信し続けました。ただ、肝心の中身が毎週、毎月コロコロ変わってしまい、自分の職業が何なのかずっとわからずにいました。独立した後、非常にここで苦戦しました。未熟なりにも事業は作ってきたんですけども、去年独立したあとは、自分にできること書き出してみると、意外とたくさんあるなということに気付いて、とにかくたくさんお客さんのとこ回って「僕なんでもできます!」と、言い続けました。

「アプリも作ってたし、営業組織もマネジメントしていたし、グループ会社の経営もやってたし。いろいろやってたんでなんでもできます」って言い方をしてたら、「なるほど、なんでもできるんですね。じゃあ何かあったときにご連絡します」っていうかたちで、目に見えない失注を繰り返し、仕事がなかなか取れなかった時期がありました。

木暮:けっこう「あるある」なんですよね。器用貧乏って言い方しますけど、なんでもできる人ってどこでも呼ばれないっていうけっこうな大きなトラップがあって、自分で絞るからこそ仕事が得られるっていうの、ありますよね。

福山:まさに。

自分の“得意技”を知る

木暮:で、仕事が得られるようになった時期があるわけですよね。

福山:はい。

木暮:だってもう、半年で売り上げ1億か、半年で1億ですよ。半年で1億立てるにはそれなりの努力とか戦略とかがあったと思うんですが、どこにフラグを立てたんですか。

福山:営業です。最近は「短期で売上をつくる」という言い方に変えていますが。ブレークスルーのポイントは「営業」に絞ってからです。結局、前職から4年連続で月100件アポに行くということを続けていましたが、それが、アポイントを入れまくるってことをずっとやっていて。お客さんの声から事業を作るということを続けてきたので、自分は事業開発が得意なんだと思っていましたが、結局、動作としてやってることは営業だったので、これを商品にできないかなと思って。「営業が得意です」っていうふうな話をしたらチャンスがどんどん降ってきて。

木暮:それは、なんで営業にしようと思ったんですか。

福山:なんでですかね。実は、自分では気付けませんでした。お客さんや、勉強会に来てくださった方に「なんでそんなにアポイント取れるんですか」とか「1日5件も6件も、どうやって打ち合わせ入れるんですか」って聞かれて、それに答えていくうちに、自分の中に明確なメソッドがあることに気付きました。「あれ、普通の人はできないことなんだな」っていうふうに、人からの質問で気付くことができました。

木暮:これも、僕、仕事、出版業のほうの人間で、次の本で50冊目になるんですね。大体年に5、6冊書いてるんですけれども、同時に、本を出す、出したい人へのコンサルみたいなこともやってるんです。それで、みんなに聞くのが「なんであなたは、それをできるんですか」って聞くんですよ。本人が案外気づいてないパターンってすごく多いんですよね。一日何件でしたっけ? アポ取るの。

福山:大体5件、6件ぐらいですかね。

木暮:1日5、6件のアポを取れる人って、すごく少ないですよ。僕、サイバーエージェントにいたときに、インターネット本部の営業してたんでよくわかるんですが、今日3つもアポ入れられました、みたいなので喜んでるレベルなので。大体1つか2つか、まあゼロの日が多かったりするんですよね。でも、自分自身ではそのすごさに気づかない。でも、いろんな人と会話していく中で、周りの人たちってそれができないんだな、自分の得意技なんだなってことに気づいていくわけですね。

福山:そうですね。

木暮:ということは、周りの人に聞いてみるっていうのが1つの出発点なのかもしれないですね。

言語化して振り返る習慣

福山:そうですね。あとは振り返りの習慣ですかね、言語化というか。ブログを11年間続けきたことで、言語化して振り返る習慣が身についていました。営業の方法についての質問も、すぐに答えられたのは、日々「なぜこの案件が決まったのか、決まらなかったのか」を自問自答し続けたことで、メソッド化できていたので、もらってすぐに答えられました。お客さんの社内で営業の勉強会やってくださいって言われて、特に準備もせずにできたときになんとなく気付いていました。

木暮:それは営業が好きじゃなくてもいいんですか、例えば。

福山:そうですね、最初は営業好きじゃなかったので。好きじゃなかったというか、絶対やりたくない職種でした(笑)。サイバーエージェントって今はメディア企業になってるんですけども、僕の入った6年前はまだ広告代理店の色が強くてスーツ人口が多かったです。スーツの下のシャツは立ち襟で、ネクタイとかはせず、ボタン2つ3つ開けていたりして……。

木暮:ああ、わかります(笑)。

福山:で、ちょっとビビっちゃって。みんな20代で活躍していて、ぐいぐい成長している感じだったので、営業の彼らと同じ土俵に立っても勝てないかもなと思って。入社前少し営業やらせてもらったのですが、やっぱり先輩社員がすさまじくて諦めました。でも営業が強い会社なので、営業の人たちが思い切り売れるものを作ったら勝てるんじゃないかと思って。

木暮:なるほどね。

福山:そこで営業はやらないと決めて、スーツは一切買わずに入社して。入社して丸2年ぐらいはずっと私服でやっていました。

木暮:あ、そうなんですか。

福山:はい。プロデューサー職だったので、ビルは別だったこともありまして。

木暮:なるほど。ちょっといろんな要素がありますけれども、まずは人に聞いてみる、自分って何が強いと思うかって、人との差を発見していくってすごく大事なことなんだと思いますね。

自分の中でいくら研究してても出ないと思うんですよ。正直言って出ないので、人の話を聞くとか誰かの本を読むとか、誰かと会話して、自分は自然にできるけれども、ほかの人ができないこと。自分は飲みながら5時間しゃべれるけれども、ほかの人は全然しゃべれないこと、それを見つけていくっていうのが1つのブランドというか、旗の立て方。私、ここの領域の人間ですっていうふうに、そこを探すポイント、きっかけになるかなと思うんですよね。

進化し続ける人材とは

はい、ではちょっと次のテーマにいきたいなと思います。次、スライドをお願いします。

これがこれからのキャリア。働き方とかキャリアの作り方とか、そういう話だと思いますけれども、これから大きく変わっていくと思います。間違いなく変わっていきます。それで、どう変わっていくのか。今までこうで、これからどうだっていうのを、ちょっと話していきたいんですが、今までどうだったと思います?

福山:今までもこれからもそんなに変わりはないと思うんですね。僕が定義してるのは「進化し続ける人材」っていうのが、これからのキャリアでは、より重要になってくるかなと思っています。

木暮:進化し続ける人材っていうのはどういことですか。

福山:会うたびに新しい気付きや発見を与える人ですね。

木暮:会うたびに新しい発見がある、なかなか難しいですよね。

福山:そうですね。常に今の自分と向き合い続けながら、これからの社会に対して自分を適用させていくことだと思います。大前提として、僕らの親父世代と同じ働き方は確実に通用しないと思っています。

僕らの世代って、親父世代と、人口ピラミッドが逆転しているので、昔は少ない高齢者たちを大量の若者で支えるという構造だったのが、これからは大量の高齢者を少ない若者で支えなくてはならない。同じ働き方、キャリアの作り方をしていると、そもそも日本の発展はないですよね。生産性というキーワードも大切ですし、何より自分自身を日々アップデートすることだと思います。

少し悪い言い方になっちゃうんですが、慶應義塾大学で野球やってたのですが、野球部のOBのおじさん、おじいさんたちって、会うたびに同じ話をするんですよね。

木暮:ああ。わかります。僕、富士フイルムに最初入って、サイバーエージェントに転職して、最後リクルートにいったんですね。で、独立したんですけど、大体、ある何か特定の人種の方々は毎回同じ話をするっていうのありますよね。「俺があのヒット商品作ったんだぜ」「俺が若いころは……」ってね。そのように毎度毎度、同じ話しかしないのではなく、何か新しいこと学んでる人ってことなのかな。

福山:そうですね。ソフトウェアみたいにアップデートするということですね。やっぱり時代の流れるスピードも日々速くなってると思っています。20年前には「インターネットではビジネスはできない」という人がいて、10年前には「スマートフォンは絶対流行らない」という人がいて、今は「人工知能に仕事の全てをとられる」と焦っている人がいて。

その時、その時代で、今はどういう時代でこれからどんな世の中になるか、どんな働き方やキャリアが求められるかというのを、きちんと自分の頭で考えて、それに必要な情報をこれでもかってくらいインプットし続けることだと思います。

一次情報を意識する

木暮:僕も、経済ジャーナリストとしての活動もあります。経済の動向を語ったり、ニュースの解説をしたり。そういう活動をしていると、日本の経済、これからどうなっていくんですかって聞かれるときがあるんですね。というか、よく聞かれます。

ということは、「みんな、わかんない」ってことなんですよ。当然僕もわかりません、正解はわかりません。だけどなんとなくの流れはわかります。僕が流れがわかる、で、ほかの人がわからない。これ何かっていうと、情報のインプットの仕方なんですが、情報をじゃあインプットしましょうっていうとけっこう難しくないですか。

福山:難しいです。

木暮:今、一番の重視している情報源は何ですか?

福山:僕が一番意識してるのは一次情報ですね。

木暮:一次情報、難しい言葉が出てきました(笑)。

福山:情報の発信元を抑えに行くということですね。テレビとか新聞とかニュースアプリとかで見て、何となく知ったような気になる話じゃなく、それを発信した人に実際に話を聞きに行くとか。

木暮:なるほど。誰かが代わりに聞いて書いたとかいったことではなくて、その本人に聞きに行くと。

福山:そうですね。得意技である月100件営業を使って、その情報の発信元となるような人とアポを取るということをしています。例えば、ニュースで出てる話と実際に起きている話に、若干、乖離があったりとかします。

要は、プレスリリースでも少し誇張して話していることってよくあるので。「自動化」と謳いつつ「実は全手動」とか。実際はそこまで追いついてないとか、そこに本当は顕在化していない課題があったりするんで。いちいちニュースに踊らされずに、正確な情報を捕まえるっていう意味で、僕の場合はなるべく一次情報を捕まえるようにしています。

木暮:なかなか、そうはいっても一次情報を取れない人とか、会いに行けない人って多いと思うんですけど、もしそれができなかったら何します?

福山:それができなかったら?

木暮:例えば、今の日米関係どうなってるのかって、トランプさんに会いに行けないですよね。だからそういうときはどうしますか。

福山:(笑)。その場合はもう自分の頭で考えるしかないので、情報を浴びるように仕入れる。なので、1つ、2つの情報ソースじゃなく、ありとあらゆるところでトランプさんの情報は出ているので、全部、自分の中で仕入れて自分なりの解釈を出す。

木暮:なるほど。

福山:前提として、日常的に情報をシャワーのように浴びるっていうことが、大切だと思います。

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