米国の危険スポット7つ

ハンク・グリーン氏:この世界は美しいですが、訪れたくないような場所も存在します。アメリカでは「スーパーファンド・サイト」と呼ばれる場所がいくつかあり、毒性の残骸で埋め尽くされています。生命に危害を与えるものです。

長期的な洗浄が必要とされる場所はアメリカ合衆国環境保護庁により全国浄化優先リスト(NPL)とされています。1,000ほどあるのですが、今回はスーパーファンド・サイトによって洗浄された7つを紹介します。

まずはニューヨークの「ラブ・キャナル」からです。水力発電のための水路になる予定でしたが、企画は中断され地面に大きな穴を残しました。1900年中頃フッカー・ケミカル社が19,000トンの産業化学物質を埋めるためにこの穴を使ったのです。

これらは染料、香水、ゴム、樹脂などの副産物であり、人体に害のある危険物質と考えられています。1978年に化学物質が土から染み出し、住民が毒のような匂いに気づいたのです。これらに触れてしまった人たちには、炎症、流産、がんのリスク増加などの健康問題が発生しました。

その後1980年に大統領のジミーカーターが2つの緊急事態宣言をし、900の家族が避難しました。20年で建物は再建築され、土は安全な埋立地に移動し、浸出液を処理すべく永久排水システムが設置されました。

浸出液は外部機械に移動し、炭を活用してフィルター処理されました。穴の多い炭の炭素によるものです。これらの穴が特に炭素を含む汚染水をフィルターにくっつけやすくし、下水処理をしやすくしました。

2004年より「ラブ・キャナル」は安全と宣言されましたが、汚染物質を埋め立てた場所はまだ課題があるようです。これが原因で「CERCLA(包括的環境対策・補償・責任法)」、またスーパーファンド法が1980年に国会を通過し、汚染地域に対応する公式なプログラムができました。

テロで一気に危険スポットに

こちらは1990年にNPLに追加されたシカゴのリードケプラーパークです。コミュニティエリアとプールが埋立地の真横にありました。埋立地には1970年から40年に渡りレアアース施設が放射性物質を廃棄していました。

ほとんどは砂のような廃棄物で、トリウム、ラジウム、ウランといい、粉砕くずと呼ばれるものでした。これらは不安定で、他の電子を倒してしまう電離放射線を発しています。そしてこれは厄介なものです。ガンマ線は高濃度だと特に危険で、人の肌を通過しDNAや細胞を傷つけ、ガンを引き起こします。

1997年から汚染土や残骸は「エンバンクメント」と呼ばれる特別な処理施設へ運ばれるようになりました。2010年には洗浄されたと宣言されました。もう放射性物質を気にせずプールでリラックスできます。

次はワシントンDCの「ハート上院議員ビル」です。30人の従業員が炭疽症にかかったため閉鎖されました。2001年の9月と10月に炭疽芽胞を含む手紙が政治家やニュースメディアに送られてきました。

これらの芽胞は宿主の中に入るまではタンパク質で覆われています。吸引したり引っ掻いたりすると摂取されます。すると活動的な炭疽になり、インフルエンザのような症状を引き起こし、死に至る可能性もあります。

この場所では二酸化塩素による洗浄が行われました。分子の電子を奪う酸化剤で、バクテリアの殺傷能力は優秀です。 化学反応により細胞膜と中の分子、たんぱく質の膜までもを破壊します。 サンディア国立研究所の除染フォームも使われました。家庭にあるものにもある化学物質です。コンディショナーといった界面活性剤は芽胞に穴を開け、歯磨き粉のような酸化剤は内部の細胞を破壊します。

迅速な洗浄により、2002年1月に元に戻りました。

次はマサチューセッツの「ブラックバーン&ユニオンプリビレッジ」です。1994年にNPLに追加されました。1600年より産業や商業目的で使われ、危険な廃棄物を生み出しました。

土と地下水は鉛やヒ素や、ガスになりやすいVOCで汚染されました。多環芳香族炭化水素やベンゼンは健康問題を引き起こします。目や喉の痛み、腎臓や肝臓、さらにはがんも引き起こします。これだけではありません。この場所では車のブレーキやクラッチも生産され、繊維のアスベストが混ざっていたのです。これは細胞を傷つけ瘢痕化し、中皮腫と言ったガンを引き起こします。

2009年には1,200キロの汚染土と27メトリックトンのアスベスト残骸が外部施設へ送られました。おそらく慎重にデザインされた埋立地です。しかし今日もまだ洗浄は続いています。

今も続く危険なスポット

スーパーファンドは危険ですが、モンタナ州では2ドルで見られるバークレーピットがあります。1900年代には炭鉱で、洪水にならないようにポンプがありました。しかし1982年に閉鎖されてから水があふれ出しました。ヘビーメタルや毒性の科学物質が混ざっていたのです。

水の酸素に反応した硫酸や硫化鉱物により非常に強い酸性でした。水の色も変でした。鉄によりブラウンの赤になり、青がかった緑は銅によるものでした。特別な病原菌でもない限り泳ごうとは思えないでしょう。1995年にハクガンの群れがこの穴に降り立ち、数日で化学的な炎症により342羽が死にました。

汚染は穴だけでも、海抜1650メートルに達すると汚染は地下水に染み渡り、シルバー・ボウ川にも影響しました。これは悪い知らせで、クラーク・フォーク川に入りミズーラまでやってきてしまいます。

水位上昇を防ぐため、2003年より処理施設が穴に流れ込む表面の水を吸い取っています。遅くとも2020年には始まる水の処理のためにバークレーピットを調査しています。現段階では酸化カルシウムを使うことが検討されています。水やその他に反応するものです。硫酸を硫酸カルシウムに変換して水の酸を和らげます。酸が減ると鉄が泥のようになりフィルターされやすくなります。

今この瞬間も穴の水位は上昇し危険な域に来ているので対処するためのテクノロジーは早く実践されるべきです。

水といえば、200マイルあるニューヨークのハドソン川は国内最大のスーパーファンドです。1947〜1977年に、GE社が1,600トンもの人工科学をハドソン川に流しました。ポリ塩化ビフェニルといいう、酸、塩基、熱に抵抗のあるものです。変圧器やコンデンサのような電化製品を生産する際の絶縁に使われます。

しかしそれには多大な環境コストがかかりました。木や生き物という有機物がある場所に土砂として廃棄されました。ハドソン川の魚を食べるべきではない理由がこれです。脂溶性な為、魚の体内に蓄積されます。人体では分子にくっついてDNAにダメージを与え、健康問題を引き起こします。ガン、扁桃腺病、学習障害、記憶障害などです。

2009〜2015年にハドソン川は浚渫され、泥やポリ塩化ビフェニルは危険物埋立地へ送られました。洗浄は未だ続いており、土や周辺の生物はまだ数年様子を見る必要があります。

最後のスーパーファンドは家を持つ人にとっての悪夢です。ノースカロライナのCTSアッシュビルです。電子部品や補聴器を作っていました。1950〜1980年にかけて、この会社はトリクロロエチレンという溶剤を作っていました。金属から油を除去するものです。その多くが地下水を汚染し、井戸を通じて人の家にまで届きました。

トリクロロエチレンは非可燃性で無色で甘く焼けるような味がします。一部の住人は気づくようなものです。肝臓や腎臓細胞を傷つけガンを引き起こすこともあります。中枢神経系に影響を与えることもあり、そのメカニズムは未だに解明されていません。

NPLにリスト入りした2012年より、住民には水の濾過システムが与えられました。しかし今ではほとんどが井戸ではなく綺麗な水道水を使用しています。現在EPAは「土壌蒸気抽出」というシステムにより土や地下水からトリクロロエチレンを吸い取るテクノロジーを使っています。

このように洗浄には多くの異なるテクノロジーが必要とされます。廃棄物を生むことと毒物の貯蔵または除染についてはもっと慎重になるべきと言えます。スーパーファンド土壌蒸気抽出は環境と人間にとって害になりますから。洗浄作業は向上していますが、まず危険な問題を生み出さないようにすべきですね。